○警察官の術科技能向上及び健康増進について(依命通達)

令和6年5月22日

達(教、厚生)第326号

[原議保存期間 3年(令和10年3月31日まで)]

[有効期間 令和10年3月31日まで]

みだしのことについては、各所属において「術科・健康増進の日」を定め、警察官の術科技能向上及び健康増進を強力に推進することとしたので、各所属の実情に応じて実施方法を工夫するなど、実効あるものとされたい。

1 趣旨

(1) 術科技能向上

昨今、現場臨場した警察官が凶器を所持した犯人から攻撃される事案をはじめ、警察官の受傷につながる凶悪な事案が全国的に発生しており、個々の警察官には、これまで以上に高い判断能力と対処技術が求められている。このような観点から、警察術科、とりわけ総合対処法及びその基礎となる逮捕術の訓練強化が望まれるところ、各所属における取組にはばらつきがあり、全体的に見ても低調と言わざるを得ない状況にある。

警察官の受傷事案を防止するとともに、必要最小限の有形力行使により被疑者を制圧する技術は、繰り返し訓練することによってのみ養われるものであり、恒常的な訓練が必要不可欠である。

(2) 健康増進

県警察の肥満率(BMI25以上の職員の割合)は8年連続全国警察ワースト1位であり、その改善は喫緊の課題である。

活力ある豊かな社会生活を営む上で、健康を含む身体の能力はあらゆる人間活動の基礎となるものである。警察官の身体能力は、ただ単に病気ではないといった消極的、受動的なものではなく、厳しい環境にあってもこれを克服して、意欲的に職務に取り組めるような積極的、能動的なものでなければならない。そのため、警察官一人一人が自己の体力の維持向上に努めるとともに、平素から計画的にトレーニングに取り組む必要がある。

上記2つの課題を解決し、県民の負託に十分に応えられる力強い福島県警察を実現するため、各所属において「術科・健康増進の日」を定め、警察官の術科技能向上及び健康増進を強力に推進することとしたものである。

2 「術科・健康増進の日」の設定基準

(1) 対象所属

全所属とする。

(2) 実施回数

毎月4回以上を「術科・健康増進の日」と定めること。ただし、県本部庁舎内各所属については、教養課が定める日とする。

(3) 訓練メニュー

次のいずれか又は複数の訓練メニューを指定して実施すること。

ア 柔道と逮捕術

イ 剣道と逮捕術

ウ ジョギング(ウォーキング)と逮捕術

エ 所属長が定めたトレーニングと逮捕術

(4) 訓練時間

おおむね1時間とし、そのうち30分は逮捕術とする。

(5) 各訓練の内容

ア 柔道及び剣道

剣道は各種素振りと打ち込み稽古、柔道は補強運動と打ち込み稽古程度とするが、練度を高めた上でそれ以上の稽古を行うことを妨げない。

イ 逮捕術

各種さばき方、ディフェンス、制圧動作程度とする。

なお、訓練時の服装は指定しない。

3 実施上の留意事項

安全管理上、次の点について留意すること。

(1) 指導者等の確保

各訓練を実施する際は、各術科指導者の立会いの下に行うことを基本とするが、指導者不在の場合は、段位、階級等に基づいて「指導者に準ずる者」を指定し、統一した指揮の下に実施すること。

(2) 各種事故防止

ア 準備体操等の徹底

準備体操及び整理体操を確実に行い、怪我の防止を図ること。

イ 安全管理体制の確立

ジョギング等については、交通事故を防ぐとともに、体調不良者の発見、救護措置等が速やかに行われるよう、コースをあらかじめ選定し、必要により監視員を配置するなど、安全管理体制を確立して実施すること。

ウ 熱中症の予防

天候、気温、湿度、環境省及び気象庁による熱中症警戒アラート発表の有無等から実施の可否を判断するとともに、実施する場合には、十分な水分補給、訓練中の体調確認の励行、氷のうや扇風機といった身体冷却用資機材の準備等の熱中症予防対策を講じること。

4 その他

(1) 「術科・健康増進の日」の位置付け

各種術科訓練については、実戦に即した術科訓練等の推進について(令和6年3月11日付け達(教、地企)第135号)において訓練内容等を示しているが、これに基づき訓練を実施するには、一定レベルの練度を要する。

他方、「術科・健康増進の日」は、多くの警察官が、練度を要する術科訓練を行うことができる基礎体力及び基礎知識を身に付ける手段として、また、トレーニングを継続的に行うためのきっかけとして位置付けるものである。

したがって、上記通達で示した各種訓練と「術科・健康増進の日」の訓練は、基本的に性格を異にし、別個に行われるものであるが、所属の練度が向上し、高度な訓練を行うことができる場合は、上記通達で示した各種訓練を「術科・健康増進の日」に合わせて実施することや、練度によりグループ分けして実施することも可能とする。

(2) ジョギング・筋力トレーニング等の位置付け

警察術科には、柔剣道、逮捕術、拳銃操法のほか、礼式、点検、教練、体育及び救急法が含まれるが、ジョギング・筋力トレーニング等は、職務の遂行に必要な体力の向上に有益とされ、上記「体育」に位置付けられる。

(3) 福島県警察術科システムへの確実な入力

訓練参加者又は代表者等は、訓練後、確実に福島県警察WANシステム(FP-WAN)の福島県警察術科システムに実施結果を入力すること。

なお、あらかじめ入力する者(個人又は代表者の別)を指示し、二重入力が行われないよう留意すること。

(4) 健康ポイント事業への積極的参加

ジョギング(ウォーキング)を実施する際は、あらかじめベネワン健康アプリを登録し、健康ポイント事業に積極的に参加すること。

(5) 恒常的なトレーニングの励行

運動習慣がない、日常的に運動量が少ない、又は肥満(BMI25以上)に該当する警察官については、積極的に「術科・健康増進の日」のトレーニングに参加するとともに、これをきっかけとして恒常的なトレーニングに取り組むこと。

(6) 報告要領

別途連絡する。

警察官の術科技能向上及び健康増進について(依命通達)

令和6年5月22日 達(教、厚生)第326号

(令和6年5月22日施行)

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