○鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部改正について(依命通達)

令和7年9月30日

達(生企・生環・地企・交企・交規)第429号

[原議保存期間 5年(令和13年3月31日まで)]

[有効期間 令和13年3月31日まで]

本年4月25日に公布された鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律(令和7年法律第28号。以下「改正法」という。)については、9月1日から施行された。

また、改正法の施行に伴い、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和7年政令第255号。以下「改正令」という。)が本年7月11日に公布され、9月1日から施行された。

改正法及び改正令の主な内容及び施行に伴う運用上の留意事項は別紙のとおりであるので、事務処理上誤りのないようにされたい。

別紙

(凡例)

「改正法」:鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律(令和7年法律第28号)

「改正令」:鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和7年政令第255号)

「法」:改正法による改正後の鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)

「政令」:改正令による改正後の鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行令(平成14年政令第391号)

「銃刀法」:銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号)

「銃刀法施行令」:銃砲刀剣類所持等取締法施行令(昭和33年政令第33号)

「警職法」:警察官職執行法(昭和23年法律第136号)

「危険鳥獣」:法第2条第6項において熊その他の人の日常生活圏に出現した場合に人の生命又は身体に危害を及ぼすおそれが大きいものとして政令で定める鳥獣(政令において、ヒグマ、ツキノワグマ及びイノシシと定められている)

第1 改正法の趣旨

改正前の鳥獣保護管理法においては、住居が集合している地域又は広場、駅その他の多数の者の集合する場所(以下「住居集合地域等」という。)における銃猟等が禁じられていた。

しかし、近年、危険鳥獣による人の日常生活圏への侵入が増加していることなどを踏まえ、これらの事態に対し、より予防的かつ迅速に対処するため、一定の要件を満たす場合に、住居集合地域等よりも広い概念である人の日常生活圏において、危険鳥獣について銃猟をすることを可能とする制度が創設された。

第2 緊急銃猟(法第34条の2)

1 内容

市町村長は、危険鳥獣が、住居、広場その他の人の日常生活の用に供されている場所又は電車、自動車、船舶その他の人の日常生活の用に供されている乗物(以下「住居等」という。)に侵入していること又は侵入するおそれが大きいことを把握し、かつ、当該危険鳥獣による人の生命又は身体に対する危害を防止するための措置を緊急に講ずる必要があると認める場合において、銃器を使用した鳥獣の捕獲又は殺傷(以下「捕獲等」という。)以外の方法によっては的確かつ迅速に当該危険鳥獣の捕獲等をすることが困難であり、かつ、法第34条の4の規定による安全を確保するための措置その他の措置を講ずることにより銃猟によって人に弾丸の到達するおそれその他の人の生命又は身体に危害を及ぼすおそれがないと認めるときは、住居等又はその付近において、当該危険鳥獣について銃猟をすることができる。

2 留意事項

(1) 銃刀法との関係

ア 発射禁止違反の適用について(銃刀法第3条の13及び同法第10条第2項)

銃刀法第3条の13は公共の空間における発射の禁止について規定しており、同条各号は、同条の適用が除外される場合を定めている。また、銃刀法第10条第2項は、銃刀法第4条又は第6条の許可を受けた者による許可銃砲等の発射の禁止について規定しており、銃刀法第10条第2項各号は、同項の適用が除外される場合を定めている。

緊急銃猟は、危険鳥獣による人の生命又は身体に対する危害を防止するため、市町村長の責任において、鳥獣の管理の目的で行われる銃猟であり、有害鳥獣駆除の用途に供するための銃砲の使用に当たる。また、法第9条第1項の規定による許可に基づく鳥獣の捕獲等以外の有害鳥獣駆除に当たることから、銃刀法施行令第1条の特定有害鳥獣駆除に該当する。

したがって、緊急銃猟に該当する発射については、銃刀法第3条の13第5号に該当し、公共の空間における発射の禁止違反とはならないこと、また、銃刀法第10条第2項第3号に該当し、許可銃砲等の発射の禁止違反とはならないことに留意すること。

イ 許可銃砲等の発射時の注意義務について(銃刀法第10条第3項)

銃刀法第10条第3項は、銃砲等の所持許可者が許可銃砲等を発射する場合における人の生命、身体又は財産への危害防止に係る注意義務を定めている。

他方で、改正法では、緊急銃猟の実施主体は市町村長であり、市町村長の委託を受けて緊急銃猟を実施する者が損失の補償を行うことは適当ではないとの考えに基づき、緊急銃猟により、財産への危害が生じた場合について、市町村長は、緊急銃猟の実施のため損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失の補償をすることとされている(法第34条の6)。

これらを踏まえると、銃砲等の所持許可者がその許可銃砲等により行った発射が緊急銃猟に該当する場合には、緊急銃猟の結果として、人の財産に危害が生じた場合であっても、当該所持許可者に対し、原則として、銃刀法第10条第3項違反により行政処分を行うことは適当ではないことに留意すること。

