○被害少年に対する継続的支援の実施について(依命通達)

令和6年5月15日

達(少対)第314号

[原議保存期間 5年(令和12年3月31日まで)]

[有効期間 令和12年3月31日まで]

みだしのことについて、次のとおりであるので、適切な対応に努められたい。

なお、被害少年に対する継続的支援の実施について(令和4年6月24日付け達(少対)第331号。以下「旧通達」という。)は、廃止する。

1 趣旨

少年警察活動規則(平成14年国家公安委員会規則第20号。以下「規則」という。)第36条第2項に規定する継続的な支援(以下「継続的支援」という。)については、福島県警察少年警察活動に関する訓令(平成20年県本部訓令第2号)、旧通達等に基づき推進しているところであるが、以下の実施要領等に基づき、引き続き、組織的かつ効果的な継続的支援を実施するものである。

2 被害少年の報告

署長は、次の被害少年を認知した場合には、少年女性安全対策課長に速やかに報告すること。ただし、初期段階の必要な支援として措置された場合(措置する方針で対応している場合を含む。)及び県民サービス課が主体的に支援を行う場合には、報告を要しないものとする。

(1) 福島県警察被害者連絡実施要領の制定について(令和5年7月31日付け達(刑総、県サ、生企、少対、地企、捜一、組対、交企、交指、公)第299号)において規定されている身体犯又は重大な交通事故事件及び本部長又は署長が必要と認める事件(以下「連絡対象事件」という。)の被害少年

(2) 規則第37条に基づく福祉犯の被害少年

(3) 上記連絡対象事件・福祉犯以外の犯罪被害のほか、犯罪行為には当たらない児童虐待や学校におけるいじめ等少年の健全な育成を阻害する行為により被害を受けた少年

3 対象少年の指定等

(1) 少年女性安全対策課長は、規則第2条第8号に掲げる少年について、継続的支援が特に必要と認められる少年を本通達の支援対象少年(以下「対象少年」という。)として指定すること。

対象少年の指定に当たり、被害の内容、精神的打撃の程度、年齢、生活、家族の状況等のほか、警察の支援を受ける意思及び保護者の同意(当該少年が特定少年(規則第2条第2号に掲げる特定少年をいう。)である場合は、本人の同意。以下同じ。)等について、継続的支援の必要性を判断するため、当該被害少年及びその保護者(加害者が保護者である場合には、当該保護者以外の被害少年を現に監護する者)に対し、必要に応じ、少年サポートセンター(以下「サポートセンター」という。)に配置された少年警察補導員(以下「サポートセンター員」という。)による面接又は電話での調査を実施すること。

なお、面接による調査を行う場合には、サポートセンター員のほか、必要に応じ、被害少年の報告を行った署(以下「該当署」という。)等の事件担当捜査員、少年相談対応者等を同席させるなど、被害少年の不安を解消するよう努めること。

(2) 少年女性安全対策課長は、被害少年の報告を行った署長(以下「該当署長」という。)に対し、対象少年としての指定の有無について遅滞なく連絡すること。

4 継続的支援の実施要領

(1) 継続的支援の実施担当者はサポートセンター員とし、個々の対象少年ごとに適任者を少年女性安全対策課長が選任すること。また、必要に応じて補助者を選任するものとする。担当者及び補助者の選任に当たっては、対象少年の状況、特性、年齢及び性別等に配慮し、適任者を選任するものとする。

(2) 少年女性安全対策課長は、個々の対象少年に係る継続的支援について、対象少年の被害状況等を総合的に勘案するとともに、次の事項に配意し、その開始及び終了の時期、実施計画その他必要な事項を定めること。この場合において、少年女性安全対策課長は、必要に応じ、福島県警察カウンセリングアドバイザー運用要綱(令和6年4月30日付け達(県サ、少対)第297号)に定める少年カウンセリングアドバイザーその他の部外専門家の意見を聴くこと。

ア 連絡対象事件の対象少年については、被害の形態等によっては、精神的被害の回復・軽減に向けて、中長期的にわたり、対象少年に寄り添ったきめ細やかで充実した支援が必要となることを踏まえ、対象少年の状況に応じ、県民サービス課と連携した組織的かつ効果的な活動に配慮するとともに、対象少年の意向を把握し、その保護者の同意を得た上で、被害直後の早い段階から関係機関又は犯罪被害者等早期援助団体をはじめとする民間被害者支援団体への紹介にも留意すること。

