○将来を見据えた警察組織の構造改革及び優秀な警察官の確保に向けた取組について(通達)

令和8年5月21日

達(務、生企、地企、刑総、交企、公)第285号

[原議保存期間 5年(令和14年3月31日まで)]

[有効期間 令和14年3月31日まで]

みだしのことについて、次のとおり定め、令和8年5月21日から施行することとしたので、適切に対応されたい。

なお、警戒の空白を生じさせないための組織運営について(令和5年7月31日付け達(務、生企、地企、刑総、交企、公)第300号。以下「旧通達」という。)は、廃止する。

記

1 基本認識

(1) 旧通達に基づく取組評価

県警察においては、旧通達に基づき、直面する諸課題に対し、人的リソースの重点化等により体制を抜本的に強化して推進するとともに、組織内の人的リソースを一層有効に活用するため、業務の効率化・合理化に係る見直しを行った。

この結果、現下の治安課題に的確に対処するための体制が構築されるとともに、警察力最適化サイクルが定着しつつあると認められる。

(2) 2つの課題

しかし、ここ数年の間にも、治安情勢及び社会情勢は目まぐるしく変化し、県警察を取り巻く環境は一層厳しいものとなっている。

目下、警察は、目の前にある治安事象への的確な対応と、将来を見据えた警察組織の構造改革及び人的基盤の強化という時間軸の異なる対策を、両者のバランスに配意しながら進めていく必要があり、その際には以下の「2つの課題」に複眼的な視点を持って取り組むことが求められている。

ア 治安情勢の変化に応じた、広域的運用等による警察の対処能力の強化

近年の科学技術の急速な進展等を背景として、高度な技術や多様な通信サービス、金融サービス等を悪用したサイバー事案、匿名・流動型犯罪グループによる犯罪、ローン・オフェンダーによる犯罪、対日有害活動等が、都道府県境や国境を越えて多発するとともに、その主体の匿名化や手口の巧妙化が進むなど、現下の重要な治安課題は著しく専門化・高度化・広域化・国際化し、こうした治安課題への対処と国家安全保障との境界の相対化も進展している。

このような課題に的確に対処するためには、県警察の内部においてのみならず、県警察の枠を越えて、人的・物的リソースを集約するとともに、その広域的運用について警察庁及び他の都道府県警察と連携し、各専門分野における高度な対応を切れ目なく実現していくことが必要である。

また、専門化・高度化・広域化・国際化する治安課題に的確に対処するための十分な資質を備えた人材を確保した上で、その育成においても、他の都道府県警察との広域連携を推進することなどにより、県警察の人的基盤を維持・強化していくことが必要である。

イ 社会情勢の変化に応じた、県警察の組織構造の弾力化等

少子高齢化・人口減少、地方の過疎化と都市部への人口集中等の進行により、社会構造の変化が続いている。本県においては、令和7年から令和17年までの10年間で、県内の総人口は約12.7%減少し、20歳から24歳までの人口は約32.1%減少するとされているところである。

こうした中、県警察における警察官採用情勢も、厳しい状況が続いている。採用試験の受験者数は、15年間で約3分の1にまで落ち込んでおり、受験者数の減少率は若年層人口の減少率を大きく上回っている。また、警察官の現在の年齢構成を見ると、40歳代前半の人数が特に多く、この先、十数年にわたって退職者数の増加傾向が続くこととなる。このため、今後、受験者数が増加に転じなければ、県警察がその責務を果たし続けるために必要な人員を確保することが困難となるおそれがある。

こうした状況下で、将来にわたって警察力を維持し、治安課題に的確に対処することができる組織であり続けるためには、県警察の組織構造を弾力化し、社会の変化に柔軟に対応しながら業務の更なる高度化・効率化・合理化を進めることができるようにするとともに、これを通じて組織の魅力を高め、優秀な警察官の確保に万全を期していくことが必要である。

2 4本柱の構造改革

上記の「2つの課題」に対応していくためには、県警察組織全体の在り方を時代に適合するよう見直していくことが必要不可欠である。

そこで、全ての部門・所属において、5年後・10年後の社会状況をも見据えつつ、幅広く業務の点検を行った上で、以下の4点について、中長期的視点に立って今後取り組むべき事項を検討し、これを計画的に実施する。

(1) 警察庁及び他の都道府県警察等との連携の在り方の見直し

サイバー空間における脅威、匿名・流動型犯罪グループによる犯罪、ローン・オフェンダーによる犯罪、対日有害活動等の専門化・高度化・広域化・国際化する治安課題への対処について、警察庁及び他の都道府県警察と一体となって対処能力の一層の向上を図る。

また、現在、それぞれの都道府県警察並びに管区警察局情報通信部及び都道府県情報通信部(以下「都道府県警察等」という。)が個別に運用・編成している施設、資機材、組織等について、都道府県警察等の枠を越えて広域的運用を実施するなど、連携を一層強化する。

(2) 県警察内部における役割分担等の見直し

重要な治安課題の専門化・高度化・広域化・国際化、少子高齢化・人口減少等による社会構造の変化等に対応し、将来にわたって治安課題に的確に対処することができる組織であり続けるため、次に掲げる点等について、部門・所属の実情に応じ、中長期的な視点を持って検討し、県警察における警察力の最適化をより一層図る。

