○福島県警察の処務に関する訓令の制定について(通達)
平成5年3月16日
例規(務)第11号
このたび、福島県警察の処務に関する訓令を制定したが、訓令の制定の趣旨、解釈、運用方針等は次のとおりであるので、運用上誤りのないようにされたい。
記
第1 基本的事項
1 制定の趣旨
県警察の処務については、これまで、法律、条例、規則によるほか、福島県警察の処務に関する訓令(昭和49年県本部訓令第12号。以下「旧訓令」という。)に基づき、福島県警察の組織に関する訓令(平成4年県本部訓令第3号。以下「組織訓令」という。)、福島県警察職員服務規程(昭和32年県本部訓令第18号。以下「旧服務規程」という。)等他の関係規程と合わせて運用してきたところであるが、旧訓令については制定後約19年、旧服務規程については約36年を経過し、この間県警察を取り巻く諸情勢、治安情勢等の大きな変化により警察業務が質的にも量的にも大きく変わってきたことから、警察業務の迅速・的確な処理の観点から、いずれも検討を要する時期に来ていたところである。
このため、まず組織関係規程については、平成4年3月、福島県警察の組織に関する規則(昭和32年県公安委員会規則第9号。以下「組織規則」という。)を全面的に改正するとともに、組織訓令を新たに制定し、さらに、平成4年8月1日からの週40時間勤務制(完全週休二日制)の実施に伴い、従来、旧訓令の「第5章 勤務」において規定していた勤務制度に関する条項を旧訓令から分離させて、新たに福島県警察の勤務制度に関する訓令(平成4年県本部訓令第21号。以下「勤務制度訓令」という。)を制定し、全面的な見直しを行ったところである。
このため、これまで数次に及ぶ改正を加えつつ運用してきた旧訓令と旧服務規程については、いずれも一部改正のみでは運用上の支障が避け難いと考えられたことから、勤務制度訓令を制定した今回の機会を捉えて両訓令を一つにまとめ、新たに福島県警察の処務に関する訓令(平成5年県本部訓令第8号。以下「訓令」という。)を制定したものである。
2 制定の基本方針
訓令の制定に当たっては、旧訓令及び旧服務規程を根幹としつつ、これまでに調査した各所属の要望・意見等を踏まえ、さらに他の都道府県警察及び知事部局の規定状況を参考に、
○ 規定はあるが実情にそぐわないものについては、削除、又は実情に沿うよう改正する
○ 規定はないが、従来から慣行的に行っている事務のうち重要なものについては根拠規定を新設する
○ 事務処理の簡素・合理化、円滑化、実効性等のために、系統的に簡潔に規定する
ことを基本方針として制定した。
3 訓令の構成及び要点
(1) 訓令の構成
ア 訓令は、「第1章 総則」、「第2章 事務処理」、「第3章 協力及び応援」、「第4章 勤務」、「第5章 服務」、「第6章 指導監督」、「第7章 会議」及び「第8章 雑則」の8章140条から成り、旧服務規程については、「第5章 服務」として、「第1節 職務倫理等」、「第2節 服務の規準」、「第3節 服装及び携帯品」、「第4節 用品に対する責任」、「第5節 居住所等」及び「第6節 身上諸願届等」に整理して規定した。また、旧訓令の「第5章 勤務」中、勤務制度訓令に規定することになじまないため旧訓令に残した「特殊勤務」、「出張命令」、「宿日直勤務員の任務等」及び「非常招集」については、「第4章 勤務」として規定した。
イ 規定に当たっては、各章ごとに基本的事項から例外的事項の順に配列し、また、県本部、署の順及び建制順に系統的に配列した。
(2) 訓令の要点
訓令の要点は次のとおりである。
イ 事務の合理化、市民応接等事務処理の原則を10項目に整理し、また、電話・メール等による合議、県民等から証明等の依頼があったときの処理の方針、私有車両の公務使用の根拠、所属等日誌・業務日誌等備付けの根拠等、従来慣行的に行っている事務又は根拠規定が不明確であった事務について、それぞれ具体的に規定した。(第2章第1節)
ウ 事務の引継に関して、引継要領、引継上の留意点、身上関係書類の送付等これまで運用に任されていた事項について、その具体的要領等を規定した。(第2章第2節)
オ 代理、専決及び代決の概念等を明らかにした。(第2章第4節)
カ 対策本部等業務運用上の特別の組織又は作業チームの設置、所属間及び他の官公庁等との業務処理に関する協定等の締結、他の官公庁等が主催する行事等に対する後援等、これまで実際的に行われていた部内及び部外における協力及び応援の要領、根拠等について具体的に規定した。(第3章)
ク 服務を職務倫理と服務の規準に大きく分けて規定するとともに、職務倫理については、職務倫理の基本、市民として守るべき項目に区分して規定し、服務の規準については、職員としての身分上守るべき項目、職務の公正保持上守るべき項目、職務遂行上守るべき項目、適切な市民応接上守るべき項目に区分して規定した。
