○福島県警察保護取扱いに関する訓令
平成21年12月17日
県警察本部訓令第19号
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 保護(第4条―第17条)
第3章 保護室(第18条)
第4章 許可状の請求等(第19条―第21条)
第5章 一時保護等(第22条)
第6章 雑則(第23条・第24条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この訓令は、警察官職務執行法(昭和23年法律第136号。以下「警職法」という。)、酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律(昭和36年法律第103号。以下「酩酊者規制法」という。)等の規定に基づく保護(以下これらを「保護」という。)及び児童福祉法(昭和22年法律第164号)の規定に基づく一時保護等の適正な執行に関し、その手続、方法等について必要な事項を定めるものとする。
(基本的心構え)
第2条 警察官は、保護が警察に課せられた重要な責務であることを自覚し、自ら発見し、又は通報、届出等があった者が保護を要する者(以下「要保護者」という。)であるかどうかを的確に判断するとともに、保護に当たっては、誠意をもって行い、個人の人権を侵害することのないよう細心の注意を払わなければならない。
(保護の責任)
第3条 署長は、保護について、全般の指揮監督に当たり、その責に任ずるものとする。
2 署の生活安全課長又は刑事生活安全課長(以下「保護主任者」という。)は、署長を補佐し、保護に従事する警察官を指揮して、保護室その他の施設への収容、家族、知人その他の関係者(以下「家族等」という。)への引渡し、関係機関への引継ぎ等、保護取扱いの全般について、直接その責に任ずるものとする。
3 保護主任者が不在の場合は、署長があらかじめ指定した者又は宿日直責任者が保護主任者に代わってその職務を行うものとする。
第2章 保護
(保護の着手)
第4条 警察官は、要保護者を自ら発見した場合又は通報、届出等のあった者が要保護者であると認めた場合は、応急の救護のための必要な措置を講ずるとともに、速やかに保護主任者に報告しなければならない。
2 前項の場合において、警察官は、現場の状況の把握、目撃者からの聴取等に努め、要保護者が自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼした事故が発生していないかどうかを確認するものとする。
(被保護者の身体観察等)
第5条 警察官は、保護に着手した場合には、保護された者(以下「被保護者」という。)を直ちに病院その他の医療施設に収容する場合を除き、その現場において、被保護者観察表(様式第1号)により、被保護者の身体に異常がないかどうかを観察し、速やかに保護主任者に報告しなければならない。
2 被保護者観察表に掲げる観察項目のうち、痛覚反応や脈はく等、被保護者の身体に接触しなければ観察できないものは、被保護者の外見上、明らかに接触による観察の必要がないと認められる場合に限り、これを省略することができるものとする。
3 第1項の観察は、被保護者のプライバシーに十分配意しながら、被保護者が医療措置を必要とする傷病者である可能性を念頭において行うものとする。
2 保護主任者は、被保護者が早期の医療措置が必要な傷病者であるおそれがある場合は、最寄りの消防署に救急搬送の要請等をし、医師の診察を受けさせる措置を講ずるものとする。
3 保護主任者は、前2項の措置を講じた場合は、署長に報告するとともに、速やかに被保護者の家族等に通知するものとする。
4 前3項に規定するもののほか、保護主任者は、保護を解除するまで、容態等の異常の発見に努め、被保護者の生命、身体等の保護のため適切な措置を講ずるものとする。
(保護の場所)
第7条 署において被保護者を保護する場合は、保護室を使用するものとする。ただし、保護の種別、被保護者の年齢、性別等に応じて被保護者の保護に適切であると認める場合には、保護室に代えて、署の宿直室、休憩室等を保護の場所として使用するものとする。
(事故の防止)
第8条 警察官は、保護に当たっては、被保護者が負傷、自殺、火災その他自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼす事故を起こさないよう注意しなければならない。
2 被保護者を車両で搬送する場合は、前項に規定する事故の防止及び被保護者の動静の監視に適した車両を使用するものとする。
(危害の防止)
