○犯罪被害者支援公費負担制度運用要領の制定について(通達)
令和6年12月23日
達(県サ)第587号
[原議保存期間 5年(令和12年3月31日まで)]
[有効期間 令和12年3月31日まで]
みだし要領を別紙のとおり制定し、令和6年12月23日から施行することとしたので、効果的な運用に努められたい。
なお、犯罪被害者支援公費負担制度運用要領の制定について(平成31年3月20日付け達(県サ)第113号)は、廃止する。
別紙1
医療機関受診経費等の公費負担運用要領
1 趣旨
殺人、強盗、不同意性交等、傷害等の身体犯及び交通事故事件の被害者並びにその家族又は遺族(以下「犯罪被害者等」という。)は、その事件の性質上、事件を立証するための診断書等の提出及び被害事実の証明を求められる。また、性犯罪被害者は、事案そのものによる被害に加え、必要な医療行為に係る経費の負担など様々な経済的負担を強いられている状況にある。そのため、これら医療機関受診に係る経費の一部を公費負担することにより、犯罪被害者等の経済的負担の軽減を図るとともに、二次的被害の防止ひいては性犯罪被害の潜在化を防止するものである。
2 公費負担の範囲
(1) 診断書(死亡診断書を含む。)料
犯罪被害者1人につき1通分の額とする。ただし、負傷の部位により複数の医療機関で診察を要した場合は、それぞれの医療機関ごとに1通分の額とし、後日当初の診断に変更が生じた場合も同様とする。
(2) 死体検案書料
原則として遺体1体につき1通分の額とする。
(3) 診断書を取得する際に係る初診料
公的医療保険を適用したものの自己負担分に限る。ただし、性犯罪被害者については、公的医療保険の適用有無を問わず自己負担分に係る初診料
(4) 性犯罪被害者に係る医療費の一部
別表1に掲げるものとする。ただし、自己負担分に限る。
3 公費負担対象事件
別表2のとおり。ただし、上記2(3)については、平成31年4月1日以降に認知した事件とする。
4 公費負担の除外
次のいずれかに該当する場合は、原則として公費負担を行わないものとする。
(1) 犯罪被害者等と加害者との間に三親等内の親族関係(事実上婚姻関係と同様の事情にあるとき又は事実上養子縁組関係と同様の事情があるときを含む。)があるとき。ただし、犯罪行為時に親族関係が破綻していたと認められる事情があるとき、暴力継続等による支配・隷属関係にあると認められるとき又は性犯罪被害者に係る公費負担のときは、この限りでない。
(2) 犯罪被害と認められないとき。
(3) 犯罪被害者等が公費負担を希望しないとき又は加害者若しくはその関係者から費用の支払を受けたとき。
(4) その他社会通念上、公費負担することが不適切と認められるとき。
5 公費負担の手続等
(1) 診断書料、死体検案書料及び診断書を取得する際に係る初診料
イ 医療機関からの見積書等を受領したときは、署の会計課(係)(以下「署会計係」という。)又は高速道路交通警察隊の庶務係に提出するものとする。
なお、緊急時等により診断書を取得する際に係る初診料の見積書が徴取できない場合は、福島県財務規則施行通達(昭和41年6月24日付け総務部長依命通達)の規定により、執行伺書による支出手続を進めるものとする。
ウ 見積書等の提出を受けた署会計係及び高速道路交通警察隊の庶務係においては、見積書等を確認の上、対象経費の支出に関する事務手続を行うものとする。
(2) 性犯罪被害者に係る医療費の一部
ア 署長は、公費負担の対象となる事案が発生したときは、性犯罪被害者及び医療機関に対して公費負担について説明を行い、了解を得た上で、医療機関等に対して請求書を交付するとともに、執行伺書による支出手続を行うため速やかに署会計係に報告するものとする。ただし、精神疾患の診療について公費負担しようとするときは、専門的見地の必要性を判断するため、事前に電話等により県民サービス課長と協議するものとする。
