○警察署と学校等の間における不審者情報等の共有に係る留意事項について(依命通達)

令和6年3月29日

達(少対)第206号

[原議保存期間 5年(令和11年3月31日まで)]

[有効期間 令和11年3月31日まで]

対号 令和6年3月29日付け達(少対)第204号「通学路等におけるこどもの安全確保のための推進について」

みだしのことについては、次のとおりとするので、効果的な推進に努められたい。

なお、警察署と学校の間における不審者情報等の共有を行う学校の範囲の拡大について(令和元年6月20日付け達(少、生企)第239号)は、廃止する。

1 趣旨

警察署(以下「署」という。)と学校との不審者情報等(こどもの犯罪被害や不審者に関する情報をいう。以下同じ。)の共有については、「登下校防犯プラン」(平成30年6月22日登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議決定)を受け運用してきたところであるが、通学路等におけるこどもの安全を確保するためには、引き続き署と学校の間で連絡担当者を決めて不審者情報等を直接共有し、プライバシーに配慮しつつ粒度の高い情報を共有することが重要であることから、下記の運用上の留意事項に配意し、適切な情報共有を図ろうとするものである。

2 不審者情報等の情報共有を行う学校の範囲

公立、国立及び私立の小学校・中学校、義務教育学校(いわゆる小中一貫校をいう。)、中等教育学校の前期課程(いわゆる中高一貫校の中学校部分)及び特別支援学校(小学部及び中学部)

3 署の不審者情報等連絡担当者の指定

(1) 担当者の指定

ア 署長は、学校との間で不審者情報等について情報共有を目的とした連絡を担当する署の不審者情報等連絡担当者(以下「警察担当者」という。)を指定すること。

イ 警察担当者は、原則、署の生活安全課(刑事生活安全課)の警部補以上の階級にある者を指定するものとする。

(2) 代行者の指定

宿日直勤務の時間帯には、原則、宿直責任者を警察担当者の代行者として指定すること。

4 不審者情報等の共有体制の確立

警察担当者は、署の管轄区域に所在する学校に対し、警察担当者の職名、氏名、連絡先電話番号等を通知するとともに、学校から、それぞれの学校の不審者情報等連絡担当者(以下「学校担当者」という。)の職名、氏名、連絡先電話番号等の提供を受ける。

その際、学校担当者から夜間、祝日及び休日において緊急の連絡を要する場合の連絡先についても、併せて提供を受けるものとする。

5 不審者情報等の共有の方法

警察担当者と学校担当者の連絡方法は、電話又は電子メールを活用して行うものとする。

6 共有を行う不審者情報等

(1) 署が認知した不審者情報等の共有

ア きめ細かい情報の共有

(ア) 署において認知し、広く地域住民等に提供した不審者情報等に含めることとしなかった行為者の言動、特徴等の防犯対策を講じる上で参考となる情報については、学校担当者との共有を図ること。

(イ) 署において認知し、広く地域住民等に提供しない不審者情報等であっても、一定の地域において防犯対策を講じる上で参考となる情報については、学校担当者との共有を図ること。

イ 緊急性が高い場合の情報の共有

警察担当者は、連続発生のある重要凶悪事案や持凶器被疑者の逃走事案等、通学路に重大な危険が及ぶおそれのある事案が発生し、緊急の措置を必要とする場合には、関係の学校の学校担当者に対して、認知後速やかに当該時点に係る情報を提供するとともに、執るべき措置について助言指導するものとする。

更に事態の進展に応じて得られる様々な情報についても、こどもや学校関係者等の安全を確保する観点から適時、適切に情報を提供するものとする。

ウ 危険箇所等に関する情報の共有

署において認知した不審者情報等で、学校担当者との危険箇所等の共有という観点から以下の情報を共有する。

(ア) 発生が多発している場所における見守る目や環境整備の状況から、学校が点検を必要とする危険箇所の情報

(イ) 同一手口や同種対象の事案が連続発生した場合に、警戒を要する時間帯や場所に関する情報

(2) 学校担当者が認知した不審者情報等の共有

不審者情報等が潜在化することのないよう、学校担当者が情報を認知した場合に、速やかに警察担当者に連絡が行われるよう、学校担当者と連携を図ること。

7 留意事項

(1) 学校担当者への連絡

学校担当者への連絡について、警察担当者のみが行うこととすると、緊急性の高い事案、複数の学校等への連絡を要する事案又は警察担当者の勤務実態によっては、迅速かつ適切な情報共有が行われないことが想定されるところである。

学校担当者との連絡に際しては、迅速かつ適切な情報共有が行えるように状況に応じた柔軟な対応に努めることに留意すること。

(2) プライバシー等への配慮

学校担当者との情報の共有に当たっては、被害関係者のプライバシー及び警察活動への影響に十分配慮するものとする。

(3) 警察、学校等が情報提供する防犯メール等の登録等の促進

警察担当者は学校担当者に対して、警察が不審者情報等を提供しているツールであるPOLICEアプリふくしまのインストール、POLICEメールふくしまの登録などを推奨するとともに、管轄区域内の自治体及び教育委員会が、電子メール、SNS等を用いて不審者情報等の提供を行っている場合は、警察担当者も同情報の受信に努めること。

