○刑事訴訟法第百八十九条第一項および第百九十九条第二項の規定に基づく司法警察員等の指定に関する規則及び犯罪捜査規範の一部を改正する規則の制定について(通達)

令和6年2月1日

達(刑総)第19号

[原議保存期間 30年(令和36年3月31日まで)]

[有効期間 令和36年3月31日まで]

みだしのことについては、警察庁から通達されたことから、職員に周知の上、運用上誤りのないようにされたい。

1 趣旨

刑事訴訟法第百八十九条第一項および第百九十九条第二項の規定に基づく司法警察員等の指定に関する規則及び犯罪捜査規範の一部を改正する規則(令和6年国家公安員委会規則第1号)が公布され、令和6年2月15日から施行されることとなった。これに関し、改正の概要について通達されたことから、本通達を発出し、適正な運用を図るものである。

2 警察庁通達

別添のとおり

別添

令和6年1月17日

警察庁丙刑企発第1号

警察庁丙企画発第6号

刑事訴訟法第百八十九条第一項および第百九十九条第二項の規定に基づく司法警察員等の指定に関する規則及び犯罪捜査規範の一部を改正する規則(令和6年国家公安委員会規則第1号)が、本日、別添のとおり公布されたところ、改正の概要については下記のとおりであるので、事務処理上遺漏のないようにされたい。

第1 刑事訴訟法第百八十九条第一項および第百九十九条第二項の規定に基づく司法警察員等の指定に関する規則(昭和29年国家公安委員会規則第5号。以下「指定規則」という。)の一部改正の概要

刑事訴訟法等の一部を改正する法律(令和5年法律第28号。以下「改正法」という。)により、被害者等の氏名等の情報を保護するための刑事法の整備が行われ、改正法による改正後の刑事訴訟法(昭和23年法律第131号。以下「新刑訴法」という。)第201条の2第1項において、逮捕状の請求と同時に、被害者等の個人特定事項(氏名及び住所その他の個人を特定させることとなる事項をいう。以下同じ。)の記載がない逮捕状に代わるものの交付を請求することができることとされた。また、新刑訴法第199条第2項において、逮捕状を請求することができる警察官たる司法警察員と同様に、逮捕状に代わるものの交付を請求することができる警察官たる司法警察員についても、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限ることとされた。

これを踏まえ、指定規則第2条等について、警察庁及び管区警察局に勤務する警察官のうち、逮捕状に代わるものの交付を請求することができる司法警察員を指定するなどの所要の改正を行うこととした。

第2 犯罪捜査規範(昭和32年国家公安委員会規則第2号。以下「規範」という。)の一部改正の概要

1 秘密の保持等の対象の拡大等(規範第9条第2項及び第11条第2項関係)

個人特定事項を含めた個人に係る情報の保護の観点から、書類の作成等の捜査を行うに当たって名誉又は信用を害することのないように注意しなければならない者について、その対象を拡大するとともに(第9条第2項)、当該者に後難が及ぶおそれがあると認められる場合については、保護のための措置を講じなければならないこととした(第11条第2項)。

2 逮捕状に代わるものの返還(規範第103条第2項関係)

刑事訴訟規則等の一部を改正する規則(令和5年最高裁判所規則第10号)による改正後の刑事訴訟規則(昭和23年最高裁判所規則第32号。以下「新刑訴規則」という。)第157条の2第2項においては、逮捕状の有効期間内であっても、逮捕の必要がなくなったときは、直ちに逮捕状に代わるものを裁判官に返還しなければならない旨を逮捕状に代わるものに記載しなければならない旨規定された。

これを踏まえ、逮捕の必要がないと認められるに至った場合において、逮捕状に代わるものの交付があるときの当該逮捕状に代わるものの返還について規定することとした。

3 逮捕状に代わるものの交付の請求(規範第119条関係)

新刑訴法第199条第2項においては、逮捕状の請求と同様に、逮捕状に代わるものの交付の請求をすることができる警察官たる司法警察員についても、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限ることとなったところ、逮捕状に代わるものの交付の請求に当たり、二次被害・再被害の防止のための措置が確実に執られるよう一定の階級以上の司法警察員が責任をもって当たることとした上で、警察本部長又は警察署長に報告しその指揮を受ける必要がある。

これを踏まえ、逮捕状に代わるものの交付の請求に当たって必要となる指揮等について規定することとした。

4 逮捕状に代わるものの交付の請求に必要な疎明資料(規範第122条の2関係)

