○「福島県警察治安向上プログラム」の策定について(通達)
令和6年7月9日
達(地企、務、施、生企)第371号
[原議保存期間 5年(令和12年3月31日まで)]
[有効期間 令和12年3月31日まで]
みだしのことについては、次のとおり策定したので、実効ある施策の推進に努められたい。
記
1 趣旨
近年、県内では、刑法犯認知件数や人身交通事故発生件数が、ピーク時と比較して数値の上では大きく改善している状況がみられるものの、人口減少や少子高齢化など人口構造の変化が急速に進行しているなどの社会情勢に伴い、過疎・中山間地域で強盗等の凶悪事件が広域的に発生しているほか、都市部においても自転車盗等の街頭犯罪が増加していることに加え、全域で万引きや金属を対象とした窃盗が頻発するなど、県民が不安を感じる身近な犯罪が喫緊の課題となっている。
また、匿名・流動型犯罪グループへの対策など新たな治安上の課題や交番、駐在所等の安全対策、老朽化等の課題にも対処していく必要がある。
このような現下の治安情勢等を踏まえ、警察官が事件や事故等の現場に早期に臨場する体制を強化するなど県民の安全と安心を守るため、県警察が今後推進する施策を取りまとめた「福島県警察治安向上プログラム」を策定したものである。
2 福島県警察治安向上プログラム
別添のとおり
別添
福島県警察治安向上プログラム
令和6年7月
福島県警察本部
福島県警察治安向上プログラム
1 治安向上プログラムとは
福島県警察治安向上プログラムは、人口減少や少子高齢化の急速な進行などの社会情勢や現下の治安情勢等を踏まえ、警察官が事件や事故等の現場に早期に臨場する体制を強化するなど、県民の安全と安心を守るために、県警察が今後推し進めていく施策を取りまとめたものです。
2 治安情勢等
(1) 事件、事故の情勢
本県においては、令和5年中の刑法犯認知件数は、8,003件(前年比+1,090件)と2年連続で増加したものの、過去最多であった平成14年(36,018件)の4分の1以下まで減少しています。
また、令和5年中の人身交通事故発生件数は、2,913件(前年比+211件)と前年よりも増加したものの、過去最多であった平成13年(15,691件)の5分の1以下まで減少しているなど、数値の上では治安情勢が大きく改善している状況がみられます。
(2) 新たな治安上の課題
近年、SNS等を通じるなどした緩やかな結び付きで離合集散を繰り返すなど、そのつながりが流動的であり、また、匿名性の高い通信手段等を活用しながら役割を細分化させ、特殊詐欺や強盗等を広域的に敢行する集団(以下「匿名・流動型犯罪グループ」という。)への対策が全国的に課題となっています。
当県においても、人口減少や少子高齢化など人口構造の変化が急速に進行しているなどの社会情勢に伴い、過疎・中山間地域で強盗等の凶悪事件が広域的に発生しているほか、都市部においても自転車盗等の街頭犯罪が増加していることに加え、全域で万引きや金属を対象とした窃盗が頻発するなど、県民が不安を感じる身近な犯罪が喫緊の課題となっています。
また、なりすまし詐欺に加え、SNS型投資・ロマンス詐欺といった新たな手口の犯罪が急増しているほか、若年層における大麻の乱用拡大、サイバー空間をめぐる脅威も極めて深刻な情勢が続いています。
(3) 交番、駐在所の安全対策と老朽化等
交番、駐在所等(以下「交番等」という。)の警察官等に対する襲撃事件が全国各地で発生していることを受け、県警察では、交番等の安全確保のための取組を強化しています。
一方、県内の50か所の交番及び164か所の駐在所については、建築後30年以上経過している施設が116か所と老朽化が進んでいるほか、設置から数十年経過したことにより、現在の社会情勢、治安情勢等に照らして、必ずしも最適地に立地しているとは言い難いところもあります。
3 課題
(1) 早期臨場体制の強化
上記2(1)のとおり、本県では、過去最多だった時期に比べて事件、事故の発生は減少しているものの、事件、事故は過疎・中山間地域を含め広域的に発生しており、特に、上記2(2)記載の「匿名・流動型犯罪グループ」による凶悪事件が本県でも発生するなど、予断を許さない状況です。
こうした情勢に的確に対応するために、地域を限定することなく、警察官が事件等の現場に早期に臨場する体制を強化することが求められています。
(2) 地域住民の信頼の確保
現場臨場のほかにも、交番等の警察官による警ら等の街頭活動は、地域住民の安全と安心を守る上で大切な活動です。
交番等に警察官等に在所していてもらいたいといった地域住民の声も聞かれ、限られた人員をより効率的に運用し、地域住民の信頼を確保していく取組が重要となります。
4 対策
以下の対策等について検討を進めます。
(1) 自動車警ら隊の新設
○ 警察本部に、制服警察官がパトカーで広域的に警ら等を行う「自動車警ら隊」(仮称)の新設を検討します。
各署には現在、自動車警ら班が設置され、それぞれの署の管轄内で警ら等の活動を実施していますが、自動車警ら隊は、本部直轄としてその活動を補強するとともに、事件や事故等の現場への早期臨場、犯人の検挙などの活動に当たります。
また、自動車警ら隊は、都市部や過疎・中山間地域を問わず広域的に活動し、昼夜間通して機動力を活用した活動を行うことにより、県民の日常生活の安全と平穏を確保することとします。
○ 自動車警ら隊には、職務質問技能に秀でた警察官や、事件対応能力が特に高い警察官を選抜して配置することを検討しています。
○ 自動車警ら隊は、数年内での新設を目標として検討を進め、将来的には、方部ごとの設置を目指します。
(2) パトカーの増強、交番等機能の強化
○ 広大な福島県におけるパトロール機能を強化するため、パトカーの増強を検討します。
○ 交番等への襲撃等に備え、交番等のセキュリティ機能の強化を検討します。
○ 情報ネットワークシステム等を充実させた高機能型の交番等の設置を検討します。
(3) 交番等の弾力的運用
複数の警察官による街頭活動や現場臨場を徹底するなど現場執行力の向上と警察官等の安全を確保するため、以下のとおり、交番等の弾力的な運用について検討します。
○ 地域の情勢に応じて交番等の警察官等の勤務時間、配置人員等を柔軟に運用することを検討します。
○ 現行の居住型の駐在所に加え、所管区の治安情勢や立地環境等により、通勤型の駐在所の運用を検討します。
(4) 犯罪に強いまちづくりの推進
○ 福島県警察街頭防犯カメラ設置補助事業のほか、各市町村と連携した防犯カメラ及び街路灯等の設置による犯罪に強いまちづくりを推進します。
○ 「POLICEアプリふくしま」や「POLICEメールふくしま」など、情報発信ツールの充実を図りながら、お住まいのエリアにおける犯罪情報や地域安全情報を配信し、タイムリーな情報発信活動を推進します。
○ 関係機関・団体と連携しながら、ボランティアの活性化をはじめ、防犯ボランティア団体等との連携強化による自主防犯活動を推進します。
以上