○福島県警察災害警備計画の策定について(通達)

令和3年12月28日

達(災対、務、生企、地企、刑総、交企、公)第502号

[原議保存期間 5年(令和9年3月31日まで)]

[有効期間 令和9年3月31日まで]

みだし計画を別紙のとおり策定し、令和3年12月28日から施行することとしたので、運用上誤りのないようにされたい。

なお、福島県警察災害警備計画の策定について(平成28年7月27日付け達(災対、務、生企、地企、刑総、交企、公)第275号)は、廃止する。

別紙

福島県警察災害警備計画

目次

第1章 総則

第1 本計画の目的及び構成

1 目的

2 準拠規定

3 構成

第2 実施方針

第2章 地震災害対策(地震のうち揺れによるもの)

第1 災害警備方針

第2 災害に備えての措置

1 警備体制の確立

(1) 職員の招集・参集体制の確立

(2) 受援体制の確立等

(3) 管内の実態把握並びに災害関係基礎資料の収集及び整備

(4) 災害警備用装備資機材の充実整備

(5) 警察施設等の災害対策

(6) 教養訓練の実施

(7) 災害警備用物資の備蓄等

(8) 業務継続性の確保

(9) 被留置者への対応

2 情報収集及び連絡体制の整備

(1) 情報収集の手段及び方法

(2) 情報収集のための事前準備

(3) 被災状況の報告体制の整備

3 情報通信の確保

(1) 通信の確保

(2) 情報システムの機能の確保

4 交通の確保に関する体制及び施設の整備

(1) 災害時における交通規制計画

(2) 交通管制施設及び交通管理体制の整備

(3) 緊急通行車両に係る確認手続等

(4) 運転者の執るべき措置の周知徹底

5 避難誘導の措置

(1) 避難場所等の周知徹底

(2) 避難行動要支援者等への対応

(3) 管理者対策

(4) 帰宅困難者対策

(5) 広域的な避難者の受入れに関する調整

6 適切な情報伝達活動

7 防災活動の促進

(1) 防災訓練の実施

(2) 各種講習会等を通じた防災知識の普及

(3) 避難行動要支援者等に対する配慮

(4) 企業に対する防災思想の普及

8 関係機関との相互連携

9 複合災害対策

10 危険箇所の調査

11 重要施設の警戒

12 ボランティアの受入れのための環境の整備

13 大規模災害警備対策に関する調査及び研究

第3 災害時における措置

1 警備体制

(1) 職員の招集・参集

(2) 災害警備本部等の設置

(3) 警備体制の種別

(4) 広域的な支援体制

2 情報の収集及び連絡

(1) 気象情報等発表時の措置

(2) 多様な手段による情報収集等

(3) 警察庁及び東北管区警察局への報告等

(4) 災害情報の報告等

3 救出救助活動

(1) 機動隊等の出動

(2) 関係機関との協力・調整

(3) 署における救出救助支援活動

(4) 感染症対策

4 避難指示、誘導等

(1) 避難の指示等

(2) 避難の指示及び避難誘導時における留意事項

5 警戒区域の設定

6 行方不明者の捜索

7 死体の取扱い及び身元確認等

8 二次災害による被害の防止

9 危険箇所等における避難誘導等の措置

10 社会秩序の維持

(1) 警戒活動の強化

(2) 各種犯罪の取締り

(3) 社会的混乱の抑制

(4) 自主防災組織等との連携

11 緊急交通路の確保

(1) 交通状況の把握

(2) 交通規制の実施

(3) 輸送対象の想定

(4) 交通規制の周知徹底

(5) その他緊急交通路確保のための措置

(6) 関係機関等との連携

12 住民等への情報伝達活動

(1) 住民等に対する適切な情報伝達活動の実施

(2) 相談活動の実施

(3) 多様な手段による情報伝達

13 報道対応

14 情報通信及びシステムに関する措置

(1) 通信機器及び電子計算組織の機能回復

(2) 災害警備活動に必要な情報の共有

15 関係機関との相互連携

16 自発的支援の受入れ

(1) 自主防災組織等への支援

(2) 海外からの支援の受入れ

第4 災害復旧・復興

1 警察施設の復旧

2 暴力団排除活動の徹底

3 交通規制の実施

第3章 津波災害対策(地震のうち津波によるもの)

第1 災害に備えての措置

1 津波警報・津波注意報等の伝達

2 津波からの避難誘導等

(1) 実態把握

(2) 避難場所の選定及び避難路の複数指定

(3) 住民等への周知徹底

(4) 避難行動要支援者等に係る避難誘導体制の整備

(5) 避難手段の検討

3 活動要領の策定

4 警察施設等の災害対策

5 交通管制施設及び交通管理体制の整備

6 災害用装備資機材の整備充実

7 教養訓練の実施等

8 被留置者への対応

第2 災害時における措置

1 津波警報等の伝達

(1) 県本部からの伝達

(2) 署からの伝達及び広報

2 避難誘導等

3 救出救助活動

4 死体の取扱い及び身元確認等

5 行方不明者の相談活動等の実施

6 社会秩序の維持

(1) 警戒活動の強化

(2) 各種犯罪の取締り

(3) 社会的混乱の抑制

7 大量拾得物の処理

第4章 その他の自然災害対策

第1 風水害対策

1 住民の防災活動の促進

(1) 避難誘導対策

(2) 防災知識の普及

(3) 防災訓練等の実施

2 警察施設等の災害対策

3 災害発生直前の措置

(1) 風水害に関する情報等の伝達

(2) 住民等の避難誘導

(3) 災害未然防止活動

4 災害の拡大防止と二次災害による被害の防止活動

第2 火山災害対策

1 情報の伝達及び避難誘導体制の確立

(1) 火山情報等の伝達体制の確立

(2) 住民等への周知等

2 火山災害対策用装備資機材の整備充実等

3 災害発生直前の措置

(1) 火山災害に関する情報の伝達

(2) 避難誘導

4 二次災害による被害の防止

5 継続災害への対応

(1) 避難対策

(2) 安全確保対策

第3 雪害対策

1 災害に備えての措置

(1) 雪害に強い交通管制施設の整備

(2) 気象状況の情報収集及び伝達

(3) 危険箇所の周知徹底

(4) 運転者への周知活動

(5) 緊急交通路の確保

2 災害発生時における措置

第5章 原子力災害対策

第1 災害に備えての措置

1 関係機関等との相互連携

2 原子力災害発生時における連絡体制の整備

3 警備体制の整備

4 防災訓練の実施

第2 災害時における措置

1 周辺住民等への情報伝達

2 避難の誘導及び屋内退避の呼び掛け

3 交通の規制及び緊急輸送の支援

4 犯罪の予防等被災地における社会秩序の維持

5 警察職員の被ばく対策

第6章 事故災害対策

第1 海上災害対策

1 災害に備えての措置

(1) 関係機関との相互連携

(2) 情報収集・連絡体制の確立

(3) 危険物等の大量流出時における活動体制の確立

(4) 海上災害警備用装備資機材の整備充実

(5) 警察用船舶の広域運用に必要な措置

(6) 防災訓練の実施

2 災害時における措置

(1) 情報の収集

(2) 捜索活動及び救出救助活動

(3) 危険物等の大量流出時等の措置

第2 航空災害対策

1 災害に備えての措置

(1) 航空災害応急体制の確立

(2) 関係機関との相互連携

(3) 連絡体制の確立

(4) 基礎資料の整備

(5) 防災訓練の実施

2 行方不明航空機等の捜索活動

3 災害時における措置

(1) 情報の収集

(2) 救出救助活動

(3) 立入禁止区域の設定等

(4) 合衆国軍用航空機事故

第3 鉄道災害対策

1 災害に備えての措置

(1) 関係機関との相互連携

(2) 連絡体制の確立

(3) 防災訓練の実施

2 災害時における措置

(1) 救出救助活動

(2) 立入禁止区域の設定等

3 二次災害による被害の防止

第4 道路災害対策

1 災害に備えての措置

(1) 関係機関との相互連携

(2) 危険箇所等の把握と関係機関に対する要請

(3) 連絡体制等の確立

(4) 防災訓練の実施

2 災害時における措置

(1) 情報の収集

(2) 救出救助活動

(3) 立入禁止区域の設定等

(4) 危険物の流出に対する応急対策

3 二次災害による被害の防止

第5 危険物等災害対策

1 災害に備えての措置

(1) 関係機関との相互連携

(2) 危険物等関係施設の実態把握

(3) 連絡体制の整備

(4) 危険物等災害警備用装備資機材の整備充実

(5) 避難場所等の周知

(6) 火薬類取締法等の法令に定める権限の行使

(7) 防災訓練の実施

2 災害時における措置

(1) 情報の収集

(2) 救出救助活動

(3) 立入禁止区域の設定

(4) 危険物等の大量漏えい等に対する応急対策

(5) 火薬類取締法等の法令に定める権限の行使

第6 火事災害対策

1 災害に備えての措置

(1) 関係機関との相互連携

(2) 管内実態の把握

(3) 連絡体制の整備

(4) 防災訓練の実施

2 災害時における措置

第1章 総則

第1 本計画の目的及び構成

1 目的

この計画は、県本部及び署が、各種災害に関し執るべき措置を定め、もって災害警備活動の万全を期することを目的とする。

2 準拠規定

災害警備活動については、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)、大規模地震対策特別措置法(昭和53年法律第73号)、国家公安委員会・警察庁防災業務計画(昭和38年6月27日付け国家公安員会・警察庁)、緊急事態等における福島県警察の初動措置に関する訓令(平成28年県本部訓令第21号。以下「緊急事態等訓令」という。)、その他別に定めるもののほか、本計画の定めるところによる。

3 構成

(1) 本計画の構成は、第2章を「地震災害対策」、第3章を「津波災害対策」、第4章を「その他の自然災害対策」、第5章を「原子力災害対策」、第6章を「事故災害対策」とした。なお、第2章には、地震災害対策のほか、本計画全体を通じた共通対策を定めた。

(2) 地震に伴う被害としては、主として「揺れによるもの」と「津波によるもの」があるところ、第2章には主として「揺れによるもの」を、第3章には「津波によるもの」を定めた。

(3) 第4章の「その他の自然災害対策」では、風水害対策、火山災害対策及び雪害対策についてそれぞれ定めた。

(4) 第5章では「原子力災害対策」について定め、第6章の「事故災害対策」では、海上災害対策、航空災害対策、鉄道災害対策、道路災害対策、危険物等災害対策及び火事災害対策についてそれぞれ定めた。

第2 実施方針

この計画は、平成7年1月の阪神淡路大震災、平成23年3月の東日本大震災及び近年の大規模災害における警察の活動を踏まえたものであり、その実施に当たっては、日頃発生する地震、風水害、火山災害及び事故災害はもとより、今後大規模災害が発生した際にも的確に対処できるよう、県警察各部門が相互に連絡を密にして一体的な活動を行うとともに、早期に警備体制を確立し、国、県、市町村、消防、自衛隊、海上保安部、輸送機関、医療機関、関係団体及び関係事業者(以下「関係機関等」という。)との緊密な連携の下、住民のほか観光客や外国人の来県者等(以下「住民等」という。)の生命及び身体の保護を第一とし、負傷者の救出救助、避難誘導、交通の規制、各種犯罪の予防及び取締り、その他社会秩序の維持に当たるなど、総合的な災害対策の推進に努めるものとする。