新刑訴規則第143条第2項においては、逮捕状に代わるものの交付の請求をする際に、同時に行われる逮捕状の請求をするに当たって必要な疎明資料に加え、当該請求に係る者が新刑訴法第201条の2第1項第1号又は第2号に掲げる者のいずれかに該当することを認めるべき資料も必要である旨規定された。

これを踏まえ、逮捕状に代わるものの交付の請求に必要な疎明資料について規定することとした。

5 逮捕状に代わるものの交付の請求のための出頭(規範第123条第1項関係)

逮捕状の請求に当たっては、事件の詳細を把握している者が、裁判官から説明を求められた場合に適切に対応する必要があることから、なるべくその事件の捜査に当たった警察官が裁判官のもとに出頭しなければならないこととしているところ、逮捕状に代わるものの交付の請求に当たっても、裁判官から説明を求められた場合に適切に対応する必要があることから、請求のための出頭について逮捕状の請求の場合と同様に行う旨規定することとした。

6 逮捕状に代わるものの記載の変更の請求(規範第124条関係)

逮捕状の発付後、逮捕前において、引致場所その他の記載の変更を必要とする理由が生じたときは、書面により逮捕状の記載の変更を請求することなどとしているところ、逮捕状の発付と同時に逮捕状に代わるものの交付がある場合においても、同様に行う旨規定することとした。

7 令状等請求簿(規範第125条及び別記様式第13号関係)

逮捕状を請求したときは、令状請求簿により請求の手続、発付後の状況等を明らかにすることとしているところ、逮捕状に代わるものについても、逮捕状と同様に、記録として保管及び管理する必要があることから、逮捕状に代わるものについても記載することができるよう令状請求簿の名称を令状等請求簿に改めるなどの規定を整備したほか、その様式についても改めることとした。

8 逮捕の際の注意事項(規範第126条第6項関係)

逮捕状により逮捕するに当たっては、被害者等の二次被害・再被害防止のため、個人特定事項の記載がない逮捕状に代わるものの呈示等を行うことで、被害者等の氏名等の情報を保護する必要があるところ、当該呈示の際に被疑者に個人特定事項が伝わらないように注意すべき旨を規定することとした。

9 鑑定嘱託書の記載項目の削除(規範第188条第1項第4号関係)

被害者に係る情報を保護するため、鑑定嘱託を行う際の実情等も踏まえ、規範第188条第1項第4号により鑑定嘱託書への記載が義務付けられていた「被害者の住居、氏名、年齢及び性別」については、記載項目から削除することとした。

10 鑑定留置状に代わるものの請求(規範第189条関係)

鑑定留置状の請求に当たっては、新刑訴法第224条第3項において、同条第1項の請求について同法第207条の2第1項の規定を読み替えて準用することにより、鑑定留置状に代わるものの交付の請求が認められることとなったところ、適切に当該鑑定留置状に代わるものの交付の請求が行われるよう規定を整備した。

11 勾引状に代わるもの等の返還(規範第259条第2項関係)

新刑訴規則第70条の2及び第131条の2においては、勾引状、勾留状又は鑑定留置状の有効期間が経過した後は執行に着手することができず、勾引状に代わるもの、勾留状に代わるもの又は鑑定留置状に代わるものを返還しなければならない旨等を当該勾引状に代わるもの、当該勾留状に代わるもの又は当該鑑定留置状に代わるものに記載しなければならないこととされた。

これを踏まえ、検察官から指揮を受け、執行を受けるべき者に勾引状に代わるもの、勾留状に代わるもの又は鑑定留置状に代わるものの交付があったにもかかわらず、勾引状、勾留状又は鑑定留置状の有効期間が経過したときは、これらを検察官に返還する必要があることから、その旨規定することとした。

12 保釈等の取消し等の場合の準用(規範第264条関係)

新刑訴法第271条の8第5項においては、勾留状に代わるものが交付されている場合に、保釈又は勾留の執行停止を取り消す決定等があったときには、被告人に勾留状に代わるもの等を示して刑事収容施設に収容する旨が規定された。

これを踏まえ、規範第257条等の規定を準用する場合として、新刑訴法第98条のほか、同法第271条の8第5項の規定により保釈又は勾留の執行停止を取り消す決定等があり収容の指揮を受けた場合を追加することとした。

第3 施行期日

改正法附則第1条第4号に掲げる規定の施行の日(令和6年2月15日)

[別添]

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刑事訴訟法第百八十九条第一項および第百九十九条第二項の規定に基づく司法警察員等の指定に関…

令和6年2月1日 達(刑総)第19号

(令和6年2月15日施行)

体系情報
刑事部
沿革情報
令和6年2月1日 達(刑総)第19号