○人身安全関連事案における被害者等の安全確保を最優先とした対処の徹底について(依命通達)

令和7年5月22日

達(少対)第276号

[原議保存期間 5年(令和13年3月31日まで)]

[有効期間 令和13年3月31日まで]

みだしのことについては、次の点に改めて留意の上、対応に万全を期されたい。

1 趣旨

人身の安全を早急に確保する必要の認められる事案(以下「人身安全関連事案」という。)については、認知した段階では危害が加えられる危険性や切迫性を正確に把握することが困難である一方、事態が急展開して重大事件に発展するおそれが極めて高いことから被害者やその親族等(以下「被害者等」という。)の心情により沿いつつ対応を行い、被害者等の安全確保を最優先に対処することが肝要である。

先般、神奈川県において発生した死体遺棄事件について、遺体で発見された女性やその家族から相談を受けていたにもかかわらず、結果として重大な事案に発展したことを受け、本県においても、改めて人身安全関連事案における被害者等の安全確保を最優先とした対処に万全を期すものである。

2 事案認知時における対応

人身安全関連事案のほか、事案の認知段階では人身安全関連事案該当性の判断が困難な場合であっても、事案の危険性・切迫性を組織的に評価するため、事案を認知した段階で署長及び福島県警察人身安全対処体制(以下「本部対処体制」という。)に速報すること。

また、既に把握済みの事案であっても、被害者等に危害が加えられる危険性・切迫性が高まる可能性がある事象を認知した場合については、署長及び本部対処体制に速報すること。

人身安全関連事案に係る相談等への対応に当たっては、被害者等に危害が加えられる危険性・切迫性を正確に評価するために必要があると認められるとき、事件化のための擬律判断を的確に行うため必要があると認めるときなど、生活安全部門と刑事部門の担当者が共同で聴取することとし、より的確な判断に資するため、ストーカー事案や配偶者からの暴力事案等をはじめとする恋愛感情のもつれに起因する暴力的事案に係る相談等については、その内容や相談の経緯等からみて明らかに刑罰法令に抵触せず事件性が認められない場合、危険性・切迫性が認められない場合を除き、原則として両部門の担当者が共同で聴取を行うこと。

3 被害者等の保護措置の徹底

(1) 被害者等の保護措置

被害者等に対しては、危害が加えられる危険性・切迫性に応じて、安全な場所へ速やかに避難させること、加害者との関係を完全に絶たせること等を最優先に検討し、身辺の警戒等の執り得る措置を確実に行うことにより、被害者等の保護を徹底すること。

(2) 加害者への措置

ア 人身安全関連事案の加害者に対しては、加害者に対する警告等の行政措置が犯行を阻止するのに十分な有効性を持たない場合があることから、こうした措置を優先する考え方を排除し、認知段階から事件化を検討することとし、暴行、脅迫等の外形上明白な事実がある場合は、被害申告を躊躇する場合であっても、被害者等の真意を十分に確認の上、積極的に事件化を図ること。

イ 刑事事件として立件が困難と認められる場合であっても、被害者等に危害が及ぶおそれがある事案については、速やかに加害者を呼び出し、又は必要に応じて担当者が赴くなどして事情聴取や指導警告を行うこと。

ウ ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)に基づく警告又は禁止命令等や、被害者が配偶者から暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)に基づく裁判所に対する保護命令の申し立て等が可能であることに十分に留意し、被害者等の安全確保のために執り得る法令上の措置を幅広く検討すること。

エ 加害者への対応に当たる際には、被害者等の安全が確保されているかを常に念頭に置くこと。

4 事案の継続的管理及び確実な記録化

人身安全関連事案は、事案認知から終結に至るまで長期化するものが多く、被害者等の保護等においても継続的な対応を要するものであることから、署長は危険度に応じた定期連絡の確実な実施のほか本部対処体制と緊密に連携し、被害者等の安全確保を図ること。

また、事案の認知から終結に至るまでの間、対処状況について確実に記録化し、事案の管理を徹底すること。

5 被害者の親族等との協力

被害者の中には、自身に迫っている危険を軽視するほか、現に何らかの被害を受けている場合であっても被害の届出をするか否かを決めあぐねている者や申告した被害届を取り下げようとする者も見受けられることから、可能な限り親族等に対しても被害者の置かれている状況や警察における対応状況を説明し、積極的な被害申告や避難等への協力を求めること。

また、加害者の行為が被害者の親族等にまで及ぶ可能性もあることから、その親族等に対しても警察の執り得る保護を含めた措置と被害防止の注意事項を教示するなど親族等の安全対策についても配意すること。

人身安全関連事案における被害者等の安全確保を最優先とした対処の徹底について(依命通達)

令和7年5月22日 達(少対)第276号

(令和7年5月22日施行)

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生活安全部
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令和7年5月22日 達(少対)第276号