第2章 地震災害対策(地震のうち揺れによるもの)

第1 災害警備方針

県警察は、関係機関等との緊密な連絡の下に災害警備対策を推進し、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、早期に警備体制を確立して情報の収集に努め、住民等の生命及び身体の保護を第一とした災害警備活動に努めるものとする。

第2 災害に備えての措置

県警察は、災害の規模等に応じた災害警備本部、災害警備対策室の体制や指揮命令系統の確立及び機動力の確保並びに管内実態に即した被害情報の収集及び連絡、避難誘導、救出救助、交通規制等の措置を的確に執ることができるよう、本計画の随時見直しを行うものとする。

1 警備体制の確立

(1) 職員の招集・参集体制の確立

ア 所属長は、職員の招集・参集対象者の明確化、連絡手段の確保、招集・参集途上での情報収集・連絡手段の確保等職員の迅速な招集・参集体制の確立に努めるものとする。また、参集場所は、原則として所属部署に参集するものとするが、交通事情等により参集することが困難な場合は、最寄りの署又は警察施設に参集し、自己の所属長の指示を受けるものとする。なお、招集・参集体制の確立に当たっては事前に、職員各人に対して交通機関の途絶等を想定した自転車、徒歩等の代替手段を検討させておくものとする。

イ 所属長は、夜間、休日等に災害が発生した場合における道路損壊、橋りょう損壊、火災の発生、交通の途絶、職員自身又は職員の家族の被災等を考慮した警備本部等要員の確保に努めるものとする。

(2) 受援体制の確立等

関係所属長は、県内で大規模災害が発生した際、災害の規模に応じて円滑に他の都道府県警察から支援を受けることができるよう、必要となる体制を確立しておくものとする。また、県外で大規模災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、警察災害派遣隊の出動が予想されることから、平素から招集・派遣体制の整備を図るものとする。なお、即応部隊については、隊員の安全確保を図りつつ、効率的な救出救助活動等の災害警備活動を行うため、平素から隊員に対し、災害現場に即した環境下における救出救助技能、自活能力等の向上に向けた教養訓練を徹底するとともに、関係機関との連携体制の強化を図るものとする。

(3) 管内の実態把握並びに災害関係基礎資料の収集及び整備

署長は、管内における以下の事項について実態を把握し、これに即した災害対策が講じられるよう、基礎資料の収集及び整備を行うものとする。また、整備した基礎資料については、実態の変化に応じ、随時見直し等を行うものとする。

ア 関係機関等連絡先一覧

イ 災害危険箇所(津波により浸水が予想される地域を含む。)

ウ 避難場所(位置、収容能力、対象地域等)、避難経路等

エ 津波避難広報経路(沿岸部管轄署)

オ 福祉施設等の災害時要配慮者施設

カ 学校、病院、高層建築物、ホテル等

キ 爆発物・可燃物等の貯蔵所、取扱所等危険箇所、トンネル等の危険箇所

ク バス、鉄道、高速道路、航空機、船舶等の公共交通機関

ケ 電気、ガス、水道、通信等のライフライン施設

コ レンタカー、燃料、飲料水、乾電池等の補給物資取扱業者

サ 救出救助活動等に協力依頼できる重機保有の土木、建設業者等

シ 部隊の拠点となり得る施設及び部隊が宿泊可能な施設

ス 検視・遺体安置場所等

セ 被留置者の避難場所、護送経路等

ソ 管轄自治体の自主防災組織

タ その他必要と認められる事項

(4) 災害警備用装備資機材の充実整備

関係所属長は、以下の災害警備用装備資機材の整備に努めるものとする。なお、小型重機、ショベルカー等臨時に借り受けて対応する資機材については、災害発生時にスムーズに借受け等が行われるよう、県内の建設業協会等との間で協力関係の構築を図るとともに、警察が保有していても不足することが見込まれる装備資機材についても同様の措置を講じるものとする。

ア 交番及び駐在所ごとに整備すべき装備資機材

(ア) スコップ、つるはし、のこぎり等救助用機材

(イ) 強力ライト等照明用機材

(ウ) 可搬式標識、標示板等交通対策用機材

イ 署ごとに整備すべき装備資機材

(ア) 上記アに掲げる装備資機材及び管内地図

(イ) チェーンソー、エンジンカッター等救助用機材

(ウ) 投光器等照明用機材、発動発電機等非常用電源設備

(エ) トランジスターメガホン、拡声器等広報用機材

(オ) 胴付水中長靴、とび口、ゴム長手袋、踏み抜き防止板等捜索用機材

(カ) 信号機電源付加装置(可搬式発動発電機)、緊急通行車両確認標章等交通規制用機材

(キ) ミニレッカー等の交通確保機材

ウ 県本部に整備すべき装備資機材

(ア) 上記イに掲げる装備資機材

(イ) レスキュー車、投光車、キッチンカー、トイレカー、交通規制用バン型車、オフロード二輪車等災害警備活動用車両

(ウ) 生存者探査機、ファイバースコープ、エアージャッキ等救助用機材

(エ) エアーテント、可搬式ろ過器等後方支援用機材

(オ) 寝袋、簡易トイレ等自活用機材

(5) 警察施設等の災害対策

関係所属長は、以下の基本的考え方に従って、警察施設等の耐震性、耐火性、耐浪性(太平洋沿岸部の警察施設のみ。)等の確保に努めるものとする。

ア 災害が発生し、又は発生するおそれがある場合に災害応急対策の拠点となる警察施設については、その重要度を考慮し、耐震性、耐火性及び耐浪性の強化に努めるものとする。

イ 県本部及び署の中枢施設が損壊した場合に、特に指揮機能及び通信機能を確保するため、耐震性、耐火性及び耐浪性があり、かつ、液状化の起こりにくい地域に所在する建物を選定して、代替施設としての整備を図るものとする。

ウ 保有する施設及び設備については、災害発生時の電源確保のため、非常用電源設備の整備に努めるものとする。また、通信途絶時に備えた衛星携帯電話の整備等非常用通信手段の確保を図るものとする。

(6) 教養訓練の実施

関係所属長は、災害についての知識、装備資機材の保守管理及び操作要領、具体的活動要領等についてマニュアル等を作成して職員に周知徹底するとともに、以下の教養訓練項目について計画的に反復して教養訓練を行い、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合に自らの判断で行動できるようにするものとする。また、交通の途絶、職員自身又は職員の家族の被災等により職員の動員が困難な場合を想定し、限られた要員で災害警備活動が実施できるよう訓練に努めるものとする。

さらに、広域緊急援助隊員を中心に機動隊員等の高度な災害警備活動能力の育成に努めるとともに、隊員の招集体制等を随時見直すなどして、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合に迅速に警備体制が確立できるよう配意するものとする。

【教養訓練項目】

ア 教養項目

(ア) 災害及び災害警備の知識

(イ) 災害関係法令並びに警察及び関係機関等の責務

(ウ) 管轄区域内の段階的災害予測

(エ) 災害警備計画及び初動措置要領

(オ) 災害警備用装備資機材の知識

(カ) 通信資機材の知識

(キ) 災害情報の分析及び報告要領

イ 訓練項目

(ア) 要員の招集及び部隊の編成

(イ) 災害情報の収集・連絡・伝達

(ウ) 災害警備用装備資機材の操作

(エ) 車両、警察用航空機、通信資機材等の配備運用

(オ) 警備実施部隊の配備及び支援部隊の派遣

(カ) 災害時の交通規制、放置車両及び道路上の障害物の除去

(キ) 住民等の避難誘導

(ク) 被災者の救出救助

(ケ) 被留置者の避難等

(7) 災害警備用物資の備蓄等

関係所属長は、物資の供給が相当困難な場合を想定した食糧、飲料水、燃料、電池その他の災害警備用物資及び感染防護資機材について、適切な備蓄及び調達体制の整備による確保措置を講じるものとする。また、県内の給油業者において、災害警備活動用警察車両の給油が円滑に行われるよう、平素から石油業者組合等への働き掛けを行うものとする。

(8) 業務継続性の確保

所属長は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合の災害応急対策等の実施や優先度の高い通常業務の継続のため、別に定める計画等により、業務継続性の確保を図るものとする。

(9) 被留置者への対応

留置管理課長及び署長は、被留置者の護送、避難及び解放を的確に行うため、非常計画の見直し及び訓練を実施するものとする。また、被留置者の処遇を確保するための装備資機材等の整備及び被留置者の移送に関し、検察庁等との必要な連携を図るものとする。

2 情報収集及び連絡体制の整備

(1) 情報収集の手段及び方法

ア 関係所属長は、大規模災害発生時に、総合運用指令課通信指令室(以下「通信指令室」という。)からの指令の下に、交番、駐在所、パトカー、白バイ、警察用航空機等の勤務員が直ちに情報収集に当たり、かつ、通信指令室に情報が一元的に集約される体制の確立を図るものとする。

イ 関係所属長は、ヘリコプターテレビシステム、交通監視カメラ等の画像情報を収集・連絡するシステムについて平素からの積極的な活用を図るものとする。

ウ 関係所属長は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において関係機関等と円滑な連絡を行うことができるよう、平素から緊密な協力関係を構築するものとする。

エ 関係所属長は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合に電力会社、電話会社等の関係機関、団体の保有する情報の提供を得るため、協力体制の確立に配意するものとする。

(2) 情報収集のための事前準備

ア 総合運用指令課長及び署長は、常に通信指令の機能が確保されるよう体制を確保するとともに、災害対応マニュアル等を作成し、災害時の応急対応に備えるものとする。

イ 警備課長は、警察用航空機を的確に運用できるよう、航空隊における体制を確保するとともに、運用マニュアル等を作成し、災害時の応急対応に備えるものとする。

ウ 災害が発生し、又は発生するおそれがある場合に住民等から広く災害発生情報等が提供されるよう、広報等の取組を進める。

(3) 被災状況の報告体制の整備

災害対策課長は、大規模災害発生時に、各署から逐次報告される死傷者、倒壊家屋等の数を集約し、通信指令室、災害警備本部等において、被災地から報告される生の声情報及び人的・物的被害に関する情報等に基づいて、直ちに概括的な被害状況(例えば「○○市内ではおよそ○名が建物の下敷きになっている模様。」、「立っていられない程の強い揺れが○分間続き、警察署の周辺地域では停電が発生している模様。」)を把握及び評価し、警察庁及び東北管区警察局に報告する体制を整備するものとする。

