○行政処分手配者に対する出頭命令に関する事務処理要領の制定について(通達)

令和7年3月31日

達(運免)第169号

[原議保存期間 10年(令和17年3月31日まで)]

[有効期間 令和17年3月31日まで]

みだし要領を別紙のとおり制定し、令和7年3月24日から施行することとしたので、適正に運用されたい。

なお、行政処分手配者に対する出頭命令及び運転免許証の保管に関する事務処理要領の制定について(令和2年3月23日付け達(運免)第142号)は、廃止する。

別紙

行政処分手配者に対する出頭命令に関する事務処理要領

第1 総則

1 趣旨

この事務処理要領は、道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号。以下「改正法」という。)による改正後の道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第104条の3第2項(法第107条の5第11項において準用する場合を含む。)の規定による出頭命令(以下「出頭命令」という。)等に関する事務の円滑かつ適正な処理を行うため必要な事項を定めるものとする。

2 用語の意義

この要領における用語の意義は、次に定めるとおりとする。

(1) 「処分書」とは、道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号。以下「府令」という。)別記様式第19の3の3、別記様式第19の3の4、別記様式第19の3の4の2及び別記様式第22の6の処分書をいう。

(2) 「出頭命令書」とは、府令別記様式第19の3の5及び別記様式第22の6の2の出頭命令書をいう。

(3) 「出頭命令通知書」とは、府令別記様式第19の3の6及び別記様式第22の6の3の出頭命令通知書をいう。

(4) 「行政処分手配者」とは、所在不明、不出頭などの理由により処分書の交付を受けず、警察共通基盤システムによる処分手配登録をされた行政処分未執行者をいう。

(5) 「出頭命令手配者」とは、法第104条の3第2項の規定に違反して、指定された日時・場所に出頭せず、出頭命令手配登録をされた者をいう。

(6) 「認知警察官」とは、行政処分手配者の所在を知った警察官をいう。

(7) 「署等」とは、認知警察官の所属する署(分庁舎を含む。)及び高速道路交通警察隊をいう。

(8) 「署長等」とは、署長及び高速道路交通警察隊長をいう。

(9) 「認知県警察」とは、行政処分手配者の発見場所を管轄する都道府県警察をいう。

(10) 「手配県警察」とは、処分手配登録をした都道府県警察をいう。

(11) 「住所地県警察」とは、行政処分手配者の住所地を管轄する都道府県警察をいう。

第2 行政処分手配時の運転免許課の事前措置

1 行政処分手配者名簿の作成

運転免許課は、処分手配登録をしたときは、当該行政処分手配者について、次の事項を記載した行政処分手配者名簿(様式第1号)を作成し、認知警察官からの照会に対して正確に回答することができるよう必要な整備をしておくものとする。

2 行政処分手配者名簿検索の電算化

照会に対して迅速に回答することができるようにするため、できる限り行政処分手配者名簿については電算機能による検索システムを構築するよう努めるものとする。

3 行政処分手配者名簿の引継ぎ

行政処分手配者名簿は、執務時間外においても照会に応じることができるようにするため、執務時間終了時には運転免許課当直に引き継ぐものとする。

第3 行政処分手配者発見時の措置要領(別表)

1 認知警察官の措置等

(1) 照会センターへの照会時の確認項目

認知警察官は照会センターから行政処分手配者である旨の回答を得たときは、手配年月日、手配県警察、行政処分手配者の氏名、生年月日、運転免許の保有状況、対象者が免許証を有する者である場合は免許証番号、免許情報記録個人番号カードを有する者である場合は免許情報記録番号、処分種別及び処分日数を確認するものとする。

(2) 出頭命令

ア 処分手配の内容説明と手配県警察の行政処分担当課への照会

照会センターから行政処分手配者である旨の回答があったときは、出頭命令の措置を執ることとなるが、

・処分は既に執行されている

・処分の根拠となった違反、事故を思いつかない

等の抗弁を受けたときは、運転免許課を通じ、手配県警察の行政処分担当課に照会し、

・前回処分以降の違反データ(違反日時、違反場所、違反種別及び違反点数)