イ 福祉犯被害に係る対象少年に対しては、規則第8条第2項に掲げる継続補導対象の少年又は少年に手を差し伸べる立ち直り支援活動実施要領(令和6年4月11日付け達(少対)第252号)により選定する連絡対象少年と重複する場合があることにも配慮しつつ、対象少年が再び被害に遭うことを防止するため、保護者や学校関係者等と協力するなどして、個々の対象少年の特性に応じた支援に努めること。

ウ 上記連絡対象事件・福祉犯以外の犯罪、犯罪行為には当たらない児童虐待や学校におけるいじめ等の被害を受けた対象少年については、事案の形態や対象少年の特性等により支援の在り方が異なることから、個々の事案に応じて児童相談所、学校、市区町村等と緊密に連携を図るとともに、必要に応じ、専門的かつ中長期的な支援を行う適切な機関・支援団体への紹介にも留意すること。

(3) 署長は、サポートセンターによる継続的支援の実施に当たり、必要に応じて、カウンセリングや環境調整等の場所の確保、地域のボランティアへの連絡・調整等の対応について配慮すること。

(4) 実施担当者は、継続的支援に係るカウンセリングの事前検討結果、実施結果、支援活動の実施状況等を少年女性安全対策課長に報告するとともに、別に定める様式により記録することとし、当該記録文書の保存期間は、被害少年として報告した翌年から起算して5年(暦年)とする。

また、少年女性安全対策課長は、該当署長に対し、指定した当該対象少年の支援状況等について速やかに共有を図ること。

(5) 少年女性安全対策課長は、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第321条の3第1項第1号に掲げる者に該当する対象少年の継続的支援に係るカウンセリングに当たり、犯罪捜査における面接状況の疎明について、該当署の事件担当捜査員との連携が必要であると認められる場合には、該当署長に速やかに連絡すること。

5 継続的支援の実施に関する配意事項

(1) 信頼関係の構築

実施担当者は、対象少年やその保護者等のニーズを把握するとともに、対象少年の立場に立って考え、行動することにより、対象少年等との信頼関係を築くよう努めること。

(2) 面接上の配意

面接に当たっては、少年が心身ともに成長期にあって環境の影響を受けやすいこと等、少年の心理その他の特性を十分認識するとともに、よき理解者として「聴く耳」を提供することを基本とし、被害少年の話をまずはそのまま受け止めるよう努めること。

また、継続的支援は、参考人としての事情聴取その他の犯罪捜査等に係る措置とはその目的や少年に接する際の留意事項等が異なることに留意すること。

(3) 個別事情への配慮

対象少年に係る犯罪被害等の態様は様々であることを認識した上で、個々の対象少年の被害状況、性格、周囲の環境等を深く洞察し、その個別の事情に応じた継続的支援を実施すること。

(4) 実施担当者への組織的支援

少年女性安全対策課長は、継続的支援が短期的に成果を得ることが困難で、かつ、専門的な知識・技能を必要とする活動であることなどから、実施担当者に相当の精神的な負担があること等に留意し、実施担当者の活動を組織として支援すること。

(5) 関係機関・団体との連携

継続的支援に当たっては、対象少年に応じ、保護者の同意を得た上で、学校その他の関係機関と緊密に連携するとともに、平素から、児童相談所、少年鑑別所、カウンセリング専門機関、医療機関等との更なるネットワークの構築に努め、専門家の知識・技能を結集した継続的支援を行うことができるよう配意すること。

また、発達障害の認められる特別な支援が必要な対象少年に対する継続的支援を行う場合には、発達障害者支援法(平成16年法律第167号)に基づき、発達障害者支援センター等関係機関・団体との有機的連携の下で必要な協力体制の整備を図るとともに、保護者の同意を得た上で、関係機関等への紹介を行うなど、対象少年の状況に応じた適切な支援を行うこと。

6 ボランティアとの連携

(1) 少年女性安全対策課長は、継続的支援の実施に当たり、ボランティアの協力が必要と認めるときは、個々の支援に関し適任と認められるボランティアに協力を依頼すること。

(2) 少年女性安全対策課長は、ボランティアへの協力依頼に当たり、当該対象少年の被害状況等を踏まえ、当該ボランティアの年齢、性別、職業、活動経験等を勘案すること。

(3) ボランティアの協力を得て継続的支援を実施する場合には、あらかじめ対象少年及びその保護者に対し、ボランティアに協力を求める趣旨等を説明し、対象少年及び保護者の意思を確認すること。

被害少年に対する継続的支援の実施について(依命通達)

令和6年5月15日 達(少対)第314号

(令和6年5月15日施行)

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令和6年5月15日 達(少対)第314号