○捜査の基本の徹底について(依命通達)

令和7年9月10日

達(捜一、刑総)第409号

[原議保存期間 5年(令和13年3月31日まで)]

[有効期間 令和13年3月31日まで]

みだしのことについては、次のとおり捜査の基本に則った緻密かつ適正な捜査を徹底されたい。

1 趣旨

神奈川県警察において、人身安全関連事案としての相談等を受けていたにもかかわらず、行方不明となった女性が、その後に御遺体として発見されるという重大な結果が発生したことを受け、「神奈川県川崎市内におけるストーカー事案等に関する警察の対応についての検証結果等報告書」(以下「報告書」という。)が公表された。

報告書においては、人身安全関連事案に係る一連の不十分・不適切な対応等を招いた組織的・構造的な問題点の一つとして、警察署の捜査員に、犯罪現場における鑑識活動を実施し必要な証拠保全等を行うといった初動捜査を含めた捜査の基本が徹底されていなかったことが指摘されている。

具体的には、警察署の捜査員が、当直時間帯に対応した器物損壊事案への臨場に際し、鑑識用資機材を持参せず、臨場現場において当然に行うべき鑑識活動としての写真撮影や指紋採取等を行わなかったほか、目視による現場確認のみで事件性が低いと拙速に判断して、被害関係者にもその旨不適切な説明をし、さらには、臨場した捜査員から報告を受けた当直責任者もこうした現場の誤った状況判断を追認してその対応を是正しなかったなど、初動捜査が、捜査の基本を欠いた不十分・不適切なものであったと指摘されており、こうした対応が、当該器物損壊事案等の真相解明を困難にしたのみならず、特定の人身安全関連事案に係るその後の捜査が遅延する一因となっていることを重く捉え、当県警においても、次の点に特に留意しつつ、捜査の基本に則った緻密かつ適正な捜査の徹底を図るものである。

2 初動捜査の徹底

犯罪現場やその周辺、関連場所で収集できる証拠物件や証言、画像等は、時の経過とともに劣化・滅失し、また、散逸する可能性があることから、初動捜査において、時機を失することなく早期に証拠を確保することが重要である。

全ての捜査員に対し、その重要性を再認識させた上で、臨場現場において、罪名を問わず、写真撮影や指紋採取等の鑑識活動、防犯カメラ捜査等による初動捜査を迅速に展開し、必要な客観証拠を迅速に収集・保全するという基本が徹底されるようにすること。

3 被害関係者等に対する適切な対応

警察捜査は、被害者をはじめとする関係者による警察活動への理解と協力の下に成り立つものであることから、捜査に係る被害者や関係者への説明や言動に当たっては、被害者や関係者の心情に十分に配意するべきであることは言うまでもない。

拙速な評価や先入観に基づいた不適切な説明を行うなど、ひとたび誤った対応を行えば、警察捜査への信頼を損なうことにつながることを重く受け止め、全ての捜査員に対し、適正な捜査に基づき、被害関係者に寄り添いつつ適切な説明を行うことが徹底されるようにすること。

4 捜査指揮の徹底

前記2及び3も含め、捜査の基本に則りつつ、緻密かつ適正な捜査が確実に行われるためには、捜査幹部(当直責任者を含む。以下同じ。)による捜査指揮が重要である。

全ての捜査幹部において、当直時間帯を含め、捜査状況の報告を受ける際には、漫然と捜査員からの報告を追認するのではなく、収集した証拠をきめ細やかに確認して適切な評価を行うとともに、必要な初動捜査が不足している場合には追加の捜査を指示し、また、関係者への説明等の対応に不十分な点がある場合には早期是正を指示するなど、必要な捜査指揮が執られるよう徹底すること。

特に、事件性の有無に関して具体的、客観的な根拠が伴わない報告や被疑者が浮上しているにもかかわらず事件化に消極的な内容の報告がなされた場合などには、捜査幹部自ら丁寧に状況の確認を行うとともに、必要に応じて上位の幹部に指揮を仰ぐなど、きめ細やかな捜査指揮が執られるようにすること。

なお、当直時間帯等における刑事部門以外の責任者に対する指導についても遺漏のないようにすること。

5 指導・教養の徹底

捜査幹部は、報告書の内容を確実に確認するとともに、指摘されている問題点を踏まえ、改めて、捜査の基本に則った緻密かつ適正な捜査が常に行われるよう、現場捜査員等に対する指導・教養を繰り返し徹底すること。

捜査の基本の徹底について(依命通達)

令和7年9月10日 達(捜一、刑総)第409号

(令和7年9月10日施行)

体系情報
刑事部
沿革情報
令和7年9月10日 達(捜一、刑総)第409号