○効果的な犯罪防止に向けた取組の推進について(通達)
令和6年4月26日
達(生企)第290号
[原議保存期間 5年(令和12年3月31日まで)]
[有効期間 令和12年3月31日まで]
みだしのことについて、次のとおり定め、令和6年5月1日から実施することとしたので、実効が上がるよう推進されたい。
なお、効果的な犯罪防止に向けた取組の推進について(平成31年4月5日付け達(生企)第146号)及び地域住民等に対する防犯情報の提供の推進について(平成31年4月5日付け達(生企、総、少、捜一、組対)第148号)は、廃止する。
記
1 趣旨
県内における令和5年の刑法犯認知件数については、最少となった令和3年から2年連続で増加となり、また、ストーカー事案、配偶者からの暴力事案、児童虐待等の人身安全関連事案が多く発生し、なりすまし詐欺の被害が依然として高水準で推移しているほか、サイバー空間における脅威は深刻な状況にあるなど、犯罪情勢は厳しい状況にある。
県警察としては、警戒の空白が生じることを防ぎ、県民に不安を与える身近な犯罪の抑止に向け、犯罪の取締り、街頭での警戒活動等の警察が主体となった取組と、地域住民や自治体等の関係機関・団体等と連携した取組をより一層推進する必要があることから、各地域における犯罪情勢を的確に分析した上で、その実情等に応じて、関係機関・団体等と協働した効果的な犯罪防止に向けた取組を推進するものである。
2 基本事項
(1) 的確な犯罪情勢分析の実施
効果的な犯罪防止に向けた取組を行うには、犯罪の発生状況とその背景にある課題を明らかにすることが不可欠であることから、各地域における犯罪情勢を的確に分析した上で、より効果的な取組を検討すること。
(2) 犯罪の起きにくい社会づくりの推進
犯罪の起きにくい社会を実現するためには、自治体をはじめとする関係機関、地区防犯協会、自治会等の地縁団体、地域住民、事業者等と重層的なネットワークを形成し、各地域、各分野等において防犯意識等を根付かせることにより、地域住民、関係機関・団体等による自主防犯活動を促進するとともに、「安全安心なまちづくり」への取組を活性化することが重要である。
このような犯罪の起きにくい社会を実現するための強固な基盤を作るため、関係機関・団体等との幅広い信頼関係の構築、多様な防犯ネットワークの整備・活性化等を持続的に講じていくこと。
(3) 自主防犯活動の促進
自主防犯活動を促進するため、これまでも関係機関・団体等と協働した各種取組を行っているところであるが、より効果的な促進を図るため、地域における自主防犯活動の実態を把握した上で、次のアからエまでに掲げる取組を重点的に推進すること。
なお、取組を行う上での視点として、地域住民や事業者自らがその地域の安全を守るといった自主的な防犯活動の取組が活性化し、浸透していくよう、地域住民等の意識と理解を深めていくこと。
ア 持続可能な自主防犯活動に向けた支援
かつて良好な治安を支えてきた社会の連帯感が希薄化しつつある中で、各地域の自主防犯活動を担ってきた高齢者層の更なる高齢化や次世代への承継が困難な状況も見られることを踏まえ、自主防犯活動が持続可能なものとなるよう、防犯ボランティア団体が抱える個々の課題の解決に向けた支援や活動に資する環境づくりに対する支援を行うこと。
特に、自主防犯活動に参加する人材の確保については、幅広い世代への働き掛けや、日常生活を通じた負担の少ない活動の提案など、多様な層や多様な活動への働き掛けに努めること。
イ 地域住民等に対する防犯情報の提供
地域社会の不安を解消し、自主防犯活動及び地域住民の個々の積極的な防犯行動を促進するため、地域住民等に対し、犯罪の発生状況や防犯対策を講ずる上で参考となる具体的な防犯情報を適時適切に提供すること。
なお、防犯情報の提供に当たっては、時宜を得た訴求力のある情報提供を行うとともに、提供する情報の内容や受け手の特性等に鑑み、多様な媒体を有効に用いるなどして、確実に受け手に必要な情報が届くよう努めること。
ウ 事業者等への防犯対策に関する助言・指導
犯罪の標的とされやすい銀行、コンビニエンスストア、貴金属店、商業施設、公共施設、インフラ等については、事業者、管理者、業界団体に対し、業種や業態の特色に応じた防犯情報を適時適切に提供するとともに、防犯訓練の実施、センサーやICタグ等の防犯機器の普及等に努めるなど、事業所等の防犯対策について助言・指導を行うこと。
また、自動車、自動販売機等の犯罪被害の対象となりやすい製品の製造を行う事業者団体等と犯罪の手口、実態等の情報を共有し、防犯性能の高い製品の開発を図るよう働き掛けるとともに、利用者に対して防犯性能の高い製品や部品の使用等について広報啓発を行うこと。
エ こども、女性及び高齢者を守るための施策
こどもの生命又は身体を害する犯罪、女性に対する性的な犯罪及び高齢者層を対象とした犯罪は、被害者等の心身や財産への影響はもちろんのこと、県民に対し治安について著しい不安を与えることに鑑み、この種の犯罪の未然防止を図るため、関係機関・団体等と地域の犯罪発生状況に関する情報や治安上の課題を共有し、課題の解決に向けた対策を講ずること。
(4) 犯罪防止に配慮した環境設計の推進
犯罪を防止するためには、道路、公園等の公共施設や設備等について、犯罪防止に配慮した環境設計を行うことが不可欠であることから、自治体をはじめとする関係機関・団体等と緊密な連携を図りつつ、推進すること。
(5) その他
ア 自治体との協働
自治体と協働する場合には、防犯に関する事務が、地方自治法(昭和22年法律第67号)や条例により、自治体の行政事務と認識されていることを踏まえた上で、自治体が主体的かつ継続的に取組を行うよう働き掛けるとともに、地域の防犯上の課題等を踏まえた所要の情報提供、支援等を行うよう努めること。
イ 関係部門との連携
犯罪の防止に向けた取組を行うに当たっては、働き掛ける対象が重複する他部門と共同した取組を推進するほか、新たな対策を必要とする犯罪手口の実態について捜査部門と情報共有するなど、関係部門と連携した取組に留意すること。
ウ 積極的な表彰・賞揚
犯罪の防止に向けた取組に係る効果的な施策については、積極的な表彰・賞揚の措置を検討すること。