イ 担当者は、医療機関からの請求書を受領したときは、公費負担の適用範囲内であることを確認した上で、速やかに署会計係に提出するものとする。
ウ 請求書の提出を受けた署会計係においては、請求書を確認の上、性犯罪被害者に係る医療費の一部負担の支出に関する事務手続を行うものとする。
(3) 手続の例外
ア 犯罪被害者等が対象経費を支払っている場合
(ア) 原則として、公費負担の対象経費については、犯罪被害者等が受診した医療機関からの請求に基づき当該医療機関へ支払うこととなるため、犯罪被害者等が既に対象経費を支払っているときは、医療機関に対して犯罪被害者等に支払額を返還することを求め、経費が返還された後に改めて医療機関から当該支出対象経費に係る請求書等の提出を受けて公費負担の支出手続をするものとする。
なお、領収書等は原本を提出させること。
イ 医療機関において対象経費のみの請求ができない場合
犯罪被害者等が支払う治療費等と当該対象経費を分けて請求ができない医療機関については、被害者が対象経費を支払ったものについて、後日当該対象経費を公費負担とするため、県民サービス課長への報告後に、上記(3)ア(イ)による手続を進めるものとする。
6 県本部への報告
署長等は、公費負担の対象となる事案を認知し、公費負担が必要と認めたときは、県民サービス課長へ事前に連絡するとともに、診断書、死体検案書及び診断書を取得する際に係る初診料の公費負担にあっては見積書等の写しを、性犯罪被害者に係る医療費の一部負担にあっては請求書の写しをそれぞれ送付するものとする。
7 予算配分
県民サービス課長は、署長等からの公費負担の対象となる事案の報告に基づき、該当署へ別途予算配分するものとする。
8 留意事項
(1) 性犯罪被害者に係る医療費の一部に係る公費負担については、診断書料の公費負担と併せて運用することができるが、公費負担の対象となる医療費については、公的医療保険を利用することにより保険者(雇用主)に被害事実を知られることを懸念する被害者の心情に鑑み、このような二次的被害を防止する観点から、公的医療保険の適用の有無にかかわらず、自己負担分を対象とすること。
なお、犯罪被害者の公的医療保険の利用を妨げるものではないこと、また、公費負担に係る診療の終了後も診療を継続する場合は、医療機関に公的医療保険の適用を申し出ることを教示し、経済的な負担軽減を図ること。
(2) 職員が犯罪被害者等に付き添い医療機関を受診する場合は、当該職員が医療機関に本制度の趣旨を説明し、見積書等を交付するなど、犯罪被害者等の負担軽減に努めること。特に性犯罪被害者が医療機関を受診するときは、初診又は再診にかかわらず、できる限り被害者に応じた適切な職員等が付き添うものとし、当該職員が被害者の状況に応じて、被害状況、負傷部位等を医師及び看護師にあらかじめ説明するなど、性犯罪被害者の精神的負担の軽減を図ること。
(3) 性犯罪被害者に対しては、県警察のカウンセリング制度を教示し、精神的負担の軽減に努めること。また、被害直後においては動揺が激しく、自身の精神状態に関心を向けることが困難な場合が多いことから、適切な時期にカウンセリングの利用希望を再確認すること。
(4) 性感染症検査は、原則として初診を受けた医療機関で実施することとし、一定期間経過した後でなければ正確な検査結果が得られない場合があるので、性犯罪被害者に対して適切な教示を行うように努め、できる限り3か月以内に本制度に係る性感染症検査を受けるよう勧めること。
(5) 医療機関が薬剤の支給を院外処方で行う場合は、当該医療機関及び当該薬局に対して本制度を説明し、それぞれから請求書を受領すること。