また、職員一般に共通する項目と警察官が守るべき項目との観点に立って、全体を整理した。(第5章)
ケ 管轄区域内居住の原則と例外の場合の申請手続について規定した。(第90条)
コ 県本部及び署における会議の種類、出席者、会議事項、開催基準等、会議についての基本的な事項を明らかにするとともに、朝礼を会議の一つとして位置付けた。また、県境会議、県間会議、広聴会等各種会議の開催の根拠を規定した。(第7章)
サ 全ての所属に所属の沿革誌を備え付けることを義務付けるとともに、署の沿革誌と管内要覧に記録すべき事項を整理した。(第127条~第129条)
4 他の規程との関係
例えば、「合議」については、訓令では一般的な原則を定めているが(第5条)、合議の実際については福島県警察の文書作成等に関する訓令(令和3年県本部訓令第22号。以下「文書作成等訓令」という。)の規定に従って行われるものであり、また、事件・事故等の速報及び応急措置(第7条)についても、訓令によるほか、福島県警察の犯罪捜査に関する訓令(昭和38年県本部訓令第25号。以下「犯罪捜査訓令」という。)の規定に従って行われるものである。
5 訓令の主管課
訓令の主管課は、警務課とする。ただし、規定する事項が他の部又は他の課に関連する場合には、その都度協議するものとする。
第2 総則
1 目的(第1条)
本条は、訓令の所管事項の範囲を明確にするとともに、その目的を規定したものであり、その要旨は次の2点である。
その1つは、訓令が県警察における事務処理に関する一般的な規準を示していることであり、事務を適正かつ能率的に処理するために必要な事項を定めたことである。
その2つは、訓令が職員の服務に関する一般的な規準を示していることであり、職員が公務員として守るべき事項を定めたことである。
2 用語の定義(第2条)
用語のうち、決裁、代理、専決、代決等については後述するが、その他の用語の定義等については次のとおりである。
(1) 処務
(2) 服務
また、服務上の規準として規定されている遵守事項は、公務上の場合に限らず、私の場合にも適用される場合があるので、注意を要する。
(3) 組織関係用語等の汎用
3 根拠(第3条)
第3 事務処理
1 事務処理の原則(第4条)
警察の業務は、県民生活の安全と平穏を確保し、県民の期待と信頼にこたえるため、常に適正かつ効率的に推進される必要があるが、このためには、職員が事務を処理するに当たって常に心得かつ実践に努めるべき基本的な原則がある。
本条においては、この基本原則を
① 情報収集と多角的な検討
② 迅速・適正、実効性
③ 関係部門との相互連絡、総合力の発揮
④ 事務の計画的推進と点検・修正、結果の確認
⑤ 組織系統の遵守と指示命令事項に対する報告(復命)等の実施
⑥ 不在となる場合の引継、連絡
⑦ 事務の合理化・効率化、資源の節約
⑧ 自己啓発
⑨ 適切な市民応接
⑩ 個人情報等の適正管理
の10項目に分けて整理したものである。
このうち、特に留意すべき点は次のとおりである。
(1) 迅速適正、実効性(第2号)
事務は、常に迅速・適正でなければならず、タイミングを逸してはならない。やるべき時にやらねば、その事務の効果は半減するばかりでなく、時にはマイナスになることもある。また、事務は常に実効性を伴うものでなければならず、観念を排し、現実に即したものでなければならない。
(2) 総合力の発揮(第3号)
(3) 組織系統の遵守(第5号)
第5号は、組織の原則を示したものである。事務を処理するに当たっては、組織の系統に従って決裁権者等の決裁又は査閲を受けて行うことが必要であり、また、処理の過程において順を追って報告し、又は指示を受け、その間における責任の所在を明確にしておかなければならない。
さらに、指示命令された事項については常に報告又は復命をなし、指示命令された事項以外の事項であっても、指示命令事項に付随する事項又は関連して処理すべき事項等については進んでこれを行うなど、指示命令の詳細を待たず補完する配意が必要である。
(4) 事務の合理化等(第7号)
事務の合理化・効率化等は、労働時間の短縮等に伴い、近年極めて重要性を増している課題である。
限られた勤務時間の中で業務効果を最大限上げるためには、従来の慣行に捕らわれることなく、惰性を廃し、職員が常に問題意識を持って、創意工夫をこらしてこれに対処するとともに、自己の蓄積又は開発したノウハウ等については組織的な活用が図られるよう、提案し、若しくはマニュアル化するなど、業務の合理化、効率化及びその改善に努めることが必要である。
また、地球環境保全の観点から資源の節約が重要性を増しているので、OA化の推進等に伴い消費の著しい様々な資源の節約についても鋭意取り組まなければならない。