ウ 猟銃等の用途について

上記アのとおり、緊急銃猟は有害鳥獣駆除に当たることから、緊急銃猟に使用する猟銃等には有害鳥獣駆除の用途が付されている必要があることに留意し、あらかじめ緊急銃猟の実施主体である市町村長と連携し、緊急銃猟を実施する職員又は委託されて緊急銃猟を実施する者が使用する猟銃等の所持許可の用途を確認しておくなど、適切な措置をとるよう努めること。

(2) 道路交通法の適用について

道路交通法(昭和35年法律第105号)第76条第4項第4号は、「石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること」を禁止している。

この点、緊急銃猟に該当する道路外への発射をはじめ、道路上の人又は車両等を損傷するおそれがない場合の発射は同規定に抵触しないと解される。一方、道路上の人又は車両等を損傷するおそれがないとは必ずしも言えない状況下での発射であっても、法第34条の2において、緊急銃猟は法令に基づく行為として明確に規定されたことから、緊急銃猟として発射する行為は、刑法(明治40年法律第45号)第8条及び第35条により、正当行為として、道路交通法第76条第4項第4号に係る違法性は阻却され得るものと解されることに留意すること。

第3 緊急銃猟等のための土地の立入り等(法第34条の3)

危険鳥獣は、市町村職員等が自由に出入りすることができる公道等に侵入するとは限らず、他人が所有権ないし占有権を有する土地や、障害物により銃器の使用に困難が伴う場所に侵入する場合も考えられる。

そのため、法第34条の3において、市町村長は、緊急銃猟をし、又は緊急銃猟により捕獲等した危険鳥獣の適切な処理をするために必要な限度において、その職員に命じ又は職員以外の者に委託して他人の土地に立ち入らせ、若しくは障害物を除去させることができることが定められた。

第4 安全を確保するための措置(法第34条の4)

1 通行の禁止又は制限の措置について(法第34条の4第1項)

市町村長は、緊急銃猟をしようとする場合において、緊急銃猟の実施に伴う人の生命又は身体に対する危害を防止するため必要があると認めるときは、政令で定める手続に従い、当該危害が発生するおそれのある場所の通行を禁止し、又は制限(以下「通行禁止等」という。)することができることとされているところ、当該政令で定める手続として、警察署長への通報(政令第5条第1項)等が定められている。

通報がなされた場合には、警察署長は、生活安全企画課(夜間・休日は署当直を経由して本部当直)に報告の上、通行禁止等が行われる区間の周辺道路における交通規制等、必要に応じ、所要の対応を迅速に実施すること。報告を受けた生活安全企画課は交通部等関係部門と情報を共有すること。また、市町村長が通行禁止等を行おうとする区間が複数の警察署の管内にまたがり、複数の警察署長に対して市町村長からの通報がなされた場合は、生活安全企画課は関係部門と連携の上、速やかに調整を図ること。

2 避難の指示について(法第34条の4第2項)

市町村長は、緊急銃猟をしようとする場合において、緊急銃猟の実施に伴う人の生命又は身体に対する危害を防止するため必要があると認めるときは、当該危害が発生するおそれのある地域の住民に対し、避難すべき旨を指示することができることが定められた。

第5 その他

1 市町村等との連携

緊急銃猟の実施の権限は市町村長とされており、警察は、その実施の判断の権限を有していない。

一方、これまで、市街地に熊等が出没した際には、警察は、速やかに市町村や関係機関等と連携し、地域住民等の安全確保のための避難誘導、交通規制、警戒活動等に当たるとともに、安全な場所への避難等が円滑に行われるよう、市町村等との合同訓練を行うなどしてきたが、今後、緊急銃猟が実施される場合においても、警察におけるこれらの協力に変更が生じるものではない。

したがって、緊急銃猟を実施する市町村と当該市町村を管轄する警察署との間で、緊急銃猟に係る連絡窓口をあらかじめ設定しておくなど、適切な連携が図られるよう協力体制を構築すること。

2 警察官職務執行法第4条第1項について

警察官が猟友会員等のハンターに対し、住宅街に現れた熊等を猟銃を使用して駆除するよう命じることの可否については、改正法の施行後も、対応に変更が生じるものではなく、例えば、熊等が出没して現実・具体的に危険が生じ特に急を要する状況であり、緊急銃猟で対処ができない場合などには、警職法第4条第1項を適用することが想定される。

3 生活安全企画課への報告等

緊急銃猟の実施等に関連して銃刀法上の行政処分等を検討する場合には、慎重な判断を要することから、検討段階で確実に銃砲等、刀剣類、火薬類及び危険物に係る関係統計等の報告について(依命通達)(令和7年2月14日付け達(生企)第47号)に基づき、速やかに事案の概要等を報告すること。

(参考資料)

○ 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律(令和7年法律第28号)の官報の写し及び新旧対照条文

○ 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和7年政令第255号)の官報の写し及び新旧対照条文

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鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部改正について(依命通達)

令和7年9月30日 達(生企・生環・地企・交企・交規)第429号

(令和7年9月30日施行)

体系情報
生活安全部
沿革情報
令和7年9月30日 達(生企・生環・地企・交企・交規)第429号