(6) 本制度の運用に当たっては、犯罪被害者等、医療機関等の関係者に対して説明を行う際に、誤解を与えることの無いよう言動には十分注意すること。
(7) 犯罪被害給付制度の改正に伴い、親族関係に係る支出条件が緩和されていることから、適用漏れのないように留意すること。
(8) 対象経費については、原則として1回の支出とするが、疑義がある場合は、県民サービス課長と協議すること。
別表1
公費負担ができる範囲(性犯罪被害者に係る医療費の一部)
診療項目等 | 内容 | |
1 初診料 | 時間外加算等を含む。 | |
2 再診料 | 3の診療に要する費用について公費負担する際に生じる再診料で時間外加算等を含む。 | |
3 診療に要する費用 | ||
(1) 緊急避妊 | 1回のみ | |
(2) 妊娠状態を確認するための検査 | 1回のみ | |
(3) 人工妊娠中絶 | 1回のみ(施術費用に限る。ただし、関連する入院費用等を除く。) | |
(4) 負傷に伴う医学的処置及び薬剤等の支給 | 初診時の1回のみ(性犯罪被害に係る治療行為に限る。) | |
(5) 膣洗浄 | 初診時の1回のみ | |
(6) 精液の有無に関する検査 | 初診時の1回のみ | |
(7) 性感染症検査 ア HIV感染症 イ B型肝炎 ウ クラミジア感染症 エ 淋病 オ 梅毒 | 各検査項目につき1回のみとし、1回目で診断できない場合に限り2回まで適用できる。結果確認に伴う再診料を含む。 | |
(8) 精神疾患の診療 | 県民サービス課長との事前協議の上、必要と認められた場合に限る。 | |
4 処方箋料 | 3(4)及び(8)の診療に要する費用について、公費負担する際に生じる処方箋料に限る。 | |
5 薬局等での緊急避妊薬の自費購入 | 1回のみ |
別表2
公費負担対象事件
対象経費 | 対象事件(罪種) |
・診断書料 ・死体検案書料 ・診断書を取得する際に係る初診料 | 1 身体犯 (1) 殺人罪(刑法(明治40年法律第45号)第199条の罪。未遂を含む。) (2) 強盗致傷罪(刑法第240条の罪。未遂を含む。) (3) 強盗・不同意性交等致死罪(刑法第241条第3項の罪。未遂を含む。) (4) 不同意わいせつ等致死傷罪(刑法第181条の罪。未遂を含む。) (5) 傷害致死罪(刑法第205条の罪) (6) 傷害罪(刑法第204条の罪) (7) (1)から(6)までのほか、致死又は致傷の結果が生じた結果的加重犯の事件(刑法第211条の罪を除く。) 2 交通事件関係 ひき逃げ事件(道路交通法(昭和35年法律第105号)第72条第1項前段違反に係る罪(自動車損害賠償責任保険(共済)が適用されるものを除く。)) |
性犯罪被害者に係る医療費の一部(別表1に掲げる診療項目等) | 1 強盗・不同意性交等罪(刑法241条の罪。未遂を含む。) 2 不同意性交等罪(刑法第177条の罪。未遂を含む。) 3 不同意わいせつ罪(刑法第176条の罪。未遂を含む。) 4 監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪(刑法第179条の罪。未遂を含む。) 5 不同意わいせつ致傷罪、不同意性交等致傷罪、監護者わいせつ致傷罪及び監護者性交等致傷罪(刑法第181条の罪) 6 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第4条の罪、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第60条第1項及び第2項(第34条第1項第7号に係るものに限る。)の罪、福島県青少年健全育成条例(昭和53年福島県条例第30号)第34条第1項及び第3項第2号の罪等で署長が必要と認めるもの |
様式第1号
略
様式第2号
略
様式第3号
略
様式第4号
略
別紙2