(5) 市民応接(第9号)
第9号は、全体の奉仕者たる職員が、公共の利益のために、常に市民第一の立場に立って事務を処理すべきことを、地方公務員法の精神に基づいて確認的に規定したものである。
警察は、県民生活の安全と平穏を確保し、県民及び地域社会に献身的に奉仕することを使命とするものであるから、職員は、常に親切と奉仕の精神をもって市民に接し、良好な関係を保持し、もって警察に対する県民の積極的な理解と協力が得られるよう努めなければならない。
(6) 個人情報等の適正管理(第10号)
第10号は、職員が職務上多くの個人情報を知り得る立場にあることから、個人情報の漏えい等による個人の権利利益の侵害と社会的影響を理解し、個人情報の重要性を認識することによって、適正な取扱いに努めなければならないことを規定したものである。
2 合議(第5条)
本条は、他の部、課、署若しくは同一所属内における他の係又は他の官公庁との合議に関する一般的規準を定めたものである。ここでいう合議とは、単に起案文書の合議に止まらず、広く警察業務の処理全般に関する合議について規定しているものである。
合議は、主管の部長又は課長等の査閲を経た後、合議先の部課長等に対して直接説明し、協議するのが原則であるが、定例的又は軽易なもので、合議先の部課長等が直接口頭による説明等を要しないと了承するときは、起案者等からの電話連絡又はメール等による説明をもって合議とみなすことができる。この場合には、起案者において起案書の合議先の部課長等の欄に「了」と朱書し、処理経過を明らかにしておかなければならない。
また、部長会議、統括参事官会議等に付議されて議決された案件で、合議先の部課長等が新たな合議を必要としないと認める案件については、合議を省略することができる。この場合にも、起案者において起案書に「○月○日、○○会議了済」等と朱書して処理経過を明らかにしておくことについては、前同様である。ただし、これがために、事務担当者レベルでの意思の疎通に齟齬を来すことのないよう十分留意しなければならない。
なお、合議の詳細は、文書作成等訓令に定めるところによる。
3 事件・事故等の応急措置(第7条)
(1) 事件・事故等を処理するに当たり、初動措置の適否は、後の事案処理に大きく影響する。このため、職員に対して、事件・事故等を認知したときは、公・私の別及び自署、他署管内を問わず直ちに必要な応急措置を講じ、その後直ちに報告・通報することを義務付けた。
ここでいう「応急措置」とは、警察官の場合には警察官としてとるべき全ての措置のことであり、警察行政職員の場合には、犯人の追跡、負傷者の救護等警察行政職員としてできる範囲の応急措置を意味している。
(2) 「最寄りの署又は交番等」と規定した趣旨は、時間的又は場所的に最も速く連絡できる警察署、交番、駐在所等を利用して報告・通報させるためのものであり、職員の所属にこだわるあまり報告が遅れることのないようにするためである。
(3) 「別に定めがある場合」とは、全職員に係る福島県警察の緊急配備に関する訓令(平成3年県本部訓令第8号)第10条に定める緊急通報、及び警察官に係る犯罪捜査訓令第18条に定する急訴事件の措置等をいう。
4 証明等依頼の処理(第9条)
本条は、県民等から証明、調査、回答等の依頼があったときの処理の原則を規定したものである。県民等から証明等の依頼があったときは、いたずらにこれを回避することなく、業務上支障がある場合及びその内容が警察の責務の範囲に属さない事項であるときを除き、信義誠実の精神をもってこれに対処しなければならない。
なお、警察証明については、別途通達されているので、これにより対処することとなる。
5 広報等(第10条)
本条は、広報活動の重要性に鑑み、その目的と適正な推進、及び職員の行う講演、講義、寄稿等の根拠と留意点等について規定したものである。
従来、広報活動については、一部の幹部職員による対応及びミニ広報紙等による活動以外は低調であり、特に幹部職員以外の職員にあっては、これを幹部の職務として避けるきらいがあったが、本来、広報活動は、マスコミ等に対する発表、広報誌(紙)等による広報に止まるものではなく、通常の様々な警察活動を通じて職員一人ひとりが積極的に行うものである。このため、広報活動を職員の義務として規定したものである。
なお、寄稿等については、訓令第78条において所属長の承認を受けてから行うこととなっているので、誤りのないようにすること。
6 私有車両の公務使用(第12条)
「別に定めるところ」とは、私有車両の公務使用に関する要綱の制定について(昭和62年6月29日付け例規(務)第23号)をいう。
同要綱に示しているとおり、公務には公用車を使用することが原則であり、私有車両の公務への使用は、必要やむを得ない場合の例外的な運用方法であるので、誤りのないようにすること。