ア 県本部と署の役割分担の在り方を見直し、広域的に運用することが効率的な業務等を県本部に集約する。

イ 署の運用を見直し、地域の拠点となる署とその他の署による業務の分担、一体的運用等を実施する。

ウ 署に置かれる交番及び駐在所(以下「交番等」という。)の役割や運用を見直し、地域の情勢に応じて交番等の警察官の勤務時間、配置人員等を柔軟に運用する。

また、警察庁との一層の連携を図り、全国的・国際的な見地から警察が一体となって対処することができるようにするため、県本部内の複数の部が実施している業務等について、その推進体制の在り方を見直し、真に効果的な体制を構築する。

(3) 科学技術の進展等を踏まえた業務の効率化・合理化と業務負担の軽減

近年、科学技術が飛躍的に進歩し、その活用範囲が急速に広がっている。県警察においても、例えば、AIを用いたSNS上の投稿の分析、カメラ映像を用いた追跡捜査や交通指導取締り等のように、科学技術を積極的に活用し、業務の更なる効率化・合理化と業務の透明性の確保を推進する。

また、限られた警察力で様々な治安事象に的確に対応していくため、必要性が低下した業務の有無を幅広く点検したり、仕事の進め方自体が時代に即したものとなるよう不断の見直しを行ったりして、可能な限り第一線の業務負担の軽減を図る。

さらに、疲弊した組織からは警察職員としての誇りも使命感も生まれないことを肝に銘じ、個々の職員の置かれている状況等を踏まえながら、働き方の改革や職場環境の改善を一層推進する。

(4) 関係機関・団体等との連携強化等による業務のスリム化等

警察は治安を守る最後の砦とりでであるが、現在、県警察が実施している業務の中には、関係機関・団体等が警察と連携しながら実施したとしても支障がないものも存在することから、警察と関係機関・団体等との役割分担の在り方について検討し、連携の強化を図る。

3 3本柱の人材確保

優秀な人材を安定的に確保していくためには、警察組織や警察官という職業の魅力を向上させることが不可欠であり、その上で、若い世代に対する当該魅力の効果的な発信、採用の間口の拡大等により、できる限り多くの者に県警察を志望してもらえるようにすることが重要である。そこで、中長期的な採用情勢も踏まえつつ、以下の3点について各種取組を強力に推進する。

(1) 組織の魅力向上

警察官を強く志望する者のみならず、就職活動を開始する時点では必ずしも警察官を強く志望しているわけではない者(以下「潜在層」という。)にも警察への関心を高めてもらうため、業務やキャリアパス等の更なる魅力向上を図るとともに、特に志望者の関心が高い警察学校の運営の在り方が時代の変化に即したものとなるよう、必要な見直しを行う。また、高い緊張感の維持や危険な環境での職務執行を求められる場面もある警察官が、後顧の憂いなく心身共に健全な状態で職責を全うできるよう、処遇、執務環境、居住環境等の更なる改善を図る。

(2) 若い世代への発信力強化

潜在層に警察官という職業の魅力を効果的に発信するため、若い世代が広く利用し、訴求力が高い媒体等を活用して、戦略的な広報を実施する。また、将来的に採用の対象となり得る小学生や中学生等に対し、警察官という職業を身近に感じ、憧れを抱くこととなる契機を積極的に創出する。

(3) 採用の間口拡大

採用試験受験者の負担を軽減し、専門化・高度化・広域化・国際化する治安課題に対して的確に対処することができる多様な人材を確保するため、試験制度の不断の見直しを行い、受験者の裾野拡大を図る。

4 推進体制

福島県警察総合対策検討委員会の設置及び運営に関する訓令(平成19年県本部訓令第18号)に定める福島県警察総合対策検討委員会(以下「委員会」という。)の下に、次のとおり将来を見据えた警察組織の構造改革及び優秀な警察官の確保のための取組推進分科会(以下「分科会」という。)を設置し、上記2及び3の取り組むべき事項を推進することとする。

(1) 構成

分科会長

警務部長

副分科会長

警務課長

会員

総務課長、教養課長、厚生課長、会計課長、施設装備課長、生活安全企画課長、地域企画課長、刑事総務課長、交通企画課長、公安課長、警察学校長及び福島県情報通信部通信庶務課長並びに分科会長が必要に応じて指名する者

(2) 運営

ア 分科会は、分科会長が招集し、会務を主宰する。

イ 分科会長に事故があるときは、副分科会長がその職務を代理する。

ウ 分科会長は、必要があると認めたときは、会員以外の者を会議に出席させ、意見を求めることができる。

エ 分科会長は、委員会において、取組状況等を報告するものとする。

オ 分科会長は、検討する取組課題に対し、効果的かつ効率的な検討を推進するため、必要に応じて、別途ワーキンググループを置くことができる。

カ 分科会の庶務は、警務課企画室において行う。

将来を見据えた警察組織の構造改革及び優秀な警察官の確保に向けた取組について(通達)

令和8年5月21日 達(務、生企、地企、刑総、交企、公)第285号

(令和8年5月21日施行)

体系情報
警務部
沿革情報
◆ 令和8年5月21日 達(務、生企、地企、刑総、交企、公)第285号