司法解剖遺体の公費搬送等運用要領
1 趣旨
県警察において取り扱う司法解剖を終了した遺体について、死者の尊厳に配慮するため、専門業者に霊きゅう車を使用しての遺体搬送及び死化粧程度の遺体修復(以下「公費搬送等」という。)に係る業務を依頼し、その経費を公費負担することによって、遺族の精神的・経済的負担の軽減を図るものである。
2 公費搬送の範囲
公費搬送は、解剖を実施した場所から遺族又は遺体の引渡しを受け、火葬埋葬を行うことを申し出た者(以下「遺族等」という。)が希望し、かつ、当該事件・事故を管轄する署長又は高速道路交通警察隊長(以下「署長等」という。)が適当と認める場所(以下「搬送先」という。)までとする。
なお、公費搬送の区間は福島県内に限り、かつ、一般道路を使用した搬送であることから、遺族等が県境を越える搬送及び高速道路等を使用した搬送を希望した場合は、その県境を越える搬送及び高速道路等を使用した経費は遺族等の負担となることを説明し、後日紛議が生じないようにすること。
また、航空機又は船舶により遺体を搬送する場合にも、県内の空港又は海港までとする。
3 公費負担等の除外
次のいずれかに該当する場合は、原則として公費搬送等を行わないものとする。
(1) 遺族等が公費搬送等を希望しないとき。
(2) 加害者又はその関係者から費用の支払を受けたとき。
(3) その他社会通念上、公費搬送等を行うことが不適切と認められるとき。
4 公費搬送等の手続
(1) 署長等は、原則として、死体の状況、現場の状況等から判断して明らかに犯罪死体と認められる遺体を解剖に付す場合は、公費搬送等事前検討票・結果報告書(別記様式)に所要の事項を記載の上、公費搬送の適否を判断し、県民サービス課長へ送付するものとする。
(2) 署長等は、公費搬送を決定した場合は、県本部が依頼した業者(以下「依頼業者」という。)に搬送開始予定時間及び搬送先等遺体搬送に関する事項を連絡するものとする。
なお、依頼業者の連絡先については、県民サービス課長が署長等に連絡するものとする。
(3) 遺体修復は、依頼業者が、依頼業者の営業所、搬送先の遺族宅、葬儀会場など適宜の場所において行うものとする。
5 県本部への報告
(1) 署長等は、公費搬送等に係る対象事件を認知し、公費搬送等を行う必要が生じたときは、県民サービス課長へ事前に連絡するものとする。
(2) 署長等は、公費搬送等が終了したことを確認した場合は、速やかに県民サービス課長へ公費搬送等事前検討票・結果報告書を送付するものとする。
6 留意事項
(1) 遺族等が公費搬送等を辞退した場合は、遺族等の意向を尊重すること。
(2) 遺族等の手配による専門業者との連絡調整により、遺族の心情に配意した遺体の引渡し等ができる場合及び交通事故事件に伴う遺体搬送等の費用が自賠責保険や任意保険の適用になる場合は、原則として本制度は適用しない。
別記様式
略
別紙3
一時避難場所等の利用経費の公費負担運用要領
1 趣旨
犯罪被害者又はその家族及び遺族(以下「犯罪被害者等」という。)は、犯罪又は犯罪に類する行為(以下「犯罪等」という。)によって、自宅が被害現場となり物理的に居住困難な場合や精神的な二次的被害を受けるおそれがある場合のほか、加害者が未検挙であるため再被害を受ける危険性があるなど、自宅に居住することが困難な場合がある。そのため、一時的に安全な居住場所を確保し、その費用を公費負担することにより、犯罪被害者等の保護及び再被害の防止を図るとともに、犯罪被害者等の精神的・経済的負担の軽減を図るものである。
2 公費負担の範囲
(1) 一時避難場所として使用できる施設は、ホテル、旅館、ウィークリーマンション等の有料宿泊施設とする。ただし、公的施設への避難が可能な場合は、公的施設を優先させるものとする。
