○高齢者虐待事案への適切な対応について(通達)
令和5年2月28日
達(少対、県サ、地企、刑総、捜一)第60号
[原議保存期間 10年(令和15年3月31日まで)]
[有効期間 令和15年3月31日まで]
みだしのことについて、次のとおり定め、令和5年3月1日から施行することとしたので、適切に対応されたい。
なお、高齢者虐待事案への適切な対応について(令和3年12月23日付け達(少対)第477号。以下「旧通達」という。)は、廃止する。
記
1 趣旨
高齢者虐待事案については、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号。以下「法」という。)及び旧通達に基づき対応してきたところであるが、この度、高齢者虐待事案通報票(様式第1号。以下「通報票」という。)等に係る公印の省略について警察庁と厚生労働省との協議が整ったことに伴い、新たに本通達を発出し、引き続き適切な対応を図るものである。
2 認知時における適切な対応
(1) 市町村への通報
法第7条第1項においては、養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかにこれを市町村に通報しなければならないとしており、同条第2項においては、第1項に定める場合のほか、養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかにこれを市町村に通報するよう努めなければならないとしている。また、法第21条第2項においては、養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかにこれを市町村に通報しなければならないとしており、同条第3項においては、同条第1項及び第2項に定める場合のほか、養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかにこれを市町村に通報するよう努めなければならないとしている。したがって、各署において、警察安全相談、高齢者を被害者とする事案等の捜査、急訴事案や保護の取扱い等の各種警察活動に際し、高齢者虐待事案を認知した場合には、速やかに市町村へ通報すること。
(2) 通報対象となる事案
原則として、県警察が認知した全ての高齢者虐待事案が対象となる。
なお、次のような場合にも通報対象となるので、留意すること。
ア 虐待行為があったことの明確な裏付けができない場合
通報は、「高齢者虐待を受けたと思われる高齢者」について行うものであるので、虐待行為を裏付ける具体的な証拠がない場合であっても、被害高齢者や関係者の申出内容等から判断して、高齢者虐待が行われた可能性があると判断できる事案であれば、通報すること。
イ 加害者が養護者に該当するか判明しない場合
加害者を特定していても、当該加害者が養護者に当たるかどうかの判断が困難な事案については、加害者が被害高齢者と同居している場合には、高齢者虐待事案とみなして市町村に通報すること。
また、加害者が被害高齢者の親族である場合には、同居していない親族や同居している孫など被害高齢者の養護者に当たらなくても、高齢者虐待事案の早期発見及び早期対応の観点から、通報すること。
ウ 認知症に起因する被害妄想が疑われる場合
認知症が疑われる高齢者から虐待を受けているとの申出があった場合、県警察において被害高齢者が認知症であるか否かの判断が困難であること及び仮に認知症に起因する被害妄想による申出であっても市町村において福祉的な観点から必要な対応を行う場合もあることから、通報すること。
エ 配偶者からの暴力事案に該当する場合
虐待行為が被害高齢者の配偶者から行われた場合は、高齢者虐待事案であるとともに、配偶者からの暴力事案にも該当する。このような事案については、高齢者虐待事案として市町村に通報するとともに、配偶者からの暴力事案としての対応も行うこと。
なお、被害高齢者の保護が必要な場合に、市町村と配偶者暴力相談支援センターのいずれに引き継ぐかは、被害高齢者の年齢、要望等を踏まえて判断すること。
(3) 通報要領
署で認知した高齢者虐待事案については、生活安全課(係)において集約し、市町村に通報すること。通報先部署名、電話番号等はあらかじめ市町村に確認しておくとともに、休日及び夜間においても確実に連絡が取れるよう申し入れておくこと。
通報は、原則として、通報票により速やかに行うものとし、急を要する事案については、電話により通報するとともに、事後確実に通報票を送付すること。
通報時点で判明していない事項については「不詳」と記載すれば足りることから、調査に時間を費やし通報が遅れることのないようにすること。
通報した事案については、措置結果を連絡するよう市町村に依頼しておくとともに、通報後1か月を経過しても当該市町村から措置結果の連絡がない場合には、署から市町村に対して状況を確認すること。
(4) 通報以外の措置
高齢者虐待事案は、市町村への通報と並行して、事件化の可否及び要否、事案の緊急性や重大性を迅速に検討した上で、事件化すべき事案は関係機関の告発等を待つことなく、可能な限り速やかに必要な捜査を行い、捜査を契機として高齢者を救出保護すること。また、刑罰法令に抵触しない場合であっても、事案に応じて加害者へ指導や警告を行うなど、県警察として必要な措置を講じること。
3 署長に対する援助依頼への対応
(1) 制度の趣旨
法第12条第1項においては、市町村長は、高齢者の住所又は居所への立入調査に際し、必要があると認めるときは署長への援助を求めることができることとしているが、この署長の行う援助とは、市町村長による職務執行が円滑に実施できるようにする目的で、警察が、警察法(昭和29年法律第162号)、警察官職務執行法(昭和23年法律第136号)等の法律により与えられている任務と権限に基づいて行う措置である。したがって、警察官は、市町村長の権限行使の補助者ではなく、調査業務そのものの補助を行うことは適当ではない。
(2) 援助の手続
援助に当たっては、緊急の場合を除き、市町村長から高齢者虐待事案に係る援助依頼書(様式第2号)の提出を求めた上で、速やかに市町村長と事前協議を行い、対応の方法、役割分担等を検討した上で、事案に応じた適切な援助に努めること。
この事前協議の窓口は、生活安全課(係)とするが、実際の援助を行う要員については、必要に応じて他課(係)連携して対応すること。
(3) 援助の要件
警察が援助を行うこととされているのは、高齢者の生命又は身体の安全を確保するため必要と認めるとき(法第12条第3項)であるので、援助の依頼があった場合には、市町村が行う法第9条第1項に規定する事実確認のための措置等の状況を確認し、その内容によって援助を行うか否かを判断すること。
なお、援助依頼を受理したが、援助を行わないものとした場合には、その理由や経緯等を記録しておくこと。
4 その他
(1) 関係課(係)の連携
高齢者虐待事案への対応に当たっては、生活安全、刑事、地域、被害者支援担当等の関係課(係)で連携を密にすること。
(2) 関係機関等との連携
市町村をはじめ、福島県関係部局、関係機関・団体、民生委員等との連携を強化し、被害高齢者の立場に立った的確な措置が講じられるようにすること。
また、市町村又は地域包括支援センターから、高齢者虐待防止ネットワーク等への参加依頼がなされた場合は、積極的に応じること。
(3) 指導及び教養の徹底
高齢者虐待事案への適切な対応を推進するため、法の内容等について、所属職員に対する指導及び教養を行うこと。
(4) 通報票の記載要領について
別紙のとおり
様式第1号
略
様式第2号
略
別紙
略