3 情報通信の確保

(1) 通信の確保

関係所属長は、災害発生時の通信確保のため、県情報通信部との連携を十分にとり、以下の事項の推進に努めるものとする。

ア 警察通信施設の整備状況、性能等の十分な把握及び無線中継所の機能維持方策の検討

イ 機動警察通信隊との実戦的対応訓練の実施等による事案対処能力の強化

ウ 衛星携帯電話等警察通信施設以外の通信手段の災害発生時における使用の検討

エ 警察施設等の新築、改築時における通信機器の設置スペースの確保並びに応急用通信機器の設置方策及び搬送手段等の確保

オ 耐震構造及び免震構造の導入等による警察通信施設の耐震性の向上

カ 警察通信施設や非常用電源設備の定期点検の徹底

キ 災害発生時の電力復旧及び燃料の安定供給に資する関係事業者との連携

ク 長期停電等の際、警察通信施設の機能維持のために協力すべき事項の十分な検討

ケ 通信システムの障害への具体的対応要領等の作成及び訓練の実施

(2) 情報システムの機能の確保

関係所属長は、災害発生時においても情報システムの機能を確保し、速やかに機能を回復させるため、以下の事項の推進に努めるものとする。

ア 耐震構造及び免震構造の導入等による電子計算組織の耐震性の向上

イ 停電時における機能確保のための非常用電源の確保

ウ システム構成の二重化等による電子計算組織の信頼性の向上

エ 重要データ、重要プログラム等のソフトウェアのバックアップ体制の強化

4 交通の確保に関する体制及び施設の整備

(1) 災害時における交通規制計画

交通規制課長は、災害による交通の混乱を防止し、緊急交通路等を確保するための交通規制計画、交通管制センターの運用計画等を策定するものとする。

署長は、発災時における住民等の避難・誘導を円滑に行うため、市町村等と調整の上、管内の道路網や交通流等に応じた避難路及び検問場所を設定し、住民等及び関係機関に対する広報周知を図るものとする。

(2) 交通管制施設及び交通管理体制の整備

交通規制課長は、信号機、交通情報板、交通管制センター等の交通管制施設について耐震性の確保を図るとともに、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合における広域的な交通管理体制の整備を図るものとする。また、道路交通機能の確保のため重要となる信号機電源付加装置の整備等の信号機滅灯対策を推進するものとする。

(3) 緊急通行車両に係る確認手続等

交通規制課長は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、災害対策基本法施行令(昭和37年政令第288号)第33条に基づき県公安委員会が行う緊急通行車両に係る確認についての手続を円滑に行うため、警察庁、東北管区警察局、隣接県警察、道路管理者等との必要な調整を行うものとする。また、関係所属長は、公的機関に対する事前届出・確認制度の周知及び民間事業者等との輸送協定締結を促進するものとする。加えて、緊急通行車両の確認事務を適切に行うため、職員への定期的な教養を行うとともに、同令で定める標章及び証明書を準備しておくものとする。

(4) 運転者の執るべき措置の周知徹底

関係所属長は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合に運転者が執るべき措置について、以下の事項を周知徹底するものとする。

ア 車両を運転中である場合には、次の要領により行動すること。

(ア) できる限り安全な方法により車両を道路の左側に停止させること。

(イ) 停止後は、カーラジオやSNS等により災害情報及び交通情報を収集し、その情報及び周囲の状況に応じて行動すること。

(ウ) 引き続き車両を運転するときは、道路の損壊、信号機の作動停止、道路上の障害物等に十分注意すること。

(エ) 車両を置いて避難するときは、できる限り道路外の場所に移動しておくこと。やむを得ず道路上に置いて避難するときは、道路の左側に寄せて駐車し、エンジンを切り、エンジンキーは付けたままとし、窓を閉め、ドアはロックしないこと。駐車するときは、避難する人の通行や災害応急対策の実施の妨げとなるような場所には駐車しないこと。

イ 車両を運転中以外である場合には、次の要領により行動すること。

(ア) 津波、洪水等から避難するためやむを得ない場合を除き、避難のために車両を使用しないこと。

(イ) 津波、洪水等から避難するためやむを得ず車両を使用するときは、道路の損壊、信号機の作動停止、道路上の障害物等に十分注意しながら運転すること。

ウ 災害対策基本法に基づく交通規制が行われたときには、通行禁止区域等(交通規制が行われている区域又は道路の区間をいう。以下同じ。)における一般車両の通行は禁止又は制限されることから、一般車両が同区域等内に在る場合は次の措置を執ること。

(ア) 道路の区間を指定して交通の規制が行われたときは、規制が行われている道路の区間以外の場所及び区域を指定して交通の規制が行われたときは、道路外の場所に速やかに車両を移動させること。

(イ) 速やかな移動が困難なときは、車両をできる限り道路の左端に沿って駐車するなど、緊急通行車両の通行の妨害とならない方法により駐車すること。

(ウ) 通行禁止区域等内において、警察官の指示を受けたときは、その指示に従って車両を移動又は駐車すること(その際、警察官の指示に従わなかったり、運転者が現場にいないために措置を執ることができないときは、警察官が自らその措置を執ることがあり、この場合、やむを得ない限度において、車両等を破損することがあること。)。

5 避難誘導の措置

(1) 避難場所等の周知徹底

関係所属長は、平素の警察活動を通じて、住民等に対して災害が発生し、又は発生するおそれがある場合の避難場所、避難経路、避難時の留意事項等について周知徹底を図るものとする。

(2) 避難行動要支援者等への対応

関係所属長は、災害時の適切な避難誘導を行うため、関係自治体等と緊密に連携しながら、高齢者、障がい者、乳幼児その他の特に配慮を要する者のうち、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者であって、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要するものその他の災害時に支援が必要な者(以下「避難行動要支援者等」という。)の実態把握等に努めるものとする。また、関係自治体から避難行動要支援者名簿(避難行動要支援者について避難の支援、安否の確認その他の避難行動要支援者の生命又は身体を災害から保護するために必要な措置を実施するための基礎とする名簿をいう。以下同じ。)及び個別避難計画(避難行動要支援者について避難支援等を実施するために避難行動要支援者ごとに作成される計画)に記載し、又は記録された情報(以下「名簿等情報」という。)の提供を受けた場合は、名簿等情報の漏えいの防止等必要な措置を講じるものとする。

(3) 管理者対策

署長は、デパート、大型スーパー、駅等多人数の集合する場所の管理者に対して、災害発生時における誘導要領、避難経路の明示、照明・予備電源の確保等について必要な助言等に努めるものとする。

(4) 帰宅困難者対策

署長は、災害の発生に伴い公共交通機関が運行を停止し、帰宅困難者の発生も予想されることから、一時退避場所等の実態を把握し、関係機関と帰宅困難者の誘導方法等について検討するものとする。

(5) 広域的な避難者の受入れに関する調整

関係所属長は、隣接県警察の管轄区域内において災害が発生し、又は発生するおそれがある場合の広域的な避難者の受入れに関し、関係自治体等と必要な調整を行うものとする。

6 適切な情報伝達活動

関係所属長は、災害が発生し、又は発生のおそれがあるとき、住民等に必要な災害関連情報について速やかに伝達するよう努める。その際、インターネット上の流言飛語等による社会的混乱を防止するとともに、住民等の適切な判断と行動を助けるため、正確かつ的確な情報の伝達に留意するものとする。また、住民等からの問合せ等に対応する体制を整備するとともに、交番等に拡声機を設置するなど情報伝達機能の整備を図るものとする。あわせて、自主防犯組織等を通じた地域安全情報の伝達のための体制の整備を図るとともに、必要に応じて、ファックス、パソコン、車両等資機材の整備を図るものとする。

7 防災活動の促進

(1) 防災訓練の実施

関係所属長は、自治体等の主催する総合防災訓練、自衛隊、海上保安庁等国の機関と連携した訓練及び自主防災組織、民間企業、ボランティア団体、住民等(以下「自主防災組織等」という。)と連携した訓練を通じて、自主防災組織等との一体的な災害警備活動の推進に努めるものとする。また、訓練の実施に当たっては、住民等の災害時の避難行動、基本的な防災用資機材の操作方法の習熟等、災害時に執るべき措置について配意するものとする。

(2) 各種講習会等を通じた防災知識の普及

関係所属長は、平素から各種講習会、研修会の機会を通じて地域住民に対し、ハザードマップ等を活用しながらその危険性を周知するとともに、家庭での安全対策、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合に執るべき行動及び避難場所での行動等防災知識の普及を図るものとする。また、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合の家族内の連絡体制の確保を促すものとする。

(3) 避難行動要支援者等に対する配慮

災害対策課長及び署長は、防災訓練の実施、防災知識の普及等に当たっては、地域において避難行動要支援者等を支援する体制が整備されるよう努めるものとする。

(4) 企業に対する防災思想の普及

関係所属長は、管内の企業に対して、各種機会を通じ、地域の防災訓練への参加の呼び掛け、防災に関するアドバイス等に努めるものとする。

8 関係機関との相互連携

関係所属長は、関係機関等との情報共有を図るとともに、必要により協定を締結するなど、相互に連携協力して災害対策に当たるものとする。

9 複合災害対策

関係所属長は、同時又は連続して2以上の災害が発生し、それらの影響が複合化することにより、被害が深刻化し、災害応急対応が困難になる事象(以下「複合災害」という。)の発生可能性を踏まえ、様々な複合災害を想定した要員の招集・参集、災害警備本部の立上げ等の図上訓練や実動訓練を行い、当該訓練の結果を踏まえ、災害ごとの対応計画の見直しを図るものとする。

10 危険箇所の調査

関係所属長は、平素から管轄区域内の地盤、地質、人口動態、交通実態及び道路、橋りょう、建築物の構造等について実態を把握するほか、人的被害が多発するおそれのある高層建築物、高速道路、石油・高圧ガス等の各種危険物の保管場所、地下埋設物の設置場所、海抜ゼロメートル地帯等については、これらの実態、特にそれぞれの管理体制及び保安施設の具体的状況を把握するものとする。また、これらの実態把握に基づき、各時間帯において災害が発生した場合の人的・物的被害予想を立て、災害発生時に的確な初動措置を執ることができるよう、体制を整備するものとする。

11 重要施設の警戒

関係所属長は、大規模災害発生時において、特に警戒すべき重要施設をあらかじめ指定し、所要の警戒計画を立てるものとする。

12 ボランティアの受入れのための環境の整備

関係所属長は、被災地における各種犯罪・事故の未然防止、被災住民等の不安の除去等を行うボランティア関係組織・団体との連携を図るとともに、必要に応じて、これらの活動の中核となる自主防犯組織に対して、可能な範囲で資機材等を提供するものとする。

13 大規模災害警備対策に関する調査及び研究

関係所属長は、以下の事項について調査研究し、大規模災害に係る災害警備活動が的確に行われるように努めるものとする。

(1) 大規模災害に係る社会秩序の維持

(2) 大規模災害に係る交通対策

(3) 大規模災害に係る避難誘導対策

(4) 地震予知に関する情報が発表された場合の警察措置

(5) その他の大規模災害警備活動

第3 災害時における措置

1 警備体制

(1) 職員の招集・参集

所属長は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合、速やかに、あらかじめ定められたところにより、職員を招集・参集させ、災害警備体制の確立を図るものとする。

