○高校生に対する安全対策の推進について(依命通達)

令和7年1月16日

達(生企、交企)第5号

[原議保存期間 1年(令和8年3月31日まで)]

[有効期間 令和8年3月31日まで]

みだしのことについては、次により適正かつ効果的に推進されたい。

1 趣旨

近年、高校生を取り巻く環境については、全国的にも、依然として自転車盗難の被害となる割合が高いほか、重大な事故に直結する自転車乗用時のヘルメット着用率が低いなど、事件・事故の被害者となる側面があるほか、SNSを利用した犯罪行為者募集情報(いわゆる「闇バイト」)に対する応募等への関与や高い割合を占める自転車乗用中の携帯電話使用等運転を背景に交通事故の発生が懸念されるなど、犯罪への関与や交通事故の当事者等となる側面がある。

このような情勢においては、若年のうちに規範意識を醸成し、定着させることにより、事件・事故に被害者となり若しくは関与することを防止することが重要であることから、警察、学校等教育機関が相互連携を図り、とりわけ義務教育が終了した高校生の安全意識を向上させ、各種事件・事故の防止を推進するもの。

2 対策内容

(1) 防犯関係

ア SNS対策

少年が、SNSを利用した犯罪行為者募集情報(いわゆる「闇バイト」)に応募し、強盗事件等の犯罪に加担するほか、これに応募したことによる脅迫等の被害が発生し、警察への相談がなされているなどの現状から、SNS利用における危険性を理解させ、闇バイトへの応募等の防止を図る。

イ 自転車盗難被害防止

令和6年中の刑法犯認知件数の約7割を占める窃盗犯のうち、自転車盗の発生が約2割を占めているほか、高校生被害が45.4%、無施錠の割合が約7割を占めるなど高水準で推移しており、これらの発生状況や施錠の徹底等を理解させ、犯罪被害防止を図る。

(2) 交通安全関係

ア 自転車乗用時におけるヘルメットの着用

自転車乗用中の高校生の交通事故の割合は約3割と高い水準で推移しているものの、ヘルメット着用については、令和5年4月、道路交通法の一部改正に伴い、全ての自転車利用者の着用が努力義務化されたところ、事故当事者となった高校生のヘルメット着用率については、令和6年中9.8%と全世代の中で最低の着用率であるなど、自転車乗用中の甚大な被害を防止する効果の高いヘルメット着用の重要性を理解させ、自転車乗用中のヘルメット着用率の向上を図る。

イ 自転車乗用中の携帯電話使用等運転防止

令和6年5月24日公布に係る道路交通法の改正に伴い、令和6年11月1日から自転車乗用中における携帯電話使用等に対する罰則が整備されたこと及び自転車運転者講習の対象となる違反について、運転者の遵守事項(携帯電話等の使用禁止)違反等が追加されるなど、自転車乗用中の交通違反がもたらす危険性を理解させ、交通マナーの向上及び当該危険行為による交通事故の防止を図る。

ウ 交通違反の防止

令和6年5月24日公布に係る道路交通法の改正に伴い、令和8年5月23日までに自転車等に対する交通反則通告制度(青切符)が適用され、16歳以上の自転車等運転者による信号無視、一時不停止等、一定の違反行為が交通反則通告制度の対象となるほか、違反者の反則金の取扱いによっては刑事手続により処理されるなど、自転車乗用時における制度を理解させ、交通マナーの向上及び当該違反行為の防止を図る。

3 実施要領

(1) 実施対象

安全対策の対象については、本対策の趣旨のとおり、義務教育が終了した新入学生のほか、生徒の教育等への不安解消を図る上でも保護者等への説明も重要である。

以上のことから、実施対象については、本年3月に実施予定となる令和7年度高等学校入学者選抜に合格した者(以下「新入学生」という。)及びその保護者とする。

(2) 実施内容

実施対象に対する安全対策の必要性についての理解を求めるためには、高校が実施する新入学生と保護者等が集合する令和7年度高校合格者オリエンテーションの機会を利用した事件・事故防止の説明を実施すること。

説明の実施に当たっては、今後、警察本部から各署に新入学生分のリーフレットを配布する予定であることから、実施日に合わせて事前に各高校に配布し、これを基に説明を実施すること。

(3) 日程調整

新入学生に対しては、上記のとおり、早期の機会に実施することが重要であり、入学式前に実施されるオリエンテーションの機会を利用することが望ましいことから、高校に対する日程確認を行った上、新入学生等に対する説明時間の確保を依頼すること。

(4) 署員への教養の実施

リーフレットを活用した説明の実施者にあっては、対策の趣旨からも生活安全部門、交通部門が考えられるが、当該部門の職員に限定することなく、署の実情に応じて各課係が連携し、当日の実施者をはじめとする職員に対し、事前に本対策の必要性のほか、説明する内容について周知徹底を図ること。

4 その他留意事項

(1) 連絡担当者の設定による確実な対応

高校との連絡調整に当たっては、署と各校の担当者を設定し、担当者不在時の職員への引き継ぎ等を行うなど、対応に齟齬が生じないよう配意すること。

(2) 指導教養実施者の確保

各署管内においては、他高校との対応可能日の重複や変更等も考慮した説明実施者の確保に努めること。

(3) 実施日について

上記日程調整については、高校の入学式前に実施される生徒と保護者対象のオリエンテーションで実施することが望ましいものの、高校と警察の業務等で対応が困難な場合も考えられる。

このため、当該事情のある場合には、高校の立場も考慮し、オリエンテーションの機会に限定することなく、他の機会における対応を依頼するなど、確実な実施に努めること。

(4) その他取組の詳細について

本取組における実施要領の詳細については、別途指示する。

高校生に対する安全対策の推進について(依命通達)

令和7年1月16日 達(生企、交企)第5号

(令和7年1月16日施行)

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