(2) 一時避難場所等の利用経費は、ホテル等の宿泊に要する経費(消費税を含む。以下「宿泊料」という。)とし、食事代等は含まないものとする。
(3) 宿泊期間は、原則として、14日以内として実施するものとする。ただし、事件の内容及び犯罪被害者等の心情を考慮し、署長及び県本部事件主管課長(以下「署長等」という。)が必要と認めたときは、県民サービス課長と協議して宿泊期間を延長することができるものとする。
3 公費負担対象者
公費負担対象者は、次のいずれかに該当し、かつ、自ら居住場所の確保又は公的施設への避難が困難なため、一時的に居住場所を確保する必要がある犯罪被害者等とする。ただし、ストーカー・配偶者からの暴力事案に係る犯罪被害者等を除く。
(1) 福島県警察再被害防止要綱の制定について(令和4年5月27日付け達(刑総、県サ、生企、交企、公)第287号)第3の規定により、再被害防止対象者に指定された者
(2) 自宅が犯罪等の現場となった場合など物理的に居住が困難な状況となった者又は平穏な生活が阻害されるなど精神的な二次的被害を受けるおそれがある者
(3) 上記(1)及び(2)以外で、加害者が未検挙であるなどにより再被害を受けるおそれがある者
(4) 署長等が一時的に安全な居住場所を確保する必要があると認めた者
4 公費負担の除外
次のいずれかに該当する場合は、原則として公費負担を行わないものとする。
(1) 犯罪被害者等と加害者との間に三親等内の親族関係(事実上婚姻関係と同様の事情にあるとき又は事実上養子縁組関係と同様の事情があるときを含む。)があるとき。ただし、犯罪行為時に親族関係が破綻していたと認められる事情があるとき、暴力継続等による支配・隷属関係にあると認められるとき又は性犯罪被害者に係る公費負担のときは、この限りでない。
(2) 捜査上の必要から自宅の使用を禁止された被害者等の協力を確保するため、ホテルの部屋等の借り上げについて捜査費を執行するとき。
(3) その他社会通念上、公費負担することが不適切と認められるとき。
5 公費負担の手続
なお、犯罪被害者等及び一時避難施設の担当者に対しては、あらかじめ公費負担する旨を口頭で明確に伝え了解を得ること。
(2) 公費負担を決定したときは、署の会計課(係)(以下「署会計係」という。)に見積書を提出し、署会計係にあっては、見積書を確認の上、対象経費の支出に関する事務手続を行うものとする。宿泊終了後は、一時避難施設が作成した一時避難場所利用請求書(様式第3号)の提出を受け、当該請求書を確認の上、支出手続を行うものとする。
6 県本部への報告
署長等は、公費負担対象事案を認知し、公費負担を行う必要が生じたときは、県民サービス課長へ事前に連絡するものとする。
7 留意事項
(1) 署長等は、対象となる事案発生後速やかに対応できるよう、自署管内での有料宿泊施設に対する協力と連携体制を確保するとともに、協力要請を行う際には、犯罪被害者等に係る個人情報の保護に細心の注意を払うなど、後日紛議が生じないようにすること。
(2) この制度は、犯罪被害者等自らが居住する場所を確保することが困難な場合又は公的施設への避難が困難な場合の措置であることから、有料宿泊施設以外の施設の利用が可能な場合は、当該施設の利用を優先させることとなるが、本制度の適用に疑義がある場合には、県民サービス課長と協議すること。
様式第1号
略
様式第2号
略
様式第3号
略
別紙4
ハウスクリーニング費用の公費負担運用要領
1 趣旨
犯罪被害者及びその家族又は遺族(以下「犯罪被害者等」という。)は、犯罪による直接的な被害に加え、犯罪被害者が自宅において加害者から危害を加えられて負傷した場合等は、飛び散った血痕、吐しゃ物等が払拭されていない部屋の清掃費用の負担を強いられるなど、二次的な被害を受けている現状にある。そのため、これら清掃作業を専門業者に依頼し、その経費を公費負担することによって、犯罪被害者等の精神的かつ経済的な負担の軽減を図るものである。
