○福島県警察組織犯罪対策要綱の制定について(通達)
令和6年6月13日
達(組対、務、生企、地企、刑総、交企、公)第346号
[原議保存期間 5年(令和12年3月31日まで)]
[有効期間 令和12年3月31日まで]
みだし要綱を別紙のとおり制定し、令和6年7月1日から施行することとしたので、実効の上がるよう配意されたい。
なお、福島県警察組織犯罪対策要綱の制定について(令和2年7月7日付け達(組対、務、生企、地企、刑総、交企、公)第277号)、福島県警察特殊詐欺総合対策室設置要綱の制定について(令和5年5月30日付け達(組対、生企)第237号)、情報官等の運用及び総括情報官の処理すべき事務について(令和4年4月21日付け達(組対)第240号)及び犯罪収益解明班の編成について(令和4年2月25日付け達(組対)第62号)は、廃止する。
別紙
福島県警察組織犯罪対策要綱
第1 要綱の目的
この要綱は、組織犯罪が治安に重大な影響を与えるものであることに鑑み、県警察が一体的に犯罪組織の実態を的確に把握し、所要の対策を講じ、効果的な打撃を与えることにより、犯罪組織の弱体化及び壊滅を図り、もって県民生活の安全と平穏を確保するため、必要な基本的事項を定めることを目的とする。
第2 組織犯罪対策の基本姿勢
組織犯罪対策を推進するに当たっては、犯罪組織に関する情報を集約し、及び分析してその実態を解明するとともに、分析結果に基づく犯罪組織の弱体化及び壊滅に向けた統一的な戦略を立案した上で、当該戦略に基づき、県警察が一体となって、犯罪組織に対して厳しい対決姿勢を堅持し、首領その他の主要幹部の検挙、徹底した犯罪収益の剝奪、資金源の遮断等の諸対策を実施することを基本姿勢とする。あわせて、先端技術の活用等も含め、不断に創意工夫を図り、効果的かつ適切な情報収集活動の推進、捜査手法の高度化、県民各層、関係機関、関係団体等との幅広い連携等に努めることにより、悪質・巧妙化する、又は新たに出現する組織犯罪に対して戦略的な対策を実施するものとする。また、組織犯罪は、社会・経済情勢の変化に応じて常に変化していくものであることから、広い視野での情報の収集・分析に努め、治安の脅威となっている犯罪組織やその活動実態を的確に把握し、適時適切な対策を講ずるものとする。
第3 組織犯罪対策を推進するための基盤整備
1 福島県警察組織犯罪対策推進本部の設置
暴力団対策、匿名・流動型犯罪グループ対策、特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺(以下「特殊詐欺等」という。)対策、薬物銃器対策、国際組織犯罪対策及び犯罪収益対策の組織犯罪対策を総合的かつ計画的に推進するため、県本部に福島県警察組織犯罪対策推進本部(別添。以下「対策推進本部」という。)を設置する。
2 専門的な技能を有する職員の育成
暴力団対策、匿名・流動型犯罪グループ対策、特殊詐欺等対策、薬物銃器対策、国際組織犯罪対策及び犯罪収益対策のそれぞれの分野において求められる技術に加え、犯罪組織に関する情報の収集、集約及び分析の手法、組織犯罪情報管理システム等の情報技術の活用方法、主要幹部の検挙に有効な捜査手法、暗号資産追跡等を通じた犯罪収益の移転先の特定及び剝奪、資金源の遮断対策等について、実践的な教養を実施し、専門的な技能を有する職員を育成する。
第4 組織犯罪に係る情報の収集、分析等
1 対策推進本部における情報の収集、分析等
組織犯罪対策を効果的に推進していくためには、主要幹部の検挙、暗号資産追跡等を通じた犯罪収益の移転先の特定及び剝奪、資金源の遮断等、犯罪組織に実質的に打撃を与える対策につながる確度の高い情報を入手することが不可欠であることから、対策推進本部においては、情報収集活動が適切に行われるよう、組織的に検討し、これを推進する。
(1) 情報の収集
対策推進本部においては、全ての部門が緊密に連携し、次の情報を収集する。
ア 犯罪組織の実態に関する情報
イ 組織犯罪の取締りに資する情報
ウ 上記ア及びイに掲げるもののほか、組織犯罪対策を効果的に推進するため必要な情報
(2) 情報の分析等
対策推進本部は、上記(1)により収集した情報を集約するとともに、集約した情報について、他の情報との関連付けを図るなど所要の評価・分析を行い、その結果を関係部署に適切に還元する。
(3) 関係機関等との情報交換
対策推進本部は、情報の収集、集約及び分析に当たり、関係機関等との情報交換を強化する。
2 先端技術等の活用
犯罪組織に関する情報の収集、集約、報告、分析及び還元に当たっては、組織犯罪情報管理システム等の情報技術を積極的に活用することはもとより、全国的な連携・斉一性に配意しつつ、AIや暗号資産追跡ツール等の先端技術・資機材の活用も検討するなどして、組織犯罪対策の一層の効率化と質的向上を図る。
なお、対策推進本部は、情報通信技術を活用するに当たって、東北管区警察局福島県情報通信部との緊密な連携を図る。
第5 戦略的な組織犯罪対策の推進
1 統一的な戦略に基づく対策の実施
対策推進本部においては、警察庁が立案する統一的な戦略の下、地域の実情を踏まえた戦略を立案し、集中的かつ計画的に組織犯罪対策を実施する。
2 他都道府県警察との連携
戦略的な組織犯罪対策の円滑かつ効果的な実行を図るため、他都道府県警察と相互に、かつ、緊密に情報交換を行うとともに、合同・共同捜査や捜査嘱託等の捜査共助を積極的に推進する。
3 関係部門間の連携
戦略的な組織犯罪対策を組織的に推進するため、対策推進本部においては、組織犯罪対策部門と関係部門が部門の垣根を越えて犯罪組織に関する情報や効果的かつ効率的な捜査手法の共有等を図り、組織犯罪の取締りをはじめとする諸対策を連携して推進する。
4 関係機関、関係団体等との連携
