○個人番号カードと運転免許証の一体化等に関する運用及び留意事項について(依命通達)
令和7年8月28日
達(運免)第394号
[原議保存期間 5年(令和13年3月31日まで)]
[有効期間 令和13年3月31日まで]
みだしのことについては、次のとおり運用することとしたので、誤りのないようにされたい。
記
第1 趣旨
政府の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和3年12月24日閣議決定)において、「2024年度(令和6年度)末に(運転免許証と)マイナンバーカードとの一体化を開始」することとされた。これを受け、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号)第2条第7項に規定する個人番号カード(以下「マイナンバーカード」という。)に運転免許証(以下「免許証」という。)の情報を記録することにより、免許情報記録個人番号カード(以下「マイナ免許証」という。)が免許証としての効力を有することで運転免許保有者の利便性の向上に資するものである。
第2 運用
1 基本的な考え方
これまで、免許関係手続については、道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号。以下「改正法」という。)による改正前の道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「旧法」という。)第92条第1項の規定により、免許は、免許証を交付して行うとされており、紙の免許証を前提とした制度となっていたが、改正法による改正後の道路交通法(以下「法」という。)の施行によりマイナンバーカードと免許証の一体化(以下「マイナ一体化」という。)の運用が開始されると、当該規定を維持しつつも、運転免許保有者は免許保有状況として
・ 免許証のみ
・ マイナ免許証のみ
・ 免許証及びマイナ免許証の両方
の3パターンを希望に応じ選択することが可能となる。
マイナ一体化は、免許を受けようとする者や免許証を所持する者からの申請により、運転免許センター、警察署及び分庁舎(以下「免許センター等」という。)において、特定免許情報をマイナンバーカードに記録することによって行い、マイナンバーカードの券面には免許情報は記載しない。
また、従来、自動車等を運転するときは、免許証を携帯する必要があったところ、改正法の施行後は、免許証又はマイナ免許証のいずれかを携帯する必要がある(法第95条の2第7項)。
マイナ免許証に記録される特定免許情報は、警察官が自動車等の運転者からマイナ免許証の提示を受けた際に、その者が当該自動車等を運転するための免許を有しているかどうかを確認するために必要な情報に限られており、具体的には、以下の事項がマイナンバーカードの区分部分に記録される(同条第2項)。
・ 免許情報記録(マイナンバーカードに記録された特定免許情報に係る記録をいう。以下同じ。)の番号
・ 免許の年月日及び免許情報記録の有効期間の末日
・ 免許の種類
・ 免許の条件に係る事項
・ 申請者の写真
・ その他都道府県公安委員会が必要と認める事項
2(1)~(4)の免許関係手続において、申請者が希望する手続後の免許保有状況に応じて、一体化に伴い新たに生じる手続等は以下に示すとおりである。
なお、免許関係手続全般において、マイナンバーカードを預かる運用は行わないよう十分に留意すること。
(1) 特定免許情報の記録
マイナンバーカードに特定免許情報を記録するためには、まず、カードAP搭載システム(マイナンバーカードへのアプリケーションの搭載、削除、管理を可能とするためのシステム。以下同じ。)によりマイナンバーカードに拡張利用領域の生成を行った上で免許AP(特定免許情報及び運転経歴情報を登録するためのカードAPをいう。以下同じ。)を搭載する必要があり、免許APを搭載したマイナンバーカードに警察共通基盤システムによる運転者管理システム(以下「運転者管理システム」という。)により特定免許情報を記録することとなる。この際、マイナンバーカードの有効期間を確認した上で、券面の顔写真、申請者の顔貌及び事務処理端末の画面に表示された記録する免許情報の顔写真の同一性を確実に確認し、誤記録防止に努めること。
また、マイナンバーカードに特定免許情報の記録を行った後は、免許情報記録確認書(別記様式)を出力し、同確認書に記載された内容とマイナンバーカードの券面に記載されている内容が一致しているかを、申請者と職員が対面で確認した上で、同確認書を申請者に交付すること。
(2) 免許情報記録の書換え
