○犯罪被害者等の公営住宅への入居について(通達)

平成30年2月9日

達(県サ、生企、刑総)第56号

みだしのことについては、次のとおり対応することとしたので、運用上誤りのないようにされたい。

なお、犯罪被害者等の公営住宅への入居に関する対応について(平成18年9月8日付け達(総相)第305号)は、廃止する。

1 趣旨

国土交通省においては、犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為により害を被った者やその家族・遺族(以下「犯罪被害者等」という。)の居住の安定を図り、その自立を支援するため、公営住宅の供給を行う地方公共団体(以下「事業主体」という。)の判断により、犯罪被害者等に対する公営住宅への優先入居及び目的外使用の措置(以下「優先入居等の措置」という。)を講じているところであるが、この度、ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号。以下「ストーカー規制法」という。)が改正され、同法第9条第1項において、国及び地方公共団体は、ストーカー行為等の相手方(以下「ストーカー被害者」という。)に対する公的賃貸住宅への入居に係る配慮について努力義務とされたことを踏まえ、国土交通省住宅局長より優先入居等の措置の拡大について配慮するよう通知が発出されたことから、県警察の事務処理等について見直しを図り、適切な被害者支援を推進しようとするものである。

2 用語の説明

(1) 公営住宅

地方公共団体が建設、買取り又は借上げを行い、住宅に困窮する低額所得者に賃借し、又は転貸するための住宅及びその附帯施設で、公営住宅法(昭和26年法律第193号)の規定による国の補助に係るものをいう。

(2) 公営住宅への優先入居

公営住宅入居のための要件(同居親族要件、収入要件及び住宅困窮要件)を満たす者について、入居者の選考に際し、事業主体の判断により、優先的に取り扱う(①募集戸数の中に優先入居の取扱いを行う世帯の戸数枠を設ける。②戸数枠を設けずに抽選による当選率を一般の入居希望者より有利に取り扱う。)ことである。

(3) 公営住宅の目的外使用

公営住宅入居のための要件(同居親族要件、収入要件及び住宅困窮要件)のうち同居親族要件を満たさない者(単身者)若しくは収入要件を満たさない者で住宅に困窮する者、又は公営住宅入居のための要件を満たす者で緊急的に公営住宅を使用することが必要な者について、公営住宅の本来の入居対象者の入居を阻害せず、公営住宅の適正かつ合理的な管理に支障のない範囲で、国土交通大臣の承認を得て入居させることをいう。

3 優先入居等の措置に係る手続の概要

入居申込者が、犯罪被害者等であることを申し立て、事業主体に対して入居申込みをした場合、事業主体は、虚偽の申込みの排除及び優先入居等の措置の対象者であるか否かを確認する必要性から、県警察に対して犯罪被害の申告内容について照会することとしているので、県警察は、事業主体に対して被害届等に基づき、捜査に支障が生じない範囲で確認結果を回答する。

なお、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号。以下「DV法」という。)第1条第2項に規定する被害者(以下「DV被害者」という。)に係る照会については、婦人相談所長の証明又は裁判所の保護命令決定書の写しによることから、県警察への照会はなされない。

4 優先入居等の措置の対象者

優先入居が認められる犯罪被害者等は、犯罪により従前の住居に居住することが困難となったことが明らかな者で、次のいずれかに該当することが客観的に証明されるものであること。

(1) 犯罪により収入が減少し、生計維持が困難となった者

(2) 現在居住している住宅又はその付近において犯罪等が行われたために当該住宅に居住し続けることが困難となった者

ア 犯罪により住宅が滅失又は著しく損壊したために居住することができなくなった者

イ 住宅を客体とする犯罪により居住することができなくなった者

ウ 犯罪により精神的な後遺症が生じ、医学的に居住することができなくなった者

エ ストーカー規制法第2条第3項に規定するストーカー行為等により居住することができなくなった者又は同条第1項に規定するつきまとい等により、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、若しくは行動の自由が著しく害される不安を覚えさせる行為により居住することができなくなった者

オ DV被害者であり、かつ、DV法第3条第3項第3号の規定による一時保護又は同法第5条の規定による保護が終了した日から起算して5年を経過していない者(同居親族要件は適用しない。)