(2) 災害警備本部等の設置

ア 本部長は、災害の態様、規模、被害状況等により必要があると認めるときは、緊急事態等訓令第4章に基づき、県本部に県災害警備本部又は県災害警備対策室(以下「県災害警備本部等」という。)を設置するものとする。

イ 署長は、上記アに準じて署に署災害警備本部又は署災害警備対策室(以下「署災害警備本部等」という。)を設置するものとする。

(3) 警備体制の種別

ア 県本部

(ア) 県災害警備本部(A号体制)

(イ) 県災害警備本部(B号体制)

(ウ) 県災害警備対策室

イ 署

(ア) 署災害警備本部

(イ) 署災害警備対策室

(4) 広域的な支援体制

県災害警備本部等の長は、被害の規模により他の都道府県警察の応援の必要があると認める場合には、県公安委員会に対し援助の要求を要請し速やかに警察災害派遣隊の即応部隊の派遣を本県に求めるとともに、災害への対応が長期にわたる場合には、一般部隊の派遣を求めるものとする。また、県外における大規模災害の発生を認知した時は、速やかに支援体制を確立するものとする。

2 情報の収集及び連絡

(1) 気象情報等発表時の措置

ア 気象情報等の受理

気象台、ダム管理者等から通報される気象情報、地震情報、火山情報、ダム管理情報及び洪水予報(以下「気象情報等」という。)は、通信指令室において受理するものとする。

イ 気象情報等の伝達

総合運用指令課長は、気象情報等を速やかに関係所属長に伝達するものとする。ただし、気象情報の注意報(津波注意報を除く。)については、原則として伝達を要しないものとする。

(2) 多様な手段による情報収集等

ア 県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、被災者の安全確保等に資するため、交番、駐在所、パトカー、白バイ等の勤務員を生の声情報や人的・物的被害等の被災状況及び交通状況等の情報収集に当たらせることとする。その際、情報収集活動に専従するための私服部隊の投入等についても配意するものとする。

イ 県災害警備本部等の長は、夜間、荒天時等格別の事情のある場合を除き、警察用航空機による上空からの被害情報の収集を行うものとする。

(3) 警察庁及び東北管区警察局への報告等

ア 大規模災害の発生を認知した通信指令室は、警察庁及び東北管区警察局に対し、災害発生について即報するとともに、事案対策通信装置の接続を行うものとする。

イ 県災害警備本部等の長は、各署から逐次報告される死傷者、倒壊家屋等の数を集約し、通信指令室、県災害警備本部等に、被災地から報告される生の声情報及び人的・物的被害に関する情報等に基づいて、直ちに概括的な被害状況を把握及び評価し、警察庁及び東北管区警察局へ報告するよう努めるものとする。

ウ 県災害警備本部等の長は、災害による人的・物的被害状況を迅速かつ的確に把握し、警察庁、東北管区警察局へ速やかに連絡するものとする。また、二次災害についても同様に把握し、連絡するものとする。

エ 県災害警備本部等の長は、警察庁及び東北管区警察局に対して、ヘリコプターテレビ等の画像情報を送信するものとする。

(4) 災害情報の報告等

ア 所属長は、災害の発生を認知した場合は、以下の事項について積極的に情報を収集し、通信指令室及び県災害警備本部等に報告するものとする。

(ア) 災害の種別

(イ) 災害の発生日時

(ウ) 災害の原因

(エ) 人畜の被害状況

(オ) 建造物、耕地などの被害見込み数

(カ) 警察措置及び関係機関の活動状況

(キ) 生活必需物資の供給及び救援物資に関する事項

(ク) 被災地住民の動向

(ケ) 災害現場に至る交通路及び現場措置に必要な地形・地物の状況

イ 職員は、緊急の措置を必要とする情報については、飛び越え報告を活用するなどして、認知した災害情報が迅速に活用されるよう努めるものとする。

ウ 県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、県及び市町村の災害対策本部等へ職員を派遣し、必要な連絡調整を図るなど、災害対策が効果的に実施されるよう配意するものとする。

エ 署災害警備本部等の長は、災害警備実施状況について、無線、電話による報告のほか、別に定める様式により災害情報システム又はファックスで県災害警備本部等へ報告するものとする。

3 救出救助活動

(1) 機動隊等の出動

ア 県災害警備本部等の長は、把握した被害状況に基づき、迅速に機動隊等を被災署等に出動させるものとする。その際、災害発生当初の72時間は、救出救助活動において極めて重要な時間帯であることを踏まえ、救出救助活動に人員、資機材等を重点的に配分するものとする。とりわけ、高層建築物、高速道路等において被害が発生した場合には、高度な救出救助能力を有する機動隊、県外からの広域緊急援助隊員等を迅速に投入するものとする。

イ 救出救助活動に当たる際は、倒壊家屋の下敷きになっている者、浸水地域に取り残された者、屋根等で救出を求めている者等危険な状態にある者に対する人命救助を優先するほか、避難行動要支援者等に十分配慮するものとする。

ウ 救出救助活動に当たる警察官は、冷静沈着に行動し、装備資機材を有効に活用するなど、慎重を期し、最も安全かつ確実な方法で活動するものとする。

(2) 関係機関との協力・調整

県災害警備本部等の長は、必要に応じて、消防機関、海上保安庁及び自衛隊と合同調整所を設置し、警察庁からD-SUTが派遣された場合には、その支援を受けつつ、活動エリア・内容・手順、情報通信手段等について、それぞれの部隊間の相互協力を行うものとする。また、災害現場で活動する緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)や災害派遣医療チーム(DMAT)等とも密接に情報共有を図りつつ、連携して活動するものとする。

(3) 署における救出救助支援活動

被災地を管轄する署長(以下「管轄署長」という。)は、自署員により救出救助を支援する部隊を速やかに編成し、管轄区域内の被災状況等を踏まえながら当該救出救助部隊の支援を行うものとする。

(4) 感染症対策

関係所属長は、救出救助活動等に際し、マスク着用等による感染症対策を徹底するものとする。

4 避難指示、誘導等

(1) 避難の指示等

ア 現場警察官は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、人の生命若しくは身体を災害から保護し、その他災害の拡大を防止するため特に必要があると認める場合で、市町村長が当該措置を指示することができないと認めるとき、又は市町村長から要求があったときは、必要と認める住民等に対し、災害対策基本法に基づき避難のための立退きを指示するものとする。

イ 現場警察官は、上記アの措置を指示したときは、管轄署長にその旨を報告するとともに、管轄署長は直ちに市町村長に通知しなければならない。

ウ 現場警察官は、人の生命若しくは身体に危険を及ぼし、又は財産に重大な損害を及ぼすおそれがある天災等危険な事態で、特に急を要する場合においては、危害を受けるおそれがある者に対し、警察官職務執行法(昭和23年法律第136号)に基づきその場の危害を回避させるために必要な限度でこれを引き留め、又は避難させることができる。

エ 現場警察官は、上記ウの措置を執ったときは、管轄署長にその旨を報告するとともに、管轄署長は本部長に、本部長は県公安委員会に報告しなければならない。

(2) 避難の指示及び避難誘導時における留意事項

現場警察官は、避難の指示及び避難の誘導を行う場合は、以下の事項に留意して行うものとする。

ア 避難の指示

(ア) 避難対象地域、避難先、避難経路、避難の指示の理由その他必要な事項を明らかにして行うこと。

(イ) 避難の指示を出す場合は、市町村職員、消防団員等と協力して、拡声器等の利用により、直接住民等に対して口頭で行うとともに、各自治体の避難放送を活用するなど、避難指示内容の伝達に徹底を期すること。

(ウ) 事態を軽視し、家財に執着して避難に応じない者等に対しては、危険の度合い等を勘案し、事案の軽重に応じた措置を講ずること。

イ 避難の誘導

(ア) 避難経路は、市町村等と緊密な連携の下、被災地域、災害危険箇所等の現場状況を把握した上で、できる限り危険な道路、橋、堤防その他新たに災害発生のおそれがある場所を避け、安全な経路を選定すること。この場合、なるべく身体壮健者その他適当な者に依頼して避難者の誘導措置を講ずること。

(イ) 避難誘導中は事故防止に努めるとともに、危険な地点には、標示、縄張り等を行うほか、状況により誘導員を配置し安全を期すること。

(ウ) 避難誘導に当たっては、高齢者及び障がい者について可能な限り車両を活用した避難を促すなど、避難行動要支援者等に十分配慮した誘導に努めること。また、市町村からの名簿等情報の提供を受けた場合は、避難誘導に効果的に活用すること。

(エ) 避難所等での救援物資の支給等を考慮し、できる限り町内会単位での避難誘導を図ること。

(オ) 迅速かつ安全に避難できるよう、必要により車両の規制を行い避難路の通行の確保に努めること。

(カ) 署に一時的に受け入れた避難住民等については、市町村等の避難所の整備が整った段階で当該避難所に適切に誘導すること。

(キ) 被留置者の避難等の措置につき、迅速に判断し、これを的確に実施すること。

(ク) 立退きを行うことがかえって危険を伴う場合には高所への移動、近傍の堅固な建物への退避、屋内の屋外に面する開口部から離れた場所での退避、その他の緊急に安全を確保するための措置を考慮すること。

5 警戒区域の設定

現場警察官は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、人の生命若しくは身体に対する危険を防止するため、特に必要があると認める場合で、市町村長若しくはその委任を受けて市町村長の職権を行う市町村の職員が現場にいないとき、又はこれらの者から要求があったときは、災害対策基本法に基づき警戒区域を設定し、災害応急対策に従事する者以外の者に対して当該区域への立入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該区域からの退去を命ずることができる。

現場警察官は、上記の職務を行ったときは、管轄署長にその旨を報告するとともに、管轄署長は直ちに市町村長に通知しなければならない。

6 行方不明者の捜索

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、行方不明者について、迅速かつ積極的に捜索を実施するとともに、身元不明の死体との照合により生死の確認に努めるものとする。また、行方不明者の捜索等に当たっては、合同調整所等において、消防等防災関係機関の現場責任者と随時、捜索区割り等現場活動に関する調整を行い、捜索活動が円滑に行われるように配意するものとする。

行方不明者の手配は、行方不明者発見活動に関する規則(平成21年国家公安委員会規則第13号)に定める行方不明者の手配に準じて行うものとする。

7 死体の取扱い及び身元確認等

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、検視及び死体調査の要員・場所等の確保、遺体の身元確認に資する資料の収集及び確保に当たるとともに、関係自治体、医師等との連携に配意した、迅速かつ的確な検視、死体調査、身元確認、遺族等への遺体の引渡し等に努めるものとする。また、県災害警備本部等の長は、必要に応じて、他の都道府県警察に支援を要請するものとする。

8 二次災害による被害の防止

災害現場において救出救助活動等を行う職員は、自らの安全を確保しながら活動するものとする。

災害警備活動等において、二次災害による被害のおそれがある危険場所等を認知した場合は署災害警備本部等の長に速やかに報告し、署災害警備本部等の長は市町村災害対策本部等に連絡、避難指示等の発令を促すものとする。

