○福島県警察少年指導委員活動要領の制定について(通達)

令和6年4月17日

達(少対)第271号

[原議保存期間 5年(令和12年3月31日まで)]

[有効期間 令和12年3月31日まで]

みだし要領を別紙のとおり制定し、令和6年4月17日から施行することとしたので、適切に運用されたい。

なお、福島県警察少年指導委員活動要領の制定について(令和3年12月17日付け達(少対)第433号)は、廃止する。

別紙

福島県警察少年指導委員活動要領

第1 趣旨

この要領は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号。以下「法」という。)、少年指導委員規則(昭和60年国家公安委員会規則第2号。以下「規則」という。)及び少年指導委員に関する規程(昭和60年福島県公安委員会規程第3号。以下「県規程」という。)に基づき運営される少年指導委員(以下「指導委員」という。)の委嘱、活動要領等について、必要な事項を定めるものとする。

第2 委嘱等

1 身分等

指導委員は、その委嘱、職務等について法令に根拠を有するボランティアで、福島県公安委員会(以下「公安委員会」という。)から委嘱される特別職の非常勤公務員である。また、「名誉職」であるため、生活費としての俸給又は給与を受けない。

2 活動区域及び委嘱人員

指導委員の活動区域及び委嘱人員は、別に定めるものとする。

3 委嘱要件等

(1) 委嘱の手続

指導委員は、県規程第2条第3項に基づき、当該活動区域を管轄する署長(以下「署長」という。)が、当該活動区域内に居住する者(当該活動区域内に居住していた者であって法令に基づく命令その他の特別な理由により一時的に当該活動区域外に居住している者を含む。)から、所定の要件を満たし、適任と認められる者を、少年指導委員推薦書により公安委員会に推薦すること。これら推薦があった者のうちから、公安委員会が適任者を選定し、委嘱状を交付して委嘱するものとする。

(2) 指導委員の推薦

指導委員については、法第38条第1項各号に規定する次の要件を慎重に審査した上で適任者を推薦すること。

ア 人格及び行動について、社会的信望を有すること。

イ 職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること。

ウ 生活が安定していること。

エ 健康で活動力を有すること。

(3) その他の留意事項

ア 風俗営業の営業者等

現に風俗営業、性風俗関連特殊営業等の営業者である者については、慎重かつ厳密な審査を行うこと。

なお、法第4条第1項各号に掲げる風俗営業者の欠格事由に該当する者や20歳未満の者については、推薦しないこと。

イ 活動に実効が期待できない者

多くの職を兼ねていて指導委員としての活動を期待できない者等については、慎重な審査を行うこと。また、委嘱後の活動に熱意がみられないなど実効の上がらない者については、再委嘱の際に慎重な審査を行うこと。

4 任期

指導委員の任期は2年であり、再任することもできるが、その場合においても、上記3の手続を執ることとする。

なお、任期途中に死亡、解嘱等の理由により指導委員が欠けた場合における補欠の指導委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 関係住民への周知

指導委員を委嘱したときの関係住民に対する周知については、県本部及び署の掲示板、ホームページ、広報誌等に、委嘱した指導委員の氏名、連絡先及びその活動区域を掲載することとする。

なお、連絡先については、指導委員又は当該指導委員の活動区域を管轄する署の生活安全課(係)の電話番号、メールアドレス等とする。

6 解嘱

(1) 解嘱事由

法第38条第6項各号に規定する解職要件は次のとおりである。

ア 法第38条第1項各号のいずれかの要件を欠くに至ったとき。

イ 職務上の義務に違反し、又はその職務を怠ったとき。

ウ 指導委員たるにふさわしくない非行があったとき。

(2) 解嘱手続

指導委員が解嘱事由のいずれかに該当すると認めるときは、解嘱することができるが、その場合、当該指導委員に対して、弁明の機会を与えるため、解嘱の理由のほか、弁明を聴くための期日及び場所を、期日前に2週間程度の期間を置いて通知することとする。ただし、当該指導委員の所在が不明であるため通知をすることができないとき又は弁明の機会を与えるための通知をしたにもかかわらず正当な理由がなく期日までに弁明を行わないときは、弁明を聴かないで解嘱することができるものとする。

第3 指導委員の職務

1 少年等に関すること

(1) 少年の補導

ア 少年に対し、法第38条第2項第1号に規定する行為をやめるよう指導すること。

イ 少年に対し、同号に規定する行為が少年の健全な育成に障害を及ぼすものであることを説示すること。

ウ 少年の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、当該少年を現に監護するものをいう。)又はこれに代わるべき者(以下「保護者等」という。)に連絡すること。

エ 少年が18歳未満であって、保護者がいないとき又は保護者に監護させることが不適当であると認めるときは、児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「児福法」という。)第25条の規定により通告を行うこと。