対策推進本部は、組織犯罪対策が、税関、出入国在留管理庁、海上保安庁、地方公共団体、金融機関、防犯ボランティア、学校等の関係機関、関係団体等と警察とが幅広く連携し、官民一体となって取り組むべき社会の重要課題の一つであることを念頭において、情報提供、指導、広報啓発活動等による関係団体等からの協力の確保に努めるとともに、事件検挙のみならず、他の各種行政施策の推進に当たっても、関係機関の権限の発動を促すなど、緊密な連携に努める。
5 県民の理解と協力の確保
県民と警察との間の多様なネットワークを効果的に活用するなど、あらゆる機会を通じて、組織犯罪の実態、組織犯罪に対する警察の取組姿勢等に関する積極的かつ効果的な広報を実施することにより、組織犯罪を拒絶する気運の高揚を図り、組織犯罪対策への県民の理解と協力を確保する。
第6 組織犯罪対策に有効な捜査手法等の積極的活用
対策推進本部においては、犯罪組織の主要幹部の検挙、暗号資産追跡等を通じた犯罪収益の移転先の特定及び剝奪、資金源の遮断等犯罪組織の中枢に打撃を与える取締りを推進するため、各種法令の多角的活用を図り、装備資機材の整備及び効果的な運用を推進するとともに、次の点に留意する。
1 組織犯罪の取締りに有効な捜査手法等の積極的活用
通信傍受、コントロールド・デリバリー、譲受け捜査、だまされた振り作戦等の組織犯罪の取締りに有効な捜査手法を積極的に活用する。
また、組織犯罪対策部門のみによる取締りに固執することなく、関係部門との連携を図ることにより、関係部門に蓄積された技術や情報を積極的に活用する。
2 組織犯罪に対する加重処罰規定及び両罰規定の積極的活用
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成11年法律第136号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)第3条若しくは第7条、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成3年法律第94号。以下「麻薬特例法」という。)第5条又は銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号)第31条第2項若しくは第3項、第31条の3第3項若しくは第4項若しくは第37条の規定に基づき、組織犯罪に対して適正な刑罰が科されるよう、所要の捜査に努める。
3 捜索・差押え及び証拠品の分析の徹底
組織犯罪の捜査においては、当該犯罪の組織的な背景の解明に資する証拠を収集するため、必要な場所を徹底的かつ広範囲に捜索し、多数の関連証拠品を差し押さえるとともに、これらの証拠品を徹底して分析する。
4 暗号資産追跡捜査の推進
犯罪収益の移転に暗号資産が利用された場合、暗号資産の移転を追跡することにより、犯罪収益の移転先の口座を管理する上位被疑者等を特定できる可能性があるだけでなく、複数の事案を俯瞰的・横断的に分析することで、当初関係性が明らかではなかった事案間の関連性が明らかとなり、犯罪組織の実態解明につながる可能性もある。そのため、犯罪による被害金等が暗号資産に交換され、移転された又はその疑いが認められる場合には、暗号資産に係る俯瞰的・横断的な分析を担当するサイバー部門と緊密に連携の上、暗号資産の追跡捜査を推進する。
5 水際対策の推進
国外逃亡のおそれがある被疑者について、迅速かつ的確な国際海空港手配等により、その国外逃亡を阻止するとともに、警察共通基盤システムによる事前旅客情報照合業務、外国人個人識別情報認証業務等を活用して、指名手配被疑者等の発見・逮捕に努める。
また、出入国在留管理庁、税関等関係機関と平素から積極的に情報交換を行うとともに、定期的な会議の開催や合同訓練を実施するなど、関係機関と連携した水際対策を推進する。
6 外国捜査機関等との連携の推進
組織犯罪の捜査においては、捜査が外国に波及する可能性を迅速かつ的確に見極め、警察庁を通じたICPOルート等に基づく関係国等の捜査機関との捜査協力及び外交ルートや刑事共助条約(協定)、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約等に基づく捜査共助の実施による被疑者の人定・所在地の確認、関係する証拠の取得等を行うなど、外国捜査機関との迅速な共同オペレーションを積極的に推進する。
また、外国の関係機関からの捜査協力の依頼についても、相互主義の観点から、誠実かつ迅速に対応する。
第7 組織犯罪対策の重点
1 暴力団対策の推進
(1) 実態解明
ア 実態解明の推進
暴力団対策を効果的に推進するため、上記第4に掲げる事項の徹底により、次に掲げる者(以下「暴力団等」という。)の活動実態、組織の運営方法及び資金獲得活動の実態をはじめ、他の暴力団や匿名・流動型犯罪グループとの人的又は資金的つながり、対立・友誼関係等その組織実態の全般を解明する。
(ア) 暴力団(その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。以下同じ。)
(イ) 暴力団員(暴力団の構成員をいう。以下同じ。)
(ウ) 暴力団準構成員(暴力団又は暴力団員の一定の統制の下にあって、暴力団の威力を背景に暴力的不法行為等を行うおそれがある者又は暴力団若しくは暴力団員に対し資金、武器等の供給を行うなど暴力団の維持若しくは運営に協力する者のうち暴力団員以外のものをいう。以下「準構成員」という。)
(エ) 暴力団関係企業(暴力団員が実質的にその経営に関与している企業、準構成員若しくは元暴力団員が実質的に経営する企業であって暴力団に資金提供を行うなど暴力団の維持若しくは運営に積極的に協力し、若しくは関与するもの又は業務の遂行等において積極的に暴力団を利用し暴力団の維持若しくは運営に協力している企業をいう。以下同じ。)
(オ) 総会屋等(総会屋、会社ゴロ等企業等を対象に不正な利益を求めて暴力的不法行為等を行うおそれがあり、市民生活の安全に脅威を与える者をいう。以下同じ。)
