○持続可能な防犯ボランティア活動に向けた更なる支援の推進について(依命通達)
令和8年3月31日
達(生企)第194号
[原議保存期間 5年(令和13年3月31日まで)]
[有効期間 令和13年3月31日まで]
みだしのことについては、次の点に留意の上、引き続き、地域住民等による防犯ボランティア活動の支援を推進されたい。
なお、持続可能な防犯ボランティア活動に向けた更なる支援の推進について(令和3年3月23日付け達(生企)第103号)は、廃止する。
記
1 趣旨
防犯ボランティア活動は、平成10年代半ば以降、当時の厳しい治安情勢を背景に活発化し、地域の治安維持に寄与してきたものであるが、近年、少子高齢化等の社会情勢の変化や刑法犯認知件数の減少によって積極的な活動が停滞し、防犯ボランティア団体数・構成員数ともに減少傾向が続いている。令和7年末現在の県内における防犯ボランティア団体数は287団体、構成員数は14,866人であり、10年前の平成27年末と比較すると100団体以上、10,000人以上の大幅な減少となっている。
一方、令和7年における県内の治安情勢は、刑法犯認知件数が4年ぶりに前年比100件以上減少したものの、なりすまし詐欺をはじめとした各種詐欺被害発生件数が高水準で推移するなど、依然として厳しい状況にある。
このような情勢の中、地域の治安維持に寄与してきた防犯ボランティア活動を将来にわたり持続可能なものとするためには、自治体、学校等の関係機関、自治会、事業者団体等の関係団体との連携の下、活動の活性化に向けた粘り強い働き掛けを含め、改めて地域の防犯力の向上を図るべく防犯意識を醸成していくことが重要であることから、更なる取組方策を示し、地域住民等による防犯ボランティア活動の支援を推進するものである。
2 支援の基本的考え方
警察は、地域における犯罪等の防止を図る責務を有しているが、その効果を挙げるためには、自治体、地域住民、事業者等に対して当該地域の犯罪情報等を提供して防犯意識の醸成を図り、幅広い世代の参加を促す必要がある。また、効果的な防犯対策や防犯ボランティア活動の実施に係る助言・指導、好事例の提供などを行って、必要に応じて部外の研究機関等の学術的な知見等を参考にし、それらの支援を通じて防犯ボランティア活動に当たる地域住民等の活動を支援・活性化させることも必要である。
これらの支援については、「防犯ボランティア団体及びその活動の持続可能性」だけでなく、「地域における「安全安心なまちづくり」に向けた活動の持続可能性」も見据えた2つの着眼点から支援に当たり、安全安心なまちづくりに向けた地域住民等の取組を持続可能なものとしていくことに留意する必要がある。
3 現在活動している防犯ボランティア団体の支援に当たっての着眼点
多くの防犯ボランティア団体に共通する課題としては、大別して次の3つの課題が存在しており、これらの課題の解決に向けた支援を継続しなければならない。
(1) 人材に関する課題の解決に向けた取組
構成員の高齢化や後継者の不在といった人材に関する課題に対応するべく、幅広い世代に防犯ボランティア活動の参加を働き掛けたり、他の防犯等の団体との連携を強化することで活動に幅を持たせつつ、地域に対して活動成果を示す取組等を促進すること。
(2) 資金に関する課題の解決に向けた取組
青色回転灯等装備車によるパトロールなど経常的な経費を伴う活動には資金が必要であることから、自治体からの補助金・助成金、企業からの協賛金や寄附、自治体からの地域活動の受託等自助努力による資金獲得方法等について助言すること。
(3) 情報に関する課題の解決に向けた取組
活動成果を地域住民等の目に見える形で示し、あらゆる媒体を活用した情報発信により活動の周知を図るとともに、活動ノウハウの承継等を促進すること。
4 地域において「安全安心なまちづくり」に向けた活動を持続させるための着眼点
