○外国人の運転免許申請時の住所確認の厳格化等に伴う運用上の留意事項について(依命通達)

令和7年9月30日

達(運免)第423号

[原議保存期間 5年(令和13年3月31日まで)]

[有効期間 令和13年3月31日まで]

みだしのことについては、次のとおり令和7年10月1日から施行されることとなったので、事務処理上誤りのないようにされたい。

1 趣旨

令和7年9月11日に公布された道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令(令和7年内閣府令第81号。以下「改正府令」という。)及び道路交通法施行規則第17条第2項第3号イ(2)の規定に基づき、権限のある機関が発行する身分を証明する書類であって、外務省の発行する身分証明書に準ずるものとして国家公安委員会が定めるもの(令和7年国家公安委員会告示第35号。以下「新告示」という。)の趣旨及び内容については、「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令等について(通達)(令和7年9月11日付け警察庁丙運発第50号)で示されているとおりであるが、改正等の詳細な内容及びこれらに伴う運用上の留意事項について定めたものである。

2 新規の運転免許申請時の住所確認の厳格化関係

(1) 内容

ア 運転免許を受けようとする者が住民基本台帳法(昭和42年法律第81号。以下「住基法」という。)の適用を受ける者である場合に免許申請書に添付又は提示する書類について

(ア) 運転免許(以下「免許」という。)を受けようとする者(以下「免許申請者」という。)が住基法の適用を受ける外国人である場合には、住基法第30条の45の規定により同条に規定する外国人住民に係る住民票に記載することとされている事項(以下「特定事項」という。)が記載された住民票の写しの添付を求めることとされた(改正府令による改正後の道路交通法施行規則(以下「新府令」という。)第17条第2項第1号)

(イ) 免許申請者が住基法第17条第3号に規定する国外転出者(以下「国外転出者」という。)である場合には、戸籍法(昭和22年法律第224号)第10条第1項に規定する戸籍謄本等(戸籍謄本、抄本又は戸籍事項証明書。以下「戸籍謄本等」という。)及び住所を確かめるに足りる書類の添付を求めることとされた(新府令第17条第2項第1号括弧書き)

イ 免許申請者が住基法の適用を受けない者である場合には、外務省の発行する身分証明書又は新告示で定める書類(以下「外務省等発行身分証明書類」という。)の提示及び公の機関が発行した住所を確かめるに足りる書類又はこれに準ずるもの(以下「公的機関等発行住所確認書類」という。)の添付を求めるとともに、本人確認のための二点確認書類として提示を求める書類を旅券に限ることとされた(新府令第17条第2項第3号及び第9号ロ、新告示)

(2) 留意事項

ア 免許申請窓口において、申請時に添付されている住民票の写しの真偽性等を確認するとともに、添付された特定事項が記載された住民票の写しについて、記載された在留期間が申請時点で徒過していないかなど、適切なものであるか確認し、在留期間が徒過している場合には、申請者が住基法の適用を受ける者であることの確認ができないことから、有効な「特定事項が記載された住民票の写し」とは認められないことに留意すること。また、特定事項については、請求者の選択により記載しないことが可能であるため、特に免許申請者が外国人である場合には、添付が必要な住民票の写しに特定事項が記載されているか十分な確認を行うよう、職員に対する教養を適切に実施すること。

イ 国外転出者に対して添付を求める「住所を確かめるに足りる書類」とは、日本に滞在する間に生活の本拠としている場所を確かめるに足りる書類を指し、例えば、国外転出者の日本滞在中の生活の本拠たる滞在場所の証明及び証明者の住民票の写し等が考えられる。

ウ 外務省の発行する身分証明書(新府令第17条第2項第3号イ(1))としては、住所の記載がある外交官身分証明票等(外交官身分証明票、領事官身分証明票、身分証明票、国際機関職員身分証明票をいう。以下同じ。)が存在するところ、この場合については、外務省発行身分証明書類として提示した同書類の写しを申請書に添付することで公的機関等発行住所確認書類の添付として差し支えない。ただし、事務所住所が記載されている外交官身分証明票等は住所確認書類とならず、この場合は、駐日外国公館及び駐日国際機関を含む、公の機関が発行した免許申請者の住所を確かめるに足りる書類の添付が必要となることに留意すること。