(4) 警察担当者の変更時の措置

人事異動等により警察担当者に変更が生じたときは、速やかに学校担当者に対して変更の通知をすること。

(5) 報告

不審者情報等について学校と情報共有を行った場合は、「学校・警察児童生徒健全育成対策推進制度連絡票」等により、その都度、報告すること。

8 その他

文部科学省においても別添1「警察との連携による不審者情報等の共有について(依頼)」及び別添2「登下校時における児童生徒等の安全確保及び警察との連携による不審者情報等の共有等について(事務連絡)(参考及び別添省略)を各都道府県・指定都市教育委員会等に通知しているので参考とすること。

別添1

平成30年8月2日

事務連絡

警察との連携による不審者情報等の共有について(依頼)

警察との連携による不審者情報等の共有については,これまでも「登下校時における幼児児童生徒の安全確保について」(平成17年12月6日17文科ス第333号)及び「登下校時における幼児児童生徒の安全確保について」(平成20年5月7日20ス学健第5号)等において,警察と連携を取りながら、学校と保護者,地域の関係団体等との間で,情報を迅速かつ確実に共有するため,取組を進めるようお願いしてきたところです。

本年5月,新潟市で発生した下校中の児童が殺害されるという痛ましい事件を受け,「「登下校防犯プラン」について」(平成30年6月22日30初健食第12号)で通知したとおり,登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議において「登下校防犯プラン」が取りまとめられました。

本プランの「3.不審者情報等の共有及び迅速な対応」では,「(1)警察・教育委員会・学校間の情報共有」の①において,「従来の教育委員会経由でのやり取りに加え,警察署と学校の間で連絡担当者を決めて直接共有することにより,プライバシーに配慮しつつ,より粒度の高い情報の共有を可能とし,具体的な対応に資するようにする。」こととされています。

上記を踏まえ,この度,警察庁から国公私立小学校,特別支援学校小学部及び義務教育学校(以下,小学校等という。)と管轄する警察署との間において,連絡窓口となる連絡先の担当者の共有について依頼がありました。

つきましては,後日,小学校等の所在地を管轄する警察署から,警察担当者の連絡先が提示されますので,各小学校等におかれても,連絡担当者を決めて警察と共有していただき,不審者情報等を迅速かつ確実に共有する体制の構築を推進していただくようお願いします。

また,小学校等はもとより,小学校等以外の学校及び学校設置者におかれても,下記の事項に留意して,引き続き不審者情報等を迅速かつ確実に共有する取組を進めていただくようお願いします。

なお,警察と個別の学校との間における連絡担当者の共有については,その実施状況や効果等を踏まえ,他の学校種についても警察庁と協議して順次検討してまいります。

また,別添のとおり,警察庁から都道府県警察に対して同様に通知されていることを申し添えます。

各都道府県・指定都市教育委員会におかれては,所管の学校,各種学校及び域内の市町村教育委員会に対して,各都道府県私立学校主管課におかれては,所轄の学校法人,学校及び各種学校に対して,各国公立大学担当課におかれては附属学校に対して,構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の学校設置会社担当課におかれては所轄の学校設置会社等及び学校に対して,厚生労働省の専修学校主管課におかれては,所管の専修学校に対して,都道府県認定こども園主管課においては,域内の市区町村認定こども園主管課及び所轄の認定こども園に対して,周知されるようお願いします。

1 学校設置者や学校等においては,警察から不審者情報等が提供された場合の共有体制について再度確認し,迅速かつ確実に共有されるよう努めること。

2 学校等において,児童生徒や保護者等から不審者に関する情報を認知した場合は,警察及び教育委員会等と情報共有を図ること。不審者情報等は,その内容から緊急性が高いと判断される場合は,直ちに警察へ通報すること。

3 市町村教育委員会は,不審者情報等の緊急性及び内容に応じて,域内の学校や都道府県教育委員会と情報共有を図ること。都道府県教育委員会は,共有された内容等から,他の学校設置者等に共有する必要があると判断される場合は,私立学校主管課,国立大学法人等の学校設置者に対して情報提供を行うこと。

4 警察等が不審者情報等を提供するツール(防犯メール、SNS等)を活用して情報収集に努めるとともに,教職員及び保護者等に,警察等が不審者情報等を提供するツールの活用を促すこと。

5 不審者情報等を認知した場合,特に被害者がいる事案については,情報を取り扱うに当たり,被害関係者のプライバシーに十分配慮すること。

6 小学校等の連絡担当者は,連続発生の恐れのある重要凶悪事案や持凶器被疑者の逃走事案等,通学路に重大な危険が及ぶおそれのある事案が発生し,緊急の措置を必要とする場合は,警察の連絡担当者から夜間及び休日等に情報提供がある場合があることに留意すること。