地域において「安全安心なまちづくり」に向けた活動を持続させるためには、主に次の3つの分野に着目した取組を推進する必要がある。
(1) 活動の担い手となる人づくり
活動の担い手を確保・育成するため、退職者世代、保護者世代、学生、事業者による防犯ボランティア活動の参加を促進する取組や「ながら見守り」等の多様な参加形態による地域全体の防犯への意識付けを図る取組、将来の担い手の確保を視野に入れた防犯教育を推進すること。
(2) 活動の持続性を高める組織づくり
地域内で重複している活動の調整や他の団体との連携促進等により、地域全体で必要なときに必要な力を発揮できる組織形態への転換を促進するとともに、活動成果を地域に向けて示すこと等により団体内のモチベーションの維持、向上を図ること。
(3) 地域住民等からの理解と共感を高める環境づくり
地域住民等の防犯意識を醸成し、防犯ボランティア活動に対する理解と共感を得るため、活動内容や活動によって得られた成果の情報発信、環境美化活動や防犯カメラの設置等の防犯環境の整備及び地域住民等に対する防犯知識の普及を推進すること。
5 活動支援の具体的推進方策
(1) 活動実態等の把握
各市町村には、それぞれ住宅地域、商業地域、農村地域等、地域ごとの特色が存在しており、そこに組織されている防犯ボランティア団体の活動についても、構成員の年齢、警戒・保護の対象等、地域の特色が反映されているものと思料される。そのため、活動支援に当たっては、構成員の年齢構成、活動時間、活動上の課題、支援ニーズ等の活動の実態や団体の特性、地域の特色を的確に把握すること。
なお、実態把握に当たっては、プライバシー等個人の権利に留意すること。
(2) 成果の集約と還元
防犯ボランティア活動の成果については、団体自身が把握しているものに加え、犯罪発生状況等、警察情報を加味した情報を防犯ボランティア団体に還元の上、活用を促し、地域住民等の目に見える形にして示すこと。また、地域住民等に対する成果の示し方、情報提供に関するノウハウを提供することにも配意すること。
(3) 活動の周知を図る広報の強化
防犯ボランティア活動が多くの地域住民等に認知されれば、構成員の拡大、財政支援の獲得等につながるものと思料される。そのため、警察が有する広報媒体のみならず自治体等と連携した広報媒体の活用や、報道機関への情報提供等、活動の周知を図る広報を強化すること。
なお、活動の周知に当たっては、一般的な活動紹介のほか、活動地域における治安状況の改善や地域における連帯感の向上等、地域社会への好影響も含めた防犯ボランティア活動の成果を盛り込むなど、地域住民等の理解と共感が得られるものとなるよう創意工夫を凝らし、地域住民等が地域において活動することの重要性、必要性を訴えかける内容とするよう配意すること。
(4) 積極的な活動を支援する情報提供
ア 防犯情報の提供
効果的な防犯ボランティア活動が行われるためには、地域における犯罪等の発生状況に関する情報が不可欠である。このような情報は、地域住民等の防犯意識の高揚、警察と防犯ボランティアの連携の円滑化にも資することから、積極的な情報提供に努めること。
また、広報誌やPOLICEメールふくしまをタイムリーに発信するなどして、地域住民及び防犯ボランティアが、最新の犯罪発生状況・手口・対策等を容易に速やかに確認できるよう努めること。
イ 防犯知識の提供
警察は、防犯知識の提供について重要な役割を担っていることから、日頃から効果的な防犯活動や防犯環境設計に関する知識の習得に努めること。
これらの防犯知識については、防犯ボランティアをはじめとする地域住民等への浸透を図るため、あらゆる機会を通じた広報啓発を推進すること。また、指導者的立場の防犯ボランティアや防犯設備士等の参加を得て、地域の犯罪情勢や対象者の特性に応じた参加・体験型の防犯教室を開催するなど、より効果的な手法を用い、防犯知識の提供を図ること。
ウ 団体の運営に関する情報提供