(2) 被害を受けた少年に対する援助

ア 当該少年に対し、再び被害を受けることを防止するために助言又は指導すること。

イ 当該少年の保護者等に連絡すること。

ウ 当該少年又はその保護者等に対し、当該少年を支援することができる機関、団体等を紹介すること。

エ 少年が18歳未満であって、保護者がないとき又は保護者に監護させることが不適当であると認めるときは、児福法第25条の規定により通告を行うこと。

(3) 少年相談

風俗営業、性風俗関連特殊営業等に関して、少年の健全な育成に係る事項について、少年又は保護者等からの相談があった場合、相談者に対して必要な助言及び指導その他の援助を行うこと。

2 風俗営業を営む者等に対する助言

少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止に係る法の規定の教示及び法の規定を遵守するために講ずべき措置を促すこと。

3 風俗営業所等への立入り

(1) 立入りの指示

指導委員の立入りは、公安委員会が、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があると認めるときに、必要な限度において指示をして行わせることができる。

なお、あらかじめ法第38条第5項に規定する研修を受講し、風俗営業の営業所等への立入りを適正に実施するために必要な知識及び技能を習得した指導委員に対して立入りの指示を行うこと。

(2) 指示の形式

指示については、事前に個々の指導委員に対して立入指示書(様式第1号。以下「指示書」という。)を交付することにより行うものとする。

(3) 指示の内容

ア 立入りを実施すべき場所

(ア) 立入りを実施すべき場所は、法第37条第2項各号に掲げる場所の営業の種別を明らかにすること。

(イ) 立入りを実施すべき地域は、指導委員の活動区域内のいずれか又は活動区域内全域を指定すること。

イ 立入りを実施すべき期日又は期間

過度に長期にならない範囲で示すこと。

(4) 立入りを実施するに当たっての留意事項

ア 原則として警察職員が同行し、指導委員に単独で行わせないこと。

イ 営業者の負担を考慮し、その理解と協力を求めて行わせること。

ウ 基本的に営業時間内に立入りを実施させること。

エ 調査の必要上質問を行わせる場合にあっては、原則として、営業者、従業者等営業者側の者に対する質問に限り、客に対する質問は、当該客が20歳未満の者であり、補導又は援助を行う必要がある場合に限り行わせること。

(5) 立入りの実施

ア 立入時に確認させる事項

(ア) 18歳未満の者が風俗営業の営業所に立ち入ってはならない旨を営業所の入口に表示しているか。

(イ) 風俗営業(ゲームセンターを除く。)の営業所で、18歳未満の者を使用したり、客として立ち入らせたりしていないか。

(ウ) ゲームセンターについては、午後10時又は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(昭和59年福島県条例第57号)第10条で定める時間を超えて18歳未満の者を客として立ち入らせていないか。

(エ) 飲食店営業の営業所で、深夜、18歳未満の者を客に接する業務に従事させたり、客として立ち入らせていないか。

(オ) 風俗営業や飲食店営業の営業所で、20歳未満の者に酒やたばこを提供していないか。

(カ) 店舗型性風俗関連特殊営業、店舗型電話異性紹介営業の営業所や派遣型ファッションヘルスの受付所で、18歳未満の者を客に接する業務に従事させていないか。また、18歳未満の者を客として立ち入らせたり、20歳未満の者に酒やたばこを提供していないか。

イ 立入時の留意事項

(ア) 指導委員が補導対象となる少年や援助すべき少年を発見した場合には、補導又は援助を行わせること。

(イ) 営業者等に対して、法の規定の教示や遵守のための措置の助言をさせること。

(ウ) 法令違反を発見した場合は、直ちに管轄署に連絡させること。

(エ) 立入りを拒否された場合等は、強いて立ち入ることをせず、管轄署に連絡させること。

4 地方公共団体の施策等への協力

地方公共団体の施策や民間団体の活動への協力を行うこと。

5 広報啓発活動

繁華街等における有害環境浄化や不良行為少年への声掛けキャンペーンを行うなど、少年の健全育成に関する住民運動の盛り上げを図る活動に努めること。また、少年をめぐる具体的な状況を踏まえつつ、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止し、又は少年の健全な育成に資する事項について広く住民に周知させること。

第4 活動に関する一般的留意事項

1 心構え

指導委員には、少年の人格を尊重し、かつ、少年の健全な育成を期する精神をもってその職務を遂行させること。また、常に、人格識見の向上、関係者からの尊敬と信頼の獲得及び職務の遂行に必要な知識、技能の習得に努めさせること。

2 守秘義務

法第38条第3項及び第51条の規定により、指導委員又は指導委員であった者には、職務に関して知り得た秘密についての守秘義務があり、違反すれば罰則の対象となり得ることを教示すること。

3 活動上の注意

(1) 関係者の権利及び自由の保護

指導委員がその活動を行うに当たっては、関係者の正当な権利及び自由を害することのないように留意させること。

(2) 言動

指導委員の個々の活動においては、威圧的な言動や態度を避け、関係者の年齢、性別、立場等に応じた親しみのある言葉を用いらせること。

4 風俗環境浄化協会との連携等

指導委員には、平素から、福島県風俗環境浄化協会等の関係機関、団体と連携を密にし、少年を取り巻く有害環境の実態把握に努めさせること。また、その職務遂行に当たっては、これらの関係機関、団体と連携し、効果的な活動を行うように努めさせること。