2 公費負担の範囲
下記3の公費負担対象事件に係る自宅等(犯罪被害者の自宅又は犯罪被害者の親族が居住する家(県内に所存するものであって、原則として、継続して犯罪被害者又は犯罪被害者の遺族が居住するものに限る。)をいう。)の清掃作業(血痕、吐しゃ物、排泄物、異臭の除去等)に必要な経費とし、犯罪行為によって破損した建具、家具等の交換、修復等に要する経費は含まないものとする。
3 公費負担対象事件
公費負担対象事件は、次に掲げる罪に係る事件及び県民サービス課長がハウスクリーニング費用の公費負担を認める事件のうち平成28年4月1日以降に認知した事件とする。ただし、自宅等が犯罪被害現場となった事件に限る。
(1) 殺人罪(刑法(明治40年法律第45号)第199条の罪)(未遂を含む。)
(2) 強盗致死罪(刑法第240条後段の罪)(未遂を含む。)
(3) 強盗・不同意性交等致死罪(刑法第241条第3項の罪)
(4) 不同意わいせつ等致死罪(刑法第181条の罪(人を死亡させた場合に限る。))
(5) 逮捕等致死罪(刑法第221条の罪(人を死亡させた場合に限る。))
(6) 傷害致死罪(刑法第205条の罪)
4 公費負担の除外
次のいずれかに該当する場合は、原則として公費負担を行わないものとする。
(1) 犯罪被害者等と加害者との間に三親等内の親族関係(事実上婚姻関係と同様の事情にあるとき又は事実上養子縁組関係と同様の事情があるときを含む。)があるとき。ただし、犯罪行為時に親族関係が破綻していたと認められる事情があるとき、暴力継続等による支配・隷属関係にあると認められるとき又は性犯罪被害者に係る公費負担のときは、この限りでない。
(2) 犯罪被害者等が公費負担を希望しないとき又は加害者若しくはその関係者から費用の支払を受けたとき。
(3) 犯罪被害者等が犯罪行為を容認していたとき。
(4) その他社会通念上、公費負担を行うことが不適切と認められるとき。
5 公費負担の手続
(1) 署長は、公費負担の対象となる事件が発生したときは、犯罪被害者等に対して公費負担について説明を行い、犯罪被害者等の意向を確認した上で、公費負担の必要性を認めた場合は、ハウスクリーニング実施申請書(別記様式)に専門業者が作成した見積書を添付して、県民サービス課長に申請するものとする。
(2) 署長は、公費負担を決定したときは、県本部事件主管課長とハウスクリーニングの実施時期等について、協議するものとする。
(3) 見積書の提出を受けたときは、署の会計課(係)にあっては、見積書を確認の上、対象経費の支出に関する事務手続を行うものとする。ハウスクリーニング作業が終了したときは、当該専門業者が作成した完了届(任意様式)及び請求書の提出を受け、当該請求書を確認の上、支出手続を行うものとする。
6 県本部への報告
署長は、公費負担対象事件を認知し、公費負担を行う必要が生じたときは、県民サービス課長へ事前に連絡するものとする。
7 留意事項
(1) 本制度を犯罪被害者等に教示する際は、その後の捜査状況等も含め総合的に勘案して公費負担を決定することから、申請を行っても必ずしも支出されるとは限らないものであることを説明し、理解を得ること。
(2) ハウスクリーニングの実施に当たっては、署長が指定する職員を立ち会わせること。
(3) ハウスクリーニングの公費負担について疑義が生じた場合は、県民サービス課長と協議すること。
(4) これまでも、本要領に定める対象事件をはじめ、各種犯罪被害現場では、職員が犯罪被害者等の心情に配意し、可能な限り復元に努めた上で引渡しを行ってきたところであり、今後もこれら警察としての基本的な対応は何ら変わるものではないこと。
別記様式
略