(カ) 社会運動等標ぼうゴロ(社会運動又は政治活動を仮装し、又は標ぼうして、不正な利益を求めて暴力的不法行為等を行うおそれがあり、市民生活の安全に脅威を与える者をいう。以下同じ。)
(キ) 特殊知能暴力集団等(上記(ア)から(カ)までに掲げる者以外のものであって、暴力団との関係を背景に、その威力を用い、又は暴力団と資金的なつながりを有し、構造的な不正の中核となっている集団又は個人をいう。以下同じ。)
イ 指定資料の確実な整備
所属長は、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号。以下「暴力団対策法」という。)に基づく暴力団の指定が適切に行われるよう、指定に必要な資料を確実に整備する。
(2) 暴力団に対する取締り
ア 資金獲得活動に打撃を与える取締り等の推進
(ア) 資金獲得犯罪の取締りの推進
暴力団の主要な資金源の把握に努めるとともに、これを封圧し収益の剝奪等を図るという観点から、暴力団の主要な資金獲得活動を解明し、これを担う構成員、傘下組織及び暴力団関係企業について、幅広い犯罪態様を視野に入れて資金獲得活動に伴う各種違法行為の取締りの徹底を図る。
特に特殊詐欺等については、暴力団の有力な資金源となっている実態が認められることから、これを念頭に平素から実態把握を進め、戦略的な取締りを行う。
(イ) 暴力的要求行為等に対する取締りの推進
暴力的要求行為等の暴力団対策法に違反する行為の積極的な把握に努め、各種命令を迅速に、かつ、的確に発出する。特に資金獲得を阻止する効果が高い再発防止命令を積極的に活用するなど、命令の効果的運用を図るとともに、当該命令の遵守状況を把握し、違反行為の徹底検挙に努める。
(ウ) 様々な手法を駆使した資金源対策の推進
暴力団の資金獲得活動に効果的に打撃を与えるため、暴力団関係企業等については、事件検挙のみならず、各種業・取引からの排除を徹底するほか、特殊詐欺等を含む威力利用資金獲得行為に係る不法行為について、暴力団対策法第31条の2の規定による指定暴力団の代表者等に対する損害賠償責任の追及を支援するなど、上記第6及び下記第7の7に掲げる捜査手法等を積極的に活用して暴力団の資金剝奪に努める。
イ 人的資源に打撃を与える取締り
(ア) 首領その他の主要幹部の検挙及び長期隔離の推進
暴力団に対する内偵体制を確立するなどして、組織の首領その他の主要幹部に係る犯罪を徹底して掘り起こして検挙するとともに、組織犯罪に対する加重処罰規定を積極的に適用するなどして、その長期隔離に努める。
(イ) 暴力団員及び準構成員の大量反復検挙
暴力団の弱体化及び壊滅を図るため、暴力団員及び準構成員の大量反復検挙を図るとともに、暴力団を利用する者についても取締りを徹底する。
ウ 対立抗争事件に対する取締り
対立抗争要因の早期把握に努め、先制的検挙等によりその未然防止を図る。事件発生時においては、事案の解明と拡大防止のため、速やかに被疑者を検挙するとともに、集団警備力による効果的な警戒活動の実施、暴力団対策法第15条の規定による事務所の使用制限命令の発出、暴力団対策法第15条の2の規定による特定抗争指定暴力団等の指定、抗争団体の暴力団員の大量集中検挙等による地域住民の安全の確保に努める。
また、暴力団対策法第30条の5の規定による賞揚等禁止命令の効果的運用を図るとともに、地域住民による事務所撤去運動や暴力団対策法第31条の規定による指定暴力団の代表者等への損害賠償責任の追及等を積極的に支援する。
エ 県民に危害を与える犯罪の取締り
暴力団による県民に危害を与える犯罪については、徹底した捜査により被疑者の早期検挙を図り、その全容を解明し、再発を防止する。
(3) 暴力団関係企業等に対する取締り
県民生活の安全に対し脅威を与え、又は暴力団との関係を背景に違法又は不当な行為を行う暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ及び特殊知能暴力集団等に対しては、暴力団と同様に、資金獲得活動及び人的資源に対して打撃を与える取締りの徹底を図る。
(4) 共生者等対策
暴力団に利益を供与することにより、暴力団の威力、情報力、資金力等を利用し自らの利益拡大を図る者(以下「共生者」という。)は、暴力団と共に健全な経済社会に寄生し、これを侵食していることから、このような共生者と暴力団との共生関係を解明し、その事件検挙を積極的に推進するほか、暴力団の排除に関する条例、公共事業等(公共事業、測量・建設コンサルタント業務等の委託、役務の委託、物品・資材等に係る公共調達及び国公有財産の売却・貸付け等をいう。以下同じ。)や企業活動からの暴力団排除の枠組み等を効果的に活用するなどして、共生関係の瓦解を図る。
また、暴力団員と社会的に非難されるべき関係にある者については、暴力団がその関係を利用して社会・経済に不当な影響を及ぼすおそれがあることに加え、その関係が共生関係へと変化するおそれもあることから、暴力団員に対する取締りや暴力団排除活動を通じてその実態を的確に把握し、公共事業等や企業活動からの暴力団排除の枠組み等を効果的に活用するなどして、暴力団員と社会的に非難されるべき関係にある者を通じた暴力団の社会・経済への不当な介入や影響の抑止を図る。
(5) 暴力団排除活動
ア 暴力団排除活動の配意事項
暴力団排除活動は、一般的な世論の喚起にとどまることなく、暴力団等の組織又は活動に打撃を与えるよう、取締りと有機的に連動させつつ、特定の職域や地域を対象として個別的かつ具体的に行う。
また、共生者等の暴力団と密接な関係にある者に対しては、事件検挙はもとより、暴力団の排除に関する条例、公共事業等や企業活動からの暴力団排除の枠組み等を効果的に活用するなどして、社会に暴力団と関係を持つことが不利益につながるとの認識を浸透させ、社会全体で暴力団を排除する気運を高める。
