○緊急事態等における福島県警察の初動措置に関する訓令の制定について(通達)

平成28年7月27日

達(災対、務、生企、地企、刑総、交企、公)第274号

みだしの訓令(平成28年県本部訓令第21号。以下「緊急事態等訓令」という。)を制定し、平成28年7月27日から施行することとしたので、次の点に留意し運用上誤りのないようにされたい。

なお、福島県警察災害警備実施に関する訓令の制定について(平成18年4月11日付け達(備、地、交規)第127号)、突発重大事案発生時における初動措置要領の制定について(平成12年3月10日付け例規(備)第2号。以下「突重要領」という。)及び緊急事態の主管課の基準及び報告・連絡要領について(平成20年4月24日付け達(備、地企、地安、捜一、組対、交指、高速、公)第156号。以下「連絡要領」という。)は、廃止する。

第1 制定の趣旨

これまで、大規模な災害、武力攻撃、大規模テロリズム等の緊急事態における県警察(東北管区警察局福島県情報通信部を含む。以下同じ。)の対処に関しては、福島県警察災害警備実施に関する訓令(平成18年県本部訓令第19号。以下「災害警備実施訓令」という。)、突重要領、連絡要領その他関係法令等に基づき運用してきたところである。

しかし、災害警備実施訓令については制定後約10年、突重要領については約16年の期間が経過し、この間、東日本大震災、国際テロ情勢、凶悪事件の発生など県警察を取り巻く諸情勢、治安情勢等は大きく変化しており、危機管理体制の再構築が求められていたところである。さらに、警察庁では既に「突発重大事案」の定義を廃止し、「緊急事態」に変更するとともに対処体制の見直しを行っている。

このため、現行の緊急事態等の対処に係る関係規程を全面的に見直し、新たにこの緊急事態等訓令を制定したものである。

第2 訓令の要点

1 定義

「突発重大事案」の定義を廃止し、大規模な災害、騒乱又はテロリズム、武力攻撃その他の県警察が総合的かつ一体的な措置を緊急に講じる必要がある事態を「緊急事態」として定義した。

2 緊急事態等の区分及び主管課の基準

緊急事態の区分及び社会的反響の大きな事案の具体例並びに初動措置を行う主管課の基準を整理した。

3 認知時の措置

主管課長、災害対策課長、通信指令室長、県本部宿日直責任者、管轄署長等、職員の措置を明らかにした。

4 対処体制

災害警備実施訓令、突重要領等の各規程により定められていた対処体制(任務を含む。)を統一した。

5 初動対応

災害対策課長は、体制が確立されるまでの間、緊急事態等の区分に関わらず必要な情報の収集及び連絡を行うものとした。ただし、県本部の他課においてこれらを行っている場合は、この限りでない。

6 非常参集

緊急事態等における職員の非常参集の基準を明らかにした。

第3 他の規程との関係

1 緊急事態等訓令は、緊急事態等の対処に関する基本的な事項を定めたものであり、緊急事態等の対処に関する具体的及び細部的な事項については、それぞれの事務処理に関する要領、計画等において規定し、これに従って対処することとした。

2 「第4章 対処体制」については、緊急事態等訓令における県本部警備本部(以下「県警備本部」という。)及び県本部警備対策室(以下「県警備対策室」という。)(以下「県警備本部等」という。)並びに署警備本部及び署警備対策室(以下「署警備本部等」という。)の設置要件を「緊急事態等の態様、規模、被害状況等により必要があると認めるとき」と規定しており、身代金目的誘拐事件、人質立てもこり事件、暴力団対立抗争事件、大規模サイバー攻撃事態等個別に対処すべき事態については、当該訓令によらない体制を確立することができるものとした。

3 「第6章 応援」については、警察法(昭和29年法律第162号)又は福島県警察の処務に関する訓令(平成5年県本部訓令第8号。以下「処務訓令」という。)に規定する事項が根拠となるものであり、緊急事態等訓令においては、応援の必要性について、確認的に規定した。

第4 解釈及び運用上の留意事項

1 趣旨(第1条関係)

本条は、緊急事態等訓令の規定する内容を総括的に示すとともに、その趣旨を明らかにし、併せて、当該訓令を解釈し運用する場合の指針を与えたものである。

緊急事態等訓令は、緊急事態等の発生に際し、県警察の総合力を挙げた初動措置を迅速かつ的確に実施し、もって、個人の生命、身体及び財産の保護といった警察の責務を果たそうとするものである。

2 用語の定義(第2条関係)

本条は、緊急事態等訓令における用語の定義を行い、用語に関する解釈の統一を図ったものである。

(1) 緊急事態(第1号)

緊急事態については、警察庁が緊急事態の主管課の基準、緊急事態等の報告・連絡要領及び緊急輸送要領について(平成27年12月1日付け警察庁丙備企発第172号ほか)において緊急事態の区分を示していることから、これに準じた。

(2) 災害(第2号)

災害については、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第2条第1号において、暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑り等の異常な自然災害のみならず、大規模な火事、爆発、放射性物質の大量の放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没、旅客列車の衝突転覆、航空機の墜落等の大規模な事故を含めて災害という用語を用いていることから、これに準じた。

(3) 社会的反響の大きな事案(第6号)

社会的反響の大きな事案については、別表第2で具体例を示しているが、当該事案に該当するか否かは、事案の態様、規模、被害状況等から総合的に判断するものとした。

(4) 初動措置(第7号)

初動措置については、緊急事態等に関する情報を認知してから事態が鎮静化し、本格的な捜査又は復旧段階に移行するまでの間に行う措置とした。よって、緊急事態等の事務又は事件を最終的に担当すべき所属に引き継いだ後に行う措置については、これに含まない。