7 所属等日誌(第13条)
(1) 各所属には、原則として、「所属等日誌」を備え付けなければならないこととし、この「所属等日誌」には朝礼簿等も含むものとする。
8 業務用簿冊等の作成(第14条)
本条は、所属の課又は係、分駐隊等ごとに備え付けて使用している勤務日誌、活動日誌等の日誌、無線機点検薄等の業務日誌又は管理簿、捜査本部等において使用している捜査日誌、その他引継簿、連絡簿等の様々な業務用簿冊、様式等を作成し、備え付ける場合の根拠を規定したものである。
これらは、いずれも業務の効率的な運営、業務の確実な点検、連絡等のために極めて有用なものであるが、作成に当たっては真に必要なもののみに止め、作成によりいたずらに事務が繁雑にならないように留意しなければならない。
9 事務の引継(第16条~第19条)
(1) 事務の引継については、これまで引継要領、引継上の留意点その他引継事項等についてその詳細が明らかでなかったが、事務の引継を本部長、所属長以上の職員(部長、首席監察官、総務監、警備監、統括参事官、参事官、参事、課長及び署長)、その他の職員に分けて整理し、引継事項、引継の方法、引継上の留意点、身上関係書類の送付要領等についてその具体的要領等を明らかにした。
(2) 事務引継をする場合を「配置換え、退職、休職その他の理由によりその職を離れるとき」としたが、その他の理由には、休職に至らない長期病休、長期海外出張、長期研修等によりその職を離れるときがあげられる。
なお、異動に伴う後任者が着任しない場合又は後任者の配置がない場合など事務引継を受ける者がいないときは、所属長の指定する職員に事務の引継を行うこととした(第17条第1項)。
(3) 事務引継書の作成に当たっては、人事関係事項等事務引継書に記載することが適当でないと認める事項については口頭により引き継ぐことができることとした(第17条第2項)。
なお、口頭により引継を受けた事項については、引受者において後任者に対して引継をする際、引継事項等を忘れたり、不正確になったりすることのないよう十分注意しなければならない。
(4) 事務引継書の作成に当たっては、多忙等のあまり内容が形式的になったり、簡略化しがちであるので、引継事項等を十分に検討した上で、当面の問題点(懸案事項)と前任者の意見等については確実に引き継ぐよう留意すること。この際、「異動期におけるチェック表」等を有効に活用すること。また、引継書の作成は、幹部も含めてそれぞれの職員が自ら作成するとともに、本部においては係、署においては課(係)で保管するものとする(第18条)。
(5) 身上関係書類の送付(第19条)
身上関係書類とは、人事、給与、教養関係の個人記録をいう。
身上関係書類は、
○ 当該職員が配置換え(出向による退職を除く。)になったときは配置換え先の所属長
○ 当該職員が出向するときその他特に指示あるときは県本部警務課長
にそれぞれ発令の日から7日以内に送付し、
○ 当該職員が退職するとき(出向による退職を除く。)は退職時の所属において保管する
こととなる。
年間における業務(行事)予定等を策定する際最も大切なことは、事務の合理化・効率化、実効性の担保等の観点から、必ずしも先例に捕らわれることなくその必要性を真摯に検討することであり、効果の上がらない業務(行事)、県民等に対して影響力のない業務(行事)等については、敢然これを排することである。
また、決定した業務(行事)予定等については、4半期又は半期等ごとにその推進状況等を確認し、必要な修正等を図っていかなければならない。
11 代理、専決及び代決(第22条~第33条)第1章第4節においては、決裁における代理、専決及び代決の概念、並びにその実施要領、実施上の留意点等について総括的かつ具体的に規定した。
(1) 決裁
決裁とは、第2条(用語の定義)において規定しているとおり、本部長、署長、専決者その他法令に基づき権限を有する者(以下「決裁権者」という。)が、その権限に属する事務の処理について最終的にその意思を決定することであり、広い意味の意思決定をいう。書類上の手続きに限定する趣旨ではない。
決裁権者には専決者が含まれるので注意を要する。
決裁と査閲との違いであるが、「査閲」は、決裁権者に至る段階において、事務処理の適否を検査確認することであり、最終的にその意思を決定するものではない。この点、最終的に意思決定をする決裁とは区別される。
ア 代理とは、署長に事故あるとき、副署長等が、署長の事務代理者であることを明示して、自己の名をもって署長の権限に属する一切の事務を決裁し、処理することである。
代理者が署長になり代わって、自己の名において一切の職務を行う点において、その決裁があくまでも署長の名において行われる専決又は代決とは区別される。