エ 新告示で定める書類は、

① 出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)別表第1の1の表の外交又は公用の在留資格が表示されている上陸許可の証印(入管法第9条第1項に規定する上陸許可の証印をいう。以下同じ。)をされた書類

② 在留資格認定証明書(入管法第7条の2第1項に規定する在留資格認定証明書をいう。以下同じ。)

③ 日本国領事官等(入管法第2条第4号に規定する日本国領事官等をいう。)の査証を受け、及び上陸許可の証印(在留資格認定証明書の交付を受けることができる在留資格が表示されているものに限る。)をされた書類

④ 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和35年条約第7号)第9条第3項(a)に掲げる身分証明書

である。

(ア) ①~④の書類は、例示ではなく限定列挙であることに留意すること。

(イ) ①については、公用の在留資格の者及び短期間のみ我が国に滞在する外交官を主な対象として、当該在留資格が表示されている証印(通常は外交旅券又は公用旅券に貼付される。)を確認するものである。

なお、我が国は相当数の国に対して、外交査証及び公用査証の相互免除を実施しており、外交又は公用の証印をされた旅券については、必ずしも、外交又は公用の査証を受けていない場合があるが、これらの査証がなくとも①に該当する場合には、要件を満たすものであることに留意すること。

(ウ) ②については、入管法の規定により、入管法別表第一及び第二に列挙される在留資格のうち、「短期滞在」及び「永住者」の者には発行されない。したがって、在留資格が短期滞在の者について、新府令及び新告示においては、改正前の道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号)とは異なり、新規の免許申請時に提示又は添付することができる書類がなく免許申請に当たっての形式的な要件を欠くこととなることに留意すること。

なお、在留資格が永住者である者については、住基法の適用を受ける者であるため、特定事項の記載された住民票の写しの添付を求めることとなる。

また、②については、電子交付が認められていることから、電磁的媒体の提示となる場合もあることに留意すること。

(エ) ③についても、(ウ)に記載のとおり、上陸許可の証印に表示されている在留資格が「短期滞在」の場合は、免許申請に当たっての形式的な要件を欠くこととなることに留意すること。

オ 本改正等により、免許申請者が住基法の適用を受けない者である場合に、免許申請書に添付又は提示させ、確認すべき書類について、大幅な変更があることから、各書類に記載の免許申請者の人定事項、住所、在留資格及び在留期間等の確認方法や各書類の真贋の判定方法について、担当者に対し適切な指導教養を実施すること。特に、公的機関等発行住所確認書類に係る発行主体が公的機関に「準ずる」ものであるか判断しかねる場合は、当該免許申請者の在留資格等も含め、その内容を速やかに運転免許課に報告すること。

カ 身分確認書類として、①又は③に基づき旅券に貼付された上陸許可の証印を提示した者については、本人確認のための二点確認書類としての旅券の提示も、当該証印が貼付された免許申請者の旅券の提示により、兼ねることができることに留意すること。

キ 本改正等の対象となる新規の免許申請については、仮免許に係る申請を含むことに留意すること。

3 併記免許の申請時の住所確認の厳格化関係

(1) 内容

免許申請者が受けようとする免許の種類と異なる種類の免許を現に受けている場合、新たに受けようとする免許(以下「併記免許」という。)の申請時に添付又は提示する書類について、当該免許申請者が住基法の適用を受ける外国人である場合であって、道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第95条の2第4項に規定する免許情報記録個人番号カード(以下「免許情報記録個人番号カード」という。)を提示しないときは、特定事項が記載された住民票の写しの添付を求めることとし、当該免許申請者が住基法の適用を受けない者であるときは、外務省等発行身分証明書類の提示及び公的機関等発行住所確認書類の添付を求めることとされた。

