○融雪出水期における防災態勢の強化について(依命通達)
令和6年3月19日
達(災対)第163号
[原議保存期間 1年(令和7年3月31日まで)]
[有効期間 令和7年3月31日まで]
融雪出水期における各種災害の発生が懸念されることを踏まえ、本年3月8日、中央防災会議会長(内閣総理大臣)から関係機関に対し、別添のとおり、「融雪出水期における防災態勢の強化について」をもって協力要請がなされたところである。
本県では、例年に比べて降積雪量は少ないが、落雪が原因と思料される凍死や除雪作業中の事故等による人的被害が発生している。
今後もしばらく降積雪が続くことから、降積雪期における防災態勢の強化等について(令和5年12月12日付け達(災対、地企、総指、交規)第438号)に基づく対策を引き続き徹底すること。
また、各署にあっては、今後、融雪出水期を迎え、気温上昇に伴う雪崩及び落雪の発生や、融雪に伴う出水による河川の氾濫及び土砂災害の発生が懸念されるため、災害時における即応態勢を確立するとともに、関係機関等と連携しながら、融雪出水期に危険性を増すおそれのある危険箇所等の把握やパトロールのほか、事故防止の観点から地域住民への具体的な情報提供等を推進すること。
さらに、体制の確立に当たっては、緊急事態等における福島県警察の初動措置に関する訓令(平成28年県本部訓令第21号)等を踏まえて必要な対策に万全を期されたい。
令和6年3月8日
警察庁甲備収第36号
令和6年3月8日
中防災第7号
各指定行政機関の長 殿
中央防災会議会長
(内閣総理大臣)
岸田文雄
融雪出水期における防災態勢の強化について
貴殿におかれては、日頃から各般の施策を通じて災害対策の推進に御尽力いただいているところであり、感謝を申し上げる。
今冬も昨冬と同等、ところによっては昨冬を超える記録的な降雪量を観測した地域があるなか、除雪作業中の事故等により、多くの人的被害が発生している。
今冬の雪害に対する防災態勢の強化については、既に「降積雪期における防災態勢の強化等について」(令和5年11月20日付け中央防災会議会長(内閣総理大臣)通知)をもって通知したところであるが、今後もしばらく降積雪期が続くことから、除雪作業中の事故防止のため、改めて注意喚起の取組を進めるなど、引き続き警戒体制を確保し、人命を第一とした対策を推進していただきたい。
また、今後、融雪出水期を迎えるところ、気温上昇に伴う雪崩及び落雪の発生や、融雪に伴う出水による河川の氾濫、土砂災害等の発生が懸念されることから、関係機関と緊密な連携の下、特に下記の点に留意して防災態勢の一層の強化を図られたい。加えて、令和6年能登半島地震で揺れが大きかった地域では、地盤の緩みや河道閉塞等が発生していることから、土砂災害や洪水が発生しやすいと考えられるため、その点御留意いただきたい。
なお、上記内容を含め、各市町村の融雪出水期を含めた対応の理解を深めるため、平成31年1月発行(令和5年11月改訂)の「市町村のための降雪対応の手引き」(内閣府作成)(※)について、改めて貴管下関係機関への周知をお願いしたい。
(※) https://www.bousai.go.jp/taisaku/chihogyoumukeizoku/index.html
記
1.気象等に関する情報の収集・伝達の徹底
雪崩危険箇所はもとより、雪崩危険箇所とされていない箇所においても、多量の積雪があった場合は、雪崩の危険性が高くなることから、積雪状況、なだれ注意報、融雪注意報等の気象に関する情報に注意を払い、現地における融雪の状況等の迅速な把握に努めること。気温上昇に伴う雪崩及び落雪の発生、融雪に伴う出水による河川の氾濫及び土砂災害の発生のおそれのある場合は、住民、地方公共団体、関係機関等に迅速に伝達し、注意喚起すること。特に、土砂災害については、前兆現象が発生する場合もあるため、そのことについて住民への周知に努めること。