別紙5
カウンセリング費用の公費負担運用要領
1 趣旨
この要領は、犯罪による精神的被害又は犯罪被害に起因する不安や悩み等を抱える犯罪被害者及びその家族又は遺族等(以下「犯罪被害者等」という。)の精神的・経済的負担を軽減し、ひいては犯罪被害の潜在化を防止するため、犯罪被害者等に係るカウンセリング費用の公費負担について必要な事項を定め、その適正かつ円滑な運用を図るものである。
2 公費負担の対象者
次に掲げる犯罪の犯罪被害者等を対象とする。
(1) 身体犯事件
ア 殺人罪(刑法(明治40年法律第45号)第199条。未遂を含む。)
イ 強盗致死傷罪(刑法第240条。未遂を含む。)
ウ 強盗・不同意性交等罪及び強盗・不同意性交等致死罪(刑法第241条。未遂を含む。)
エ 不同意性交等罪(刑法第177条。未遂を含む。)
オ 不同意わいせつ罪(刑法第176条。未遂を含む。)
カ 監護者わいせつ罪及び監護者性交罪(刑法第179条。未遂を含む。)
キ 不同意わいせつ等致死傷罪(刑法第181条)
ク 傷害致死罪(刑法第205条)
ケ 傷害罪(刑法第204条)のうち、被害者が全治1か月以上の重傷害を負ったもの
コ 上記以外で、致死又は致傷の結果が生じた結果的加重犯の事件のうち、被害者が全治1か月以上の重傷害を負ったもの
サ 上記アからコまでに掲げるもののほか、署長が必要と認めるもの
(2) 交通事故事件
ア ひき逃げ事件(車両等の交通による人の死傷があった場合において、道路交通法(昭和35年法律第105号)第72条第1項前段に規定する措置を講じなかった違反に係るもの)
イ 交通死亡事故
ウ 全治3か月以上の交通事故
エ 上記アからウまでに掲げるもののほか、署長又は高速道路交通警察隊長(以下「署長等」という。)が必要と認めるもの
3 公費負担の除外
次のいずれかに該当する場合は、原則として公費負担を行わないものとする。
(1) 犯罪被害者等と加害者との間に三親等内の親族関係(事実上婚姻関係と同様の事情にあるとき又は事実上養子縁組関係と同様の事情があるときを含む。)があるとき。ただし、犯罪行為時に親族関係が破綻していたと認められる事情があるとき、暴力継続等による支配・隷属関係にあると認められるとき又は性犯罪被害者に係る公費負担のときは、この限りでない。
(2) 犯罪被害と認められないとき。
(3) 犯罪被害者等が公費負担を希望しないとき又は加害者若しくはその関係者から費用の支払を受けたとき。
(4) その他社会通念上、公費負担することが不適切と認められるとき。
4 公費負担の対象となるカウンセリング
精神科医等の医師、公認心理師又は臨床心理士(犯罪被害者支援又は治療に関する研修を受けるなど、十分な知識を有する者が望ましい。以下「実施者」という。)が、犯罪被害者等の精神的被害の回復に効果があると認めた診療又はカウンセリングとする。
5 公費負担の範囲
公費負担の範囲は別表のとおりとする。ただし、自己負担分に限る。
6 公費負担の対象期間
原則として初診日より3年間を限度とする。
7 公費負担の手続
(1) 公費負担の対象となる事案を認知した署長等は、専門的見地からカウンセリングの必要性を判断するため、事前に電話等により県民サービス課長に協議するものとする。
(2) 署長等は、公費負担を決定したときは、医療機関、心理相談機関、薬局等(以下「医療機関等」という。)に対して公費負担をする旨の説明を行い、犯罪被害者等に対し、カウンセリング費用等請求書(様式第1号。以下「請求書」という。)を交付する
(3) 犯罪被害者等が医療機関等を受診するときは、初診時及び必要と認められる再診時においてできる限り被害者支援要員等が付き添い、医療機関等に対する本制度の説明、請求書の受領等を行うものとする。その際、犯罪被害者等の状況に応じて、付き添った職員が被害状況等を実施者にあらかじめ説明し、被害者本人が被害状況等を繰り返し説明することで生じる精神的負担を軽減するものとする。