さらに、暴力団排除活動を推進するとともに、県民を暴力団員等(暴力団員、準構成員、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ及び特殊知能暴力集団等をいう。以下同じ。)による違法又は不当な行為から守るため、警察の保有する暴力団に関する情報の積極的かつ適切な部外への提供を行う。
イ 関係機関と連携した資金獲得活動の封圧
あらゆる警察活動を通じて収集した資料に基づいて、営業許可、公共事業等の発注等に関係する行政機関の権限の発動を促し、暴力団関係企業を許可等に係る営業、公共事業等から排除する。
また、関係機関と連携して、公的給付及び公益事業に係る暴力団員等による違法又は不当な行為を防止するとともに、公共施設、公営競技、露天営業等から暴力団等を排除する。
ウ 職域及び地域における暴力団排除活動に対する支援
暴力団員等による不当要求を受けやすい風俗営業、性風俗関連特殊営業、建設業等の営業所に対する暴排ローラー(営業所を網羅的に訪問して行う実態把握活動をいう。)を実施することにより、暴力団員等による潜在する不当要求事案を掘り起こし、その拒絶を促すなど、職域及び地域における暴力団排除活動に対する適切な支援を行う。
また、関係機関等と連携し、地域住民による暴力団排除活動の指導及び支援を行うこと等により、暴力団事務所の撤去及び進出阻止並びに義理掛け行事の阻止を図る。
エ 行政機関等及び企業に対する違法又は不当な行為の排除
暴力団員等が、不正な利益を得る目的で、地方公共団体等の行政機関等又は企業(その職員を含む。)を対象として行う違法又は不当な行為を排除するため、公益財団法人福島県暴力追放運動推進センター(以下「県暴追センター」という。)や弁護士会と連携し、行政機関等、企業、業界団体、企業防衛組織等との連絡体制の確立、職員に対する責任者講習の実施及び適時適切な支援措置等の対策を講じる。
また、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(平成19年6月19日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)の普及に努めるとともに、各種業界団体との連携を図りつつ、契約約款等への暴力団排除条項の導入を推進するなど、暴力団等との関係遮断に取り組む企業等に対して、適切な支援を行う。
オ 暴力団への人的供給の遮断と暴力団からの離脱・社会復帰の促進
少年に対する加入強要、暴力団員の脱退妨害等に対する暴力団対策法の規定による命令の発出等の措置を講じるとともに、暴力団からの離脱者に対しては、関係機関等と連携し、社会経済活動への参加を確保するための支援を行う。
(6) 暴力団被害の防止及び被害者への支援
ア 県民の立場に立った暴力相談の実施及び相談への適切な対応
暴力団員等による違法又は不当な行為の被害者等が相談しやすい環境を確保するとともに、相談の内容に応じ、事件検挙、暴力団対策法による命令の発出又は暴力的要求行為等の相手方に対する援助の措置を行うように努める。警察としての対応が困難であると思われる事案についての暴力相談であっても、被害者等の意向の正確な把握に努めた上で、被害者等に対して暴力団員等への対応要領の教示を行うほか、民事上の措置が執られるよう県暴追センターや弁護士会に引き継ぐなどにより、被害の未然防止と被害者等の保護及び救済を図る。
イ 民事訴訟支援
暴力団犯罪の被害者等の被害回復を図るため、県暴追センターや弁護士会と連携し、暴力団員等を相手方とする損害賠償請求訴訟、事務所撤去訴訟及び街宣禁止の仮処分を求める訴訟等に対する支援に努める。特に、対立抗争等や、特殊詐欺等を含む威力利用資金獲得行為に係る不法行為に対しては、暴力団対策法第31条又は第31条の2の規定による指定暴力団の代表者等に対する損害賠償責任の追及を積極的に支援する。
ウ 保護対策等
暴力団犯罪等の被害者、暴力団排除を推進する地域住民や事業者等に対する危害行為を防圧するため、暴力団等の動向を十分に把握し、必要な体制の確立や資機材の有効活用により保護対策を徹底するとともに、暴力団対策法第30条の3又は第30条の4の規定による損害賠償請求等の妨害行為の中止命令等の効果的運用を図る。
2 匿名・流動型犯罪グループ対策の推進
(1) 匿名・流動型犯罪グループの位置付け
暴力団と同程度の明確な組織性は有しないものの、これに属する者が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行っている集団(以下「準暴力団」という。)のほか、近年、SNSや求人サイト等を利用して実行犯を募集する手口により特殊詐欺等や強盗、窃盗等の犯罪を広域的に敢行するなどの集団もみられるようになり、治安対策上の脅威となっている。これらの集団は、SNSを通じるなどした緩やかな結び付きで離合集散を繰り返すなど、そのつながりが流動的であり、また、匿名性の高い通信手段等を活用しながら役割を細分化したり、特殊詐欺等や強盗、窃盗等の違法な資金獲得活動によって蓄えた資金を基に、更なる違法活動や風俗営業等の事業活動に進出したりするなど、その活動実態を匿名化・秘匿化する状況がみられる。こうした集団に対して、従来の部門ごとの対策を踏襲していては有効な対策を打つことはできないことから、準暴力団を含むこうした集団を「匿名・流動型犯罪グループ」と位置付け、部門の縦割りを廃した戦略的な実態解明、取締りを推進するものとする。
(2) 実態解明
ア 実態解明の推進
匿名・流動型犯罪グループに対する対策を効果的に推進するため、上記第4に掲げる事項の徹底により、匿名・流動型犯罪グループの活動実態、運営方法及び資金獲得活動の実態をはじめ、他の犯罪組織との人的又は資金的なつながり、対立・友誼関係等そのグループ実態の全般を解明する。
イ 関係部門間の緊密な連携と情報共有