第9条 警察官は、被保護者が自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼすおそれのある場合において、その危害を防止し、適切な保護を継続するため他に方法がないと認められるときは、真にやむを得ないと認められる限度において、被保護者の行動を制止するための手段をとることができるものとする。
(保護具の使用)
第10条 前条第1項の場合において、被保護者の行動を制止するため、保護具を使用することができるものとする。
2 保護具は、緊急を要し指揮を受けるいとまがないと認められる場合を除き、あらかじめ保護主任者を経由して署長の指揮を受けてから使用するものとする。
2 保護主任者は、保護取扱簿(様式第4号)により、作成された保護カード、被保護者観察表及び保護取扱日誌を年ごとに整理するものとする。
(危険物、貴重品等の保管)
第12条 警察官は、被保護者が凶器、毒物、劇物等自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼすおそれのある物(以下「危険物」という。)を所持している場合において、第8条の事故を防止するためやむを得ないと認められるときは、当該危険物を保管するものとする。
2 警察官は、被保護者に所持させておいては紛失し、又は破損するおそれがある現金その他の貴重品等についても、前項の規定に準じて、努めて保管するものとする。
3 前2項の規定による措置は、緊急を要し指揮を受けるいとまがないと認められる場合を除き、保護主任者の指揮を受け、立会人を置いて行うものとする。なお、被保護者が女子であるときは、成年の女子を立ち会わせるものとし、緊急を要し成年の女子を立ち会わせることができないときに限り、保護主任者又は保護主任者の指定する者を立ち会わせるものとする。
2 保管物品は、被保護者の保護を解除するまでの間、保護主任者の責任において、紛失し、又は破損することのないように管理するものとする。
3 保管物品は、法令により所持することを禁止されているものを除き、保護を解除する場合には本人又はその家族等に返還し、被保護者を関係機関に引き継ぐ場合には当該関係機関に引き継ぐものとする。
(かけがね等の使用)
第14条 被保護者を保護室で保護する場合において、当該被保護者が自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼすおそれがあり、真にやむを得ないと認められるときは、保護主任者の指揮を受けた上で、被保護者が保護室から離れないよう、かけがね、かんぬき等を使用することができるものとする。
(異常を発見した場合の措置)
第15条 警察官は、被保護者の身体に異常を発見した場合は、応急の措置を講ずるとともに、直ちにその状況を保護主任者を経て署長に報告しなければならない。
2 署長は、被保護者が死亡するなど重大な事故があったときは、直ちにその状況を生活安全企画課長を経て本部長に報告するとともに、その家族等に通知しなければならない。
(保護の解除)
第16条 保護主任者は、被保護者を保護すべき理由がなくなった場合は、速やかに保護を解除しなければならない。
(関係機関への引継ぎ)
第17条 保護主任者は、被保護者を引き渡すべき家族等がない場合若しくは判明しない場合又は判明しても引き取らない場合には、署長の指揮を受けた上で、次の各号に掲げるところにより、適切な措置を講ずるものとする。
(1) 被保護者が、病人、負傷者等である場合には、生活保護法(昭和25年法律第144号)第19条第1項又は第6項の保護の実施機関である知事若しくは市町村長又はその委任を受けた福祉事務所に引き継ぐこと。
(2) 被保護者が児童福祉法にいう児童である場合には、前号に掲げる場合であっても、同法第25条第1項の規定により、福祉事務所又は児童相談所に通告して、引き継ぐこと。
2 被保護者を引き渡し又は引き継ぐ場合は、やむを得ないと認められる場合を除き、引取者又は引継者から、保護カードの引取(引継)書にその記載を受けるものとする。
第3章 保護室
(保護室の設置)
第18条 署に保護室を設置するものとする。
2 保護室は、次に掲げる構造等によるものとする。
(1) 1室の面積は、5平方メートル以上とすること。
(2) 道路その他の外部から見通すことができない構造とすること。
(3) 通風、換気、採光等に留意した構造とすること。
(4) 扉、窓その他の設備は、被保護者に威圧感を与えるおそれのないものとすること。
3 保護室を新設又は改築等をする場合は、生活安全企画課及び施設装備課とあらかじめ協議するものとする。
第4章 許可状の請求等
(保護の延長)