マイナ免許証の免許情報記録を書き換える場合には、既に免許APは搭載されているため、免許APの搭載作業は不要である。
また、(1)の記録時と同様にマイナ免許証の名義人と申請者の同一性及びマイナ免許証の有効期間を対面で確認するとともに、申請者に対して免許情報記録確認書を交付して書き換えた免許情報記録に誤りがないかを対面で確認すること。
(3) 免許情報記録の抹消
運転免許が取り消されたときや失効したとき、運転免許の効力が停止されたとき、免許情報記録の有効期間が満了したとき、免許証及びマイナ免許証を有する者又はマイナ免許証のみを有する者が免許証のみを有する者となるときには、マイナ免許証の免許情報記録を抹消すること。
なお、カードAP搭載システムによりマイナ免許証に搭載された免許APを削除することが可能であるため、申請者の希望に応じて適切に対応すること。
(4) 免許情報記録の確認方法
ア マイナ免許証読み取りアプリ
警察庁が開発したマイナ免許証読み取りアプリがインターネット上でダウンロード可能となり、同アプリによりマイナ免許証に記録された免許情報記録を読み取ることが可能である。
なお、読み取りには一体化の手続時に設定した暗証番号が必要となる。
イ マイナポータル
3(2)アのとおり
2 従来の免許関係手続におけるマイナ免許証の運用
(1) 新規免許取得時の手続
新たに第一種運転免許の運転免許試験(以下「試験」という。)に合格した者について試験に係る免許を与える場合や法第97条の2第1項第3号又は第5号の規定による試験の一部免除の適用を受けて試験に合格した者について合格に係る免許を与える場合において、マイナ免許証の保有(マイナ免許証のみ又は免許証及びマイナ免許証の両方)を希望する者には、1(1)の特定免許情報の記録を行うこと。
なお、試験手数料徴収の前段階でマイナンバーカードの名義人と申請者の同一性及びマイナンバーカードの有効期間を確認すること。
(2) 更新時の手続
ア 経由申請以外
法第101条第6項の規定により免許証等の更新をする場合や法第101条の2第4項の規定により免許証等の更新をする場合には、申請者の免許保有状況の希望に応じて、1(1)の特定免許情報の記録、1(2)の免許情報記録の書換え又は1(3)の免許情報記録の抹消を行うこと。
また、免許証及びマイナ免許証のいずれをも有しない者の特則として、現に受けている免許についてマイナ免許証を有していた者であって、停止処分等によって、免許証及びマイナ免許証のいずれをも有しないこととなった者については、その直近において有していたマイナ免許証を引き続き有している者とみなした上で更新手続を行うことができることとされている(法第107条)ことから、そのような場合に免許情報記録の更新を行った場合には、申請者に対して更新証明書を交付すること。
なお、各種手数料徴収の前段階でマイナンバーカード(マイナ免許証)の名義人と申請者の同一性及びマイナンバーカード(マイナ免許証)の有効期間を確認すること。
イ 経由申請
住所地以外の公安委員会(以下「経由地公安委員会」という。)に対して行う免許証等の更新の申請(以下「経由申請」という。)は、これまでその対象者が免許証の更新を受けようとする者のうち当該更新を受ける日において優良運転者に該当するものに限られていたが、マイナ免許証の導入に伴い、その対象者が当該更新を受ける日において優良運転者又は一般運転者に該当するものに拡大されたことに留意するとともに、マイナ免許証を有する者から経由申請があった場合には1(2)の免許情報記録の書換えを行うこと。
なお、経由申請の際には、免許証及びマイナ免許証を有していた者がマイナ免許証のみを希望し免許証を返納する場合を除き、申請者の希望に応じて免許保有状況を変更することはできない。
また、住所地公安委員会においては、経由地公安委員会から通知された当該申請に係る情報を確認し、更新可否の判断を実施するとともに、適性検査の結果のみによっては更新可否が判断できない場合には、住所地公安委員会から申請者に対して適性検査を受けるべき旨の通知(適性検査受検通知書)を行うこと。
(3) 行政処分時等の手続
ア 免許の取消し、失効、効力の停止、仮停止等
マイナ免許証を有する者は、免許の取消し、失効、効力の停止、免許情報記録の有効期間の満了等があった場合には、速やかに、マイナ免許証を住所地公安委員会に提示して免許情報記録の抹消を受けなければならないこととされている(法第106条の4第1項)ことから、これらの場合には、1(3)の免許情報記録の抹消を行うこと。
なお、特定免許情報の記録や免許情報記録の抹消は24時間可能である。
