○風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律の施行等について(通達)

令和7年6月27日

達(生環)第334号

[原議保存期間 10年(令和18年3月31日まで)]

[有効期間 令和18年3月31日まで]

みだしのことについては、次のとおりであるので、誤りのないようにされたい。

1 趣旨

本年5月28日に公布された風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律(令和7年法律第45号。以下「改正法」という。)については、風俗営業の許可に係る不許可事由の追加に係る改正規定を除き、本年6月28日から施行されることとなった。

今回施行される改正規定は、接待飲食営業に係る遵守事項等の追加、いわゆるスカウトバックに係る禁止規定の整備及び無許可営業等に対する罰則の強化に関するものである。

これに関し、改正規定の円滑な施行と改正法の施行後は、改正法により新設された規定も積極的に活用しながら、ホストクラブをはじめとする接待飲食営業に対する徹底した指導監督を通じてその業務の適正化を促進し、客の被害防止を図るほか、取締り等のあらゆる警察活動を通じてホストクラブ、スカウトグループ、性風俗店等による搾取を前提とした収益構造について情報収集・分析を徹底し、その実態を解明するとともに、悪質ホストクラブのビジネスモデルの解体及び最終的に利益を得ている実質的な責任者やグループ全体の取締り、排除等を推進を図るものである。

2 改正の趣旨、内容

別紙のとおり

別紙

(凡例)

「法」:改正法による改正後の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)

「旧法」:改正法による改正前の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)

第1 接待飲食営業に係る遵守事項等の追加(法第18条の3、第22条の2及び第53条関係)

1 趣旨

いわゆるホストクラブをはじめとする接待飲食営業において、接待を通じた客の判断力の低下や客の恋愛感情等に起因する接客従業者に優位な関係性に乗じて客に遊興又は飲食をさせ、不当な不利益を生じさせたり、料金の支払のため客を売春等に追い込んだりする状況が見られることから、このような悪質な営業行為を規制するため、接待飲食営業に係る遵守事項等に関する規定を追加することとした。

2 内容

(1) 接待飲食営業に係る遵守事項の追加(法第18条の3)

接待飲食営業を営む風俗営業者は、その営業に関し、以下に掲げる行為をしてはならないこととした。

ア 法第17条に規定する料金について、事実に相違する説明をし、又は客を誤認させるような説明をすること。

イ 客が、接客従業者に対して恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、当該接客従業者も当該客に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、以下に掲げる行為により当該客を困惑させ、それによって遊興又は飲食をさせること。

(ア) 当該客が遊興又は飲食をしなければ当該接客従業者との関係が破綻することになる旨を告げること。

(イ) 当該接客従業者がその意に反して受ける降格、配置転換その他の業務上の不利益を回避するためには、当該客が遊興又は飲食をすることが必要不可欠である旨を告げること。

ウ 客が注文その他の遊興又は飲食の提供を受ける旨の意思表示(以下「注文等」という。)をする前に遊興又は飲食の全部又は一部を提供することにより、当該客を困惑させ、それによって当該遊興をさせ、若しくはしたものとさせ、又は当該飲食をさせること。

(2) 接待飲食営業に係る禁止行為の追加(法第22条の2及び第53条)

接待飲食営業を営む者は、その営業に関し、以下に掲げる行為をしてはならないこととした。

ア 客に注文等をさせ、又は当該営業に係る料金の支払その他の財産上の給付若しくは財産の預託若しくはこれらに充てるために行われた金銭の借入れ(これと同様の経済的性質を有するものを含む。)に係る債務の弁済(以下「料金の支払等」という。)をさせる目的で、当該客を威迫して困惑させること。

イ 客に対し、威迫し、又は誘惑して、料金の支払等のために当該客が以下に掲げる行為により金銭その他の財産を得ることを要求すること。

(ア) 売春防止法(昭和31年法律第118号)その他の法令に違反する行為をすること。

(イ) 対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交類似行為等(性交類似行為をし、又は他人の性的好奇心を満たす目的で、当該他人の性器等(性器、こう門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは当該他人に自己の性器等を触らせることをいう。)をすること。

(ウ) 法第2条第6項第1号若しくは第2号又は第7項第1号の営業において異性の客に接触する役務を提供する業務に従事すること。

(エ) 性行為映像制作物への出演をすること。

(オ) 外国において売春をすること。

第2 いわゆるスカウトバックに係る禁止規定の整備(法第28条、第31条の3及び第53条関係)

1 趣旨

一部の性風俗関連特殊営業において、性交類似行為といった異性の客に接触する役務を提供する者の紹介を受けた場合に、当該営業を営む者から当該紹介をした者(いわゆる「スカウト」)等に対する紹介の対価の支払(いわゆる「スカウトバック」)が、当該営業における女性の売春を助長するものであることから、これを禁止する規定を整備することとした。

