○DNA型鑑定資料の採取等における留意事項について(通達)

令和4年5月26日

達(科捜、鑑)第282号

[原議保存期間 5年(令和10年3月31日まで)]

[有効期間 令和10年3月31日まで]

みだしのことについて、次のとおり定め、令和4年5月26日から施行することとしたので、適正かつ効果的にDNA型鑑定を実施されたい。

1 被疑者資料採取時の留意事項

(1) 採取の必要性

被疑者については、本件や余罪の捜査のために必要があると認められる場合に、DNA型鑑定資料(以下「鑑定資料」という。)を採取するものとするが、当該必要性については、個別具体の事案に即して、組織的に検討を行うこと。

なお、余罪の捜査のために必要があると認められる場合とは、検挙した被疑者による余罪事件を具体的に把握している場合のみならず、本件の罪種、手口及び態様、当該被疑者の言動、所持品、生活状況及び前歴、関連地域における犯罪の発生状況等を総合的に考慮して、DNA型鑑定を行うことにより当該被疑者の余罪の有無を確認する必要性が認められる場合をいう。

(2) 採取の手続等

被疑者から任意に鑑定資料の提出を受ける場合には、提出された鑑定資料のDNA型鑑定を実施してその結果を本件や余罪の捜査に利用することについて十分に説明を行った上で、任意提出書等の必要な捜査書類を作成し、専用の採取キットにより口腔内細胞の提出を受けること。この際、鑑定資料の同一性を確保するため、被疑者の面前で鑑定資料を袋等に封印し、これに被疑者の署名、押印(指印を含む。以下同じ。)を求めること。

また、強制処分として被疑者から鑑定資料を採取する場合には、鑑定処分許可状等必要な令状の発付を受けて行うこと。この場合、口腔内細胞を採取する方法では、被疑者が抵抗するなどして捜査員等のDNAが混入するおそれがあるため、視認が容易でDNA型鑑定がより確実に実施できる血液を医師により採取するなど、状況に応じて採取の方法、資料の種別等を判断すること。また、採取手続の適法性を担保するため、必要な捜査書類の作成や写真撮影により、採取の経過を明らかにしておくこと。

(3) 鑑定書等の取扱い

被疑者資料のDNA型鑑定に係る鑑定書その他鑑定結果又はその経過等が記録されている書類(以下「鑑定書等」という。)については、将来の公判等に備えて適切に保管し、保管の必要性が失われればこれを廃棄すること。

鑑定書等の保管の必要性の判断は、捜査等の進捗に応じて随時行う必要があるところ、捜査担当部門において被疑者に係る鑑定書等の保管の必要性を個別具体的に検討し、必要性が認められない鑑定書等については、捜査担当部門及び科学捜査研究所等の鑑定書等を保管する所属が緊密に連携の上、廃棄すること。

2 遺留資料採取時の留意事項

(1) 採取の必要性等

犯罪現場その他の場所(被害者等の身体、着衣等を含む。以下「犯罪現場等」という。)に被疑者が遺留したと認められる資料(以下「遺留資料」という。)については、罪種や事案の軽重にかかわらず、積極的にその発見及び採取に努めること。

遺留資料の採取に当たっては、被疑者に由来する資料が遺留されている可能性が高い箇所を的確に選定した上で、当該箇所から優先的に採取するとともに、一見して遺留資料が確認できない場合であっても、犯罪現場等に被疑者の体液や皮膚片等が遺留している可能性があり、資料の種別や大きさによっては資機材を活用することにより通常視認できない資料を確認することが可能となる場合もあることから、各種資機材を有効活用し、遺留資料の採取に努めること。

なお、いずれの場合においても、採取した資料には事件とは無関係な第三者の資料が含まれる可能性があることにも十分留意すること。

(2) 採取の手続等

遺留資料の採取に当たっては、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)等に基づき、個別具体の事案に即して、任意提出物や遺留物の領置、差押え等の必要な手続により実施すること。この際、資料の同一性を確保し、採取手続の適法性を担保するため、立会人による採取状況の確認、採取した資料の封印等を徹底するほか、採取状況を写真撮影するなどして採取経過を明らかにするとともに、必要な捜査書類を作成すること。特に、遺留資料として視認できない資料を採取した場合には、図面や写真等により採取箇所や採取の経過を明らかにするなど、適切な措置をとること。

また、遺留資料を採取するに当たり、汚染等を防止するため、ガーゼや綿糸等を用いる場合には、適切に保管管理されているものを使用するほか、資機材を使用する場合には、使用の都度DNA除去剤による洗浄を行うなど、採取機器からの汚染防止にも留意すること。

(3) 迅速な鑑定実施

被疑者に由来する蓋然性が高く、DNA型鑑定が可能と認められる遺留資料を採取した場合には、当該資料を鑑定しないままではその後の捜査活動や公判等に影響を与えることがあるため、必要なDNA型鑑定を迅速に実施すること。

3 関係者からの鑑定資料採取時の留意事項

(1) 採取の必要性等

被害者等の関係者から鑑定資料を採取するに当たっては、犯罪現場等から採取された遺留資料が被疑者に由来するものか否かを確認する、捜査対象者を適切に絞り込むなど、DNA型鑑定を行う必要性及び有効性について、個別具体の事案に即して、組織的に検討を行うこと。

特に、捜査対象者を適切に絞り込むために関係者から広く鑑定資料を採取する場合には、犯罪の軽重、当該手段をとる必要性等について慎重な検討を行うこと。

(2) 採取の手続等

関係者から任意に鑑定資料の提出を受ける場合には、提出された鑑定資料のDNA型鑑定を実施してその結果を当該事件に係る捜査に利用することについて十分に説明を行った上で、任意提出書等の必要な捜査書類を作成し、専用の採取キットにより口腔内細胞の提出を受けること。この際、鑑定資料の同一性を確保するため、鑑定資料を提出した者の面前で鑑定資料を袋等に封印し、これに同人の署名及び押印を求めること。

また、関係者への説明に当たっては、鑑定資料や鑑定書等の事後の取扱いについて関係者の不安を生じせしめることのないよう、保管の必要がなくなったときには、警察が責任を持って廃棄処分する旨を説明し、理解を求めること。

(3) 鑑定書等の取扱い

鑑定書等については、将来の公判等に備えて適切に保管し、保管の必要性が失われればこれを廃棄すること。

特に、関係者に係るDNA型鑑定の結果については、早い段階で当該事件捜査との関係の有無が判別できることが多いことから、これら関係者に係る鑑定書等については、保管の必要性の判断を遅滞なく行うこと(なお、この場合、DNA型鑑定実施の事実及び関係者のDNA型と遺留資料のDNA型との不一致の結果のみを記載した書類は鑑定書等に含まないので、留意すること。)

上記の判断を適切に行うため、関係者に係るDNA型鑑定の鑑定書等については、捜査担当部門において、捜査等の進捗に応じて保管の必要性について随時検討を行うことに加え、科学捜査研究所等の鑑定書等を保管する所属と緊密に連携して、おおむね1年ごとに、組織的に点検を実施すること。

DNA型鑑定資料の採取等における留意事項について(通達)

令和4年5月26日 達(科捜、鑑)第282号

(令和4年5月26日施行)

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令和4年5月26日 達(科捜、鑑)第282号