○福島県警察職員の健康管理に関する訓令の制定について(通達)

平成15年5月30日

達(厚)第137号

みだしの訓令を制定し平成15年6月1日から施行することとしたが、その解釈及び運用上の留意点は次のとおりであるから、所属職員に周知徹底し、積極的な健康管理に努められたい。

1 制定の趣旨

現行の訓令は昭和57年に制定されたものであるが、その後、社会情勢の変化に伴う勤務環境の変化や職員の高齢化、疾病構造の変化などに伴い、健康管理の在り方が大きく変化している。また、最近の警察事象の広域化、複雑化、業務の過重等による職員の健康障害や災害が増加しており、健康管理のみならず安全管理の観点にも配意した対策の構築が急務となっている。

このため、近年における健康管理の方法に対応した職員の健康の保持及び増進を図るため、従来の健康管理に関する訓令を全面改正し、個人の健康管理義務と組織としての健康管理責任等を明確にするとともに、健康管理体制の強化と執るべき措置等を盛り込んだ福島県警察職員の健康管理に関する訓令(平成15年県本部訓令第12号。以下「訓令」という。)を新たに制定したものである。

2 改正の要点及び運用上の留意点

(1) 総則(第1条―第3条)

ア 趣旨(第1条)

「その他の法令」とは、労働基準法、地方公務員法、結核予防法、労働安全衛生法施行令等を指し、職員の健康管理については、これら法令の定めが適用されるものである。

イ 職員の義務(第3条)

職員に対して、組織が実施する健康管理上の措置に従うべきことを規定するとともに、訓令における健康管理対策の重点が、これまでの二次予防(疾病の早期発見)から職員の高齢化等を踏まえた一次予防(疾病の発症そのものを抑える)対策に移行したことから、その対策に不可欠な事項については、職員自らが実践する義務のあることを明確にした。

(2) 健康管理体制(第4条―第16条)

ア 総括健康管理者(第4条)

総括健康管理者には警務部長を充て、県警察の健康管理全般に関する責任者として位置付け、健康管理に関する業務を総括することを明確にした。

イ 健康管理責任者(第5条)

健康管理責任者には厚生課長を充て、その業務として新たに、県警察職員の全般的な健康管理業務計画を策定することを明確にするとともに、健康管理情報の提供や他の管理部門との連絡調整に関する業務等を追加して、健康管理責任者としての業務の拡充を図った。

ウ 健康管理者(第6条)

所属に健康管理者を新たに置き、所属長を充てることにより、健康管理体制における所属長の責任を明確にした。

エ 健康管理担当者(第7条)

所属において健康の保持増進のための指導及び教養を推進するとともに、職員に対し健康診断を受診させ健康管理に関する記録を整備するなど、具体的な業務を規定して健康管理担当者の任務を明確にした。

オ 衛生管理者及び衛生推進者(第9条―第11条)

衛生管理者等の業務として健康診断結果による健康状況の把握を加えることにより、衛生に関する公的資格の取得者である衛生管理者の活動を活性化させ、所属における健康管理活動の強化を図るものである。そのため、衛生管理者に必要な資格を新たに取得する者には、幹部職員を選定するように配意するものとする。

カ 健康管理医(第12条)

従来から警察医をもって健康管理医に充てているが、法が規定する産業医としての任務を果たすべきことが不明確になっている面が見られることから、その業務に職員の健康相談に関することを加えることにより、健康管理医の活動を活性化させようとするものである。

キ 総括健康管理委員会(第13条)

県警察における健康と安全に関する施策等を審議する機関として総括健康管理委員会を新設し、組織として執るべき対策を一元的に審議することにより、実効ある施策を推進し得る体制を確立することとした。委員の招集及び審議の内容については、県警察における健康管理対策の全般に対応できるよう、委員長(総括健康管理者)に権限を集約するものである。

ク 健康管理委員会(第14条―第16条)

全所属に健康管理委員会を設置して、所属における健康管理対策及び安全対策を審議できる場を確立して、今後の健康管理対策において重要となる中高年齢者等の健康管理、過重労働等による健康障害の防止、メンタルヘルス対策等を実施するものとし、同委員会をこの実施体制の基幹として位置付けるものである。

なお、訓令における委員会の構成は、別紙のとおりである。

(3) 健康管理(第17条―第35条)

ア 健康管理者の執るべき措置(第17条―第21条)

健康管理に必要な健康障害防止措置、メンタルヘルス対策、中高年齢者等に対する措置等を明確に示し、健康管理者が執るべき措置を具体的に規定することにより、健康障害防止対策等を積極的に推進しようとするものである。

イ 健康診断(第22条―第26条)

県警察が実施する健康診断に関する健康管理者の責任と職員の受診義務を明確にするとともに、精密検査の指示を受けた職員の完全受診を強力に推進するものである。

ウ 健康診断結果の管理(第27条)

健康診断結果の管理と活用を明確に規定した。また、職員が異動するときには、当該職員の最新の健康診断結果を異動先の健康管理者に送付し、継続的な健康管理対策を行うものである。

エ 健康管理区分の指定等(第28条―第33条)

疾病者の早期把握と健康管理区分の早期指定を目的として、診断書の添付を省くなど事務手続の簡略化を図ったものである。

オ 職務復帰支援(第34条)

心身の故障のため休暇又は休職中であった職員が円滑に職務に復帰又は復職するためには、当該職員に対する組織的な支援が必要不可欠であることから、これまでも健康管理者が、医師、健康管理責任者等との連携を図り、必要な措置を講じてきたところではあるが、近年特に「心」の健康問題を抱える職員に対する職務復帰支援がこれまで以上に重要となってきていることから、当該職員に対する最良の措置を組織的に講じるため、あえて明確化したものである。

なお、長期にわたる休暇又は休職からの職務への復帰又は復職等で、職場の環境や職務に徐々に慣れさせる、いわゆる「慣らし勤務」の期間を要する場合には、当該職員の健康管理区分を「要軽業」に指定して勤務に制限を加えるほかに、「半日勤務」(職務専念義務免除)の運用も可能であるので、健康管理者は、対象職員及びその家族、医師、健康管理責任者等と連携を図り、総合的に検討した上で、当該職員に対する最良の支援措置を判断することが望まれる。

(4) 雑則(第36条)

職員の健康診断結果等の情報は、個人の秘密に係るものであり、仮にこれが漏らされればプライバシーを侵害することとなるので、健康管理業務に従事する職員は、データの保管管理と事務手続に十分配意しなければならない。

別紙

健康管理委員会の構成

画像

福島県警察職員の健康管理に関する訓令の制定について(通達)

平成15年5月30日 達(厚)第137号

(平成22年3月1日施行)

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