署長にのみ代理規定があるのは、警察組織における独任制の行政官庁であるからである。
なお、部課長等の行政組織法上の補助機関の代理については、講学上明確な規定はないが、任命権者が任命権に基づいて臨時にその職の代行者を指定することが行政実例上数多く見受けられる。
このため、県本部に置かれる部課長等の職を占める者に事故あるとき、又はこれが欠けたときその他必要があると認めるときは、その職務を代行すべき者を指定したとしても支障ない。この場合、辞令の取扱いは、「県本部○○部○○課長事務代理(事務取扱等々)を命ずる」等となる。
イ 「事故」とは、心身の故障等によりその職務を行うことができない場合をいう。一般的に、短期間の事故である場合には「代決」で対応すれば十分であり、事故が長期間(概ね2~3週間以上)にわたる場合に、副署長等が事務代理の辞令の発令を受けて、その職務を代理することとなる。
ウ 代理を行う場合の運用上の留意点を、署長代理を例にとって説明すれば次のとおりである。
① 辞令は、「○○警察署長代理(又は事務代理若しくは職務代理。以下同じ。)を命ずる」として発令される。
なお、副署長等が署長代理を務める場合には、当然副署長等としての本来の身分及びその職務権限は保有していることとなるので、署長代理として署長の職務を行う一方で、副署長等として副署長等の職務を行い、権限を行使し、また、専決等を行うこととなる。
② 一般書類(司法書類を除く。)等の表示は、「○○警察署長代理 警視 甲野太郎」と表示して行う。
③ 司法書類のうち送致書の事件送致者については、特に検察庁から特別の依頼がない限り、「○○警察署長代理 司法警察員 警視 甲野太郎」と表示して送致することが適当である。
④ 公印については、別途「○○警察署長代理之印」という公印を調整して使用してもよいが、警察署名の表示部分に「署印」を押捺し、各下に副署長等の私印を捺印するだけでも十分である。
(3) 専決(第24条)
県警察における事務の専決については、その事項を明らかにし、円滑な事務の執行を期するため、別に定めることとしている。
(4) 代決(第31条~第33条)
ア 代決とは、決裁権者が不在の場合に、決裁権者の権限に属する事務をその者に代わって臨時に、時的に決裁することをいう。
代決は、決裁権者が現実に在庁せず決裁ができない場合に、臨時例外的にその者に代わって決裁する事実行為的決裁であり、その法的性格は必ずしも明らかでないが、行政組織において広く行われている実例であることから、旧訓令に引き続き規定することとした。ただし、旧訓令において定めていた第3次代決者については、第3次代決が必要な場合がほとんど考えられず、またその場合であっても第31条第2項において救済規定を設けていることから、旧訓令にあった第3次代決者の欄は削除した。
なお、代決は、代決順位は定められているが代決者の範囲は極めて緩和されており、また、第33条に該当する場合を除いて代決できる事項についての制限がなく、さらに、臨時例外的な措置である点において、あらかじめ特定されている者(専決者)があらかじめ特定されている事項(専決事項)について常時決裁する「専決」とは区別される。
イ 「不在」とは、出張、休暇その他の理由により現実に在庁しない場合をいう。ただし、事務は、すべて決裁権者の決裁を受けることが原則であり、代決は、決裁権者の帰庁を待っていては処理が遅れる場合等に行う臨時例外的な措置であることから、決裁権者が不在であっても、電話等によって決裁を受けることが可能なときには電話等によって決裁を受けて事務を処理し、又は決裁権者の帰庁を待って事務を処理することが適当である。
ウ 代決の要領及び代決後の措置
代決する場合には、代決者において決裁権者の決裁欄に「代決」又は「代」と朱書し、代決であることを明らかにしておくとともに、代決後は代決の状況を決裁権者に報告し、関係書類については、あらかじめ決裁権者から後閲を要しない旨の指示を受けた事項又は定例若しくは簡易な事項に係る事務を除いて、その後閲を受けなければならない。
エ 代決の制限(第33条)
本条において、重要若しくは異例な事務又は将来紛議を生ずるおそれがあると認められる事務等(以下この項において「重要・特異事務」という。)についても、当該事務についてあらかじめ処理の方法が示されている場合であって、かつ緊急やむを得ない場合には代決できることとしたが、本条の趣旨は、重要・特異事務についてはあくまでも決裁権者の決裁を受けることが基本であるというところにある。
したがって、電話等により連絡がつく場合には電話等によって報告し、決裁権者の決裁を受けることが基本であり、本条は、警察業務の特殊性から、重要・特異事務であっても緊急やむを得ない場合には代決せざるを得ない場合があるので、その危機管理方策の一手段として規定したものである。