・前歴回数

・累積点数

等を確認し、処分理由等を本人に説明した上で、出頭命令の措置を講じるものとする。

イ 出頭日時及び場所の指定の協議

認知警察官は、運転免許課を通じ、手配県警察の行政処分担当課と協議の上、出頭日時及び場所を指定するものとする。

なお、発見された時の行政処分手配者の現住所が、処分手配時の住所と異なる場合は、現住所及び連絡先を確認し、現住所を管轄する住所地県警察の行政処分担当課と手配県警察の行政処分担当課が協議し、出頭日時及び場所を指定することとなる。

また、手配県警察の行政処分担当課と協議した結果、出頭命令の措置を執らない場合は、免許関係手配事案発見通報書(様式第2号)により署長等を経て運転免許課長に通報するものとする。

(3) 出頭命令通知書の作成

出頭命令通知書は、法第104条の3第3項の規定により、行政処分手配者の住所地を管轄する公安委員会に対して送付することとなるが、処分手配登録をした公安委員会と住所地を管轄する公安委員会が異なる場合には、処分手配登録した公安委員会に対しても出頭命令通知書の写しを送付することから、写しを確実に作成するものとする。

(4) 事後措置

出頭命令書を交付した場合には、交付日翌日までに、出頭命令書の写し及び出頭命令通知書(写しを含む。)を署等に提出するものとする。

2 署等の措置

認知警察官から出頭命令書の写し及び出頭命令通知書(写しを含む。)を受領した署等は、運転免許課に報告の上、必要な指示を受け、

・手配県警察の行政処分担当課に対し、出頭命令通知書(手配県警察と住所地県警察が異なる場合は、出頭命令通知書の写し)

・住所地県警察の行政処分担当課に対し、出頭命令通知書(住所地県警察と手配県警察が異なる場合に限る。)

・運転免許課に対し、出頭命令書の写し

を出頭命令通知書等送付書(様式第3号)により送付するとともに、送付状況を出頭命令通知書送付状況確認簿(様式第4号)に記録しておくものとする。

3 運転免許課の措置

(1) 認知県警察の行政処分担当課としての措置

署等から報告を受けた運転免許課は、出頭命令通知書の送付等について指導するとともに、手配県警察及び住所地県警察の行政処分担当課に、行政処分手配者に出頭命令を行ったことを連絡するものとする。

(2) 住所地県警察の行政処分担当課としての出頭日時及び場所の回答

認知県又は手配県警察の行政処分担当課から行政処分手配者の出頭日時及び場所について協議を受けた場合は、次により出頭日時及び場所を指定し回答するものとする。

ア 出頭日は、原則として行政処分手配者を発見した日から20日以内の日を指定すること。

イ 出頭場所は、原則として福島運転免許センター又は郡山運転免許センターとすること。ただし、本人の利便性を考慮し、署(分庁舎を含む。)とすることもできるものとする。

(3) 手配県警察の行政処分担当課としての措置

ア 処分執行に向けた措置

認知県警察の行政処分担当課から連絡を受けた運転免許課は、速やかに処分執行の措置を講じるとともに、行政処分手配者の住所地が手配時の本県住所地と異なる場合は、行政処分手配者の出頭日時までに、住所地県警察の行政処分担当課に対し、処分執行依頼を行うなどの措置を講じるものとする。

イ 出頭命令の適切な管理

(ア) 出頭命令の措置が講じられたときは、当該出頭命令を受けた者について、出頭命令対象者名簿(様式第5号)を作成し、出頭命令に関する情報を管理するものとする。

(イ) 出頭命令対象者名簿検索の電算化

出頭命令に従わなかった者に対する措置を的確に講じることができるようにするため、できる限り出頭命令対象者名簿について電算機能による検索システムを構築するよう努めるものとする。

4 行政処分手配者出頭時の措置

(1) 処分書の交付は、あらかじめ口頭で処分の内容を告知した上で、処分を執行するものとする。

(2) 処分書を交付する際は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第82条に定める不利益処分に対する不服申立てに関する手続を書面で教示するものとする。

(3) 更新期間が到来した行政処分手配者が出頭したときは、取消処分対象者については直ちに処分を執行し、停止処分対象者については更新手続終了後に処分を執行するものとする。