また、旧法第104条の3の規定により、公安委員会が免許の取消し又は効力の停止に係る者の所在が不明であることその他の理由により書面の交付をすることができなかった場合において、警察官が当該書面の交付を受けていない者の所在を知ったときは、警察官はその者に対し、出頭すべき旨を命ずることができ、当該命令に係る取消し又は効力の停止に係る免許証の提出を求め、これを保管することができるとされているところ、改正法においては、免許証を物理的に保管することにより出頭を担保するという制度を廃止し、これに代替する制度として出頭命令に従わなかった場合には過料が科されることとされたことに留意すること。
イ 申請取消し及び運転経歴証明
これまでの免許証の運用では、申請による運転免許の取消しを受けた者でいわゆる下位免許を受けたい旨の申出をした者から当該免許に係る免許証の返納を受けたときには、当該申出に係る運転免許を与えることとされていたところ、改正法の施行後は、当該申出に係る運転免許を与える要件が当該免許に係る免許証の返納を受け、又は申請による運転免許の取消しの申出をした者に係る免許情報記録の抹消を行ったときとなる。ただし、その者が免許証及びマイナ免許証を有する者である場合にあっては、当該免許証の返納を受け、かつ、当該免許情報記録の抹消を行ったときに限られることに留意すること。
また、これまでの免許証の運用では、申請による運転免許の取消しを受けた者又は免許証の有効期間の更新を受けなかった者は、住所地公安委員会に対し、当該取消しを受けた日又は当該免許証に係る運転免許が失効した日前5年間の自動車等の運転に関する経歴について表示する書面(以下「運転経歴証明書」という。)を申請することができることとされていたが、改正法の施行後は、運転経歴証明書の交付のほか、自動車等の運転に関する経歴について、優良運転者、一般運転者又は違反運転者等の区分に準じた区分により示した情報(以下「運転経歴情報」という。)をその者のマイナンバーカードの区分部分に記録することを申請することが可能となる。
なお、免許証のみを有していた者のマイナンバーカードに運転経歴情報を記録することとなる場合には、1(1)の特定免許情報の記録の時と同様の対応が必要であることに留意すること。
(4) その他の手続
ア 免許保有状況の変更(更新等の契機を伴わない場合)
免許を現に受けている者のうち、当該免許について免許証のみを有する者並びに免許証及びマイナ免許証のいずれをも有しない者は、いつでも、マイナンバーカードに当該免許に係る特定免許情報を記録することを申請することができることとされており(法第95条の2第1項)、また、免許証及びマイナ免許証を有する者は、いつでも免許証を返納し、又は免許情報記録の抹消を受けることができることとされている(同条第4項又は第10項)ことから、新規手続、更新手続、効力喪失手続等の各種免許関係手続の契機を伴わずとも、申請者の免許保有状況の希望に応じて、1(1)の特定免許情報の記録又は1(3)の免許情報記録の抹消を行うとともに、必要に応じて免許証の交付又は返納の手続も行うこと。
イ 再交付
免許証の再交付の申請若しくは特定免許情報の再記録(かつてマイナ免許証を有していた者であって当該マイナ免許証に係る免許情報記録の抹消を受けることなく、新たなマイナンバーカードの交付を受けた者に対する特定免許情報の再記録をいう。)の申請又はその双方の申請を受けた場合において、申請者の免許保有状況の希望に応じて、1(1)の特定免許情報の記録又は1(3)の免許情報記録の抹消を行うこと。
また、各種手数料徴収の前段階でマイナンバーカードの名義人と申請者の同一性及びマイナンバーカードの有効期間を確認すること。
なお、マイナンバーカードを紛失して市町村に再交付申請をした後に当該マイナンバーカードを発見して、発見したマイナンバーカードに係る特定免許情報の記録の申請があった場合には、当該マイナンバーカードは再交付申請の際に失効しているため、法第95条の2第3項の規定により特定免許情報の記録ができないことから、特定免許情報記録申請書の紛失等の事情の有無欄を確認すること。
ウ 記載事項変更
マイナ免許証についての住所、氏名及び生年月日(以下「住所等」という。)に係る記載事項変更を行う場合においては、これら記載事項は法第95条の2第2項に規定する特定免許情報としてマイナンバーカードに記録する事項とされていないことから、1(2)の免許情報記録の書換えは不要であるものの、運転者管理システム上での記載事項変更登録は行う必要があるため、この際には、本人確認を徹底するとともに、運転者管理システムにおける変更後の記載事項がマイナ免許証の券面事項と齟齬がないかの確認をすること。
