○人の住居等において捜査活動等を行う場合の留意事項等について(依命通達)

令和6年4月3日

達(刑総)第235号

[原議保存期間 5年(令和12年3月31日まで)]

[有効期間 令和12年3月31日まで]

みだしのことについては、次のとおりとするので、適正な捜査活動等に努められたい。

1 趣旨

警察は、国民の負託を受け、個人の生命、身体及び財産を保護し、公共の安全と秩序を維持するという極めて重大な責務を担っており、その責務を果たす上で、国民の信頼及び協力を確保することが不可欠であるところ、近時、死体取扱現場や通報に基づく臨場先における窃盗事案等、およそ警察職員としてあるまじき非違事案が発生している。捜査活動や死体の取扱い等(110番通報等を受け、地域警察官等が現場に臨場する場合を含む。以下「捜査活動等」という。)を行うに当たっては、その適正性と国民の捜査活動等に対する信頼を確保することが不可欠である。このため、人の住居等において捜査活動等を行う場合の留意事項を示すものである。

2 人の住居等において捜査活動等を行う場合の留意事項

警察職員が人の住居又は人の看守する邸宅、建造物等(以下「人の住居等」という。)において捜査活動等を行う場合には、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)、犯罪捜査規範(昭和32年国家公安委員会規則第2号)等に特別の定めがある場合はもとより、それ以外の場合でも、警察職員以外の者による立会の確保に努め、当該立会の確保ができないときは、複数人で従事するなど、捜査活動等の適正性を確保すること。

なお、この場合において、やむを得ず立会の確保ができず、かつ、警察官が単独で臨場したときには、当該警察官に、貴重品の確認作業等を単独で行わせないこと。

3 貴重品に対する措置

警察職員が人の住居等における捜査活動等で貴重品を発見した場合において、当該貴重品を押収等する必要がなく、捜査活動等の終了後、当該住居等に住居主等が不在となるときは、現場責任者や捜査幹部等(以下「現場責任者等」という。)に報告すること。この場合において、報告を受けた現場責任者等は、当該貴重品をそのまま残置すれば盗難等の可能性があると判断したときは、組織的に検討した上で当該貴重品について次のような措置を講ずること。ただし、死体取扱現場においては、死体取扱時における貴重品の適正な取扱い等について(令和5年8月1日付け達(捜一)第305号)に基づく措置を講ずること。

(1) 当該住居等を施錠した上で鍵及び当該貴重品を当該住居等から離脱する住居主等に携帯させること。

ただし、住居主等を逮捕して留置するときには、当該鍵及び貴重品を留置施設において所持品として保管させること。

(2) 前記(1)により難い場合には、住居主等の親族その他の適切な者(以下「親族等」という。)に連絡し、当該住居等の防犯措置等を依頼すること。

(3) 前記(2)により難い場合には、当該親族等の委託を受けて、当該住居等を施錠した上で、当該鍵又は必要に応じ当該貴重品若しくはその両方を警察署等に引き上げ、住居主等又は親族等に引き継ぐまで警部以上の保管責任者を指定して施錠機能のある設備に一時保管するなどの盗難等防止措置を講ずること。

なお、貴重品を警察署等に引き上げるに当たっては、複数人で当該貴重品の品名、数量等を確認し、現場責任者等に報告すること。

4 幹部による指導教養、業務管理の徹底

警部以上の幹部は、部下に対し、平素から刑事訴訟法、捜査活動等に関する各種規程等はもとより前記1及び2についても指導教養し、厳守させるなど、捜査活動等の適正性の確保に努めること。

また、部下が人の住居等において捜査活動等を行うに当たっては、部下それぞれの特性に応じた任務付与や具体的な指揮及び指示を行うとともに、当該捜査活動等の終了後に結果の報告を求めるなど、業務管理を徹底すること。

人の住居等において捜査活動等を行う場合の留意事項等について(依命通達)

令和6年4月3日 達(刑総)第235号

(令和6年4月3日施行)

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刑事部
沿革情報
令和6年4月3日 達(刑総)第235号