○高校生を対象とした大麻の乱用防止に関する広報啓発実施上の重点について(依命通達)

令和6年3月29日

達(少対、組対)第209号

[原議保存期間 3年(令和9年3月31日まで)]

[有効期間 令和9年3月31日まで]

みだしのことについては、次のとおりとするので、効果的な取組を推進されたい。

1 趣旨

全国における令和5年中の少年の大麻事犯検挙人員は1,222人(前年比34.0%増)となり、過去最多となったほか、20歳以上の者を含む検挙人員全体の約2割を少年が占め、30歳未満では7割を超えるなど若年層における大麻の乱用拡大は憂慮すべき状況にある。

若年層を中心とした大麻の乱用防止に関する広報啓発については、大麻の乱用防止に関する広報啓発活動実施上の留意事項について(令和5年11月21日付け達(組対、少対)第415号)に基づき実施しているところであるが、有職少年及び無職少年が少年の検挙人員全体の約7割を占める一方、年齢別にみると、16歳を境に検挙人員が急激に増加し、16歳及び17歳では高校生が約4割を占めている実態がある。

こうした状況から、少年の大麻乱用防止対策を図るためには、高校入学後、早い段階での広報啓発の実施が有効と考えられるところ、高校生を対象とした広報啓発の実施に当たっては、学校等の教育機関と連携の上、特に高校一年生をターゲットに、効果的な取組を推進するものである。

2 時期を捉えた効果的な広報啓発の実施

高校一年生は、進学に伴う行動範囲の拡大、新たな交友関係の構築等、生活環境の変化が大きいことから、進学後早い段階での薬物乱用防止教室の開催等、効果的な広報啓発の実施時期について、学校側と十分に検討すること。

3 大麻乱用が招く影響の具体的な教示

大麻の違法性、有害性に係る基礎知識はもとより、大麻乱用が招く様々な影響について過去の検挙事例等を踏まえて教示すること。

具体的には、家族の心身への負担増加等の家族の問題、友人、知人とのトラブルや友人、知人の喪失による孤立等の対人関係の問題、学則に基づく退学等の処分や就職の取り消しなどの学校生活の問題等について教示し、大麻乱用が自身だけでなく、家族や友人、知人をも巻き込む悲惨な将来を招くことについて理解させること。

また、令和5年12月に公布された大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律(令和5年法律第84号)において、大麻等の施用罪の適用等に係る規定が整備され、令和6年中の施行が見込まれていることについて確実に教示すること。

4 大麻乱用を「自分ごと」として捉えるための取組の推進

全国において、令和5年10月から同年11月までの間に大麻取締法違反(単純所持)で検挙された者のうち、大麻の初回使用年齢が20歳未満の年齢層では、初めて大麻を使用した経緯は「誘われて」が約8割、動機は「好奇心・興味本位」及び「その場の雰囲気」が併せて約8割を占めている。

少年が身近な環境に影響を受け安易な考えの下、享楽的に大麻を使用する傾向がうかがわれるところ、広報啓発の対象者一人ひとりが少年の大麻乱用を「自分ごと」として捉え、自ら考えて行動できるよう促すことが重要である。

薬物乱用防止教室を始めとする各種広報啓発の実施に当たっては、友人、知人から大麻乱用の誘いを受けた場合や、友人、知人の大麻乱用を見聞きした場合等、具体的な場面設定、課題提供に基づくロールプレイ方式による実践訓練や少人数でのグループ討議を行うなどして、対象者が適切な対処要領等を習得できるよう努めるとともに自身や友人、知人が大麻乱用に係る問題等に接した場合の適切な通報窓口、相談窓口についても教示すること。

また、対象者や教職員等の率直な感想、意見等を把握するとともにそのニーズを踏まえた講義内容等のブラッシュアップを図ること。

5 各種広報媒体の効果的な活用

(1) 対象者の年齢等に応じた広報資料の活用

薬物乱用防止教室を開催する際には、対象者の年齢や講話内容に応じ、警察庁ウェブサイト「大麻対策のためのポータルサイト」や、文部科学省ウェブサイト「薬物乱用防止教育」等に公開されている各種広報啓発資料を有効活用するなど、対象者への訴求力を念頭に置いた講義を実施すること。

(2) SNS等の多用なデジタルツールの活用

少年の大麻乱用拡大の要因の一つとして、SNSを通じて大麻を入手できる環境が身近にあることが挙げられることから、広報啓発の実施に当たっては、少年の目に触れやすいウェブサイトやSNS等、多様なデジタルツールを効果的に活用すること。

6 関係部門との情報共有及び連携

前記2から5の取組の推進に当たっては、刑事部門と情報共有を図るとともに合同での広報啓発を実施するなど連携を図ること。

7 参考

学校においては、大麻のみならず、危険ドラッグや市販薬等の乱用防止も含め、児童生徒を取り巻く薬物乱用の現状を踏まえた薬物乱用防止教室の開催に向けて、関係機関と連携して取り組んでいることを踏まえて推進すること。

8 報告

実施結果については、「犯罪抑止活動等報告管理システム」により、その都度、報告すること。

高校生を対象とした大麻の乱用防止に関する広報啓発実施上の重点について(依命通達)

令和6年3月29日 達(少対、組対)第209号

(令和6年3月29日施行)

体系情報
生活安全部
沿革情報
令和6年3月29日 達(少対、組対)第209号