オ 代決の順位及び代決者は、第31条第1項に規定するとおりである。
第4 協力及び応援
1 警察一体の原則(第34条)
県警察は、本部長を頂点又は中心とする組織体であり、業務の遂行に当たっては、本部長の指揮の下に組織の機能を最高度に発揮し、互いに融和協力し、一体となって当たることを原則としている。
このため、職員個々については、組織の一員としての自覚の下に職務を遂行しなければならないことを明確にするとともに、所属長については、警察一体の原則にのっとり、所属の持つ警察力を有機的かつ重点的に運用して、主管の事務又は管轄区域内の警察事務を処理しなければならないことを明らかにしたものである。ただし、組織は、県本部、署のいずれにおいても、警務、生活安全、地域、刑事、交通、警備の各部門がそれぞれの責任を第一次的に果たすことが基本であり、警察一体の原則及び警察総合力の発揮を強調するあまり、各部門がそれぞれの義務と責任を放棄するようなことがあってはならない。各部門がそれぞれの責任を確実に果たすことが、警察一体の原則の基点である。
2 対策本部等の設置(第36条)
近年、警察業務は著しく複雑・高度化しており、さまざまな係、職にあるものが特定の目的のために招集され、或いは協議の上参集し、検討、企画、推進、実施等に当たる場合が増えている。本条は、こうした対策本部、推進本部、プロジェクトチーム、ワーキンググループ等の業務運用上設けることのできる組織又は作業チームの設置の根拠を規定したものである。
これらの組織は、運用上設ける組織(作業チーム)であるので、特に法的な組織改正又は定数改正を行わず、必要に応じて縦断的又は横断的に自由に設置することができるので、これらの組織を適宜適切に組織し、活用することが極めて重要である。
3 重要事案に対する措置(第37条)
本条は、重要又は特異な事案が発生した場合には、警察の総合力をもってこれに対処する必要があるところから、特に規定したものである。
本条において、地域企画課長及び高速道路交通警察隊長について特に規定している理由は、署の管轄区域内における事案であっても、それが鉄道施設或いは高速自動車国道という一般地域や道路から隔絶された特殊な区域内にあっては、専らその区域内を活動区域として職務執行に当たっている鉄道警察を所掌する地域企画課長及び高速道路交通警察隊長の方が事案を早期に認知し、かつ事態に応じた必要な措置がとれるという、活動区域の特殊性に着目したためである。
4 応援等の要請(第38条)
本条は、警察一体の原則及び相互協力義務に基づき、所属長が他の所属の職員の応援等が必要になった場合の要請手続について規定したものである。本条は、「第3章 協力及び応援」中「第1節 部内における協力及び応援」の節において規定しているが、所属長が他の所属の職員の応援等を要請するのは県警察部内における場合に限られるものではなく、応援等の要請内容が他の都道府県警察に及ぶこととなった場合にも適用されることとなる。この場合には、本部長は公安委員会に提案して、警察法第60条の「援助の要求」の規定に基づき必要な手続をとる。
5 協定等の締結(第40条)
本条は、部内において協定、覚書等を締結する際の根拠、その要領等について規定したものである。
協定等を締結する場合の例としては、所掌事務が不分明又は輻湊している場合、署の管轄区域の境界が不明確である場合その他境界付近における事案処理等のために締結する場合等が考えられるが、部長又は所属長は、協定等を締結する場合には、事前にその理由、協定案、関係地図等を添付の上主管の部課長を経て本部長に申請し、その承認を受けなければならない。
6 他の官公庁等に対する派遣(第41条)
(1) 他の官公庁等に対する派遣とは、他の官公庁等が本来の業務を行う場合において、その業務に対する妨害等が予想されるときに警戒警備のための要請を受けて派遣する場合、又は職員の知識、技能等による協力の依頼を受けて派遣する場合等をいい、例えば、代執行の際の警戒警備、日本銀行券輸送警備、裁判所等における通訳、さまざまな機関における鑑定等がこれに当たる。したがって、警察本来の職務として、警察の自主的な判断に基づき出動する場合には、ここでいう派遣には当たらない。
(2) 本部長に報告して指揮を受ける事項は、おおむね次のとおりとし、電話報告により処理するものとする。
ア 派遣要請年月日
イ 派遣要請官公庁等名
ウ 要請理由
エ 派遣警察官数
オ その他参考事項
(3) 報告を要しない「軽易な事案」とは、例えば、銀行等の金融機関、公職選挙の開票所、各種抽選会場、競馬場、競輪場等における警戒警備など、一時的かつ小規模である警察官の派遣要請又はその署限りにおいて処理できる恒例的又は軽易な派遣要請の場合をいう。