また、必要に応じて、インターネット(ホームページ、SNS等)等により提供された情報を活用すること。住民等の安全確保のため、気象に関する情報や避難情報等の防災情報の伝達に当たっては、地域の実情や要配慮者に対する配慮の必要性を踏まえ、防災行政無線(戸別受信機を含む。)、緊急速報メールを始め、マスメディアとの連携や広報車、ホームページ、SNS、コミュニティFM、Lアラート(災害情報共有システム)、字幕・手話放送、多言語(やさしい日本語を含む。)での情報発信等の多様な情報伝達手段を組み合わせて住民等に早い段階から確実に伝達するとともに、雪崩や土砂災害等の災害時に孤立するおそれのある地域においては、当該地域の住民と双方向の情報連絡手段の確保について留意すること。
2.警戒避難体制の強化
災害の発生のおそれのある地域における危険箇所、避難路、指定緊急避難場所等の住民、特に一人暮らしの高齢者等要配慮者への周知徹底について市町村に協力するなど、関係機関との緊密な連携による警戒避難体制の強化を図ること。
また、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第61条の2の規定に基づき、市町村長は、必要であると認めるときは、指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は都道府県知事に対して、避難指示等に関する事項について助言を求めることができること及び助言を求められた都道府県知事は、その所掌事務に関し、必要な助言をすることについて、地方公共団体に対し周知すること。また、助言を求められた指定行政機関の長又は指定地方行政機関の長は、その所掌事務に関し、必要な助言をすること。
さらに、市町村が、避難指示等の発令に当たり、必要に応じて、気象防災アドバイザー等の専門家の技術的な助言等を活用できることを周知すること。
3.危険箇所等の巡視・点検の実施の徹底
雪崩、河川の氾濫及び土砂災害の発生するおそれのある危険箇所等については、既に危険防止の措置を講じた箇所も含めて、地形の特性、降積雪の状況、雪質の変化、過去の災害事例等を勘案して、安全確保に十分留意しつつ、重点的に巡視・点検を実施すること。
4.要配慮者等への配慮
平常時より、高齢者等の要配慮者宅や要配慮者が利用する施設等の関連施設の状況を把握するため、市町村、消防機関、福祉関係機関等が連携して行う巡回等の取組を支援すること。特に、融雪出水期に備え、適切に情報の収集や提供を行い、必要に応じ、消防機関、自主防災組織、近隣居住者等との連携協力により、避難誘導を行う体制等の整備・点検及び避難の際の輸送手段等の確保を促すなど、警戒避難体制の強化に努めること。
なお、引き続き「緊急安全確保」、「避難指示」及び「高齢者等避難」の避難情報の理解を深めるよう住民への周知に努めること。
5.災害即応態勢の確立
災害時は、職員の対応能力を大幅に上回る業務が発生するため、災害時において優先させる業務を絞り込み、その業務の優先順位を明確にし、役割分担を構築しておくこと。
雪崩、河川の氾濫及び土砂災害による被害が発生した場合には、被害規模に関する概括的情報等の被害情報を速やかに関係機関で共有し、連携して対応すること。また、救援等の要請及びその実施を迅速に行うため、あらかじめ関係機関との間で連絡先の確認及び点検を行うとともに、迅速かつ確実な各組織内部での情報共有・伝達方法の徹底や意思決定経路のルール等を定め周知徹底するなど、事前に所要の手続や要件等を確認しておくこと。
6.当面続く降積雪期に関する改めての留意事項
昨冬は、除雪作業中の事故等により、多くの人的被害が発生した。今後もしばらく降積雪期が続くことから、改めて「降積雪期における防災態勢の強化等について」の要請内容に留意すること。特に、雪下ろし等除雪作業中の事故防止に向け、作業時の家族・近所への声かけ、複数人での作業の実施、携帯電話の携行、命綱・ヘルメットの正しい着用、はしごの固定、除雪道具の点検・手入れ、ガス設備の損傷事故の防止、速やかな排雪、歩行型ロータリ除雪機による事故の防止等の留意点について、普及啓発・注意喚起の取組を促進すること。