さらに、的確な避難の指示・誘導を行うため、災害警備本部等が各現場における避難の指示・誘導を一元的に統制できる体制の整備と通信手段を確立するものとする。

9 危険箇所等における避難誘導等の措置

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、大規模災害発生時に、石油コンビナート等の危険物施設、火災原因となるおそれのある薬品を管理する施設、ボイラー施設等の危険箇所に対し、速やかに、大規模な火災、有害物質の漏えい、爆発等の発生の有無の調査を行うものとする。また、当該施設等の管理者等から二次災害による被害のおそれがある旨通報を受けた場合は、施設内滞在者及び住民等の避難誘導や交通規制等災害の拡大を防止するための的確な措置を執るものとする。

10 社会秩序の維持

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、社会秩序の維持のため、以下の事項の推進に努めるものとする。

(1) 警戒活動の強化

被災後の無人化した住宅街、商店街等における窃盗や救援物資の搬送路及び集積地における混乱、避難所内等での女性や子供等に対する性暴力・DVやトラブル等を防止するため、被災地及びその周辺(海上を含む。)におけるパトロールの強化、避難所等の定期的な巡回等を行うものとする。

(2) 各種犯罪の取締り

被災地において発生することが予想される窃盗犯、粗暴犯、知能犯、悪質商法等の生活経済事犯、暴力団による民事介入暴力等各種犯罪の取締りを重点的に行い、被災地の社会秩序の維持に努めるものとする。

(3) 社会的混乱の抑制

被災地に限らず、重要施設に対する警戒の強化、災害に便乗した犯罪被害の防止に努めるとともに、災害に乗じたサイバー攻撃に関する情報収集及び住民等に対する適切な情報提供を行うなど社会的混乱の抑制に努めるものとする。

(4) 自主防災組織等との連携

地域の自主防災組織等と安全確保に関する情報交換を行うなど連携を保ち、また、住民等からの相談については、親身に対応し、住民等の不安の軽減に努めるものとする。

11 緊急交通路の確保

(1) 交通状況の把握

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、道路管理者等と緊密な連携を保ちながら、現場の警察官、関係機関等からの情報に加え、交通監視カメラ、車両感知器等を活用して、通行可能な道路及び交通状況を迅速に把握するものとする。

(2) 交通規制の実施

ア 災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため緊急の必要があると認めるときは、災害対策基本法第76条に基づき、県公安委員会が緊急交通路の指定を行う。この事務手続については、県公安委員会事務専決規程(昭和45年福島県公安委員会規程第2号)等に基づき交通部長の専決によるが、緊急交通路の設定に当たっては、人命の安全、被害の拡大防止、災害応急対策の的確かつ円滑な実施等に配意して行うものとする。

イ 県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、被災地への流入車両等を抑制するため必要があるときは、被災地域周辺の他県警察と共に、周辺地域を含めた広域的な交通規制を実施するものとする。

ウ 県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、災害発生後の被災地の状況等に応じて、応急復旧のための人員及び資機材輸送の必要性に配慮するなど、被害の状況、緊急度、重要度等を考慮した交通規制の見直しを行うものとする。

(3) 輸送対象の想定

緊急通行車両により輸送する対象は、被災状況及び災害応急対策の進捗状況に応じて、おおむね以下のとおりとする。

ア 第1段階

(ア) 救助・医療活動の従事者及び医薬品等の物資

(イ) 消防、水防活動等災害の拡大防止のための人員及び物資

(ウ) 政府災害対策要員、地方公共団体災害対策要員、情報通信・電力・ガス・水道施設保安要員等初動の災害応急対策に必要な人員・物資等

(エ) 医療機関へ搬送する負傷者等

(オ) 緊急輸送に必要な輸送施設、輸送拠点の応急復旧、交通規制等に必要な人員及び物資

イ 第2段階

(ア) 上記アの続行

(イ) 食糧、飲料水等生命の維持に必要な物資

(ウ) 傷病者及び被災者の被災地外への輸送

(エ) 輸送施設の応急復旧等に必要な人員及び物資

ウ 第3段階

(ア) 上記イの続行

(イ) 災害復旧に必要な人員及び物資

(ウ) 生活必需品

(4) 交通規制の周知徹底

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、交通規制が実施されたときは、直ちに通行禁止等に係る区域又は道路の区間その他の必要な事項について、住民、運転者等に周知徹底を図るものとする。

(5) その他緊急交通路確保のための措置

ア 交通管制施設の活用

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、効果的な交通規制を実施するため、交通情報板、信号機等の交通管制施設の機能の回復に努めるとともに、これらを活用するものとする。

イ 放置車両の撤去等

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、緊急交通路を確保するため必要な場合には、道路管理者等との連携による放置車両の撤去等を行うものとする。

ウ 運転者等に対する措置命令

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、緊急通行車両の円滑な通行を確保するため、必要に応じて、運転者等に対し車両移動等の措置命令を行うものとする。

エ 障害物の除去

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、緊急交通路の障害物の除去について道路管理者、消防機関、自衛隊等と協力し、状況に応じて必要な措置を執るものとする。

オ 道路管理者等への要請

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、緊急通行車両以外の車両の通行禁止等を行うため必要があるときは、道路管理者、港湾管理者又は漁港管理者に対し、緊急通行車両の通行を確保するため、放置車両や立ち往生車両等の移動等について要請するものとする。

(6) 関係機関等との連携

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、交通規制に当たっては、道路管理者、防災担当部局等と相互に密接な連携を保つものとする。また、交通規制を円滑に行うため、必要に応じて、警備業者等に対し交通誘導の実施等を依頼するものとする。

12 住民等への情報伝達活動

(1) 住民等に対する適切な情報伝達活動の実施

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、住民等が必要とする情報を十分把握し、交番、駐在所、パトカー等の勤務員を活用するなどして、災害関連情報、避難の措置に関する情報、交通規制等警察措置に関する情報等の適切な伝達に努めるものとする。なお、その際、インターネット上の流言飛語等による社会的混乱を防止するとともに、住民等の適切な判断と行動を助けるため、正確かつ的確な情報の伝達に留意するほか、避難行動要支援者等に応じた伝達手段に配意するものとする。

(2) 相談活動の実施

ア 県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、災害発生時には、被災者の安否を気遣う肉親等の相談に応じるため、行方不明者の相談窓口や相談電話等の設置に努めるものとする。その際、安否確認のため市町村において把握している避難者情報等を活用する必要があることから、行方不明者に係る相談について、市町村との情報共有を図るものとする。

イ 県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、避難所等に避難している被災者の不安を和らげるため、移動交番車の派遣や臨時派出所、困り事相談所等の設置、避難所への警察官の立ち寄り等による相談活動を推進するなど避難所等における親身な活動を推進するものとする。

(3) 多様な手段による情報伝達

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、地域に密着した活動等を通じ、住民等の避難先、救援物資の配布場所等の生活に必要な情報の収集に努めるとともに、それらの情報や犯罪被害防止の注意喚起等の地域安全情報を、警察施設の掲示板やミニ広報紙、自治体の防災無線、地元のミニFM局、インターネット等を活用し、あるいは自主防災組織を通じるなどして幅広く伝達するものとする。また、POLICEメールふくしま等を活用した地域の各種施設等への情報伝達に努めるものとする。

13 報道対応

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、災害警備本部等における報道対応窓口を一本化し、責任ある報道対応をするものとする。報道発表等に当たっては、警察庁及び関係自治体と密接に連絡を取り必要に応じ調整を図るものとする。

14 情報通信及びシステムに関する措置

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、災害発生後においても情報通信及び情報システムの機能を確保するため以下の措置を執るものとする。

(1) 通信機器及び電子計算組織の機能回復

災害発生後、速やかに通信機器及び情報システムの機能の確認を行うとともに、障害が生じた通信機器及び電子計算組織の機能の回復を図るものとする。

(2) 災害警備活動に必要な情報の共有

災害警備活動に必要な情報を共有するため、既存の通信機器及びデータベースを活用するなどの措置を執るものとする。

15 関係機関との相互連携

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、関係機関等との間において緊密な連携の確保に努めるものとする。

16 自発的支援の受入れ

(1) 自主防災組織等への支援

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、自主防災組織等の関係組織及び団体との連携を図り、被災地における各種犯罪及び事故の未然防止、被災住民等の不安の除去等を目的として行われる活動が円滑に行われるよう必要な支援等を行うものとする。

(2) 海外からの支援の受入れ

県災害警備本部等の長は、警察庁を通じて海外からの支援の受入れの連絡を受けた場合には、当該支援活動が円滑に行われるよう、警察庁、東北管区警察局、県、市町村その他の関係機関と連絡を取りつつ、必要な措置を講じるものとする。

第4 災害復旧・復興

1 警察施設の復旧

関係所属長は、警察施設の復旧については、その重要性に鑑み、可能な限り迅速かつ円滑な復旧を図ることとする。

2 暴力団排除活動の徹底

関係所属長は、復旧・復興事業への暴力団等の介入を阻止するため、暴力団等の動向把握と取締りに努めるとともに、関係行政機関、被災自治体、業界団体等に必要な働き掛けを行うなど、復旧・復興事業からの暴力団排除活動の徹底に努めるものとする。

3 交通規制の実施

関係所属長は、円滑な災害復旧・復興を図るため、交通状況、道路状況等を考慮し、輸送需要を踏まえ、適切な交通規制等を行うこととする。

第3章 津波災害対策(地震のうち津波によるもの)

津波災害対策に関し、県警察が執るべき措置については、第2章に定めるもののほか、本章において定める。

第1 災害に備えての措置

1 津波警報・津波注意報等の伝達

関係所属長は、迅速かつ正確な大津波警報、津波警報及び津波注意報(以下「津波警報等」という。)の伝達のため、伝達手段の多重化及び多様化を含めた連絡、伝達体制を確立するものとする。

2 津波からの避難誘導等

沿岸部を管轄する署長は、津波被害の特性を踏まえ、津波によって浸水が予想される地域の住民等を安全に避難誘導するため、以下の措置を執るものとする。

(1) 実態把握

津波によって浸水が予想される地域の危険箇所、避難行動要支援者等の実態把握に努めるものとする。また、関係自治体から名簿等情報の提供を受けた場合は、実態把握に効果的に活用するとともに、名簿等情報の漏えいの防止等必要な措置を執るものとする。

(2) 避難場所の選定及び避難路の複数指定

関係自治体と協力して浸水予測地図等によりあらかじめ予想した被害状況に応じて、避難場所の選定及び個々の避難場所に至る避難路の複数指定に努めるものとする。

(3) 住民等への周知徹底

関係自治体と連携して、防災訓練等を通じ、住民等に対し、津波に対する地勢的特性に関する知識、避難路、避難場所、避難方法等について周知徹底を図るものとする。この際、避難のための車両の使用については、以下の点に留意することを周知徹底するものとする。