2 内容

法第2条第6項第1号若しくは第2号又は第7項第1号の営業を営む者は、異性の客に接触する役務を提供する業務に従事しようとする者の紹介を受けた場合において、当該紹介をした者又は第三者に対し、当該紹介の対価として金銭その他の財産上の利益を提供し、又は第三者をして提供させてはならないこととした。

3 改正法の施行前に受けた紹介の対価として財産上の利益を施行後に提供した場合の適用関係

法第2条第6項第1号若しくは第2号又は第7項第1号の営業を営む者が、改正法の施行前に同営業で稼働しようとする者の紹介を受けていたとしても、改正法の施行後に当該紹介の対価として財産上の利益を提供する行為が行われているのであれば、本罪が成立することに留意すること。

第3 無許可営業等に対する罰則の強化(法第49条及び第57条関係)

1 趣旨

改正法による接待飲食営業に係る規制の強化(第1)に伴い、これを免れるため、ホストクラブ等が風俗営業の許可を受けないまま違法に接待を行う業態に移行することも想定されるほか、風俗営業等は短期間で高額の売上げを得ることができており、現行の罰則では刑罰の感銘力が十分にあるとはいえない状況にあることから、無許可営業等に対する罰則を強化することとした。

2 内容

(1) 風俗営業の無許可営業等に係る法定刑の引上げ(法第49条)

以下の違反行為に係る法定刑を2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金又はこれの併科から、5年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金又はこれの併科に引き上げることとした。

ア 風俗営業の無許可営業

イ 風俗営業の許可等の不正取得

ウ 風俗営業の名義貸し

エ 風俗営業又は店舗型性風俗特殊営業若しくは無店舗型性風俗特殊営業に係る営業停止命令等違反

オ 店舗型性風俗特殊営業又は無店舗型性風俗特殊営業の禁止区域・地域営業

(2) 風俗営業の無許可営業等に係る両罰規定の引上げ(法第57条)

法人の代表者又は代理人、使用人その他の従業者が、法第49条の規定の違反行為をしたときの当該法人に対する罰金の上限額を200万円から3億円に引き上げることとした。

第4 その他

1 被害の未然防止に向けた効果的な広報啓発等の推進

接待飲食営業や性風俗関連特殊営業を営む者及びそれらの従業者等に対し、管理者講習の実施、合同説明会の開催、立入りの機会の活用等により、できる限り速やかに改正法の内容の周知を図ること。

また、改正法により新たに規制することとした悪質な営業行為は、警察において把握している悪質ホストクラブの具体的な被害実態を踏まえたものであることから、関係行政機関等と連携の上、ホストクラブ等に関心を示す可能性のある女性等に対し、被害の未然防止につながるような効果的な広報啓発を実施するとともに、支援等に向けて各種相談には真摯かつ適切に対応すること。

2 風俗営業の許可に係る不許可事由の追加(法第4条関係)に向けた許可事務の運用

改正法のうち、風俗営業の許可に係る不許可事由の追加に係る改正規定については、公布の日から起算して6月を経過した日(令和7年11月28日。以下「6月施行日」という。)から施行されるところである。同規定の運用上の留意事項等については改めて示すこととしているが、6月施行日より前になされた風俗営業の許可申請であって、6月施行日までに許可するかどうかの処分がなされていないもの(以下「未処分の申請」という。)に関する経過措置を改正法において設けていないことから、未処分の申請については6月施行日後の法の規定による申請とみなすこととなることに留意すること。

そのため、6月施行日前に風俗営業の許可申請がなされた場合には、当該申請がなされた時点で、各都道府県警察において定められた具体的な処理期間を踏まえ、

○ 6月施行日までの間に当該申請に対する処分をすることが見込まれない場合(当該申請が未処分の申請となることが見込まれる場合)は、当該申請に係る申請者は6月施行日後の法第4条第1項各号の不許可事由に該当しないことが必要になることを丁寧に説明し、トラブルの防止に努める

こととし、

○ 6月施行日までの間に当該申請に対する処分をすることが見込まれる場合(当該申請が未処分の申請となることが見込まれない場合)は、旧法第4条第1項各号の不許可事由に基づき許可するかしないかを決定することとなるが、当該申請者が6月施行日後の法第4条第1項各号のいずれかに該当する場合は、6月施行日の経過後に法第8条の規定による風俗営業の許可取消処分がなされる可能性があることを説明し、施行後のトラブル防止に努める

こと。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律の施行等について(通達…

令和7年6月27日 達(生環)第334号

(令和7年6月27日施行)

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