○災害発生時における広報体制の強化について(通達)
令和6年5月15日
達(災対、総)第315号
[原議保存期間 5年(令和12年3月31日まで)]
[有効期間 令和12年3月31日まで]
みだしのことについて、次のとおり定め、令和6年5月15日から実施することとしたので、実効が上がるよう努められたい。
なお、災害発生時における広報体制の強化について(令和5年12月20日付け達(災対)第458号)は、廃止する。
記
1 趣旨
県内において大規模な災害が発生し、総合的な災害警備の必要性が生じた場合には、緊急事態等における福島県警察の初動措置に関する訓令(平成28年県本部訓令第21号。以下「訓令」という。)により県本部警備部隊を編成することとしているが、災害発生時における広報及び情報発信については、支援部隊である広報・報道対策隊の任務と規定している。
しかしながら、近年の災害に対する国民の関心の高まり等に鑑みると、警察による災害警備活動に関する広報(以下「現場広報」という。)をより一層積極的かつ効果的に行う必要が認められるため、警察による災害警備活動に関する広報班(以下「現場広報班」という。)及び派遣部隊等に帯同する現場広報班(以下「帯同現場広報班」という。)を編成及び運用するなどして、現場広報体制の強化を図るものである。
2 現場広報班及び帯同現場広報班の編成
(1) 現場広報班の編成
ア 県内において大規模な災害が発生し、かつ、被害状況、警備部隊等の規模、予想される警察措置等に照らし、現場広報の必要性が認められる場合は、訓令に規定する広報・報道対策隊内に現場広報班を編成すること。
イ 現場広報班は、次の(ア)から(ウ)までに掲げる所属のうちから、現場広報班長(警部以上の階級又は同相当職にある者をもって充てる。)及び現場広報班員(警部以下の階級又は同相当職にある者から必要数をもって充てる。)を指名すること。
(ア) 警備部災害対策課、警備課及び機動隊
(イ) 警務部総務課
(ウ) 被災地を管轄する署(以下「被災地署」という。)その他現場広報班を編成する上で必要と認められる所属
(2) 帯同現場広報班の編成
被災地を管轄する都道府県警察(以下「被災地警察」という。)へ警備部隊等を派遣し、かつ、派遣先の被害状況、派遣部隊等の規模、予想される警察措置等に照らし現場広報の必要性が認められる場合は、帯同現場広報班を上記(1)に準じて編成するとともに、当該派遣部隊等に帯同させて被災地警察に派遣すること。
(3) 被害が広範囲にわたる場合等の編成
被害が広範囲にわたる場合等には、必要に応じて、複数の現場広報班又は帯同現場広報班(以下「現場広報班等」という。)を編成すること。
3 任務
現場広報班等は、災害現場において、被災地警察に設置された災害警備本部等の指示を受け、相互に緊密な連絡を取りつつ、警備部隊、被災地署、機動警察通信隊等との連携を確保した上で次の(1)から(5)までに掲げる事項を行う。
(1) 被災地で取材する報道機関の要望の把握
(2) 広報素材の収集
(3) 報道機関に対する広報素材の提供
(4) 被災地における取材、会見等への対応
(5) その他災害警備活動の広報に関して必要な事項
4 運用
現場広報班等は、現場広報に当たって、事前に実施の日時、場所、内容、方法等に関し、災害警備本部等に対して報告を実施するとともに、同本部等から具体的な調整、実施時の留意事項等を含めた必要な指示を受けること。
5 災害警備活動に関する広報実施上の留意事項
(1) 組織的な対応及び情報管理の徹底
災害による被害が甚大である場合等、現場広報を積極的かつ効果的に行うことが困難となることが認められるときは、上記2(1)イに掲げる所属以外の所属についても、必要な範囲で支援を行うなど、組織的な対応に努めること。
また、人的被害の数に関する情報については、都道府県が一元的に集約及び調整を行うこととされていることに留意し、人的被害の数やその具体的内容、被災者の個人情報やプライバシーに係る内容、以後の警察活動への支障を及ぼすおそれのある警備体制に関する内容等組織的管理が必要と認められる情報については、現場広報班等による広報は行わず災害警備本部等において一元的な管理を徹底し、広報の可否の判断を含め、慎重かつ適切に対応すること。
(2) 関係所属等の幹部の措置
ア 連携の確保と円滑な実施
災害対策課、警備課、機動隊及び総務課の幹部並びに被災地署の広報担当責任者(以下「関係所属等の幹部」という。)は、効果的な広報の実施に必要な事項等に関し、相互に確認し、情報の共有化を図るなど、緊密な連携を確保すること。特に、そのうち広報関係業務を担う者については、現場広報が円滑に実施されるよう報道関係者との良好な関係の構築に努めること。
イ 現場広報の重要性等に関する教養の徹底
関係所属等の幹部は、警備部隊員等として災害警備活動に従事することが想定される警察職員に対し、教養等を通じて、現場広報等の趣旨、重要性、留意事項等について平素より周知徹底を図ること。
(3) 効果的広報素材の収集及び提供
現場広報班等は、広報素材の収集及び報道機関への提供に当たって、機動警察通信隊等が撮影した映像及び保有する機材を積極的に活用するなど、効果的な実施に向けた方策を工夫・検討すること。
特に、災害に伴う立入規制や交通規制等により、報道関係者が被災地や被災地域へアクセスすることが困難なため、救出救助活動等の状況を報道関係者が取材できずに、現場広報班等が撮影した映像のみしかない場合等には、報道機関へ広報素材として、同撮影映像により積極的な提供を検討すること。
(4) 報道関係者の部隊帯同の検討
現場広報に当たっては、現場広報の趣旨に鑑み、報道機関の要望を踏まえ、報道カメラマン等の同行取材を行わせるなど、災害現場における報道関係者の部隊帯同を積極的に検討すること。ただし、部隊帯同に際しては、安全管理を図った上で、報道関係者に対して現場での活動には危険が伴うことから安全の範囲内で行動すること、安全管理については報道各社の責任において行うこと等を説明し、事故防止に配意すること。
(5) 警察庁との緊密な連携の確保
現場広報は、広く国民の注目を集め、時間的にも切迫した状況下で行われるなどの特殊性を有することから、災害警備本部等は、警察庁関係部局との緊密な連携の確保に配意した上で、特に、人的被害関連情報や反響が大きいと思料される案件等に関する広報については、事前の報告、調整、結果の報告等を確実に実施すること。
また、大規模災害発生時には、警察庁においても災害警備活動に関する広報を積極的かつ効果的に推進する必要があることから、各派遣部隊等において、高度警察情報通信基盤システム(PⅢ:ポリストリプルアイ)の画像収集機能(「災害カメラ」アプリ)及び映像伝送機能(「映像伝送」アプリ)を活用するなどして、自部隊の活動状況に係る画像・映像を送信するよう配意すること。