(5) 組織関係用語等の汎用(第2項)

職制及び組織関係用語の意義、勤務制度関係用語の意義については、それぞれ福島県警察の組織に関する訓令(平成4年県本部訓令第3号)及び福島県警察の勤務制度に関する訓令(平成4年県本部訓令第21号)の定めによることとした。

3 基本方針(第4条関係)

本条は、初動措置を講ずるに当たっての基本方針を規定したものである。

(1) 第1号では、処務訓令第34条の「警察一体の原則」に基づき、緊急事態等が発生した場合には、早期に対処体制を確立し、県警察の総合力の発揮に努めることとした。

(2) 第2号では、緊急事態等の発生時においては、人の生命及び身体の保護を最も優先して行い、必要な措置を徹底することとした。

(3) 第3号では、緊急事態等における活動時には、国、県、市町村、消防、自衛隊、海上保安部、輸送機関、医療機関、関係団体及び関係事業者それぞれが、防災計画や相互の応援協定等に基づき活動することから、緊密な連絡の下に応急対策を推進することとした。

4 実態把握(第6条関係)

本条は、緊急事態等の発生に備え、平素から実態把握を行い、基礎資料を収集しておくことを規定したものである。

基礎資料は、緊急事態等に関する資料のほか、現地指揮所として使用可能な場所、部隊等の集結可能な場所、部隊員等の宿泊可能な場所等を含むものとした。

5 装備資機材、通信機器及び物資の整備点検(第8条関係)

本条は、緊急事態等発生時に装備資機材、通信機材及び物資(以下「装備資機材等」という。)が適切に運用できるよう平素から整備点検を実施するよう規定したものである。

(1) 配置されている装備資機材等については、一覧表を作成し、当直席等に備え付けるものとする。また、装備資機材等の保管場所を職員に周知徹底し、担当職員が不在の場合であってもすぐに活用できるようにしておくものとする。

(2) 装備資機材等の点検を随時行い、不具合については修繕し、いつでも稼働できるような状態にしておくものとする。

6 職員の措置(第10条関係)

本条は、緊急事態等又はその可能性のある事態を認知した場合における職員の措置について規定したものである。

緊急事態等については、事柄の性質上、認知の段階では必ずしも全容が把握できず、断片情報にとどまることが多いものの、こうした断片情報であっても、第一線から県本部に、また、県本部主管課から警察庁及び東北管区警察局に、それぞれ報告するものとする。

7 警備本部等の設置及び設置基準(第17条関係)

本条は、県警備本部等及び署警備本部等の設置及び設置基準について規定したものである。

(1) 県本部の対処体制については、本部長を長とする県警備本部(A号体制)、主管部長を長とする県警備本部(B号体制)又は主管課長を長とする県警備対策室の3体制とし、署の対処体制については、署長を長とする署警備本部又は副署長等を長とする署警備対策室の2体制とした。

(2) 県警備本部等及び署警備本部等の設置の要件は、「緊急事態等の態様、規模、被害状況等により必要があると認めるとき」であり、その設置基準を別表第4に示した。

8 県警備本部等及び署警備本部等の体制(第18条第20条第21条及び第23条関係)

本条は、県警備本部等及び署警備本部等の体制について規定したものである。

県警備本部等及び署警備本部等の体制については、緊急事態等の態様、規模、被害状況等により班を分割・追加・縮小するなど弾力的に運用することができるものとした。

9 現地指揮所の設置等(第24条関係)

本条は、現地指揮所の設置、現地指揮所の体制及び合同調整所その他運用上の特別の組織への要員派遣について規定したものである。

(1) 緊急事態等発生時には、発生地を管轄する署が事態の対応で忙殺されていたり、部隊活動を要する場所から遠距離に位置していたりするなどにより、署が現地指揮所としての機能が果たせない可能性があることから、必要に応じ署以外の場所に現地指揮所を設置するものとした。

(2) 現地指揮所の体制は、緊急事態等の態様、規模、被害状況等により弾力的に運用することができるよう、その都度定めるものとした。

(3) 合同調整所は、現場で活動する警察、消防、海上保安部及び自衛隊の部隊が、活動エリア、内容、手順、情報通信手段等について、部隊間の情報共有及び活動調整、必要に応じた部隊間の相互協力を行うため、必要に応じて設置される。よって、合同調整所が設置された場合において、相互に連絡及び調整を図る必要があると認めるときは、同所に要員を派遣するものとした。

10 県警備本部等、署警備本部等及び現地指揮所の設置場所(第25条関係)

本条は、緊急事態等訓令に基づき設置される県警備本部等及び署警備本部等の設置場所について規定したものである。

署の代替施設は、管内に所在する警察施設が望ましいが、場合によっては、他の機関等が所有する施設及び場所についても検討するものとする。

11 警備部隊の編成(第26条関係)

本条は、県本部及び署に編成する警備部隊について規定したものである。

(1) 県本部警備部隊の編成は、緊急事態等の態様、規模、被害状況等により弾力的に運用することができるよう、隊長のみを指定した。

(2) 署警備部隊は、第二機動隊により部隊を編成し、自署の管轄区域内における緊急事態等に対処する部隊としての機能を持たせるとともに、他の管轄区域内で活動する場合においては、県本部で一元的に指揮できるものとした。

緊急事態等における福島県警察の初動措置に関する訓令の制定について(通達)

平成28年7月27日 達(災対、務、生企、地企、刑総、交企、公)第274号

(平成28年7月27日施行)

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