なお、当該免許申請者が日本人の場合は、従前のとおり、現に受けている免許に係る免許証を提示すれば、住民票の写し等の添付は不要である(新府令第17条第3項及び第4項)

(2) 留意事項

ア 本手続に係る改正の趣旨は、新府令において、新規の免許申請時には、提示又は添付を求める書類により、免許申請者の住所等を確認できるが、既に免許を取得した者、特に外国人については、新規の免許申請以外の手続時には、在留資格の喪失等により、既に住基法の適用を受けない者となり、生活の本拠たる住所を有していない可能性があることに鑑み、再度確認を行うことである。

イ 住民票の写しについての留意事項は、2(2)アを参照すること。

ウ 免許情報記録個人番号カードには、在留資格及び在留期間の記載はないものの、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号)第17条第10項及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行令(平成26年政令第155号)第14条第1項第12号の規定により、住基法の適用を受けない者は、個人番号カードを保有できず、また、同令第15条第3項の規定により、個人番号カードの返納義務が課されることとなっていることを踏まえると、個人番号カードを有する者は、住基法の適用を受け、住所を有しているといえることから、例外的に、免許情報記録個人番号カードを提示した者に限り、住所確認書類の添付を省略することができることに留意すること。

エ 法第92条第2項の規定を踏まえ、新府令第17条第3項における「異なる種類の免許を現に受けている」場合に、仮免許を受けている場合は含まず、併記免許申請の場合のみを指すと解することから、仮免許証のみを受けている場合に第一種免許又は第二種免許を申請するときは、新規の運転免許申請として扱うこととなることに留意すること。

4 運転免許証の記載事項(免許情報記録個人番号カードの記録を含む。)の変更時の住所確認の厳格化関係

(1) 内容

ア 運転免許証(以下「免許証」という。)のみを有する外国人が、法第94条で義務付けられている住所変更の届出を行うとき、入管法第19条の3に規定する在留カード、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成3年法律第71号)第7条第1項に規定する特別永住者証明書(以下「特別永住者証明書」という。)又は特定事項が記載された住民票の写し(住基法の適用を受けない外国人については、免許申請時と同様の書類となる外務省等発行身分証明書類及び公的機関等発行住所確認書類。以下「在留カード等」という。)の提示を求めることとされた(新府令第20条第2項第1号及び第3項並びに第21条の12第1号)

イ 免許証のみを有する国外転出者が、本籍又は氏名を変更した場合は、戸籍謄本等の添付を求めることとされた(新府令第20条第2項第2号)

ウ 免許情報記録個人番号カードを有する国外転出者が氏名を変更した場合は、変更後の氏名が記載された免許情報記録個人番号カードのほか、住所地を管轄する公安委員会が必要と認める場合には戸籍謄本等の提示を求めることとし、住所を変更した場合は、免許証又は免許情報記録個人番号カードの有無にかかわらず、住所を確かめるに足りる書類の提示を求めることとされた(新府令第20条第2項第1号及び第3項並びに第21条の12第1号)

エ 免許情報記録個人番号カードのみを有する国外転出者が本籍を変更した場合は、戸籍謄本等の添付を求めることとされた(新府令第21条の12第2号)

(2) 留意事項

ア 本手続に係る改正の趣旨は、3(2)アのとおりであるが、外国人の住所の有無の判断に当たっては、在留資格及び在留期間が重要な考慮要素となることに鑑み、これらを提示書類において適切に確認することに留意すること。

イ 住民票の写しについての留意事項は、2(2)アを参照すること。

ウ 外国人であっても、免許情報記録個人番号カードを提示した者に対しては、原則として追加書類を求めないことに留意すること。

エ 在留カード及び特別永住者証明書については、人定事項、住所、在留資格及び在留期間等の確認方法や真贋の判定方法について、担当者に対し適切な指導教養を実施するとともに、在留カードの偽変造や不携帯、在留期間の超過といった入管法違反の疑いを把握した場合には、管轄警察署に連絡するなど所要の対応を行うこと。