暴力団対策、特殊詐欺等対策、強盗・窃盗事件捜査、薬物対策、非行少年対策、風俗環境対策、生活経済事犯対策、暴走族対策等を主管する部門間の連携及びこれらの部門とサイバー部門との連携を強化するとともに、匿名・流動型犯罪グループの活動やこれらの関わりが疑われる事案を把握・処理した場合に情報共有がなされるよう、関係部門間の緊密な連携を図る。
ウ 組織実態及び活動実態の継続的な把握
匿名・流動型犯罪グループは、社会・経済情勢の変化に応じて犯行手口やそのネットワークが常に変化していくものであることから、広い視野で情報収集を継続して、組織実態及び活動実態の変化の把握に努める。
(3) 取締り
ア 取締り対象の選定
匿名・流動型犯罪グループに関する情報を収集、集約、分析した上で、地域ごとの実情を踏まえ、治安対策上問題となっている真に取り締まるべき犯罪グループを取締り対象に選定する。
イ 繁華街・歓楽街対策の推進
匿名・流動型犯罪グループが、違法な風俗店、性風俗店及び賭博店、スカウト、薬物売買等に関わり、その収益を有力な資金源としている実態がうかがわれることから、組織犯罪対策部門と風俗関係事犯担当部門等が把握する情報を共有し、これらの犯罪グループとその主要メンバーを見定め、風俗関係事犯、薬物事犯等について、あらゆる法令を駆使した取締りを推進する。
ウ 資金源の遮断と犯罪収益の剝奪
匿名・流動型犯罪グループは、特殊詐欺等をはじめ、様々な資金獲得活動により資金を蓄えていると疑われることから、こうした犯罪グループに効果的に打撃を与えるため、上記第6及び下記第7の7に掲げる捜査手法等を積極的に活用し、幅広い犯罪態様を視野に、資金獲得活動に着目した取締りによる資金源の遮断を図る。また、事件検挙にとどまることなく、組織的犯罪処罰法等の積極的な適用により、犯罪収益の剝奪を連動させて行う。
3 特殊詐欺等対策の推進
(1) 取締り
ア 情報収集・分析
検挙した受け子や架け子等の末端被疑者の取調べを尽くすことはもとより、押収資料の分析等により、部門の垣根を越えて関連情報の収集・分析を徹底する。特に近年、海外に架け場等を置いた犯行実態が明らかになっているところ、関連する情報の一層の収集・分析を図る。
イ 中枢被疑者を選定した取締り
上記第4に掲げる事項を徹底することにより、犯罪組織とその中枢人物を見定め、あらゆる法令を駆使した主要メンバーの検挙や、資金の遮断・剝奪等を行うことを通じ、人的・資金的基盤に実質的な打撃を与える取締りを推進する。
ウ 都道府県警察が緊密に連携した取締り
広域的に敢行される特殊詐欺等の取締りに当たっては、全国警察が一体となり、特殊詐欺連合捜査班を活用するなど、被疑者の検挙や架け場等の摘発に向けた迅速かつ効果的な捜査を推進する。
エ 国際的な捜査協力の推進
外国に所在する被疑者や架け場等の摘発に向け、警察庁を通じ、外国の関係機関との緊密な情報交換を行うとともに、ICPO等との連携を図ることにより、国際的な捜査協力を推進する。
(2) 犯行ツール対策
犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号。以下「犯罪収益移転防止法」という。)等に基づく措置のほか、犯行利用電話番号の利用停止の要請等を積極的に推進する。また、電話転送サービスに係る悪質な電気通信事業者、犯罪組織に名簿を提供する悪質な名簿屋、取引時確認義務等の犯罪収益移転防止法で定める措置が適切になされていない暗号資産交換業者等、犯行ツールに係る悪質な事業者について情報収集を強化し、あらゆる法令を駆使してその取締りを推進する。
(3) 被害防止対策
ア 犯人からの電話を直接受けないための対策の推進
固定電話へのナンバー・ディスプレイ、ナンバー・リクエスト(非通知着信の拒否サービス)や留守番電話設定の普及、国際電話番号を悪用した事案への対策としての国際電話の着信拒否手続の周知、迷惑電話番号からの着信拒否等の機能を有する機器の設置促進等を行い、犯人からの電話を直接受けないための対策を強力に推進する。
イ ATM設置場所での高齢者への声掛け等の実施
被害の予兆電話の発生状況等を踏まえ、金融機関等に対して、ATM設置場所での高齢者への声掛け等を求める。また、ATM周辺での不審者に対する職務質問についても、予兆電話が発生した場合に機動的に必要な体制を確保するなどして、戦略的に実施する。
ウ ATMの利用制限に係る金融機関への働き掛けの強化
ATMでの振り込みや引き出しの制限及びその基準の見直しやモニタリングによる不審な出金・送金を検知した場合における警察への速報の依頼等、金融機関に対する働き掛けを強化する。
(4) 青少年等を犯行に加担させないための取組の推進
青少年等がSNS等に掲載された高額な報酬を示唆する投稿等に安易に応募したり、友人や先輩から誘われたりして、事の重大性を認識することなく、アルバイト感覚で特殊詐欺等に加担することのないよう、青少年等に対する広報啓発等を強化する。
4 薬物対策の推進
(1) 薬物対策の重点
ア 供給の遮断
薬物を供給する薬物犯罪組織に係る情報の収集に努め、関係機関との連携の下、密輸・密売事犯の徹底検挙を図るとともに、薬物犯罪組織の人・物・金に着目した捜査を進めることにより薬物犯罪組織を壊滅し、薬物の供給、薬物犯罪収益の流れ及び資金源を遮断する。
イ 需要の根絶
薬物の需要が薬物犯罪組織の維持及び拡大を支え、また、薬物乱用が社会的に悪影響をもたらすことから、県民一人一人が薬物の有害性及び危険性に関する正しい知識や薬物犯罪の重大性に関する正しい認識を有し、かつ、薬物乱用を許さないという確固たる意志を持つことができるよう、広報啓発に努め、薬物乱用を拒絶する規範意識が確立された社会の形成を推進するとともに薬物乱用者の検挙に取り組むことにより、薬物の需要を根絶する。
(2) 薬物の密輸・密売事犯の取締り
ア 薬物犯罪組織の実態等の解明の徹底
