○接待飲食営業における広告及び宣伝の取扱いについて(依命通達)

令和7年7月2日

達(生企)第342号

[原議保存期間 5年(令和13年3月31日まで)]

[有効期間 令和13年3月31日まで]

みだしのことについては、次のとおり、運用方針等を示すので、適切に対応されたい。

1 趣旨

風俗営業における広告及び宣伝については、本来、営業者が自由に行うことができるものではあるものの、その方法如何によっては清浄な風俗環境を害するおそれがあることから、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号。以下「法」という。)第16条等による規制に基づき、これまで風俗営業者、当該営業者が営業所ごとに選任している管理者等に対する指導及び取締りが行われてきたところである。

本年5月28日に公布された風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律(令和7年法律第45号。以下「改正法」という。)において、いわゆるホストクラブをはじめとする接待飲食営業に係る遵守事項・禁止行為が新設されたところ(改正法による改正後の法第18条の3及び第22条の2)、新設された規定の趣旨を踏まえ、下記のとおり風俗営業のうち特に接待飲食営業における広告及び宣伝の規制等に係る運用方針を示すので、これを踏まえて適切に対応されたい。

2 接待飲食営業における広告及び宣伝の規制違反の該当性

接待飲食営業においては、接待により作出された歓楽的・享楽的雰囲気の影響による客の判断力の低下や、客の恋愛感情等に起因する接客従業者に優位な関係性に乗じた悪質な営業行為によって料金に関する重大なトラブル等が発生している状況が見られ、こうした悪質な営業行為を規制するため、改正法において接待飲食営業に係る遵守事項等を追加することとされたところである。

そもそも法が風俗営業を規制する目的は、歓楽的・享楽的雰囲気が無制限に拡散し、善良の風俗又は清浄な風俗環境を害することのないよう、一定の秩序付けを行うこと等にあるところ、接待飲食営業に係る広告物(常時又は一定の期間継続して公衆に表示されるものであって、看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物等に掲出され、又は表示されたもの並びにこれらに類するものをいう。以下同じ。)のうち、3に掲げるような著しく客の遊興若しくは飲食をする意欲をそそり、又は接客従業者間に過度な競争意識を生じさせ、営業に関する違法行為を助長するような歓楽的・享楽的雰囲気を過度に醸し出すものについては、料金に関する重大なトラブル等につながる歓楽的・享楽的雰囲気を営業所の外に拡散させるものである。そのため、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(令和7年7月2日付け達(生企)第341号)において、こうした内容の広告物が法第16条による規制の対象となることを明示したところである。

3 広告及び宣伝の規制違反に該当する類型

接待飲食営業においては、「ランキング制」等と称して接客従業者間で指名数、売上額等の営業成績を競わせ、営業成績上位者に表彰を行ったり、営業所内の役職を与えたりするなどして称揚する実態が見受けられるところである。そして、広告物に接客従業者の容姿と共にその営業成績を直接的に示し、若しくは推認させ、又は接客従業者間の競争を強調する文言を表示することで、客には自身が好意の感情を抱く接客従業者の営業成績を向上させるために高額の遊興又は飲食をする意欲をそそらせるとともに、接客従業者には自身の営業成績を向上させるためには違法行為をもいとわない意識を醸成させるような状態が引き起こされることとなる。

したがって、以下の(1)から(4)までのいずれかの表示に該当する広告又は宣伝を行った場合には、その態様に応じて、著しく客の遊興若しくは飲食をする意欲をそそり、又は接客従業者間に過度な競争意識を生じさせ、営業に関する違法行為を助長するような歓楽的・享楽的雰囲気を過度に醸し出すものとして、広告及び宣伝の規制違反に該当すると解される。

(1) 接客従業者の営業成績を直接的に示す文言の表示

例:「年間売上○億円突破」、「○億円プレイヤー」、「指名数No.1」、「億超え」、「億男」

(2) 営業成績に応じた役職の名称等の営業成績が上位であることを推認させる文言の表示

例:「総支配人」、「幹部補佐」、「頂点」、「winner」、「覇者」、「神」、「レジェンド」、「新人王」

(3) (1)及び(2)以外の「ランキング制」自体の存在、接客従業者間での優位性を裏付ける事実等の接客従業者間の競争を強調する文言の表示

例:「売上バトル」、「カネ」、「SNS総フォロワー数○万人」

(4) 客に対して自身が好意の感情を抱く接客従業者を応援すること等を過度にあおる文言の表示

例:「○○を推せ」、「○○に溺れろ」

4 営業所の構造及び設備の維持義務

3に掲げる表示に該当する広告物については、屋外に設置されたものが主たる形態ではあるものの、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(昭和60年国家公安委員会規則第1号)第7条は、法第4条第2項第1号の技術上の基準として、「善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと」(法第2条第1項第1号に掲げる営業の項第4号)と定めており、営業所の内部に設置された広告物であっても、善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのあるものは設置してはならないこととされている。

また、法第12条は、「風俗営業者は、営業所の構造及び設備を、法第4条第2項第1号の技術上の基準に適合するように維持しなければならない」と定めていることから、営業開始後に、営業所の内部に著しく客の遊興若しくは飲食をする意欲をそそり、又は接客従業者間に過度な競争意識を生じさせ、営業に関する違法行為を助長するような歓楽的・享楽的雰囲気を醸し出す広告物を設置した場合は、法第12条の営業所の構造及び設備の維持義務違反に該当することとなる。

5 広告及び宣伝の規制等違反を認めた場合の対応

広告及び宣伝の規制違反を認めた場合は、当該違反行為を行っている風俗営業者に対して、違反状態を是正するよう行政指導を行うこととし、当該指導に従わない場合には法第25条に基づく指示処分等を検討すること。

また、4のとおり、営業所の内部に善良の風俗等を害するおそれのある広告物を設置しないことは、風俗営業の許可をするに当たっての技術上の基準となっていることから、新規許可の申請時には営業所内にそのような広告物を設置しないよう指導するほか、営業開始後にそのような広告物の設置が判明した場合には、広告及び宣伝の規制違反を認めた場合と同様、行政指導や営業所の構造及び設備の維持義務違反による指示処分等を検討すること。

接待飲食営業における広告及び宣伝の取扱いについて(依命通達)

令和7年7月2日 達(生企)第342号

(令和7年7月2日施行)

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