警察からの情報提供は、「防犯」そのものに関する内容に限らず、防犯ボランティア活動の持続性を高める観点から、後継者等の人材育成、活動資金の確保、活動拠点の整備等、団体運営に関して関係機関・団体等が行う情報提供の機会を的確に把握し、これを防犯ボランティア団体に紹介するとともに、これらの事項に関して専門的な知見を有する有識者等による講演会等の場を設けるなど、団体の運営に関する情報提供にも配意すること。
また、近年、地方創生の交付金等を活用した地域の防犯力を強化する事業が新たに設置・拡充されている自治体がある一方で、支援対象となり得る防犯ボランティアがこれらの事業を把握していないケースもあるため、当該事業に関する情報提供にも配慮すること。
エ 団体での活用を見据えた情報提供
これまでの情報提供が画一的でなかったか等について検証し、防犯ボランティア団体が真に求めている情報に応じて、提供する情報の範囲、内容について検討を加え、可能な限りその要望に応じた情報提供に配意すること。また、提供した情報が当該団体から地域や他団体に再発信されるなど、より効果的な活用が図られるよう、汎用性のある電子データによる資料提供など、提供方法についても考慮すること。
(5) 活動連携の促進とその場の構築
ア 防犯ボランティア団体間の連携促進の場の構築
情報提供、合同パトロール等の現場活動に伴う支援だけでなく、活動を続けていく目的や将来像など、活動の本質を議論し、防犯ボランティア団体間の連携を深めるため、意見交換の場を積極的に設けること。また、意見交換には、活動上の課題と対応策を相互に検討し、団体自身が課題解決に向けた対策を講ずる糸口となるような内容を盛り込むことや、防犯活動アドバイザーの活用にも配意すること。
イ 防犯活動以外の活動を行うボランティアとのコーディネート
地域には、防犯ボランティア以外にも、防災、福祉等の様々なボランティアが存在している。異なる分野のボランティアの連携を促進し、相互補完体制を構築することにより、防犯力を含めた地域力の向上が期待できる。
そのため、地域の状況に応じ、関係機関・団体と調整を図りながら、これら団体間の連携に向けたコーディネートを推進するとともに、各種ボランティア活動の支援、コーディネートを行う団体等が存在する場合は、当該団体等との連携体制の構築に努めること。
(6) 企業による活動支援の促進
近年、企業においては、CSR(企業の社会的責任)活動の一環として、自ら防犯ボランティア活動に取り組むだけでなく、地域の防犯ボランティア団体等への支援を行う取組も行われている。こうした企業の取組は、防犯ボランティア活動の活性化に効果的であると認められることから、防犯ボランティア活動への積極的な参加と支援を要請するとともに、防犯ボランティア団体と企業の連携を促進するため、両者の交流の場を設定するなど、連携の円滑化に配意すること。
(7) 積極的な賞揚措置等
活動に対する表彰は、士気高揚や活動に対するモチベーションの向上に効果があることから、活動に関する功労の継続的な把握に努めるとともに、事件、事案の解決に資する端緒情報の提供があった場合には、時機を逸することなく積極的な賞揚措置を検討すること。また、自治体、学校等の関係機関・団体に対しても、賞揚の持つ効果を説明し、積極的な措置が講じられるよう働き掛けること。
なお、防犯ボランティア団体と署の合同パトロールにおいては、署長等の幹部の同行、視察・督励が士気高揚に効果的であることから、積極的に取り組むこと。
6 関係機関・団体との連携
(1) 自治体との連携
防犯ボランティア活動が継続的に推進されるようにするためには、警察と自治体が連携、協力しつつ、それぞれが役割を果たしていくことが必要であることから、自治体において、活動の支援に係る事業費、物品貸与、防犯カメラの設置に関する補助金等の予算措置が講じられるよう働き掛けること。