なお、マイナ免許証のみを有する者であって、3(1)の住所変更ワンストップサービス等を利用しているものは、記載事項変更の届出義務が免除されるが、当該サービスを利用していない者は、マイナ免許証のみを有する者であっても記載事項変更の届出義務があることに留意すること。
また、市町村においてマイナンバーカードの追記欄が満欄の状態で住所変更の申請があった場合には、転入の手続と同時にマイナンバーカードの再交付申請を受理することとなり、交付までの間は追記欄が満欄のマイナンバーカードを引き続き保有することになるが、この場合はマイナンバーカードの券面には最新の住所等が記載されないことに留意し、記載事項変更の届出があった場合には住民票の写しの提示により変更後の住所等を確認すること。
エ 条件変更
マイナ免許証を有する者が、新たに免許の条件を付し、若しくは変更し、又は運転することができる自動車の限定を付されている者が公安委員会の行う審査に合格した場合は、1(2)の免許情報記録の書換えを行うこと。
オ 併記
現に受けている免許と異なる種類の免許の試験に合格した者について、当該異なる種類の免許を与える場合において、マイナ免許証の保有(マイナ免許証のみ又は免許証及びマイナ免許証の両方)を希望する者には、当該手続前に免許証のみを有しているものは1(1)の特定免許情報の記録を、当該手続前にマイナ免許証を有しているものは1(2)の免許情報記録の書換えを行うこと。
また、当該手続前にマイナ免許証を有していた者が免許証のみの保有を希望する場合には、1(3)の免許情報記録の抹消をすること。
なお、試験手数料徴収の前段階でマイナンバーカード(マイナ免許証)の名義人と申請者の同一性及びマイナンバーカード(マイナ免許証)の有効期間を確認すること。
3 マイナ免許証により新たに享受できるサービス
(1) 住所変更ワンストップサービス等
電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成14年法律第153号)第18条第3項により、署名利用者の事前の同意があるときは、署名検証者(行政機関等)は、地方公共団体情報システム機構(以下「J-LIS」という。)から、住所等に係る情報(特定署名用電子証明書記録情報)の提供を受けることができる。
これにより、マイナ免許証のみを有する者は、免許センター等において署名用電子証明書を警察に提出するとともに、警察がJ-LISから特定署名用電子証明書記録情報を取得することについて同意することにより、最新の住所等に係る情報をJ-LISから公安委員会に対して提供させることが可能となり、免許センター等における記載事項変更の届出が不要となる。
(2) マイナポータル連携等
ア マイナポータル連携
マイナ免許証のみを有する者又は免許証及びマイナ免許証を有する者は、免許センター等において署名用電子証明書を提供した後に、政府が運営するオンラインサービスであるマイナポータルにおいても再度署名用電子証明書を提供することなどにより(マイナポータル連携)、マイナ免許証の免許情報記録を含む自身の免許情報の確認やお知らせの通知(免許情報記録の更新期間の接近等)の受領、イのオンライン講習やウの本籍のオンライン変更といったマイナポータルを通じた各種サービスを享受することが可能となる。
イ オンライン更新時講習
更新時講習については、マイナ免許証のみを有する者又は免許証及びマイナ免許証を有する者であって、運転者区分が優良運転者又は一般運転者に該当する者は、全都道府県においてマイナポータルを通したオンライン更新時講習の受講が可能となる。
ウ 本籍のオンライン変更
戸籍法の一部を改正する法律(令和元年法律第17号)により、戸籍に記載されている者から戸籍電子証明書提供用識別符号の提供を受けた行政機関は、市町村長から戸籍に係る情報(戸籍電子証明書)の提供を受けることができることとされた(改正後の戸籍法(昭和22年法律第224号)第120条の3)。
これにより、マイナ免許証のみを有する者(戸籍に掲載されている者に限る。)は、本籍の変更があった場合においてマイナポータルから戸籍情報連携システムに戸籍電子証明書の交付請求をすることにより免許センター等に来場することなく、本籍変更の届出をすることが可能となる。
第3 運用上の留意事項
マイナ一体化の運用開始は、これまで免許証のみだった免許保有状況に新たにマイナ免許証のみ、免許証及びマイナ免許証の両方の2種類が加わるものであり、運転免許保有者に大きな影響を与えるものである。特にマイナ免許証については、従来の免許証とは異なり、警察以外の機関が発行する媒体に免許情報を記録するものであることから、その取扱いには十分留意するとともに、登録誤りや紐付け誤り防止に努めること。
別記様式
略