○新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態における警察の対応に係る留意事項等について(通達)

令和3年2月25日

達(災対)第46号

新型コロナウイルス感染症については、感染者の新規報告数の増加、医療体制のひっ迫を受け、本年1月7日、新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号。以下「特措法」という。)第32条第1項の規定に基づく新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言(以下「緊急事態宣言」という。)が行われたところであるが、加えて、同年2月3日、現下の同感染症の発生の状況等に鑑み、同感染症に係る対策の推進を図るため、新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律(令和3年法律第5号。以下「改正法」という。)が成立し、同月13日に施行された。

本県警察においては、福島県警察新型インフルエンザ等対策行動計画の制定について(平成26年8月8日付け達(災対、務、生企、地企、刑総、交企、公)第284号。以下「行動計画」という。)に基づき、「福島県警察新型コロナウイルス感染症対策警備本部」(以下「警備本部」という。)を設置し、対策等を講じているところである。

改正法の成立等を受け、下記の留意事項を踏まえつつ、対応に万全を期されたい。

なお、「新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態における警察の対応に係る留意事項等について(通達)(令和2年4月13日付け達(災対)第175号)は廃止する。

1 新型コロナウイルス感染症に関する特措法上の措置等

(1) 新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置(第31条の4等)

改正法による改正後の特措法では、政府対策本部長(内閣総理大臣)は、新型インフルエンザ等が国内で発生し、特定の区域において、新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置を集中的に実施する必要があるものとして政令で定める要件に該当する事態が発生したと認めるときは、同措置を実施すべき期間、同措置を実施すべき区域(以下「重点区域」という。)等を公示することとされている。(第31条の4第1項)

重点区域に係る都道府県知事は、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある重点区域における新型インフルエンザ等のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該都道府県知事が定める期間及び区域において、

ア 特定の事業者に対する営業時間の変更等の要請等(第31条の6第1項から第5項まで)

新型インフルエンザ等の発生の状況についての政令で定める事項を勘案して措置を講ずる必要があると認める業態に属する事業を行う者に対し、営業時間の変更等の措置を講ずるよう要請することができ、都道府県知事の要請を受けた者が正当な理由がないのに当該要請に応じないときは、当該都道府県知事は要請に係る措置を講ずべきことを命ずることができ、この命令に違反した者は20万円以下の過料に処する。

イ 都道府県知事による立入検査等(第72条第1項)

都道府県知事は、第31条の6第3項に基づき営業時間の変更等の措置を講ずるよう命ずる上で必要な限度において、上記都道府県知事の要請を受けた者に対し、必要な報告を求め、又はその職員に、当該者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、所要の検査、質問をさせることができる。

等の措置を講ずることができる旨が規定されている。

(2) 新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態における特措法上の措置

特措法では、政府対策本部長(内閣総理大臣)は、新型インフルエンザ等が国内で発生し、その全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態が発生したと認めるときは、新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施すべき期間、同措置を実施すべき区域を公示し、国会に報告することとされている(第32条第1項)

新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態において、その区域の全部又は一部が緊急事態措置を実施すべき区域に含まれる都道府県の知事(以下「特定都道府県知事」という。)が実施し得る特措法上の措置としては、

ア 住民に対する不要不急の外出の自粛の要請(第45条第1項)

新型コロナウイルス感染症のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、住民に対し、特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型コロナウイルス感染症の感染の防止に必要な協力を要請することができる。

イ 多数の者が利用する施設の使用の制限、停止等の要請(第45条第2項)

新型コロナウイルス感染症のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、特定都道府県知事が定める期間において、学校、社会福祉施設、興行場その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止等の措置を講ずるよう要請することができる。

なお、改正法による改正後の特措法では、これらの者が正当な理由がないのに要請に応じないときは、特定都道府県知事は当該要請に係る措置を講ずべきことを命ずることができ、この命令に違反した者は30万円以下の過料に処すること等とされている。

ウ 都道府県知事における立入検査等(第72条第2項)

都道府県知事は、第45条第3項に基づき多数の者が利用する施設の使用の制限、停止等の措置を講ずるよう命ずる上で必要な限度において、上記都道府県知事の要請を受けた者に対し、必要な報告を求め、又はその職員に、当該者の営業所、事務所その他の事業所に立ち入り、所要の検査、質問をさせることができる。

のほか、他の地方公共団体に対する応援の要求(第39条)、指定行政機関等に対する職員の派遣の要請(第42条)、緊急物資、衣料品等の運送要請(第54条)、物資の売渡しの要請(第55条)等が規定されている。

(3) その他

ア 都道府県知事は、緊急事態宣言が行われているか否かにかかわらず、公私の団体又は個人に対し、当該都道府県の区域に係る新型コロナウイルス感染症対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができると規定されている(第24条第9項)