(4) 担当者は、公費負担の適用範囲等を確認した上で請求書を受領し、その後速やかに所属の会計課(係)又は庶務係(以下「会計課等」という。)に提出するとともに、その写しを県民サービス課に送付するものとする。
(5) 請求書の提出を受けた会計課等においては、請求書を確認の上、支出に関する事務手続を行うものとする。
(6) 手続の例外
ア 犯罪被害者等が対象経費を支払っている場合
(ア) 原則として、公費負担の対象経費については、犯罪被害者等が受診した医療機関等からの請求に基づき当該医療機関等へ支払うこととなるため、犯罪被害者等が既に対象経費を支払っているときは、医療機関等に対して犯罪被害者等に支払額を返還することを求め、経費が返還された後に改めて医療機関等から当該支出対象経費に係る請求書等の提出を受けて公費負担の支出手続をするものとする。
なお、領収書等は原本を提出させること。
イ 医療機関等において対象経費のみの請求ができない場合
犯罪被害者等が支払う治療費等と当該対象経費を分けて請求ができない医療機関等については、被害者が対象経費を支払ったものについて、後日当該対象経費を公費負担とするため、県民サービス課長への報告後に、上記ア(イ)による手続を進めるものとする。
8 留意事項
(1) 公的医療保険の対象とならないカウンセリングに係る費用については、その全額を県費で支出するが、公的医療保険の対象となる診療を受診する場合については、保険診療として行うことを優先すること。
なお、犯罪被害者等が医療機関において公的医療保険を適用せず診療を受け、本制度による支援の終了後も医療機関において診療を継続する場合は、医療機関に公的医療保険の適用を申し出るよう教示し、その経済的負担の軽減を図ること。
(2) 犯罪被害者等に対して本制度の趣旨、公費負担の範囲等を十分に説明し、後日紛議を生じないようにすること。
(3) 公費負担対象者が少年である場合には、当該少年の保護者又はこれに代わるべき者に対しても本制度の趣旨を説明し、十分理解を得ること。
(4) 医療機関が薬剤の支給を院外処方で行う場合は、医療機関及び薬局に対して本制度を説明し、それぞれから請求書を受領すること。
(5) 犯罪被害者等から、医療機関等への通院に係る交通費に関して問合せがあった場合には、県民サービス課長と協議すること。
(6) 各署で支出する金額については、別途予算を配分するので、県民サービス課長への報告に漏れがないようにすること。
(7) 本制度は、別紙1から別紙4までに定めた各種公費負担と併せて運用できるので、誤りのないようにすること。また、本制度の運用に疑義がある場合には、県民サービス課長と協議すること。
(8) 署長等は、所属職員に対する教養を行い、本制度を周知徹底すること。
別表
公費負担の範囲
項目 | 内容 |
1 初診料 | ・ 初診料には、時間外加算等を含む。 |
2 再診料 | ・ 再診料には、時間外加算等を含む。 ・ 3の診療料について公費負担をする際に生じる再診料に限る。 |
3 診療料 | ・ 精神科専門療法に係る費用に限る。 |
4 検査料 | ・ 臨床心理・神経心理検査、血液検査に係る検査料に限る。 |
5 投薬関係費用 | ・ 3の診療料について公費負担をする際に生じる処方箋料、薬剤料等に限る。 |
6 入院費用 | ・ 精神科専門療法に係る入院の費用に限る。 |
7 カウンセリング費用 | ・ 公的医療保険の対象とならないカウンセリングに係る費用に限る。 |
8 交通費 | ・ 精神科専門療法及びカウンセリングを受ける医療機関等への通院に係る費用で、福島県内に限る。 |
様式第1号
略
様式第2号
略
様式第3号
略