ア 津波の発生時に車両を運転中である場合、又はそれ以外の場合であって津波から避難するためやむを得ない場合を除き、避難のために車両を使用しないこと。

イ 津波から避難するため車両を使用するときは、道路の損壊、信号機の作動停止、道路上の障害物等に十分注意しながら運転すること。

(4) 避難行動要支援者等に係る避難誘導体制の整備

関係自治体と連携し、避難行動要支援者等を適切に避難誘導するため、地域住民、自主防災組織等の協力を得ながら、平素から名簿等情報の活用等により、避難行動要支援者等に係る避難誘導体制の整備を図るものとする。

(5) 避難手段の検討

津波警報発表時の安全かつ確実な避難方策について、関係自治体から協議を求められた際は、積極的に応じ、意見交換等を行うものとする。

3 活動要領の策定

関係所属長は、関係自治体等と連携しつつ、津波に対する地勢的特性を踏まえ、警察職員の運用、装備資機材の活用等の具体的な活動要領を策定するものとする。その際、防災対応及び避難誘導に当たる警察職員の安全を確保するため、気象庁で発表する津波到達予想時間内での防災対応、避難誘導に係る行動ルール及び退避の判断基準を定めるものとする。また、避難誘導の訓練を実施することにより、避難誘導活動における問題点を検証し、行動ルール等を必要に応じて見直すものとする。

4 警察施設等の災害対策

関係所属長は、津波被害を想定した非常用電源の設置場所、物資の備蓄場所を想定浸水深より高い位置とするなど、津波に対する対応力を強化するものとする。

5 交通管制施設及び交通管理体制の整備

交通規制課長は、信号機、交通情報板等の交通管制施設について津波被害に対する安全性の確保を図るとともに、災害時における広域的な交通管理体制の整備を図るものとする。また、道路交通機能の確保のため重要となる信号機電源付加装置の整備等の信号機滅灯対策を推進するものとする。

6 災害用装備資機材の整備充実

関係所属長は、胴付水中長靴、とび口、ゴム長手袋、踏み抜き防止板、捜索用機材等の災害警備用装備資機材の整備充実を図るものとする。

7 教養訓練の実施等

関係所属長は、津波到達予想時間を踏まえた避難誘導活動等を迅速かつ的確に実施するため、津波の想定浸水域、無線機等情報伝達機器の確実な運用等津波災害に関する教養を実施するとともに、関係自治体等と連携した訓練の実施に努めるものとする。

8 被留置者への対応

留置管理課長及び沿岸部を管轄する署長は、津波浸水予測等を踏まえ、被留置者の護送、避難及び解放を的確に行うため、非常計画の見直し及び訓練を実施するものとする。また、被留置者の処遇を確保するための装備資機材等の整備及び被留置者の移送に関し、検察庁と必要な連携を図るものとする。

第2 災害時における措置

1 津波警報等の伝達

(1) 県本部からの伝達

津波警報等の伝達は、通信指令室からの無線及び県内電報送信システムで行うものとする。なお、県内電報送信システムで行う場合は、仙台管区気象台から送付された予報文をもって行うものとする。予報を受信した職員は、確実に所属長及び所管課(係)に報告するものとする。

(2) 署からの伝達及び広報

津波警報等を受信した署長は、関係自治体その他災害警備上必要があると認められる関係機関・団体等に対して、迅速かつ正確に情報を伝達するとともに、海浜利用者、沿岸住民等に対し、沿岸市町と連携した避難のための広報等を行うものとする。その際、対象者に漏れなく、かつ、分かりやすい伝達に努めるとともに、避難行動要支援者等に応じた伝達手段に配意するものとする。

2 避難誘導等

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、避難誘導や防災対応に当たる警察官の安全を確保しつつ、予想される津波到達時間も考慮し、必要に応じ警察官が避難指示を行うなどして、安全かつ迅速な避難誘導を行うものとする。また、関係自治体から名簿等情報の提供を受けた場合は、避難誘導に効果的に活用するものとする。

3 救出救助活動

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、津波災害現場における救出救助に当たっては、警察用航空機及び各種装備資機材を有効に活用するなど、慎重を期し、最も安全かつ確実な方法で活動するものとする。

4 死体の取扱い及び身元確認等

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、津波災害においては遺体の身元確認が困難となるケースが多いことを考慮し、検視及び死体調査の要員・場所等の確保、遺体の身元確認に資する資料の収集及び確保に当たるとともに、関係自治体、医師等との連携に配意した、迅速かつ的確な検視、死体調査、身元確認、遺族等への遺体の引渡し等に努めるものとする。また、必要に応じて、他の都道府県警察に支援を要請するものとする。

5 行方不明者の相談活動等の実施

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、津波災害においては被災地が広範囲にわたることから、被災者の安否を気遣う肉親等の相談に応じるため、行方不明者の相談窓口や相談電話等の設置に努めるものとする。その際、安否確認のため関係自治体において把握している避難者情報等を活用する必要があることから、行方不明者に係る相談について、関係自治体との情報共有を図るものとする。また、避難所等に避難している被災者の不安を和らげるため、移動交番車の派遣及び臨時派出所、困り事相談所等の設置、避難所への警察官の立ち寄り等による相談活動を推進するなど避難所等における親身な活動を推進するものとする。

6 社会秩序の維持

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、社会秩序の維持のため、以下の事項の推進に努めるものとする。

(1) 警戒活動の強化

津波災害においては被災地が広範囲にわたることを考慮し、窃盗等の犯罪の発生や救援物資の搬送路及び集積地における混乱、避難所内等での女性や子供等に関する性暴力・DVやトラブル等を防止するため、被災地及びその周辺(海上を含む。)におけるパトロールの強化、避難所等の定期的な巡回等を行うものとする。

(2) 各種犯罪の取締り

被災地において発生することが予想される窃盗犯、粗暴犯、知能犯、悪質商法等の生活経済事犯、暴力団による民事介入暴力等各種犯罪の取締りを重点的に行い、被災地の社会秩序の維持に努めるものとする。

(3) 社会的混乱の抑制

被災地に限らず、重要施設に対する警戒の強化、災害に便乗した犯罪被害の防止に努めるとともに、災害に乗じたサイバー攻撃等に関する情報収集及び住民等に対する適切な情報提供を行うなど社会的混乱の抑制に努めるものとする。

7 大量拾得物の処理

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、津波により広範囲が被災し、大量の拾得物を取り扱う場合においては、保管場所の確保、必要な処理体制の整備等早期返還に向けた対応に努めるものとする。

第4章 その他の自然災害対策

風水害対策、火山災害対策及び雪害対策に関し、県警察が執るべき措置については、第2章に定めるもののほか、本章において定める。

第1 風水害対策

1 住民の防災活動の促進

(1) 避難誘導対策

ア 避難路等の周知

関係所属長は、平素から各種講習会、研修会の場等を通じて、風水害被害の防止や軽減の観点から早期避難に対する住民等の理解と協力を得るとともに、風水害のおそれのない適切な避難場所、避難路等について周知徹底するものとする。また、デパート等不特定多数の利用者が集合する施設等においては、その利用者等に対して、施設管理者と連携して、避難場所、避難路等について分かりやすく周知するものとする。

イ 土砂災害警戒区域等の周知

署長は、ミニ広報紙等を通じ、住民等に対して土砂災害や風水害が発生し、又は発生するおそれがある場合における早期避難の重要性等について周知するよう努めることとする。

(2) 防災知識の普及

関係所属長は、被害の防止、軽減の観点から住民等に対して、「自らの命は自らが守る」という意識を持ち、自らの判断で避難行動を取ること及び早期避難の重要性を各種機会を通じて周知し、理解と協力を得るものとする。

(3) 防災訓練等の実施

関係所属長は、防災週間、水防月間、土砂災害防止月間等を通じ、自治体等の主催する防災訓練等に積極的に参加するとともに、職員に対し、装備資機材の習熟、災害発生時の対処要領等について計画的に反復して教養訓練を行うものとする。

2 警察施設等の災害対策

関係所属長は、水害のおそれのある地域の警察施設等については、非常用電源設備の整備に努めるほか、その設置場所や物資の保存場所を想定浸水深より高い位置とするなど、水害に対する対応力を強化するものとする。

3 災害発生直前の措置

(1) 風水害に関する情報等の伝達

管轄署長は、被害を及ぼすおそれのある洪水等の状況を把握した場合は、交番、駐在所、パトカー等の勤務員により、拡声器を活用して住民等に対し速やかに伝達するものとする。その際、対象者に漏れなく、かつ、分かりやすい伝達に努めるとともに、避難行動要支援者等に応じた伝達手段にも配意するものとする。

(2) 住民等の避難誘導

管轄署長は、風水害の発生のおそれがある場合には、河川管理者、水防団等と連携を図りながら、浸水想定区域及び土砂災害警戒区域の警戒活動を行うものとする。また、デパート等不特定多数の利用者が集合する施設等については、施設管理者と連携を図りながら警戒活動を行うものとする。

その結果、危険と認められる場合には、住民等に対する避難指示等を行うとともに、適切な避難誘導を実施するものとする。その際、以下の点に配意するものとする。

ア 住民等への避難指示等の伝達に当たっては、交番、駐在所、パトカー等の勤務員を活用して迅速かつ的確な伝達に努めること。

イ 避難誘導に当たっては、災害の概要、避難場所・避難路、浸水想定区域・土砂災害警戒区域に指定されている事実その他の避難に資する情報の伝達に努めること。

ウ 警察用航空機及び警察用船舶の活用についても検討し、必要と認められる場合には、県災害警備本部等に要請すること。

エ 情報の伝達及び避難誘導の実施に当たっては、避難行動要支援者等に十分配慮するよう努めること。

(3) 災害未然防止活動

管轄署長は、河川管理者が洪水及び高潮による被害の発生を未然に防止するためダム、堰、水門等の操作を行うに当たり、河川管理者からの要請又は河川流域における危害を防止するため必要があると認めるときは、交番、駐在所、パトカー等の勤務員を通じて住民等に対して広報等を行うものとする。

4 災害の拡大防止と二次災害による被害の防止活動

管轄署長は、浸水被害が発生した地域又は土砂災害の発生の危険性が高いと判断された箇所について、適切な警戒避難措置を執るとともに、現場警察官による交通規制を実施するなどして、二次災害による被害の防止に努めるものとする。

第2 火山災害対策

1 情報の伝達及び避難誘導体制の確立

(1) 火山情報等の伝達体制の確立

関係所属長は、関係自治体等と連携し、火山の異常な活動を把握した際の情報等を住民等に伝達する体制の確立を図るものとする。

(2) 住民等への周知等

関係所属長は、関係自治体と連携し、平素から避難場所、避難路等について住民等への周知徹底に努めるものとする。また、関係機関と連携した災害が発生し、又は発生するおそれがある場合の避難誘導に係る訓練を行うものとする。

2 火山災害対策用装備資機材の整備充実等

関係所属長は、火山性ガス検知器、火山性ガス対応マスク等の火山災害対策用装備資機材の整備充実に努めるものとする。また、大規模噴火が発生した場合、山麓のみならず市街地を含む遠隔地域においても火山灰等が広範囲に堆積し、火山泥流による被害や、インフラ施設への影響による県民生活や社会経済活動の大きな混乱が生じる可能性があることから、降灰対策に資する装備資機材の整備充実等必要な対策に努めるものとする。

