○万引き防止に向けた総合的な対策の強化について(通達)
令和6年5月1日
達(生企、少対、地企、刑総)第300号
[原議保存期間 5年(令和12年3月31日まで)]
[有効期間 令和12年3月31日まで]
みだしのことについて、次のとおり定め、令和6年5月7日から実施することとしたので、実効が上がるよう努められたい。
なお、万引き防止に向けた総合的な対策の強化について(平成31年4月19日付け達(生企、少、地企、刑総)第158号)は、廃止する。
記
1 趣旨
県内における刑法犯認知件数に占める万引きの認知件数の割合は依然として高い水準にあるほか、検挙被疑者も少年から高齢者まで各層に広がり、換金や転売を目的として大量又は高額の商品を窃取する悪質な犯行も発生しているところである。
こうした情勢を踏まえ、引き続き、万引き防止に向けた総合的な対策を推進するものである。
2 推進事項
(1) 万引きをさせない社会づくりの推進
ア 万引きを許さない社会気運の醸成
万引きをめぐる深刻な状況の背景要因としては、「たかが万引き」という万引きを軽視する風潮があるが、こうした風潮を放置すれば、社会の規範意識の一層の低下を招き、万引きのみならず他の犯罪の発生を誘発するおそれもある。
万引きを軽視する風潮を払拭し、万引きを許さない社会気運を醸成するため、業界団体や関係機関等と連携を図り、万引き防止対策会議等の開催、万引き防止キャンペーン等の広報啓発活動、ウェブサイト、ソーシャルメディア等の各種広報媒体を活用した情報発信活動等を強力に推進すること。
イ 規範意識の向上を図る取組の推進
「たかが万引き」という意識を払拭し、規範意識の向上を図るために、少年に対しては非行防止教室等、成人・高齢者に対しては地域における各種会合等の機会を活用し、万引きの発生実態等に関する情報を発信するなどして「万引きは犯罪である」ことを周知徹底すること。
また、規範意識が醸成されるためには、社会集団への帰属意識や連帯感も重要な要素であることから、規範意識の向上を図る取組を推進するに当たっては、少年の居場所づくりや高齢者の孤立支援等を行う行政機関、ボランティア団体等とも連携を図ること。
ウ 店舗における防犯対策の高度化
万引きをさせない環境を構築するため、被害対象となり得る店舗に対し、商品の陳列場所又は陳列方法の改善、店内の死角やセルフレジ等における防犯カメラの増強、ICタグや警報装置等の万引き防止機器の導入、多言語による万引きを防止するための注意喚起文、警告文等の掲示、客に不審な行動がある場合の組織的対応、従業員による声掛けなど、防犯対策の高度化に資する必要な助言、指導を行うこと。
エ 情報共有の推進
万引きの被害対象となり得る店舗の防犯意識向上を図り、積極的な自主防犯対策を促すためには、業種や業態に応じたきめ細かな防犯情報の発信等が重要であることから、業種や業態ごとの防犯ネットワークの整備を積極的に働き掛け、時宜を得た情報提供に努めること。
(2) 万引きに対する適切な事件処理等の推進
ア 店舗等への届出の徹底に関する要請
「万引きは犯罪である」ことの周知徹底を図るとともに、適切な取締りを行うため、被害対象となり得る店舗や業界団体に対し、万引きを認知した場合における警察への届出の徹底を要請すること。
特に、少年による万引きについては、警察に届け出て、少年法(昭和23年法律第168号)等の規定により対処することが、少年の健全育成の観点からも重要であることについて理解を得るように努めること。
イ 万引きに対する迅速かつ厳正な対応
万引きを認知した場合には、迅速かつ厳正な事件処理に努めるとともに、検挙された被疑者が犯行を二度と繰り返さないよう、被疑者やその保護者等に対して、必要に応じて適切な措置を講じること。
また、少年による万引きで、届出がされない場合であっても、少年の更生を図る観点から、少年法第3条第1項第3号に規定する「ぐ犯少年」と認められる者については、必要な調査を行った上で、適切に対処すること。
ウ 万引きに係る捜査の一層の合理化
万引きの被害者が届出をためらう要因として、届出により従業員等が長時間業務を離れざるを得なくなるといった事情があることから、被害者の時間的負担等を軽減する観点からも、捜査の一層の合理化を図ること。
なお、万引きに係る捜査は、万引き専用の捜査書類の合理化等について(平成22年9月24日付け達(刑総、生企、地企)第424号)及び少年事件における簡易送致事件処理要領の制定について(令和4年3月28日付け達(少対)第183号)を踏まえ、適切かつ合理的に推進すること。
(3) 万引き防止対策に関する適切な評価
万引き防止に向けた総合的な対策を効果的に推進するため、地域警察部門による検挙を含め、万引きの検挙及び防止に資する各種施策に対しては、適切な評価と積極的な賞揚の実施に配意すること。