(1) 他の官公庁等と協定等を締結する場合としては、事件・事故の処理範囲・処理要領等を明確にする場合、他の官公庁等の政策等が警察行政に影響する場合にその趣旨等を確認する場合、解釈等に関して回答を得る場合等さまざまな場合が考えられる。
他の官公庁等と協定等を締結する場合には、第40条の規定に準じて、事前にその理由、協定案、関係書類等を添付の上主管の部課長を経て本部長に申請し、その承認を受けなければならない。
(2) 後援等については、これまで後援等をしない場合の規準が明確でなかったため、一部において警察の後援、賛助、協賛等が積極的かつ適正に行われない場合があったが、今回、これを明らかにすることにより、警察における後援等が積極的かつ適正に行われるようにしたものである。
第5 勤務
1 勤務制度訓令との関係
勤務制度は、以上のような観点に立って整理されているので、職員は、勤務制度を運用するに当たっては、この両者の関係をよく理解し、熟知していなければならない。
2 出張(第46条~第50条)
本節(第4章第3節)は、職員に対する出張の命令権者及び県費又は国費による出張の関係規程を明らかにしたものである。
出張については、専決、代決とも関連することであるが、職員の出張の延長、短縮等旅行命令に係る事項については、県費による出張については所属長(旅行命令権者)不在時の代決が認められているが、国費による出張については、本部長から再委任を受けた者(旅行命令権者)が事故のためその職務を行うことができない場合に「代理」の辞令が発令されるまでの間代決が認められるに過ぎないので注意を要する。
(1) 出張の命令権者
(2) 県外出張に係る協議
訓令上規定されてはいないが、捜査共助等の観点から、署長が所属職員に対し県外出張を命令する場合は、あらかじめ県本部主管課長と協議を要することについては従前同様である。
(3) 出張予定の変更等(第49条)
通信手段が発達している現在、出張先から所属長の指示を仰ぐことができないような事態はほとんど考えられないので、出張先であっても、日程、経路、交通手段その他命令事項を変更しようとするときは、組織系統の原則に従い、順を経て命令権者である所属長の指示を受けなければならないことを原則とした。
例外的に指示を受ける暇もなく命令事項を変更したときは、事後速やかにその理由及び取った措置を申し出て所属長の承認を受けなければならない。
3 宿日直勤務員の任務等
(1) 宿日直責任者の任務(第52条)
宿日直責任者は、閉庁時間帯におけるいわば“所属長代理”ともいうべき立場にあるので、本条において、宿日直責任者は、宿日直勤務員だけでなく、署においては、専務係、地域係を問わず当日の勤務員すべてに対して指揮監督権を有することを明確に規定するとともに、併せて、閉庁時間帯におけるすべての宿日直に関する事務を処理しなければならないこととした。
なお、宿日直責任者は、要報道事案についての広報責任も有していることから、福島県警察の広報活動に関する訓令(昭和48年県本部訓令第14号)及び同制定通達に基づき適切な広報を実施すべきことを第3項において確認的に規定した。
(2) 宿日直勤務員の任務及び遵守事項(第53条~第55条)
一般宿日直勤務員、事件宿日直勤務員及び学校宿日直勤務員は、宿日直勤務に従事するに当たっては、特に次の点に留意しなければならない。
(3) 宿日直簿冊等(第57条)
(4) 宿日直勤務員の服装(第58条)
ア 機動センター(航空隊及び鑑識科学センターを除く。)及び署の宿日直勤務の警察官については、各種突発事件等に対処する必要があるため、宿日直責任者も含めてすべて制服とし、拳銃及び耐刃防護衣を着装することを原則とした。
イ 第3号において、県本部総合宿日直、機動センター及び署の宿日直以外の宿日直に勤務する職員については「通常勤務時の服装」とした。ただし、腕章の着装等特に指示ある場合には、これにより勤務しなければならない。
ウ 宿日直勤務中取り扱う事件・事故又は少年補導等の処理に当たり、制服以外の私服、作業服、出動服等で勤務することがかえって効果的であると認められる場合には、例外的に制服以外の被服で勤務できることとした。
これは、従来、私服とされていたのを、制服以外の被服と改め、その範囲を拡大したものである。
(5) 拳銃の携帯等(第59条)
宿日直管理責任者は、警察官である宿日直勤務員に対し、警察官等けん銃使用及び取扱い規範(昭和37年国家公安委員会規則第7号)第11条第1項の各号に該当する場合は、拳銃を携帯しないで勤務することを命ずることができることとした。
また、耐刃防護衣については、検視、火災、窃盗及び交通事故現場で活動する場合など耐刃防護衣を着装することが不適当であると認めるときは、着装しないで勤務することを命ずることができることとした。
(6) 宿日直勤務員等とその他の勤務員との関係