専従班の設置等により薬物犯罪組織に対する視察内偵等を強化するとともに、上記第4に掲げる事項の徹底により、組織実態及び密輸・密売ルートの解明に努める。
イ 各種捜査手法等の積極的な活用
薬物の大量押収はもとより、薬物犯罪組織の中枢人物の検挙、重罰の獲得及び薬物犯罪収益の剝奪・移転防止に向けた捜査を実施し、薬物犯罪組織に人的及び資金的な面から打撃を与えるため、上記第6及び下記第7の7に掲げる捜査手法等を積極的に活用する。
ウ 乱用者からの突き上げ捜査の徹底
組織犯罪対策部門による取締りに加え、地域部門等による街頭活動、生活安全部門等による相談業務等各部門による様々な活動を通じて、薬物犯罪組織を支える薬物の需要を生み出している乱用者の発見、取締りに努めるとともに、乱用者を検挙した際には、突き上げ捜査を徹底する。
エ サイバー空間を利用した薬物密売事犯への対応
インターネット・ホットラインセンターからの通報やAIを用いたSNS上のサイバーパトロール等により、薬物密売に関する情報を収集し、各種法令を駆使した取締りを強化するとともに、秘匿性の高いメッセージアプリや暗号資産等、密売手口の秘匿化に対応するため、捜査手法の向上、関係部門との連携強化を図る。
(3) 薬物乱用防止対策
ア 広報啓発活動の実施
青少年等に対する薬物乱用防止教育の充実や各種キャンペーンの積極的な展開等により薬物乱用防止活動を推進するほか、マスメディア、インターネット等の様々な媒体や地域、学校等における各種行事の機会を活用するなど、対象者の年齢や環境に応じた訴求効果の高い広報啓発活動を推進する。
特に、大麻事犯については、若年層における大麻の乱用拡大が深刻化していることから、大麻乱用による危険性・有害性や、大麻の使用、所持等に係る規制の内容について、若年層の目に触れやすいSNS等のデジタルツールを活用した広報啓発活動を推進する。
イ 再乱用防止のための情報提供
警察は、乱用者やその家族が初めて接する公的機関となる場合が多い状況に鑑みて、乱用者等に対し、関係機関の相談窓口を紹介するなどして再乱用防止に資する情報を提供する。
(4) 国際的な捜査協力
ア 国際的な薬物犯罪組織を壊滅するための捜査協力の推進
共同オペレーションの実施等により国際的な薬物犯罪組織の壊滅を図るため、国際情報収集体制等を整備し、警察庁を通じ、外国の関係機関との緊密な情報交換を行い、国際的な捜査協力を推進する。
イ 薬物の密造地等における薬物対策への協力
薬物の供給の遮断と需要の根絶に国際的な貢献をするため、海外協力体制を整備し、薬物の密造地又は仕出地となっている国等の取締能力等の向上のための技術協力を推進する。
ウ 国際機関との連携
国際的な捜査その他薬物対策への協力を推進するため、警察庁を通じ、外国の関係機関との協力に加え、ICPO、国連薬物犯罪事務所(UNODC)等の国際機関との連携を図る。
(5) 関係機関及び関係団体等との協力
薬物の密輸入等に関する情報収集及び取締りを推進するため、税関、出入国在留管理庁等の関係機関及び航空事業者、港湾関係者等の関係団体等との協力関係を強化する。
また、青少年等に対する薬物乱用防止に関する活動の推進を図るため、福島県教育委員会や福島県保健福祉部等の関係機関との協力関係を強化する。
5 銃器対策の推進
(1) 銃器対策の重点
ア 犯罪組織が隠匿等する銃器摘発の強化
暴力団をはじめとする犯罪組織が組織的に管理し、又は隠匿している銃器の摘発を強化し、犯罪組織から武器を剝奪するとともに、組織の中枢の検挙に向けた突き上げ捜査を徹底し、犯罪組織の壊滅を図る。
イ 供給・流通の遮断
銃器の不正取引に関する情報収集及び国内外の関係機関等との連携を強化し、水際における密輸事犯並びに密売事犯及び密造事犯の摘発を徹底するとともに、これに関与する犯罪組織等及び密輸・密売ルートを解明し、国内外からの銃器の供給・流通を遮断する。
また、インターネットを利用した銃器密売事犯等の取締りを含め、犯罪組織のみならず、一般社会への違法銃器の拡散をも念頭に置いた取締りを強化する。
ウ 違法銃器及び銃器犯罪を拒絶する社会の形成と県民の協力の確保
県民一人一人が銃器の危険性及び反社会性に関する正しい知識を有し、かつ、違法銃器及び銃器犯罪を許さないという確固たる意志を持つことができるよう、広報啓発に努め、違法銃器及び銃器犯罪を許さない社会の形成を推進するとともに、県民からの銃器に関する情報提供等の捜査協力の確保を図る。
(2) 銃器の摘発
ア 犯罪組織による銃器の隠匿等の実態解明及び捜査の徹底等
専従班を設置するなど広範な情報収集のための体制を確立し、各種事件の被疑者、関係者等からの核心を突く情報収集活動により、犯罪組織に対する視察内偵等を強化するとともに、拳銃110番報奨制度を活用するなどあらゆる機会を活用して収集した銃器に関する情報の集約及び分析を行い、上記第4に掲げる事項を徹底することにより、犯罪組織による銃器の管理及び隠匿の実態並びに密輸・密売ルートの解明に努め、組織の中枢の検挙に向けた突き上げ捜査の徹底を図る。
イ 捜索活動の徹底による違法銃器の発見
地中拳銃検索装置等の装備資機材を有効に活用した緻密な捜索活動を徹底するとともに、波状的な捜索の実施により、違法銃器の発見に努める。
ウ 犯罪組織を壊滅するための捜査手法等の積極的な活用
犯罪組織に人的及び資金的な面から打撃を与え、犯罪組織の壊滅を図るため、上記第6及び下記第7の7に掲げる捜査手法等を積極的に活用する。
エ 国際的な捜査協力の推進
国際情報収集体制等を整備し、警察庁を通じ、外国の関係機関との緊密な情報交換を行うとともに、ICPOとの連携を図ることにより、国際的な捜査協力を推進する。
(3) 関係機関及び関係団体等との協力及び広報啓発活動
銃器の密輸入等に関する情報収集及び取締りを推進するため、税関、出入国在留管理庁等の関係機関及び航空事業者、港湾関係者等の関係団体等との協力関係を強化する。