カ DV被害者であり、かつ、DV法第10条第1項の規定により、裁判所がした命令の申し立てを行った者で当該命令がその効力を生じた日から起算して5年を経過していないもの(同居親族要件は適用しない。)

5 事業主体からの照会及び対応の流れ

事業主体から県警察への照会は、ストーカー被害者については生活安全企画課長が対応し、その他の犯罪被害者については県民サービス課長が対応する。

(1) 事業主体は、犯罪被害者等から入居申込みを受けた場合は、県警察への照会に伴う個人情報の取扱いに関する同意書を申込者から徴し、照会事項が記載された照会文書を作成して、被害の種別に従い、県民サービス課長又は生活安全企画課長(以下「担当課長」という。)に照会する。

(2) 担当課長は、事業主体から、入居申込者が申告した犯罪被害内容についての照会依頼があった場合には、照会事項が記載された照会文書をファックス等により受領し、照会文書の内容等から、正規の事業主体からの照会であることを確認後、事件・事故等を取り扱う所属長へその照会文書をファックス等により送付する。

(3) 所属長は、担当課長から送付を受けた照会文書により、事件・事故の取扱状況を確認の上、「被害届等受理の有無」、「担当課名」、「担当者名」及び「連絡先」を担当課長に電話で回答する。

(4) 担当課長は、所属長からの回答を事業主体に電話で連絡するが、その際の回答内容は、「被害届等受理の有無」、「取扱所属名」、「担当課名」、「担当者名」及び「連絡先」とする。

(5) 回答を受けた事業主体は、入居申込者が申告した犯罪被害内容を確認するため、取扱所属の担当課に電話を入れるので、照会を受けた所属長は、事業主体の担当者名等を確認し、その内容を事業主体に回答するとともに、電話受発信用紙を用いて記録化し、ストーカー被害を除く犯罪被害の場合は別に定める被害者支援状況報告書を作成し、ストーカー被害の場合は別に定めるストーカー相談受理簿に当該事件・事故について、事業主体から確認があった経緯を記入(編てつ)するなど明らかにしておく。

6 優先入居等の措置対象者への情報提供

優先入居等の措置の対象となり得ると認められる者を認知したときには、当該犯罪被害者等に対して、優先入居等の措置に係る概要等の情報提供を行う。

7 留意事項

(1) 個人情報の取扱い

本制度で取り扱う情報は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に規定する個人情報に当たることから、事業主体への回答に当たっては、個人情報の保護に留意するとともに、捜査に支障のある情報等については回答を控えること。

(2) ストーカー被害者の優先入居等について

ストーカー規制法第9条第1項の規定によれば、国及び地方公共団体の公的賃貸住宅への優先入居等については、あくまでも努力義務とされていることから、本制度に係る情報提供を行う際には、必ずしも公営住宅への優先入居等への措置が図られるものではないことの説明を十分に行うとともに、事業主体によって対応が異なることから当該事業主体に対して該当するか確認するよう教示すること。

(3) 事業主体との申合せ

優先入居等の措置が円滑に進められるよう、あらかじめ事業主体との間で実施要領、連絡体制等について申合せをしておくこと。

(4) 適切な対応等

犯罪被害者等が事前に署及び分庁舎に相談に訪れることなく、直接、事業主体に入居の申込みをしたことにより、事業主体から県警察に照会があった場合には、事業主体から犯罪被害者等に対して署及び分庁舎への来署を促してもらうなど、適正な対応等につなげること。

8 関係通達等

(1) ストーカー被害者の公営住宅への優先入居等の措置に係る対応について(平成29年12月20日付け警察庁丙生企発第108号ほか)

(2) 犯罪被害者等の公営住宅への入居への対応について(平成17年12月26日付け警察庁丙給厚発第29号ほか)

(3) 配偶者からの暴力被害者の公営住宅への入居について(平成16年3月31日付け国住総第191号)

(4) 犯罪被害者等の公営住宅への入居について(平成17年12月26日付け国住総第137号)

(5) 「「公営住宅法の一部を改正する法律の施行について」の一部改正について(通知)」等について(平成18年1月11日付け雇児福発第0111001号)

犯罪被害者等の公営住宅への入居について(通達)

平成30年2月9日 達(県サ、生企、刑総)第56号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
警務部
沿革情報
平成30年2月9日 達(県サ、生企、刑総)第56号
令和5年3月28日 達(県サ)第143号