イ なお、改正法による改正後の特措法においても、警察が行使し得る特別な権限に関する規定は設けられておらず、一般的な警察権限に関する法令の枠内での対応が原則となる。

2 新型コロナウイルス感染症に関する感染症法上の措置

改正法による改正後の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)では、新型コロナウイルス感染症を同法上の「新型インフルエンザ等感染症」として位置付けた(第6条)上で、以下のような規定が設けられている。

(1) 積極的疫学調査等の実効性の確保(第15条)

都道府県知事又は厚生労働大臣は、積極的疫学調査に正当な理由なく協力しない者に対し、これに応ずべきことを命ずることができ、この命令を受けた者が正当な理由なく答弁をしないなどの場合には、30万円以下の過料に処する。

(2) 入院措置等の実効性の確保(第80条)

入院措置に応じない場合又は入院した者が入院の期間中に逃げた場合には、50万円以下の過料に処する。

3 警察の取組及び留意事項

行動計画においては、警察の取組として、水際対策の支援、医療活動の支援、社会秩序の維持、緊急事態措置に対する支援、重点的感染防止策の支援等が予定されているところであるが、これらについて現時点で留意すべき事項は以下のとおりである。

(1) 警戒警備の実施

水際対策として空港、港湾等における警戒を引き続き行うとともに、医療施設(臨時の医療施設を含む。)等におけるトラブル等の防止のため、自主警備の強化を要請するなどの管理者対策を行うとともに、必要に応じて警戒警備を行うこと。

また、県知事が行う外出自粛、施設の利用制限等の要請等に際して、トラブル等が予想される場合には、必要に応じて警戒警備を行うこと。

なお、改正法により、県知事による施設の使用制限等の命令に違反した場合や県知事による入院措置に応じない場合等における過料規定が新たに設けられたところ、警察は過料処分の対象となる行為を取り締まったり、入院措置を行ったりする主体ではないことから、警察の警戒警備活動がこれらに係る措置であるとの誤解を与えることのないよう、態様について特に留意すること。

(2) 社会秩序の維持

感染拡大に伴う混乱等に乗じた各種犯罪を防止するため、犯罪情報の集約、各種媒体を活用した広報啓発活動を進めるとともに、悪質な事犯に対する取締りを徹底すること。

また、国内の感染拡大や外出自粛等の措置に伴い、社会的混乱が発生するおそれがある場合に備えて、相談対応を通じた住民等の不安の軽減に努めるとともに、各種警察活動における県本部各隊等の多角的運用を含め、組織の総合力を発揮して治安の維持確保を推進すること。

(3) 感染防止

警察職員の感染防止に向けた取組については、これまでも「新型コロナウイルスへの感染拡大防止のための取組の再点検について(依命通達)(令和2年4月7日付け達(災対)第162号)、「新型コロナウイルス感染症感染防止対策の更なる推進について(通達)(令和2年11月12日付け達(災対)第380号)のほか、関係部門から個別の警察活動に関する留意事項等が示達されているところであるが、これまで全国的に警察職員の新型コロナウイルスへの感染が確認されている実態も踏まえ、引き続き、これらの取組を徹底するとともに、創意工夫をこらした具体的な感染拡大防止措置を講じること。

(4) 業務継続のための体制の確保

新型コロナウイルス感染症がまん延し、欠勤者が増加した場合に備え、優先度の高い業務を選別するとともに、これまでの対応状況も踏まえつつ、実際に職員等の感染事案が発生した場合には、個別具体的な状況に応じ、県本部から署に必要な人員を応援派遣するなどにより、必要な業務継続体制を確保すること。

3 その他

(1) 関係機関との連携の強化

県、市町村新型コロナウイルス感染症対策本部等の関係機関と緊密に連携し、引き続き感染状況等に関する現状把握を行うとともに、警戒警備等各種警察活動に当たっては、関係機関と事前に十分に調整するなど所要の措置を講ずるよう努めること。

(2) 県知事からの要請への対応

県知事が行う住民への外出自粛要請等への協力を要請された場合、警戒活動等を通じた声掛けの実施、県知事による働き掛けの支援等所要の措置を通じて適切に対応すること。具体的な対応に当たっては、県知事からの要請を踏まえつつ、警察権限に関する法令の範囲で適切な活動となるよう配意し、警察が権限外の措置を行っているとの誤解を与えることのないよう、態様について特に留意すること。

(3) 報告

緊急事態宣言等に伴う各種措置等については、遅滞なく警備本部に申(通)報すること。

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令和3年2月25日 達(災対)第46号

(令和3年2月25日施行)

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