○性犯罪の被害者が精神に障害を有する事案における検察との連携の試行実施について(通達)
令和4年6月23日
達(刑総、捜一)第325号
[原議保存期間 5年(令和10年3月31日まで)]
[有効期間 令和10年3月31日まで]
みだしの試行を令和4年7月1日から実施するので、事務処理上誤りのないようにされたい。
なお、本通達の内容については、福島地方検察庁と協議済みである。
記
1 試行の目的
性犯罪・性暴力対策を強化するため、児童(18歳未満の者)を被害対象とする事案において、代表者聴取の取組を行っているところであるが、被害者の事情聴取の在り方等をより適切なものとするための検討を目的に、性犯罪の被害者が精神に障害を有する場合においても代表者聴取の取組を試行実施するものである。
2 試行の実施時期
令和4年7月1日より当面の間
3 試行の対象となる事件
(1) 対象犯罪
性犯罪(刑法上の不同意性交等、不同意わいせつ等の身体犯)
(2) 対象者
上記(1)の対象犯罪の被害者のうち、知的障害、発達障害、精神障害等、広く精神に障害を有する被害者であって、言語によるコミュニケーション能力に問題があり、又は聴取者に対する迎合性や被誘導性が高いと認められるもの
4 検察と連携を図る際の対応
(1) 警察からの通報
警察において、上記3に該当する事件を認知した場合には、刑事事件としての立件が見込まれるものについて検察へ連絡した上、代表者による聴取の実施を念頭に、聴取方法等について検討・協議を行うこと。
なお、検察庁への連絡は、休日・夜間については、重大緊急以外を除き、次開庁日に行うこと。
(2) 検察との連携時の留意事項
上記(1)により検察と連携する場合においても、再被害及び被疑者の逃走の防止や証拠の保全を図るため、早急な対応が求められる場合に、協議の開始や進展の状況にかかわらず、被害者からの聴取及び供述調書の作成を含め、早期に実施すべき捜査を的確に実施することは差し支えない。
5 代表者による聴取実施時の留意事項
(1) 必要な検討の実施
代表者による聴取を実施する場合は、被害者の障害の内容・程度や特性等を踏まえた上で、聴取者、聴取の実施場所、聴取状況の記録の方法等について、検察と十分に検討すること。
(2) 聴取状況の記録
聴取状況の記録については、録音・録画を行うなど、客観的な方法によって記録することとする。
録音・録画を行う場合には、被害者本人の同意を得るとともに、被害者の障害の程度等を勘案の上、必要に応じ、その家族等からも同意を得ること。
なお、聴取状況の記録のための機材については、警察施設に配備されている取調べの録音・録画装置を用いることも差し支えない。
(3) 代表者による聴取実施後の情報共有
当該事案に適切に対処する観点から、代表者による聴取を実施した場合には、警察及び検察による打合せの実施等の適切な方法により、必要な情報の共有に努めること。
6 報告要領
本件に関する報告要領は、別に定める。
7 効果的な聴取実施のための取組
警察が代表者として聴取を行う場合に備え、聴取者の技能向上を図るための効果的な教養等の実施に努めるとともに、聴取方法等に関する関係機関との検討・協議を円滑に実施できるよう、平素より、関係機関を交えた勉強会を開催するなどして認識の共有を図ること。