なお、常時携帯義務がある在留カードと異なり、特別永住者証明書については、法令上常時携帯義務が課されていないことから、これを提示しない場合は、特定事項の記載された住民票の写しの提示でも足りることを教示するなど、取扱いには配意すること(以下、在留カード及び特別永住者証明書に係る手続について同じ。)

5 免許証等の更新時の住所確認の厳格化関係

(1) 内容

法第101条の規定に基づき免許証又は免許情報記録の更新(以下「免許証等の更新」という。)を行おうとする外国人又は法第101条の2の規定に基づき、やむを得ない理由のため更新期間より前に免許証等の更新を行おうとする者のうち、外国人については、更新申請書を提出する際に、現に受けている免許に係る免許証の提示に加えて在留カード等の提示を求めることとした。ただし、当該外国人であっても、免許情報記録個人番号カードを有する者は、例外的に、同カードを提示し、必要な措置を受けることで足りることとした(新府令第29条第2項)

(2) 留意事項

ア 本手続に係る改正の趣旨は、3(2)アに記載の趣旨を徹底するとともに、免許証等の更新に係る申請が、法が定める住所地を管轄する都道府県公安委員会に対する申請であることを再度確認することにある。

イ 住民票の写しについての留意事項は、2(2)アを参照をすること。

ウ 施行直後は、免許証等の有効期間の末日が切迫している外国人が必要書類を提示できず更新申請書を提出する形式的要件を満たさないことから免許証の更新を受けられないといった事態も想定されることから、更新時に必要となる書類等について、更新連絡書への記載による注意喚起のほか、ウェブサイトや掲示等を活用した積極的な広報啓発を行うこと。また、在留カードが更新中のため用意できない者が生じうることに留意し、その場合は、特定事項の記載された住民票の写しの提示でも足りることを教示するなど、取扱いには配意すること。

6 運転経歴証明書等に係る住所確認の厳格化関係

(1) 法第105条の2第1項に規定する運転経歴証明書(以下「運転経歴証明書」という。)及び運転経歴情報記録個人番号カード(その者に係る運転経歴情報が記録された個人番号カードをいう。以下同じ。)を有しない外国人が運転経歴証明書の交付の申請のみを行う場合には、当該申請が免許の取消しの申請と日を同じくするものであっても、在留カード等の提示を求めることとされた(新府令第30条の8第3項柱書及び第1号)

(2) 運転経歴証明書を有する外国人が住所を変更した場合は、在留カード等の提示を求めることとされた(新府令第30条の10第3項第1号)

(3) 運転経歴証明書のみを有する国外転出者が氏名を変更した場合は、戸籍謄本等の提示を求めることとされた(新府令第30条の10第3項第2号ロ)

(4) 運転経歴情報記録個人番号カードを有する国外転出者が氏名を変更した場合は、変更後の氏名が記載された運転経歴情報記録個人番号カードのほか、住所地を管轄する都道府県公安委員会が必要と認める場合には戸籍謄本等の提示を求めることとし、国外転出者が住所を変更した場合は、運転経歴情報記録個人番号カードを有していたとしても、住所を確かめるに足りる書類の提示を求めることとされた(新府令第30条の10第3項第1号及び第4項並びに第30条の15第2項)

7 その他所要の改正

免許証及び免許情報記録個人番号カードのいずれをも有しない外国人が免許情報記録の更新を受けようとする場合には、在留カード、特別永住者証明書又は特定事項が記載された住民票の写しを提示しなければならないこととされた(新府令第31条の4の6第3項)

外国人の運転免許申請時の住所確認の厳格化等に伴う運用上の留意事項について(依命通達)

令和7年9月30日 達(運免)第423号

(令和7年10月1日施行)

体系情報
交通部
沿革情報
令和7年9月30日 達(運免)第423号