○苦情・相談の申出に対する適切な対応の徹底について(通達)

令和7年12月26日

達(県サ)第653号

[原議保存期間 5年(令和13年3月31日まで)]

[有効期間 令和13年3月31日まで]

みだしのことについて、次のとおり定め、令和7年12月26日から施行することとしたので、適切に対応されたい。

1 趣旨

過日、神奈川県警察において「神奈川県川崎市内におけるストーカー事案等に関する警察の対応についての検証結果等報告書」が公表された。

同報告書では、

○ 「苦情」の定義である「警察職員が職務執行において違法、不当な行為をしたり、なすべきことをしなかったことにより何らかの不利益を受けたとして個別具体的にその是正を求める不服」等のうち、「なすべきことをしなかった」の該当性判断に際し、「何らかの警察活動を行っていればこれに該当しない」とする狭きに失した解釈を行っていたため、苦情として受理しなかった。

結果、神奈川県警察本部長に対する受理の報告及び神奈川県公安委員会に対する結果の報告が行われなかった。

○ 当該申出を「要望・意見等」として受理したが、神奈川県警察相談取扱規程において警察本部長に報告しなければならないと規定されている「特異重要な警察相談その他社会的反響が大きいと認められる警察相談」に該当するとの判断に至らず、警察本部長に報告されなかった。

○ これらにより、組織的に対応方策を検討し、必要な指示を受け、方向性を是正しうる機会が失われた。

との指摘がされている。

これらのことを踏まえ、同種事案は本県においても起こり得ることと認識して、対応要領等について再確認し、適切かつ組織的な対応の徹底を図るものである。

2 苦情申出制度の適切な運用について

(1) 苦情申出制度について

警察職員の職務執行に対する苦情の組織的かつ適切な処理を期するため、警察法(昭和29年法律第162号)第79条の規定、苦情の申出の手続に関する規則(平成13年国家公安委員会規則第11号)福島県公安委員会等に対する苦情の処理に関する規則(平成13年福島県公安委員会規則第6号)福島県警察の苦情の処理に関する訓令(平成21年県本部訓令第4号。以下「訓令」という。)福島県警察の苦情の処理に関する訓令の制定について(平成21年3月19日付け達(県サ)第105号)等により運用されている。

(2) 適切な苦情対応について

苦情申出制度は「警察刷新に関する緊急提言」(平成12年7月13日)において、組織にとって、末端組織で起こっている問題(苦情や不祥事など)がストレートに中枢に集まることが大切であり、これにより、はじめて誤った職務執行や非能率的な業務運営を把握することができるとの指摘を受け導入された。

さらに、「警察における監察業務の高度化等のための施策に関する報告書」(平成25年3月)においても、苦情は、組織の業務改善の契機となる情報の宝庫であり、幅広く受け付け、組織の業務改善に活かすべきものが見過ごされないよう幹部の関与を徹底することにより、国民の声を十分に活かした組織の業務改善を推進していくべきとされているものである。

これらを改めて認識し、苦情の該当性判断に際しては、申出の内容、背景等をよく吟味した上、下記の事項を踏まえ適切な対応を徹底すること。

ア 苦情の定義

苦情とは、県警察の「職員の違法・不当な行為又は不作為」に対する不服、又は「職員の不適切な職務執行の態様」に対する不平不満であり、捜査、交通取締り、告訴・告発の取扱い、職務質問その他職員の職務執行について、日時、場所、内容、被った不利益の内容又は職務執行の態様に対する不平不満を個別具体的に摘示するものは、すべて苦情に該当する。しかし、明らかに警察の任務とはいえない事項についての職員の不作為を内容とするもの、申出本人と直接関係のない一般論として申し出られた苦情、提言、憤りの表明等は苦情に該当しない。

イ 職員の基本的心構え

申出された内容が、苦情又は相談、要望等について明確に判断することが困難な場合において、一般的な意味で苦情といえるもの又は苦情に発展するおそれがあると認められるものについては、広く苦情として受理すること。

