○道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う交通警察の運営について(依命通達)
令和6年10月24日
達(交企、交指)第484号
[原議保存期間 10年(令和17年3月31日まで)]
[有効期間 令和17年3月31日まで]
みだしのことについては、次のとおりであるので適正な取扱いに努められたい。
記
1 趣旨
令和6年5月24日に公布された道路交通法の一部を改正する法律(令和6年法律第34号。以下「改正法」という。)附則第1項第2号に掲げる規定については、道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(令和6年政令第271号)により、令和6年11月1日から施行されることとなった。
また、改正法の施行に伴い、道路交通法施行令の一部を改正する政令(令和6年政令第272号)及び交通の方法に関する教則の一部を改正する件(令和6年国家公安委員会告示第37号)が令和6年9月4日に公布され、令和6年11月1日から施行されることから、改正規定について留意事項を示し、所期の目的を達成するため万全を期すものである。
2 今回施行される改正規定の趣旨、内容及び留意事項
別紙のとおり
別紙
(凡例)
「改正法」:道路交通法の一部を改正する法律(令和6年法律第34号)
「旧法」:改正法による改正前の道路交通法(昭和35年法律第105号)
「法」:改正法による改正後の道路交通法
「改正令」:道路交通法施行令の一部を改正する政令(令和6年政令第272号)
「令」:改正令による改正後の道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)
「規則」:福島県道路交通規則(昭和35年福島県公安委員会規則第14号)
「改正規則」:福島県道路交通規則の一部を改正する規則(令和6年福島県公安委員会規則第5号)
第1 趣旨
1 自転車の交通事故防止のための規定の整備
(1) 自転車の運転中における携帯電話使用等に関する規定の整備
旧法においては、自転車を運転する場合について、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。)を通話のために使用すること及び画像表示用装置に表示された画像を注視すること(以下「携帯電話使用等」という。)を禁止する規定が設けられていない一方、本県においては、規則において、法第71条第6号の委任を受けた公安委員会が定める運転者の遵守事項として、自転車の運転中における携帯電話使用等を禁止する規定を設けているところである。
しかし、最近の自転車をめぐる交通事故情勢に鑑み、自転車の運転中における携帯電話使用等に起因する交通事故を抑止する必要が著しく高まっていること、また、自転車の運転中における携帯電話使用等を禁止する上で地域の特性を考慮すべき理由がなくなっていることから、法において、自転車の運転中における携帯電話使用等を禁止することとされた。
(2) 自転車の酒気帯び運転等に関する規定の整備
旧法においては、自動車等を運転する場合と異なり、自転車を身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で運転する行為(以下「酒気帯び運転」という。)について不可罰とされている。
また、
〇 酒気を帯びている者で、飲酒運転をするおそれがある者に対して車両等を提供する行為
○ 飲酒運転をするおそれがある者に対して酒類を提供し、又は飲酒をすすめる行為
○ 自己の運送を要求・依頼して飲酒運転が行われている車両(トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車当該業務に従事中のものその他政令で定める自動車を除く。)に同乗する行為
といった飲酒運転を助長する行為についても、自動車等の酒気帯び運転であった場合と異なり、当該飲酒運転が自転車の酒気帯び運転であった場合は不可罰とされている。
しかし、最近の自転車をめぐる交通事故情勢に鑑み、自転車と自動車等の酒気帯び運転の取扱いに差を設ける理由がないこと等から、自転車の酒気帯び運転及びこれを助長する行為について新たに罰則の対象とされた。
2 運転の定義に関する規定の整備
いわゆるペダル付き原動機付自転車を、原動機を用いずにペダルのみを用いて人の力により走行させる行為については、旧法下においても、原動機付自転車又は自動車(以下「原動機付自転車等」という。)の「運転」に該当すると解されている。
今後、モビリティに係る開発技術の進歩等を背景に、いわゆるペダル付き原動機付自転車の一層の普及が見込まれる中で、これを利用する者に対する法の的確な施行を可能とすべく、いわゆるペダル付き原動機付自転車を、原動機を用いずペダルのみを用いて人の力により走行させる行為が、原動機付自転車等の「運転」に該当することが明確化された。
第2 内容
1 自転車の交通事故防止のための規定の整備
(1) 改正法
ア 自転車の運転中における携帯電話使用等を禁止するとともに(法第71条)、これをした者に対する罰則が創設された(法第117条の4及び第118条)。
イ 自転車の酒気帯び運転及びこれを助長する行為をした者に対する罰則が創設された(法第117条の2の2及び第117条の3の2)。
(2) 改正令
自転車の酒気帯び運転及び自転車の運転中における携帯電話使用等が自転車運転者講習の受講命令に係る危険行為に加えられた(令第41条の3)。
(3) 改正規則
自転車の運転中における携帯電話使用等を禁止する規定を削除することとした(規則第11条)。
2 運転の定義に関する規定の整備
原動機及びペダルを備えている車両については、原動機を用いることに加え、原動機を用いずペダルのみを用いて人の力により走行させる行為も、その車両の本来の用い方であり、法上、原動機付自転車等の「運転」に該当することを明確にすることとされた(法第2条)。
第3 留意事項
1 自転車の交通事故防止のための規定の整備に関する改正内容の広報啓発
自転車の交通事故防止のための規定の整備に関する改正内容に関し、自転車利用者への声かけ等による周知のみならず、酒類を提供する事業所や店舗、携帯電話事業会社等関係機関・団体等と連携した広報啓発に努めること。
2 ペダル付き原動機付自転車に係る交通事故・違反の防止対策の推進
いわゆるペダル付き原動機付自転車を、原動機を用いずペダルのみを用いて人の力により走行させる行為は原動機付自転車等の「運転」に該当し、運転に当たっては運転免許を要することやヘルメットを着用しなければならないこと、歩道通行が禁止されていること等について、販売事業者への働き掛けを行うなどして、交通ルールの周知を図るほか、これらの違反者に対しては、積極的な取締りを推進すること。
(参考資料)
○ 道路交通法の一部を改正する法律(令和6年法律第34号)の官報の写し及び新旧対照条文
○ 道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(令和6年政令第271号)の官報の写し
○ 道路交通法施行令の一部を改正する政令(令和6年政令第272号)の官報の写し及び新旧対照条文
○ 交通の方法に関する教則の一部を改正する件(令和6年国家公安委員会告示第37号)の官報の写し
○ 福島県道路交通規則の一部を改正する規則(令和6年福島県公安委員会規則第5号)の福島県報の写し及び新旧対照条文