3 災害発生直前の措置

(1) 火山災害に関する情報の伝達

関係所属長は、気象庁からの噴火警報・予報等の発表を認知した場合には、多様な手段及び方法により、速やかに住民等に対し、迅速かつ的確に伝達するものとする。

(2) 避難誘導

関係所属長は、災害対策基本法に基づく警戒区域が設定された場合には、適切な避難誘導を実施する等、迅速かつ円滑な警戒避難対策を執るものとする。避難誘導に当たっては、災害の概要、避難場所・避難路の所在その他の避難に資する情報の伝達に努めるとともに、避難行動要支援者等に配慮するものとする。

4 二次災害による被害の防止

関係所属長は、火山噴火による噴出物等が堆積している地域においては、降雨による土石流等の発生のおそれがあることに十分留意して二次災害による被害の防止に努めるものとする。

5 継続災害への対応

(1) 避難対策

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、火山噴火等が長期化した場合には、火山の活動状況を考慮しつつ、気象庁等から得た火山現象に関する情報を住民等へ的確に伝達するとともに、状況に応じた警戒を行うものとする。

(2) 安全確保対策

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、火山災害の状況に応じ、火山泥流、土石流への対策等適切な安全確保対策を講じるものとする。

第3 雪害対策

1 災害に備えての措置

(1) 雪害に強い交通管制施設の整備

交通規制課長は、地域の特殊性を考慮しつつ、信号機、交通情報板、交通管制センター等交通管制施設について雪害に強い施設の整備に配意するとともに、雪害時の交通管理体制の整備を図るものとする。

(2) 気象状況の情報収集及び伝達

関係所属長は、積雪量等の気象状況等の情報を迅速かつ正確に収集し、住民等へ伝達するものとする。

(3) 危険箇所の周知徹底

関係所属長は、他の関係機関と連携して雪崩危険箇所を把握し、住民等への周知徹底に努めるものとする。

(4) 運転者への周知活動

関係所属長は、地域の実情に応じ、各種研修等を通じて、大雪時も含め冬季に運転する際の必要な準備について、車両の運転者への周知に努めるものとする。また、立ち往生車両が生じた場合、通行止め規制が解除されるまで車内で待機しようとする運転者に対し、排気ガス(一酸化炭素)による中毒の防止に関する呼び掛けを確実に行うものとする。

(5) 緊急交通路の確保

関係所属長は、緊急交通路の確保に備え、緊急度、重要度等を考慮して、交通規制等を行うものとする。

2 災害発生時における措置

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、道路交通確保対策として、以下の措置を執るものとする。

ア 道路管理者と連携し、交通情報の収集を行うとともに、交通情報板等により情報提供を行うものとする。

イ 道路管理者と連携し、通行止め等の必要な交通規制を行うものとする。また、必要に応じて隣接県警察と連携し、広域的な交通管制を実施するものとする。

ウ 大規模な車両滞留や長時間の通行止めを引き起こすおそれのある大雪時において、道路管理者による広範囲での計画的・予防的な通行規制等が円滑に実施されるよう、必要に応じて道路管理者と連携協力するものとする。

第5章 原子力災害対策

原子力災害対策に関し、県警察が執るべき措置については、第2章に定めるもののほか、本章において定める。

第1 災害に備えての措置

1 関係機関等との相互連携

関係所属長は、関係自治体その他の関係機関、原子力事業者等と相互に連携し、原子力災害に備えた諸対策に当たるものとする。

2 原子力災害発生時における連絡体制の整備

関係所属長は、原子力災害発生時における原子力事業者等からの情報連絡体制に関し、相互の連絡担当者及び連絡責任者を具体的に定めるとともに、連絡を受けた場合の部内での連絡系統の整備を図るものとする。

3 警備体制の整備

関係所属長は、原子力災害に関する初動活動を迅速かつ的確に行うため、警備本部の設置、職員の招集及び参集、部隊の編成、配置、運用その他の必要な警備体制について整備を図るものとする。

4 防災訓練の実施

関係所属長は、国、関係自治体、防災関係機関、原子力事業者等と相互に連携し、具体的な原子力災害を想定した実戦的な防災訓練を定期的に実施するものとする。また、原子力災害を想定した図上訓練、原子力災害警備用装備資機材の操作訓練、放射性粉じん用防護服の着脱訓練等を随時行うものとする。

第2 災害時における措置

原子力災害又は原子力災害に発展するおそれのある事象が発生した場合において県警察が執るべき措置は、以下のとおりとする。

1 周辺住民等への情報伝達

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、関係自治体と連携を図り、原子力災害の状況、被災者の安否、医療機関、交通規制、避難方法等に関する情報を正確かつきめ細かに伝達するものとする。

2 避難の誘導及び屋内退避の呼び掛け

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、関係自治体等と緊密に連携し、人命の安全を第一に、住民等に対する避難の誘導、屋内退避の呼び掛けその他の防護活動を行うとともに避難状況を確認するものとする。なお、これらの活動に当たっては、避難行動要支援者等に十分配慮するものとする。

3 交通の規制及び緊急輸送の支援

(1) 県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、被害の状況及び緊急度を考慮して、一般車両の通行を禁止する等の交通規制を行うものとする。

(2) 県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、国等から派遣される専門家、原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号。以下「原災法」という。)第2条第5号の緊急事態応急対策を行うための装備資機材及び人員の現地への輸送に関する支援を行うよう努めるものとする。

4 犯罪の予防等被災地における社会秩序の維持

(1) 県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、原災法第15条第2項第1号の緊急事態応急対策実施区域及びその周辺の区域において、パトロールや生活の安全に関する情報の提供等を行い、速やかな治安の確保に努めるものとする。

(2) 県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、市町村長等が原災法第28条第2項において読み替えて適用される災害対策基本法第63条第1項の規定に基づく警戒区域(以下「原災法に基づく警戒区域」という。)、避難指示区域等を設定したときは、関係機関とともに、当該指示等の実効を上げるために必要な措置を執るものとする。また、避難住民等の警戒区域への一時立入りが行われるときは、関係機関と連携して、その安全な実施に必要な支援を行うものとする。

(3) 県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、原災法第15条第4項に規定する原子力緊急事態解除宣言があった時以降において、市町村長等が引き続き原災法に基づく警戒区域、避難指示区域等を設定したときは、(1)及び(2)の規定に準じ、引き続き必要な措置を執るものとする。

5 警察職員の被ばく対策

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、警察職員の放射線被ばくを防止するため、国が定める緊急時の防災業務関係者の放射線防護に係る基準に基づく措置を講ずるものとする。

そのため、放射性粉じん用防護服、放射性粉じん用防護マスクその他の防護用機材を有効に活用するとともに、個々の職員の被ばく線量を確実に測定し、それを適切に管理するものとする。また、原子力災害合同対策協議会等の場を活用して関係機関と相互に密接な情報交換を行うものとする。

第6章 事故災害対策

海上災害対策、航空災害対策、鉄道災害対策、道路災害対策、危険物等災害対策及び火事災害対策に関し、県警察が執るべき措置については、第2章に定めるもののほか、本章において定める。

第1 海上災害対策

1 災害に備えての措置

(1) 関係機関との相互連携

ア 関係所属長は、海上保安庁、関係自治体、消防機関、港湾管理者等の関係機関と連携して、海上災害に備えた諸対策に当たるものとする。

イ 関係所属長は、隣接県警察等及び警察用船舶の連携運用に関し、平素から相互に緊密な協力体制の確立に努めるものとする。

(2) 情報収集・連絡体制の確立

関係所属長は、海上保安庁、関係自治体、消防機関、港湾管理者等関係機関との間における情報の収集及び連絡体制の確立を図るものとする。また、航行船舶等からの情報収集体制の整備を図るものとする。

(3) 危険物等の大量流出時における活動体制の確立

関係所属長は、関係機関等と連携して、海上災害により危険物等が大量に流出した場合に備えて、住民等の避難誘導活動、危険物等の防除活動の支援等を行うための体制の確立を図るものとする。

(4) 海上災害警備用装備資機材の整備充実

関係所属長は、海上災害に備え、潜水用具セット、水中通話装置等救出救助用機材の整備充実に努めるものとする。

(5) 警察用船舶の広域運用に必要な措置

関係所属長は、平素から、活動区域の全域についての海図、航路図等の警察用船舶の広域運用に必要な基礎資料を整備するとともに、気象及び海象情報の収集、係留場所、燃料及び相互通信の確保、回航又は運航が可能な経路の把握等警察用船舶の広域運用に必要な措置を講じるものとする。

(6) 防災訓練の実施

関係所属長は、海上保安庁、関係自治体、消防機関、民間救助・防災組織、関係事業者、港湾管理者等と相互に連携し、大規模海難や危険物等の大量流出を想定した実戦的な訓練の実施に努めるものとする。

2 災害時における措置

(1) 情報の収集

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、大規模な海上災害が発生し、又は発生するおそれのある事案を認知した場合においては、警察用航空機、警察用船舶等を活用し、直ちに被害状況等についての情報収集活動を行うものとする。また、航行船舶、住民等からの情報入手にも努めるものとする。

(2) 捜索活動及び救出救助活動

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、海上災害が発生して多数の遭難者、行方不明者、死傷者等が生じた場合には、関係機関等と連携し、警察用航空機、警察用船舶等を活用して、迅速な捜索活動及び救出救助活動を実施するものとする。なお、沿岸における捜索活動及び救出救助活動については、潮の流れなどを踏まえ、広範囲に行うものとする。

(3) 危険物等の大量流出時等の措置

ア 沿岸における警戒監視活動

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、危険物等の大量流出等の海上災害が発生した場合においては、警察用航空機、警察用船舶等を活用するとともに、沿岸における警ら活動を行い、漂着物の状況等を把握するための沿岸調査及び警戒監視活動を行うものとする。

イ 危険物等の大量流出等に対する応急活動

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、危険物等の大量流出等の災害が発生した場合には、関係機関と緊密に連携し、住民等の避難誘導、立入禁止区域の警戒、交通規制等を実施するとともに、危険物等の防除活動の支援を行うものとする。その際、必要な装備資機材の迅速な調達にも、配意するものとする。

第2 航空災害対策

1 災害に備えての措置

(1) 航空災害応急体制の確立

関係所属長は、管内の実情に応じ、航空災害が発生した場合における警備体制、部隊の編成・運用、職員の招集・参集、情報の収集・連絡、避難誘導、救出救助、交通規制等の初動措置を的確に執ることができるよう、航空災害に備えた応急体制の確立を図るものとする。