また、マスメディア、インターネット等の様々な媒体、各種行事等の機会を活用するなどして、違法銃器及び銃器犯罪根絶のための広報啓発活動を推進する。
6 国際組織犯罪対策の推進
国際犯罪組織の多様化や犯行の世界的な展開といった状況に対応した効果的な国際組織犯罪対策を推進する。
(1) 実態解明及び取締り
国際組織犯罪対策においては、あらゆる警察活動を通じて、国際犯罪組織の活動実態、組織の運営方法及び資金獲得活動の実態をはじめ、他の犯罪組織との人的又は資金的つながり、対立・友誼関係等その組織実態の全般を解明するとともに、関係部門における情報共有及び分析を行い、組織の基盤に打撃を与えるよう、組織実態に即した効果的な取締りを重点を定めて行う。
特に、様々な犯罪インフラの存在は、不法入国・不法滞在や国際犯罪組織等が犯罪を繰り返し行うことを助長し、又は容易にするものであることから、地下銀行、偽装結婚、偽装認知、旅券・在留カード等偽造、不法就労助長等の犯罪インフラ事犯を積極的に検挙するとともに、これらの犯罪に関与するブローカーその他の国際犯罪組織の壊滅に向けた実態解明及び取締りを強化する。
また、多くの不法滞在者の存在は、国際組織犯罪等の温床ともなり得ることから、出入国在留管理庁との連携により不法滞在者の摘発を推進する。
(2) 関係行政機関等との連携
不法滞在者や不法滞在、不法就労等を組織的に助長する者に対する実効ある対策を推進するため、出入国在留管理庁及び税関はもとより、各種届出の窓口となる市区町村や法務局等関係行政機関との間で緊密な連携を図り、外国人犯罪の状況等に関する情報を共有するなど、必要な協力を行う。
また、外国人を雇用し又は雇用することが予想される企業等に対して、不法就労を防止するための気運の醸成を図るとともに、外国人労働者の適正な管理を促すよう、不法就労防止協議会、風俗環境浄化協会その他の関係団体等と連携し、不法滞在及び不法就労防止のための指導啓発活動を効果的に推進する。
さらに、関係行政機関等との連携の中で悪質な仲介事業者等に係る犯罪の端緒を認知した場合には、積極的な捜査を推進して検挙に努める。
7 犯罪収益対策の推進
犯罪組織から犯罪収益を剝奪し、その資金源を遮断するため、福島県警察犯罪収益対策推進要綱(令和4年2月25日付け達(組対、情、生企、刑総、交企、公)第60号)を踏まえ、効果的な犯罪収益対策を推進する。
(1) 疑わしい取引に関する情報の活用
犯罪収益移転防止法第13条第1項の規定により国家公安委員会から提供された情報について、組織犯罪対策課において、分析、関係部署への提供等を推進するとともに、関係部署による主体的な活用を図ることにより、組織犯罪の取締り等に積極的に活用する。
(2) 犯罪収益等に着目した取締り
令和4年12月に法定刑が引き上げられた、組織的犯罪処罰法第9条、第10条若しくは第11条又は麻薬特例法第6条若しくは第7条の規定を積極的に活用し、犯罪収益等又は薬物犯罪収益に係る犯罪の取締りを強化する。
また、各種犯罪の捜査において、組織的犯罪処罰法第13条若しくは第16条又は麻薬特例法第11条若しくは第13条の規定による犯罪収益等又は薬物犯罪収益等の没収又は追徴が適切に行われるよう証拠の収集に努めるとともに、組織的犯罪処罰法第23条第1項又は麻薬特例法第19条第3項の規定による没収保全命令の請求を積極的に行う。
さらに、組織的犯罪処罰法第22条第1項又は麻薬特例法第19条第1項の規定による没収保全命令及び組織的犯罪処罰法第42条第1項又は麻薬特例法第20条第1項の規定による追徴保全命令について、検察官による請求が円滑に行われるよう、必要な疎明資料の収集及び提供に努める。
このほか、暴力団対策法第31条の2の規定等に基づく指定暴力団の代表者等に対する損害賠償責任の追及を見据え、捜査段階から必要な証拠の収集に努める。
第8 表彰
職員の士気高揚を図り、より効果的な組織犯罪対策を推進するため、対策推進本部は、組織犯罪対策に係る功労について積極的な表彰を行う。表彰を行うに当たっては、被疑者の所属組織や地位、肩書に拘泥することなく、事件検挙に関する功労及び各種施策の推進に関する功労のみならず、犯罪組織の実態解明に関する功労、多角的な資金源対策に関する功労、適時適切な合同・共同捜査の実施に関する功労及び疑わしい取引に関する情報の積極的活用に関する功労についても、考慮するものとする。
別添
福島県警察組織犯罪対策推進本部
1 福島県警察組織犯罪対策推進本部
(1) 設置
県本部に福島県警察組織犯罪対策推進本部(以下「対策推進本部」という。)を置く。
(2) 任務
対策推進本部は、組織犯罪対策に関する情報を総合的に集約し、県警察が講ずべき対策方針を定め、その達成を図る。
(3) 構成及び運営
ア 対策推進本部は、本部長、副本部長及び本部員をもって構成し、それぞれ次に掲げる者をもって充てる。
役職 | 職名 |
本部長 | 福島県警察本部長 |
副本部長 | 刑事部長、生活安全部長 |
本部員 | 警務部長、地域部長、交通部長、警備部長、情報通信部長、首席監察官、総務監、警備監、警察学校長 |
イ 本部長は、必要があると認めるときは、本部員以外の者に対し、対策推進本部への出席を求めることができる。
ウ その他対策推進本部の運営に関して必要な事項は、本部長が定める。
2 組織犯罪対策推進幹事会
(1) 設置
対策推進本部に組織犯罪対策推進幹事会(以下「対策推進幹事会」という。)を置く。
(2) 任務
対策推進幹事会は、対策推進本部の事務を補佐する。
(3) 構成及び運営
ア 対策推進幹事会は、幹事長、副幹事長及び幹事をもって構成し、それぞれ次に掲げる者をもって充てる。
役職 | 職名 |
幹事長 | 刑事部長 |
副幹事長 | 刑事総務課長、生活安全企画課長 |
幹事 | 警務課長、会計課長、刑事部参事官、組織犯罪対策課長、地域企画課長、交通企画課長、公安課長 |