ウ 苦情の受理報告等

苦情を受理したときは、速やかに所属責任者(県本部にあっては課長の職にある者、署にあっては署長の職にある者)に報告し、所属責任者は苦情の内容に応じて、直ちに所属担当者の中から適任者を選定するとともに、所属副責任者(県本部にあっては次席の職にある者、署にあっては副署長等の職にある者)をして苦情の処理状況を管理させ、的確に指揮すること。

エ 公安委員会に対する苦情の受理報告について

所属責任者は、苦情受理報告書(訓令様式第1号)を作成し、速やかに総務課長に送付し、総括責任者(警務部長)及び本部長を経て速やかに公安委員会に報告すること。

オ 県警察に対する苦情の受理報告について

所属責任者は、本部苦情の申出を受けたときは、苦情受理報告書を作成し、速やかに総括副責任者(県民サービス課長)に送付し、総括責任者を経て本部長に報告すること。

署苦情の申出を受けた際も同様、苦情受理報告書(訓令様式第1号)を作成し、処理方針を添えて、速やかに総括副責任者に送付し、総括責任者及び本部長に報告すること。

3 相談への組織的な対応について

(1) 相談の対応について

相談については、福島県警察安全相談の取扱いに関する訓令(平成22年県本部訓令第21号)、相談への迅速・確実な組織対応のための警務部門における相談の受理・点検等の実施について(令和6年12月24日付け達(県サ)第597号)等により運用されている。

(2) 相談受理時の報告

相談を受理する際は、あらかじめ直属の上司等(閉庁時間帯にあっては宿日直責任者)に対して相談対応する旨を一報するとともに、受理後においては相談内容及びその措置状況等について確実に報告すること。

一報するいとまがないときは、一報できる状況になった際に、速やかに報告し、報告を受けた上司等は、必要に応じて所属幹部(本部にあっては課長補佐、署にあっては課長等)に報告すること。

(3) 特異な内容の相談や社会的反響が大きいと認められる相談について

相談者等の生命、身体等に危害が及ぶおそれがある相談で緊急の対応を要するものや社会的反響が大きいと認められる相談については、直ちに所属長(当直時間帯にあっては、当直責任者)に報告し、指揮を受けるとともに、県本部の主管課長及び県民サービス課長を経て、総括責任者(警務部長)に速報すること。

(4) 相談情報の組織的共有と迅速な対応

県民等から寄せられた相談に対しては、犯罪等の被害の発生の有無にかかわらず、相談内容に応じて、関係する部署・係で情報を共有、連携して対応し、指導、助言、他の専門機関の教示、相手方への警告、検挙等、相談者の不安等を解消するために必要な措置を講じる必要がある。特に、被害者等の生命又は身体に危害が及ぶおそれのあるものなど、緊急の対応を要する相談事案を認知した場合には、直ちに幹部へ報告して、迅速かつ組織的な対応の徹底を図ること。

(5) 警察に対する要望や意見に関する申出への適切な対応

警察に寄せられる要望・意見は、苦情と明確に区別できないものもあり、ひとたび対応を誤れば、県民等からの信用失墜につながる重大事案となるおそれがあるため、申出受理時から苦情申出制度の趣旨を念頭に置いた適切な対応が求められる。

よって、警察に対する要望・意見に関する申出を受けた場合は、受理担当者のいわゆる「その場しのぎ」の対応で終わらせることなく、相談受理時の対応に準じて確実に所属責任者まで報告すること。

報告を受けた所属責任者は、申出内容を実質的に判断し、苦情に該当するものであれば、訓令等の規定に基づき、適切に処理すること。

4 教養の実施について

職員が制度や運用、報告について正しく認識し、県民等から寄せられた申出に対して、組織的な対応がなされるよう改めて周知及び教養を実施すること。

苦情・相談の申出に対する適切な対応の徹底について(通達)

令和7年12月26日 達(県サ)第653号

(令和7年12月26日施行)

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令和7年12月26日 達(県サ)第653号