自治体への働き掛けに際しては、地方創生の交付金等、社会情勢に応じた国の交付金の活用を前提に、防犯ボランティア支援事業の新設・拡充につながる取組を推進すること。
また、自治体が行う「安全安心なまちづくり」に関する業務について、防犯ボランティアの要望等を把握した際は、速やかに自治体の担当部門に連絡し、必要な措置の依頼や連携しての対応を行うなど、適時かつ適切な対応を推進すること。
(2) 防犯協会との連携
防犯協会は、各地域における防犯活動の支援に取り組む組織であることから、引き続き、防犯協会と防犯ボランティア団体との連携を促進するとともに、防犯協会が行う防犯ボランティア活動の活性化等について、一層の充実が図られるよう働き掛けを行うこと。
(3) 各種民間団体との連携
防犯ボランティア活動の活性化や持続性の向上を図るためには、警察と各種民間団体との連携、協力が必要であるため、地域の実情に応じ、各種民間団体の特色を踏まえ、防犯ボランティア活動の実施、防犯ボランティア活動への資金提供、地域の防犯ボランティア団体との連携等支援の実施について働き掛けを行うこと。
(4) 生活安全産業との連携
警備業、防犯設備関連業、錠取扱業等日常の生活における防犯システムを構成する生活安全産業関係者に対し、業種の特性を生かし、地域住民等の防犯ボランティア活動への参加と支援を要請すること。また、「安全安心なまちづくり」に関する幅広い活動への協力が得られるよう連携態勢を構築するとともに、防犯アドバイザー制度の効果的な活用にも配意すること。
7 地域警察等との連携
(1) 防犯ボランティア活動の重要性や各地域において活動する防犯ボランティア団体について、地域課員をはじめとする署員に対する教養を図り、防犯ボランティア活動への支援の機運向上に配意すること。
(2) 地域警察官は、地域の情勢や防犯ボランティア団体の状況に応じて、例えば、合同パトロールの実施や活動を見かけた際の謝意の表明等を行い、防犯ボランティアが気軽に交番又は駐在所に立ち寄れるような良好な関係を築くなどして、防犯ボランティア活動の活性化を支援することに配意すること。
8 その他
(1) これまで各署が取り組んできた防犯ボランティアへの支援施策について効果を検証の上、効果の認められる施策は継続実施することはもとより、より効果の上がる支援への転換を検討すること。
近年、防犯アプリに重点パトロールエリアを表示する機能を搭載し、防犯ボランティア団体のパトロール活動を支援するなど、デジタル技術を活用した取組も行われている。これらの取組は、減少傾向にある防犯ボランティア団体の各種活動の効率化等に効果が期待できるため、支援施策を検討する際には、デジタル技術の活用についても配意すること。
(2) 防犯ボランティア活動を行う団体がない地域は、不存在理由を解明の上、団体設立に向けた働き掛けを強化し、活動の空白地域の解消を図るとともに、活動が行われている地域においても、活動が空白となる時間帯に着目し、地域の状況や当該地域で活動する防犯ボランティア団体の実情に応じ、同時間帯における活動の働き掛け、同時間帯に活動している事業者、地域住民等に対する団体設立に向けた働き掛けを行うこと。
(3) 防犯ボランティア活動への参加等を促す場合には、少年柔剣道の保護者等、警察業務と関係を有する者や次世代を担う大学生等への働き掛けにも配意すること。あわせて、テレワークや時差出勤等の普及により、これまで防犯ボランティア活動等に参加の機会がなかった就労者層についても、活動が可能となることも考えられることから、これら世代に対して、「ながら見守り」等の日常生活を通じた負担の少ない活動等の働き掛けに配意すること。
(4) 本施策に関して、防犯ボランティア団体への各種情報提供、地域住民への防犯ボランティア活動の紹介、防犯ボランティア団体間の連携、関係機関・団体による支援措置等の活動支援を実施した結果(経過)については、その都度、犯罪抑止活動等報告管理システムにより生活安全企画課長宛てに報告すること。