別添2

令和元年6月11日

事務連絡

登下校時における児童生徒等の安全確保及び警察との連携による不審者情報等の共有等について(事務連絡)

登下校中における児童生徒等の安全確保については、これまでも格段の御尽力をいただいているところですが、川崎市において、令和元年5月28日に登校中の児童等が殺傷されるという痛ましい事件が発生しました。

現在、政府においては、「登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議」(5月29日)における総理大臣指示に基づき、登下校時における児童生徒等の安全確保に向けた取組を進めているところですが、今般の事件を受けて、通学路の安全確保の徹底、警察との連携した不審者情報の共有等について、改めて各自治体においても周知いたします。つきましては、下記の点に御留意いただきますようお願いします。

○登下校時における児童生徒等の安全確保

学校安全計画は、学校保健安全法第27条により、全ての学校で策定・実施が義務付けられているものです。文部科学省としては、「学校安全資料「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育」(平成31年3月改訂2版)を作成、全ての学校に配布しているところであり、その中で、児童生徒等の通学時の安全を確保するため、(1)通学路の設定と安全確保、(2)安全な通学方法の策定・実施、(3)地域全体で見守る体制の整備等の重要性・必要性を示しているところです。(第3章第2節3(1)~(3)通学の安全管理)。

また、学校保健安全法第29条により、学校は「危険等発生時対処要領(危機管理マニュアル)」の作成が義務付けられておりますが、文部科学省では、「学校の危機管理マニュアル作成の手引」(平成30年2月)において登下校時の不審者事案への対応を示しているところです(第3章3―画像登下校時の緊急事態(不審者事案)への対応)。

各学校においては、上記資料を参考にしていただきながら、各学校で策定・作成した「学校安全計画」「危機管理マニュアル」を基に、児童生徒等の命を脅かす事件・事故の発生防止に努めるとともに、教職員に対し事件・事故発生時における対応の周知徹底等を行い、引き続き学校の安全確保に万全を期すようお願いいたします。また、「学校安全計画」「危機管理マニュアル」については、適宜見直し、必要に応じて改定していただくようお願いします。

○警察と中学校との間における不審者情報等の共有体制の構築について

本件については、昨年6月22日の「登下校防犯プラン」(別添1)の策定を受けた平成30年8月2日付事務連絡により、国公私立小学校、特別支援学校小学部及び義務教育学校と管轄する警察署との間において、お互いに連絡担当者を設定していただいているところですが、今般の事件を受けた総理指示に基づいて、その範囲を変更し、国公私立中学校、特別支援学校中学部、中等教育学校の前期課程についても、お互いに連絡担当者を設定することとなりましたので、学校が警察署と連携し、不審者情報等を迅速かつ確実に共有する体制の構築を推進していただくようお願いいたします。

また、別添2のとおり、警察庁から都道府県警察に対して同様に通達されていることを申し添えます。

○登下校時における防犯対策に関する「地域の連携の場」への私立学校・国立学校等の参画

各地域においては、昨年6月22日に策定された「登下校防犯プラン」に基づき、学校の安全確保に向けた協議会等(学校警察連絡協議会、通学路の安全確保連絡協議会、地域学校安全委員会等)を活用するなどにより、警察、教育委員会・学校、自治体の三者に加え、地域の関係者が集まる「地域の連携の場」を構築していただいているところですが、公立学校はもとより、私立学校、国立学校においても積極的に連携体制に参画し、登下校時における防犯対策を推進していただくようお願いします。

都道府県・指定都市教育委員会におかれては、所管の学校(専修学校を含む。以下同じ。)及び域内の市町村教育委員会に対して、都道府県私立学校主管課におかれては、所轄の学校法人及び学校に対し、国公立大学担当課におかれては所管の学校に対し、構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の学校設置会社担当課におかれては所轄の学校設置会社及び学校に対し、厚生労働省の専修学校主管課におかれては、所管の専修学校に対して、各都道府県・指定都市・中核市認定こども園主管課におかれては、域内の市区町村認定こども園主管課及び所轄の認定こども園に対して、周知されるようお願いします。

【参考】

1 「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育(主な記載箇所:第3章第2節3)

http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1416715.htm

2 学校の危機管理マニュアル作成の手引(主な記載箇所:第3章3―画像)

http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1401870.htm

3 登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kodomo_anzenkakuho/

【別添1】

登下校防犯プラン(平成30年6月22日)

【別添2】

警察署と学校等の間における不審者情報等の共有を行う学校の範囲の変更について(通達)(令和元年6月11日)

警察署と学校等の間における不審者情報等の共有に係る留意事項について(依命通達)

令和6年3月29日 達(少対)第206号

(令和6年3月29日施行)

体系情報
生活安全部
沿革情報
令和6年3月29日 達(少対)第206号