第19条 保護主任者は、24時間を超えて引き続き被保護者を保護する必要があると認められる場合において、警職法第3条第3項ただし書きの規定により許可状の請求を行う場合は、署長の指揮を受けた上で、保護期間延長許可状請求書(様式第5号)により行うものとする。
(簡易裁判所への通知)
第20条 署長は、警職法第3条第5項又は酩酊者規制法第3条第4項の規定により、その直前の週の日曜日から土曜日までの被保護者の住所、氏名等について、保護取扱通知書(様式第6号)により、簡易裁判所に通知するものとする。
(知事等への通報)
第21条 警察官は、被保護者が精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号。以下「精神保健福祉法」という。)第23条の規定に該当する場合には最寄りの保健所長を経て知事に、被保護者が酩酊者規制法第7条の規定に該当する場合には保健所長に通報しなければならない。
第5章 一時保護等
(1) 児童福祉法第33条の規定により、児童相談所長の委託を受けて児童の一時保護を行う場合
(2) 少年法(昭和23年法律第168号)第13条第2項(同法第26条第5項において準用する場合を含む。)の規定により、同行状を執行する場合
(3) 少年法第26条第1項の規定により、家庭裁判所の決定を執行する場合
(4) 少年院法(昭和23年法律第169号)第14条第1項(同法第17条第2項において準用する場合を含む。)の規定により、少年院若しくは少年鑑別所から逃走した者を連れ戻す場合
(5) 更生保護法(平成19年法律第88号)第63条第6項の規定により、引致状による引致を行う場合
(6) 売春防止法(昭和31年法律第118号)第22条第3項(同法第27条第6項において準用する場合を含む。)の規定により、収容状を執行する場合
(7) 婦人補導院法(昭和33年法律第17号)第16条第1項の規定により、婦人補導院から逃走した者を連れ戻す場合
第6章 雑則
(被保護者が非行少年であることが判明した場合等の措置)
第23条 警察官は、被保護者が少年であって、少年警察活動規則(平成14年国家公安委員会規則第20号)第2条第5号の非行少年又は同条第6号の不良行為少年であることが明らかになった場合においては、当該少年について、福島県警察少年警察活動に関する訓令(平成20年県本部訓令第2号。以下「少年警察活動訓令」という。)の定めるところにより、補導を行うものとする。
2 警察官は、被保護者が保護者に監護させることが不適当と認められる児童であることが明らかとなった場合においては、児童福祉法第25条第1項の規定により福祉事務所又は児童相談所に通告するものとする。
3 警察官は、被保護者が売春防止法第34条第2項の要保護女子であることが明らかとなった場合においては、当該被保護者が少年であって第17条第1項第3号又は前2項の規定により、関係機関に送致し又は通告する措置をとった場合を除き、最寄りの婦人相談所又は婦人相談員に通知するものとする。
(被保護者と犯罪捜査)
第24条 被保護者が罪を犯した者又は少年警察活動訓令第2条第3号の触法少年若しくは同条第4号のぐ犯少年であることが判明した場合においても、なお保護を要する状態にあると認める間は、証拠の保全上真にやむを得ないと認められる場合を除き、被保護者について取調べ又は調査をしないものとする。
2 前項の規定は、被保護者が犯罪の被害者であることが判明した場合においても同様とする。
附則
1 この訓令は、平成22年1月1日から施行する。
2 警察官職務執行法等に基づく保護取扱いに関する訓令(平成13年県本部訓令第18号)は廃止する。
3 福島県警察少年警察活動に関する訓令(平成20年県本部訓令第2号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう略〕
附則(平成22年6月23日県警察本部訓令第30号)
この訓令は、平成22年7月1日から施行する。
附則(平成28年10月5日県警察本部訓令第26号)
この訓令は、平成28年10月5日から施行し、改正後の福島県警察少年警察活動に関する訓令の規定及び福島県警察保護取扱いに関する訓令の規定は、平成28年10月1日から適用する。
附則(平成30年6月18日県警察本部訓令第11号抄)
1 この訓令は、平成30年7月1日から施行する。
附則(令和2年1月9日県警察本部訓令第1号)
この訓令は、令和2年2月1日から施行する。
様式第1号(第5条関係)
略
様式第2号(第11条関係)
略
様式第3号(第11条関係)
略
様式第4号(第11条関係)
略
様式第5号(第19条関係)
略
様式第6号(第20条関係)
略
様式第7号(第21条関係)
略