5 経過措置

改正法施行前の規定により保管されている免許証又は国際運転免許証若しくは外国運転免許証の保管及び返還並びに保管証については、改正法附則第5条において従前の例による旨定められていることから、その取扱いに留意すること。

第4 出頭命令に従わなかった者に対する措置

1 過料事件の取扱い

改正法により、出頭命令に違反して指定された日時・場所に出頭しなかった場合は、10万円以下の過料に処せられる規定が新設された。

過料事件は、原則として過料に処せられるべき者の住所地の地方裁判所の管轄とされており、手続の開始は裁判所の職権によるところとなる(非訟事件手続法(平成23年法律第51号)第119条等参照)が、過料事件の全てについて裁判所が独自に職権で探知することは事実上不可能であることから、一般には、関係公務員から過料に当たる行為のあった旨の通知を受け、管轄裁判所が手続を開始することとなる。

運転免許課においては、地方裁判所との連携を密にして、出頭命令を受けた者が指定された日時・場所に出頭しなかった場合のため、連絡体制を確保しておくこと。

2 運転者管理業務への登録等

(1) 出頭命令手配登録

出頭命令を受けた者が当該出頭命令に従わず指定された日時・場所に出頭しなかったときは、運転免許課は、出頭命令手配登録を行うものとする。

(2) 出頭命令対象者名簿への追記

出頭命令対象者名簿に、出頭命令に従わず指定された日時・場所に出頭しなかった旨を追記し、出頭命令手配者の所在を知った認知警察官からの連絡に対して適切に対応することができるよう必要な整備をしておくものとする。

(3) 出頭命令手配者発見時の措置要領

出頭命令手配者の所在を知った警察官は、照会センターに確認するとともに、当該出頭命令手配者の発見場所を管轄する都道府県警察の行政処分担当課を通じ、手配県警察の行政処分担当課と協議の上、当該出頭命令手配者に対して速やかに処分が執行されるための措置を講じるものとする。

同時に手配県警察は、地方裁判所に過料事件の通知を行うなど、適切に対応するものとする。

(4) 出頭命令手配者の住所地が別にあるときの措置要領

出頭命令手配者の所在を知った場合において、出頭命令手配者の住所地を管轄する都道府県警察が手配県警察と別にあるときは、手配県警察の行政処分担当課は当該都道府県警察の行政処分担当課と協議の上、当該都道府県警察に処分執行依頼を行うなど、当該出頭命令手配者に対して速やかに処分が執行されるための措置を講じるものとする。

また、過料事件の通知は過料に処されるべき者の住所地を管轄する地方裁判所に行うとされていることから、手配県警察は出頭命令手配者の住所地を管轄する都道府県警察の行政処分担当課と連携して、適切に対応するものとする。

第5 留意事項

行政処分手配者に対する出頭命令の措置については、次の点に留意して行うものとする。

1 出頭命令をした場合は、出頭した日に行政処分を執行することとなることから、自動車等を運転しないで出頭するように教示すること。

2 行政処分手配者から、出頭命令書の交付後に、指定された日時よりも早い日時に出頭したい旨の申出があった場合には、運転免許課と協議すること。

3 出頭命令に際しては、過料が新設されたことを念頭に、当該出頭命令を受けた者に対して、出頭命令に違反して指定された日時・場所に出頭しなかった場合は過料に処される可能性がある旨明確に告知し、出頭を担保すること。

別表

行政処分手配者発見時の措置要領

画像

※1 処分手配者が処分理由に納得しない場合は、運転免許課を通じ手配県に詳細を確認すること。

※2 破線矢印については、手配都道府県警察と、住所地都道府県が異なる場合の流れ

様式第1号(第2関係)

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様式第2号(第3関係)

 略

様式第3号(第3関係)

 略

様式第4号(第3関係)

 略

様式第5号(第3関係)

 略

行政処分手配者に対する出頭命令に関する事務処理要領の制定について(通達)

令和7年3月31日 達(運免)第169号

(令和7年3月24日施行)

体系情報
交通部
沿革情報
令和7年3月31日 達(運免)第169号