福島県警察 犯罪被害者支援特集

福島県警察本部

インタビューInterview 01

■ 性暴力被害者支援には、県産婦人科医会も携わっているとお聞きしました。
 被害者の方が、一生懸命頑張って最初に来るのが病院です。そこで、私たち産婦人科医がどのように対応するかということが、被害者の方のその後の人生をもしかしたら左右してしまうかもしれないと私は感じています。
 また、私たち産婦人科医は、日本産婦人科医会という会を作っていまして、そこは日本の女性の生涯にわたる健康を守ることを目的に集まっているのですが、そこでも被害者が最初に来るのが医療機関であることが多いということで、マニュアルを作成しました。
 一番の問題は、被害者の方が周囲の目を気にせず、安心して診察・治療を受けられるように産婦人科医が配慮した診療をするということです。それから最近では、「診療ガイドライン」もできていまして、今まで考えられなかったことですけれども、そういった方々に対する外来診察マニュアルも入ってきました。


− それだけ性犯罪被害者と接する機会が多いのですね。
 はい。
 警察に届出した被害者の方が、警察官と共に来院することもありますが、被害者の方が警察に届け出る割合は非常に低いといわれています。その理由の一つとして、顔見知り、特に親しい人からの被害が多いことが背景になっていると思います。


− 内閣府の調査で、「異性から無理矢理性行為をさせられたことがある」という設問に対して、「ある」と答えた人の75.6%が「知っている人からの被害」と教えてもらい、とても驚きました。
 本県でも、平成23年8月に産婦人科医に対してアンケートを取ったのですが、24名の医師が警察に届出していない被害者の方を診察したことがあると答えています。性暴力被害の大きな特徴だと思います。
 実際にそういった方々が私たちのところに来るときには、「被害にあいました」と言って来られる方ももちろんいらっしゃいますが、そうではなく、なんとなく身体が心配ということで「性感染症の検査をして下さい」と言って来られる方もいます。むしろ、そういった人の方が多いかもしれません。
 あるいは、緊急避妊については産婦人科医会でだいぶ周知していますので、その言葉を意外と若い人の中にはご存じの方も多くて、「緊急避妊したい」と言って来る方も実はいらっしゃいます。 でも、どうも様子がおかしいなと感じるときがあります。これは医療者側のテクニック、スキルにもよりますが、そう感じて聞いてみたら被害にあっていたということがあります。そういったことは、なかなかしょっちゅう出くわすことではないのですが、私たち医療者側も、看護師、助産師なども含めて、そういったことを見抜き、支援できる態勢を整えていかなければいけないと思っています。


■ 産婦人科医会として、これからどのような支援をされていくのでしょうか。
 平成24年6月20日に、私たち県産婦人科医会、ふくしま被害者支援センター、福島県警察の三者で、性犯罪(暴力)被害者に対する支援強化に向けて覚書を締結しました。三者の連携を緊密にすることで円滑な連絡を図り、迅速に被害者の立場に立った支援ができる態勢を整えていく準備に取りかかったところです。
 その最初の取組みとして、警察への届出や証拠採取等について県警察で作成したリーフレットを医療機関に備え付けました。性暴力被害者への支援に関して、かなりたくさんの医師が手を挙げてくれています。今後はその先生方を中心に、福島県内にある一つひとつの医療機関が、被害者に対して心のこもった対応ができる体制を整備したいと思います。


■ このページをご覧になっている方にメッセージをお願いします。

 性暴力被害は知っている人や顔見知りの人から受けることが多く、つらい被害を誰にも話すことができず、一人で悩み苦しんでいる方がたくさんおられます。
 被害者の周囲の方が「夜中に一人で、暗い所を歩いたりしていればそのような被害にあうのは当然だ」、「逃げようと思えば逃げられたのに、本当は合意の上だったのでは」、「嫌なことは早く忘れてしまいなさい」など心ない言葉で、被害にあった方に対してさらにつらい思いをさせ、二次被害を与えるようなことを言ってしまうことがあります。
 相手がだれであっても同意のない性行為は暴力です。このことを多くの方に知っていただき、被害にあった方にまず「あなたは悪くない。」と言っていただきたいと思います。







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