○子供と女性を性犯罪等の被害から守るための取組の推進について(通達)

令和3年6月4日

達(少対、捜一)第209号

[原議保存期間 3年(令和7年3月31日まで)]

[有効期間 令和7年3月31日まで]

みだしのことについて、次のとおり定め、令和3年6月4日から施行することとしたので、関係所属間の連携を図り、実効ある取組が行われるよう努められたい。

なお、子供と女性を性犯罪等の被害から守るための取組の推進について(平成31年3月25日付け達(生企、捜一)第120号)は、廃止する。

1 趣旨

全国的に子供が被害に遭う凶悪事件が後を絶たないほか、依然として、性犯罪目的から女性が殺害される事件等が発生している。この種事件は、被害者やその家族など関係者の心身に深い傷を残す卑劣な犯行であり、また、地域住民のみならず社会全体にも大きな衝撃を与え、治安に対する著しい不安感を生じさせている。

子供と女性を対象とする性犯罪等は被害者等の心身に与える影響が重大であることから、その前兆事案とみられる声掛け、つきまとい等についても、発生を認知した段階から迅速かつ的確に対処し、性犯罪等の未然防止を図る先制・予防的な警察活動を強力に推進する必要がある。

そのため、県本部と署が連携を図りながら、性犯罪等及び前兆事案に係る被害実態の分析結果に基づいた的を射た被害防止対策、検挙又は指導・警告措置等の先制・予防的活動を行うことにより、子供と女性を性犯罪等の被害から守ろうとするものである。

2 用語の意義

(1) 「性犯罪等」とは、子供の生命又は身体を害する犯罪及び女性に対する性的犯罪(犯罪手口資料取扱規則(昭和57年国家公安委員会規則第1号)第3条第8号に規定する性的犯罪)をいう。

(2) 「前兆事案」とは、次に掲げるものをいう。

ア ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)、軽犯罪法(昭和23年法律第39号)福島県迷惑行為等防止条例(平成12年福島県条例第190号。以下「迷惑防止条例」という。)等の法令に触れない声掛け、つきまとい等の性犯罪等に発展するおそれのある事案

イ 犯罪手口資料取扱規則第3条第8号に規定する性的犯罪のうち、性的欲求に基づくと認められる住居侵入、公然わいせつ、わいせつ物頒布、のぞき見等の軽犯罪法違反及び卑わいな行為等の迷惑防止条例違反事件

ウ その他、客観的状況から判断して、性犯罪等事件に発展するおそれがあると認められる事案

3 子供と女性を性犯罪等の被害から守るための取組

(1) 少年女性安全対策課における取組

少年女性安全対策課においては、性犯罪等及び前兆事案の行為者を特定し、検挙又は指導・警告措置を講ずる先制・予防的活動に、専門的かつ継続的に取り組むこととし、その取組内容については別紙のとおりとする。

(2) 関係所属間の連携

性犯罪等及び前兆事案に関する事務を所掌している所属は、相互の連携を密にするとともに、平素から積極的に情報交換を行うなど、情報の共有を図ること。

4 署における対応要領

(1) 情報の収集及び効果的活用

ア 迅速かつ的確な情報収集と分析

性犯罪等及び前兆事案に関する情報について、警察への通報や相談が迅速かつ確実に行われるよう教育委員会、学校、保護者、地域住民等に働き掛けるとともに、被害者等からの事情聴取、現場周辺での聞き込み等により行為者の特定に結び付く情報の収集に努めること。また、行為の手口、現場の特徴、類似事案との関連性等、行為者の特定に資する分析を行うこと。

イ 情報の共有

署においては、性犯罪等及び前兆事案に係る情報を集約するとともに、集約した情報については、署内関係各課で共有を図ること。

なお、前兆事案を認知した際は、速やかに少年女性安全対策課に報告すること。

ウ 迅速かつ的確な情報発信

性犯罪等及び前兆事案に係る情報発信を行うに当たっては、関係者のプライバシーに十分配意した上で、各種広報媒体を活用し、事案の概要をタイムリーに提供するとともに、地域住民等による効果的な見守り活動や受信者側の迅速な対応に資する情報等についても提供すること。また、既に情報発信した性犯罪等及び前兆事案の行為者を特定し、検挙又は指導・警告措置等を講じた場合には、その概要等の情報発信を行い、地域住民等の不安感等の払拭を図ること。

なお、個別の事件等については、被害者が特定又は推認されないよう細心の注意を払うとともに、被害者の心情及び再被害防止に特に配意すること。

エ 被害防止対策

学校、保護者、防犯ボランティア団体、少年補導員、スクールサポーター、事業者及び地域住民との連携による見守り活動を実施するなど被害防止対策を推進すること。

(2) 先制・予防的活動の推進

性犯罪等及び前兆事案については、発生を認知した段階から、迅速な立ち上がりによる初動捜査活動を実施するとともに、発生の時間帯や場所などの分析結果に基づく警戒・警らを強化し、行為者の早期特定に努めること。

また、行為者を特定した場合は、所要の捜査等を行い、法令違反については確実に検挙措置を講じるほか、法令違反に至らない場合でも指導・警告措置を講じて先制・予防的活動を推進すること。

なお、指導・警告措置については、行為者が犯罪に関わっていると思料される場合を除き、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)に基づく捜査はできないことに留意するとともに、誓約書を徴するなどによりそのてん末を明らかにすること。

5 先制・予防的活動における少年女性安全対策課員の派遣

(1) 被害防止対策

署長は、性犯罪等及び前兆事案の被害防止対策の一環として防犯指導及び街頭活動を行うに際し、必要があると認められるときは、少年女性安全対策課長に対して同課員の派遣要請を行うことができるものとする。

(2) 先制・予防的活動

署長は、自署の態勢のみで先制・予防的活動を行うことが困難であると認めるときは、少年女性安全対策課長に対して、同課員の派遣要請を行うことができるものとする。

少年女性安全対策課長は、捜査第一課長から派遣要請があった場合など必要があると認めるときは、署長の承諾を得て、少年女性安全対策課員を派遣することができるものとする。

なお、少年女性安全対策課員は、行為者を検挙した場合及び行為者に指導・警告措置を講じた場合には、派遣先署に事件又は事案を引き継ぐものとする。

別紙

子供と女性を性犯罪等の被害から守るための取組内容

項目

取組内容

1 性犯罪等及び前兆事案に係る被害実態の把握と分析

(1) CIS-CATS等各種システムを活用した被害実態の把握

(2) 被害実態や行為者特定に資する分析の実施

2 性犯罪等及び前兆事案の発生実態と防犯対策に関する情報発信

(1) POLICEメール等各種媒体を活用した広報

(2) 事案発生時の発生実態及び防犯対策に関する情報発信

3 被害防止対策

(1) 性犯罪等の被害防止に関する講習会等における防犯指導

(2) 性犯罪等の連続発生地域における街頭活動の実施

4 先制・予防的活動

(1) 性犯罪等の現場における初動捜査等の実施

(2) 前兆事案発生時における先制・予防的活動

子供と女性を性犯罪等の被害から守るための取組の推進について(通達)

令和3年6月4日 達(少対、捜一)第209号

(令和3年6月4日施行)

体系情報
生活安全部
沿革情報
令和3年6月4日 達(少対、捜一)第209号