(2) 関係機関との相互連携

関係所属長は、空港管理者、航空運送事業者、関係自治体、消防機関等の関係機関と相互に連携し、航空災害に備えた諸対策に当たるものとする。

(3) 連絡体制の確立

関係所属長は、航空災害が発生した場合における航空管理者、航空運送事業者等との連絡体制の確立を図るものとする。

(4) 基礎資料の整備

関係所属長は、空港管理者、医療機関、消防機関、関係自治体等の協力を得て、空港周辺における大規模な航空災害の発生に備え、以下の資料の収集に努めるものとする。

ア 空港施設、運航航空機の種別、航路等

イ 病院等医療機関の収容可能人員、医師数等

ウ 現地指揮所の設置可能な公共施設等

エ 関係機関の所在地及び連絡方法

オ その他必要な資料

(5) 防災訓練の実施

関係所属長は、空港管理者、航空運送事業者、関係自治体、消防機関等と連携し、大規模な航空災害を想定した実戦的な防災訓練を随時実施するものとする。

2 行方不明航空機等の捜索活動

関係所属長は、墜落現場が不明の場合又は航空機の行方が不明になるなど航空災害発生のおそれがある場合においては、多様な手段及び方法により情報収集に当たるとともに、警察用航空機、警察用船舶等を活用し捜索活動に当たるものとする。

3 災害時における措置

(1) 情報の収集

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、航空災害が発生した場合においては、直ちに事故発生地を管轄する署員等を墜落現場に急行させ、情報収集活動を行うものとする。また、墜落現場が山間へき地等の場合には、現場の地形、周辺の道路状況、現場に至る行程、気象状況等の情報も迅速に収集するものとする。

(2) 救出救助活動

航空災害が発生した場合において、県災害警備本部等の長は機動隊員等を、署災害警備本部等の長は署員を直ちに出動させ、関係機関と緊密に連携し、乗客、乗務員等の救出救助活動を迅速に行うものとする。航空機の墜落現場の捜索に当たっては、広範囲にこれを行い、生存者等の迅速な発見に努めるものとする。

(3) 立入禁止区域の設定等

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、航空機が人家密集地域へ墜落した場合、その他被害が拡大するおそれがある場合には、迅速に立入禁止区域を設定するとともに、地域住民等に対する避難誘導を迅速かつ的確に行うものとする。

(4) 合衆国軍用航空機事故

合衆国軍用航空機の事故については、本災害警備計画に定めるもののほか、「日本国内における合衆国軍隊の使用する施設・区域外での合衆国軍用航空機事故に関するガイドライン」に基づく措置を講じるものとする。

第3 鉄道災害対策

1 災害に備えての措置

(1) 関係機関との相互連携

関係所属長は、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)に規定する鉄道事業者及び軌道法(大正10年法律第76号)に規定する軌道経営者(以下「鉄軌道事業者等」という。)と相互に連携し、鉄道災害に備えた諸対策に当たるものとする。

(2) 連絡体制の確立

関係所属長は、鉄道及び軌道上並びにその直近で落石、土砂崩れ等の異常が発見された場合における鉄軌道事業者等との連絡体制の確立を図るものとする。

(3) 防災訓練の実施

関係所属長は、鉄軌道事業者等と相互に連携し、大規模な鉄道災害を想定した実戦的な防災訓練の実施に努めるものとする。

2 災害時における措置

(1) 救出救助活動

大規模な鉄道災害が発生した場合において、県災害警備本部等の長は機動隊員等を、署災害警備本部等の長は署員を直ちに出動させ、乗客、乗務員等の救出救助活動を迅速に行うものとする。この場合、高齢者、障がい者、負傷の程度が重い者等の救出救助を優先して行うものとする。

(2) 立入禁止区域の設定等

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、脱線した鉄軌道車両が高架から人家密集地域や道路に転落するおそれがある場合その他被害が拡大するおそれがある場合等においては、迅速に立入禁止区域を設定するとともに、住民等に対する避難誘導を的確に行うものとする。

3 二次災害による被害の防止

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、鉄道災害現場における捜索、救出救助活動等に当たっては、鉄軌道事業者等と連携し、後続車両の衝突等の二次災害による被害の防止措置を確実に行うものとする。また、鉄軌道上への落石、土砂崩れ等に起因する災害の現場においては、監視員を置くなどの措置を確実に行うものとする。

第4 道路災害対策

1 災害に備えての措置

(1) 関係機関との相互連携

関係所属長は、道路管理者、関係自治体等の関係機関と相互に連携し、道路災害に備えた諸対策に当たるものとする。

(2) 危険箇所等の把握と関係機関に対する要請

関係所属長は、道路災害を予防するため、平素から山(崖)崩れ危険箇所等の発見及び点検に努め、基礎資料を収集及び整理するとともに、危険度の高い箇所については、関係機関に対し改善及び補修の措置の要請を積極的に行うものとする。

(3) 連絡体制等の確立

関係所属長は、道路災害に発展するおそれのある山(崖)崩れなどの災害を認知した場合における関係機関との連絡体制及び道路管理者等への情報の伝達体制の確立を図るものとする。また、民間企業、報道機関、住民等からの情報等、多様な道路災害関連情報の収集体制の整備を図るものとする。

(4) 防災訓練の実施

関係所属長は、道路管理者、関係自治体等と相互に連携し、大規模な道路災害の発生を想定した実戦的な訓練の実施に努めるものとする。

2 災害時における措置

(1) 情報の収集

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、道路災害が発生した場合においては、直ちに発生地を管轄する警察署員等を現場に急行させ、目撃者からの情報、関係機関への問合せ及び現場の状況などにより、災害に巻き込まれた通行人、通行車両等の人的被害の有無について迅速に確認を行うものとする。

(2) 救出救助活動

道路災害が発生し、多数の死傷者等が生じた場合において、県災害警備本部等の長は機動隊員等を、署災害警備本部等の長は署員を直ちに出動させ、救出救助用機材を有効に活用して、迅速に被災者等の救出救助活動に当たるものとする。

(3) 立入禁止区域の設定等

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、道路災害が通行量の多い道路において発生した場合その他被害が拡大するおそれがある場合においては、迅速に立入禁止区域を設定するとともに、通行者、通行車両等に対する交通規制及び避難誘導を的確に行うものとする。

(4) 危険物の流出に対する応急対策

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、道路災害の発生により、タンクローリー車等危険物を運搬中の車両が被災し、危険物が流出した場合には、地域住民等の避難誘導等を実施するほか、危険物の防除活動の支援を行うものとする。

3 二次災害による被害の防止

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、道路災害現場における救出救助活動等に当たっては山(崖)崩れ等による二次災害による被害の防止のため、監視員を置くなどの措置を確実に行うものとする。

第5 危険物等災害対策

1 災害に備えての措置

(1) 関係機関との相互連携

関係所属長は、関係自治体、消防機関、危険物等の管理者等の関係機関と相互に連携し、危険物等災害に備えた諸対策に当たるものとする。

(2) 危険物等関係施設の実態把握

関係所属長は、危険物等災害の発生に備え、平素から危険物等の貯蔵・取扱事業所、高圧ガスの貯蔵・取扱事業所、石油コンビナート等特別防災区域内における危険物等の取扱事業所等の実態把握に努めるものとする。

(3) 連絡体制の整備

関係所属長は、危険物等関係施設において、危険物等災害が発生した場合に備え、事業者等との連絡体制の整備を図るものとする。

(4) 危険物等災害警備用装備資機材の整備充実

関係所属長は、危険物等災害に備え、以下の装備資機材の整備充実に努めるものとする。

ア 防護用機材

生化学防護服、特殊型防護ガスマスク等

イ 救出救助用機材

ガス等測定器、送排風機、消火器、毛布等

(5) 避難場所等の周知

石油コンビナート等危険物等関係施設の所在地を管轄する警察署長は、平素の警察活動を通じて、地域住民等に対して、危険物等災害が発生し、又は発生するおそれがある場合の避難場所、避難路及び避難時の留意事項について周知を図るものとする。

(6) 火薬類取締法等の法令に定める権限の行使

関係所属長は、危険物等災害防止のため、火薬類取締法(昭和25年法律第149号)等の法令に定める権限を適切に行使するものとする。

(7) 防災訓練の実施

関係所属長は、関係自治体、消防機関、危険物等の事業者等と相互に連携し、大規模な危険物等災害を想定した実戦的な訓練を随時実施するものとする。また、危険物等災害警備用装備資機材の操作訓練、生化学防護服等の着脱訓練等も随時行うものとする。

2 災害時における措置

(1) 情報の収集

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、大規模な危険物等災害が発生した場合においては、警察用航空機等を活用し、直ちに被害状況等についての情報収集を行うものとする。また、情報の収集に当たっては、消防機関、危険物等の事業者等と緊密な連携をとり、安全かつ的確な警察活動に資するため、危険物等に対する専門的知識に基づいた正確な情報の収集に努めるものとする。

(2) 救出救助活動

危険物等災害が発生した場合において、県災害警備本部等の長は機動隊員等を、署災害警備本部等の長は署員を直ちに出動させ、従業員等被災者の救出救助、避難誘導を行い、被害の拡大防止に努めるものとする。また、救出救助活動等に当たっては、生化学防護服、特殊型防護ガスマスク、ガス等測定器、送排風機等の装備資機材を有効に活用して、被災者及び警察職員の安全確保に努めるものとする。

(3) 立入禁止区域の設定

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、危険物等が漏えい、流出又は飛散した場合には、直ちに立入禁止区域を設定して、被害の拡大防止に努めるものとする。

(4) 危険物等の大量漏えい等に対する応急対策

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、危険物等が大量に漏えい、流出又は飛散した場合には、関係機関と緊密に連携し、住民等の避難誘導、立入禁止区域の警戒、交通規制活動等を実施するほか、危険物等の防除活動の支援を行うものとする。

(5) 火薬類取締法等の法令に定める権限の行使

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、危険物等災害が発生し、又は発生するおそれがある場合においては、火薬類取締法等の法令に定める権限を適切に行使するものとする。

第6 火事災害対策

1 災害に備えての措置

(1) 関係機関との相互連携

関係所属長は、消防機関、関係自治体、営林官署等の関係機関と相互に連携し、火事災害に備えた諸対策に当たるものとする。

(2) 管内実態の把握

関係所属長は、平素から、火災が発生した場合に大規模な被害発生のおそれがある高層建築物等について、それぞれの管理体制、保安施設の具体的状況等の実態把握に努めるものとする。

(3) 連絡体制の整備

関係所属長は、大規模な火事災害が発生した場合における消防機関、高層建築物等の管理者、営林官署等との連絡体制の整備を図るものとする。

(4) 防災訓練の実施

関係所属長は、消防機関等の実施する大規模な火事災害を想定した防災訓練に参加し、相互に連携した訓練を行うよう努めるものとする。

2 災害時における措置

県災害警備本部等及び署災害警備本部等の長は、大規模な火事災害が発生した場合においては、迅速に立入禁止区域を設定するとともに、地域住民等に対する避難誘導を的確に行うものとする。

福島県警察災害警備計画の策定について(通達)

令和3年12月28日 達(災対、務、生企、地企、刑総、交企、公)第502号

(令和3年12月28日施行)

体系情報
警備部
沿革情報
令和3年12月28日 達(災対、務、生企、地企、刑総、交企、公)第502号