5 活動の記録及び報告

(1) 一般活動の報告

指導委員が活動区域内において活動したときは、その結果を管轄署長に報告させること。報告を受けた管轄署長は少年指導委員活動報告受理票(様式第2号。以下「受理票」という。)を作成すること。

(2) 立入時の報告

指導委員には、立入り実施後、速やかに、立入実施結果報告書(様式第3号。以下「報告書」という。)を作成の上、管轄署長に報告させること。その際、指示書を提出させること。

(3) 受理及び報告書の送付

報告を受けた管轄署長は、受理票及び報告書の写しを、少年女性安全対策課に送付すること。

第5 研修

1 研修の種別及び実施基準

指導委員に対する研修は、規則第7条の規定のとおり、定期研修及び委嘱時研修とし、別記「少年指導委員に対する研修の実施基準」により実施する。

2 配意事項

合理的な理由なく研修を受講しない指導委員については、「職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕」(法第38条第1項第2号)がないものとして、解嘱の要件に該当するか否かについても検討すること。

第6 身分証明書等

1 活動における身分証明書等の携帯

指導委員の活動に関しては、常に県規程第2条第1項に規定する少年指導委員証(以下「身分証」という。)を携帯させるとともに少年指導委員記章(以下「記章」という。)を上衣の目に付くところに付けさせ、関係者から求めがあったときは、身分証を提示させること。

2 立入時の身分証明書の携帯

立入りをする指導委員には、法第38条の2第4項、規則第9条第3項及び県規程第6条に規定する立入時の身分証明書(以下「立入証」という。)を携帯させ、関係者に提示させること。

なお、立入証については、立入り以外の活動では使用しないため、個々の指導委員に対して指示書を交付する際に交付し、立入結果報告時に返納させること。

3 身分証の再交付

指導委員が記章及び身分証を破損し、又は紛失したときには、紛失等届出書(様式第4号)により、遅滞なく届けさせ、再交付を受けさせるものとする。

別記

少年指導委員に対する研修の実施基準

1 研修の目的

研修は、少年指導委員の職務や立入りの適正かつ効果的な執行の確保を目的として行う。

2 研修計画

研修は、受講する少年指導委員の便宜に資するためにも、あらかじめ計画を策定し、これに基づいて行うものとする。

3 研修の方法

研修は、研修用に作成された教本、視聴覚教材等必要な教材を用いて行うものとする。

4 講師

研修の講師は、研修事項について十分な知識及び経験を有する者をもって充てるものとする。

5 研修内容

研修項目は、規則に基づき、おおむね次の表のとおりとする。

【定期研修:4時間以上5時間以下】

研修項目

研修内容

研修時間

1 少年非行・風俗環境の状況

① 少年非行の状況

県内における少年非行情勢のほか、風俗営業等を中心とした福祉犯被害の状況を理解させる。

② 最近の風俗環境の状況

県内における風俗営業等の許可数・届出数、行政処分・検挙等の状況から、風俗環境の実態を理解させる。

1時間

2 法第38条第2項各号に掲げる職務を遂行するために必要な知識及び技能に関すること。

① 知識

少年の補導、風俗営業の営業者等に対する助言、被害少年に対する援助、地方公共団体の施策等への協力等の方法、留意事項を理解させる。

② 技能

実技指導、シミュレーション等により、上記職務の実務を理解させる。

2~2.5時間

3 法第38条の2第1項の規定による立入りを適正に行うために必要な知識及び技能に関すること。

① 知識

立入りの趣旨、指示、実施、報告の手続及び受傷事故防止等の留意事項を理解させる。

② 技能

実技指導、シミュレーション等により、立入りの実務を理解させる。

1~1.5時間

【委嘱時研修:5時間以上7時間以下】

研修項目

研修内容

研修時間

1 定期研修1~3と同じ。

同左

4~5時間

2 法その他少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止し、又は少年の健全な育成に資するための職務を行うため必要な法令に関すること。

① 法の概要

法の目的、規制の概要を理解させる。

② 少年指導委員の法的地位・職務倫理

少年指導委員が特別職の地方公務員であること、その自発的な意思に基づく活動を期待されていること等を理解させる。

③ 少年指導委員の職務・立入り

少年指導委員の職務の概要、立入りの仕組みについて理解させる。

④ 少年指導委員の守秘義務

守秘義務に関する留意事項、違反の場合の罰則を理解させる。

⑤ その他の関係法令

児童福祉法(昭和22年法律第164号)、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)、青少年保護育成条例等の法令のうち、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等で行われやすい違反や児童相談所の役割等を理解させる。

1~2時間

様式第1号(第3関係)

 略

様式第2号(第4関係)

 略

様式第3号(第4関係)

 略

様式第4号(第6関係)

 略

福島県警察少年指導委員活動要領の制定について(通達)

令和6年4月17日 達(少対)第271号

(令和6年4月17日施行)

体系情報
生活安全部
沿革情報
令和6年4月17日 達(少対)第271号