イ 幹事長は、必要があると認めるときは、幹事以外の者に対し、対策推進幹事会への出席を求めることができる。
ウ 対策推進本部の運営に関する福島県警察組織犯罪対策要綱(以下「要綱」という。)の規定は、対策推進幹事会の運営について準用する。
3 匿名・流動型犯罪グループ対策司令塔
(1) 設置
対策推進幹事会に匿名・流動型犯罪グループ対策司令塔を置き、刑事部参事官をもって充てる。
(2) 任務
匿名・流動型犯罪グループ対策司令塔は、下記4から7までの推進班の取組状況を集約し、部門横断的な情報共有、実態解明に関する事務を補佐する。
4 組織犯罪対策推進班
(1) 設置
対策推進幹事会に組織犯罪対策推進班を置く。
(2) 任務
組織犯罪対策推進班は、対策推進幹事会のうち組織犯罪対策全般に関する事務を補佐する。
(3) 構成及び運営
ア 組織犯罪対策推進班は、班長、副班長及び班員をもって構成し、それぞれ次に掲げる者をもって充てる。
役職 | 職名 |
班長 | 組織犯罪対策課長 |
副班長 | 組織犯罪対策課管理官、組織犯罪対策課指導官 |
班員 | 警務課企画第一補佐、会計課予算補佐、生活安全企画課生活安全企画補佐、少年女性安全対策課少年対策補佐、生活環境課企画指導補佐、サイバー犯罪対策課サイバー企画補佐、地域企画課地域企画補佐、刑事総務課刑事企画補佐、組織犯罪対策課企画分析補佐、組織犯罪対策課犯罪収益対策補佐、組織犯罪対策課暴力団対策補佐、組織犯罪対策課特殊詐欺対策補佐、組織犯罪対策課薬物銃器対策補佐、組織犯罪対策課国際犯罪対策補佐、交通企画課交通企画補佐、公安課課長補佐 |
イ 班長は、必要があると認めるときは、班員以外の者に対し、組織犯罪対策推進班への出席を求めることができる。
ウ 対策推進本部の運営に関する要綱の規定は、組織犯罪対策推進班の運営について準用する。
5 特殊詐欺等対策推進班
(1) 設置
対策推進幹事会に特殊詐欺等対策推進班を置く。
(2) 任務
特殊詐欺等対策推進班は、対策推進幹事会のうち特殊詐欺等に関する事務を補佐する。
(3) 構成及び運営
ア 特殊詐欺等対策推進班は、班長、副班長及び班員をもって構成し、それぞれ次に掲げる者をもって充てる。
役職 | 職名 |
班長 | 組織犯罪対策課長 |
副班長 | 組織犯罪対策課管理官、組織犯罪対策課指導官、生活安全企画課管理官 |
班員 | 総務課広報補佐、県民サービス課警察安全相談補佐、生活安全企画課犯罪抑止対策補佐、少年女性安全対策課少年対策補佐、生活環境課企画指導補佐、サイバー犯罪対策課サイバー企画補佐、地域企画課職務質問技能指導補佐、通信指令課通信企画補佐、捜査第一課強行犯補佐、捜査第二課企画指導補佐、捜査第三課企画指導補佐、組織犯罪対策課企画分析補佐、組織犯罪対策課犯罪収益対策補佐、組織犯罪対策課特殊詐欺対策補佐、組織犯罪対策課特殊詐欺特捜補佐、交通指導課交通指導取締補佐 |
イ 班長は、必要があると認めるときは、班員以外の者に対し、特殊詐欺等対策推進班への出席を求めることができる。
ウ 対策推進本部の運営に関する要綱の規定は、特殊詐欺等対策推進班の運営について準用する。
6 情報官、犯罪収益解明推進班
(1) 設置
対策推進幹事会に情報官、犯罪収益解明推進班を置く。
(2) 任務
情報官、犯罪収益解明推進班は、対策推進幹事会のうち組織犯罪に関する情報の集約、共有及び犯罪収益解明に関する事務を補佐する。
(3) 構成及び運営
ア 情報官、犯罪収益解明推進班は、班長、副班長及び班員をもって構成し、それぞれ次に掲げる者をもって充てる。
役職 | 職名 |
班長 | 組織犯罪対策課長 |
副班長 (総括情報官) | 組織犯罪対策課管理官 |
班員 (情報官) | 組織犯罪対策課企画分析補佐、組織犯罪対策課犯罪収益対策補佐、組織犯罪対策課薬物銃器対策補佐、組織犯罪対策課国際犯罪対策補佐 |
班員 (情報担当官) | 少年女性安全対策課少年対策補佐、生活環境課企画指導補佐、サイバー犯罪対策課サイバー企画補佐、地域企画課職務質問技能指導補佐、捜査第一課強行犯補佐、捜査第二課企画指導補佐、捜査第三課企画指導補佐、組織犯罪対策課暴力団対策補佐、組織犯罪対策課特殊詐欺対策補佐、組織犯罪対策課暴力犯特捜補佐、組織犯罪対策課特殊詐欺特捜補佐、組織犯罪対策課薬物銃器特捜補佐、交通指導課交通捜査指導補佐、公安課課長補佐、外事課課長補佐 |
イ 班長は、必要があると認めるときは、班員以外の者に対し、情報官、犯罪収益解明推進班への出席を求めることができる。
ウ 対策推進本部の運営に関する要綱の規定は、情報官、犯罪収益解明推進班の運営について準用する。
7 組織的窃盗・盗品流通対策推進班
(1) 設置
対策推進幹事会に組織的窃盗・盗品流通対策推進班を置く。
(2) 任務
組織的窃盗・盗品流通対策推進班は、対策推進幹事会のうち組織的窃盗・盗品流通対策に関する事務を補佐する。
(3) 構成及び運営
ア 組織的窃盗・盗品流通対策推進班は、班長、副班長及び班員をもって構成し、それぞれ次に掲げる者をもって充てる。
役職 | 職名 |
班長 | 捜査第三課長 |
副班長 | 捜査第三課指導官、生活安全企画課管理官、組織犯罪対策課管理官 |
班員 | 生活安全企画課生活安全指導補佐、生活安全企画課犯罪抑止対策補佐、地域企画課職務質問技能指導補佐、刑事総務課支援企画補佐、捜査第三課企画指導補佐、捜査第三課盗犯特捜補佐、捜査第三課組織窃盗捜査補佐、組織犯罪対策課企画分析補佐、組織犯罪対策課犯罪収益対策補佐、組織犯罪対策課国際犯罪補佐、機動捜査隊管理補佐、交通指導課交通指導取締補佐、交通機動隊管理補佐、高速道路交通警察隊管理補佐、外事課課長補佐、警備課警備隊管理補佐、機動隊管理補佐 |
イ 班長は、必要があると認めるときは、班員以外の者に対し、組織的窃盗・盗品流通対策推進班への出席を求めることができる。
ウ 対策推進本部の運営に関する要綱の規定は、組織的窃盗・盗品流通対策推進班の運営について準用する。