ア 宿日直責任者と当務責任者等との関係(第61条)
宿日直責任者と当務責任者との関係については、勤務制度訓令第23条第3項及び第27条に規定しているとおりであり、この解釈については、福島県警察の勤務制度に関する訓令の制定について(平成4年7月21日例規(務)第31号)中第7の4及び福島県警察における週40時間勤務制(完全週休二日制)の実施について(平成4年7月21日例規(務)第32号)中6の(6)において明らかにしているとおりである。
宿日直責任者は、宿日直勤務員のみならず、閉庁時間帯に勤務する全職員を統括指揮して、閉庁時間帯における警察業務を処理する全責任を有していることから、その時間帯に勤務する当務責任者、交替制勤務員等の長は、宿日直責任者との連携を密にし、進んで自己及び部下職員の勤務状況を宿日直責任者に報告又は連絡するとともに、事件・事故等が発生した場合には、宿日直責任者の指揮を受けて、警察一体の原則にのっとり、組織の総合力を発揮して処理応援等に当たらなければならない。
イ 宿日直勤務員等以外の職員の遵守事項(第62条)
通常、閉庁時間帯においては、宿日直勤務員及び当日の勤務員以外の職員は勤務しないこととなるが、事件・事故等の処理、関係者の取調べその他の事務処理を行うため在庁する場合には、庁舎管理責任を有する宿日直責任者に報告又は連絡し、閉庁時間帯における署(課)の運営が宿日直責任者の指揮のもとに一体的になされるように協力しなければならない。
ウ 宿日直を置かない所属における準用(第63条)
宿日直勤務を正規の勤務時間の中に組み入れることにより宿日直を置かないこととなった所属の閉庁時間帯にあっては、正規の勤務時間の中において業務が処理されることから、勤務制度上(理論上)は当日の勤務員が通常どおりそれぞれの担当事務を処理すればよいこととなる。
しかしながら、実際的には、体制的な問題もあり、閉庁時間帯における事務については、従来の宿日直勤務と同様当日の勤務員が連携して事件・事故等を処理せざるを得ない場合が多い。このため、このような場合を考慮して、宿日直を置かない所属の閉庁時間帯にあっては、当務責任者の指示により、当日の勤務員がそれぞれの担当事務を処理しながら、宿日直勤務員の任務を遂行し、遵守事項を遵守しなければならないことを、本条において明らかにしたものである。
4 非常招集
(1) 非常招集命令(第64条)
非常招集命令の発令に当たっては、招集の要否、発令のタイミング等を適切に判断し、事後の業務の処理に支障を生じないようにしなければならない。ただし、休日が増大し、管轄区域外に居住する職員が増えつつあること等に鑑み、招集が特定の係、特定の職員に偏ってなされることのないよう公平性に配意するとともに、勤務制度を適切に運用して、夜間・休日等における所属の体制の確保等に配意することも必要である。
(2) 応招義務(第66条)
第66条は、非常招集命令を受けたときの服務上の義務として、職員が当然にこれに応じなければならないことを規定したものである。職員は、応招に当たっては、特に次の点に留意しなければならない。
ア 最も迅速な交通手段により、事故防止に留意しながら、速やかに応招すること。
イ 交番及び駐在所の勤務員は、相勤者又は家族に不在中の公務の処理について必要な指示又は連絡をなした後応招すること。
ウ 秘密の保持等応招に関して特に指示あるときは、必要な措置を講じ、応招すること。
(3) 非常参集(第71条)
非常参集は、職員の職責に対する自覚に信頼を置いている規定であり、警察組織が将来にわたり常に健全に機能することを組織として信頼している規定である。
職員は、警察一体の原則にのっとり、常に警察事案に適切に対処する心構えを持つことが必要であり、本条各号に列記した場合においては、勤務時間外、管轄区域外居住等であるとを問わず、速やかに所属部署に参集し、又は電話等により連絡して、所属長の指揮を受けなければならない。
第6 服務
1 職務倫理及び服務
2 職務倫理等
(1) 職務倫理(第72条)
(2) 信用失墜行為の禁止(第73条)
本条は、警察がその任務を遂行するためには県民の信頼と協力が不可欠であるが、信用失墜行為は、県民の信頼を損ない協力を得難くするものであり、警察の任務の遂行を著しく阻害するものであることから、職員は厳に信用失墜行為を戒めなければならないことを規定したものである。
(3) 市民としての規範(第74条)
このことは、地方公務員法第33条(信用失墜行為の禁止)の規定及びこれを受けた訓令第73条の規定において、職員は、「その職の信用を傷つけ、又は警察の不名誉となるような行為をしてはならない。」としているが、「警察の不名誉となるような行為」とは、職務に関連する非行に止まらず、必ずしも職務と直接には関係のない行為も含まれると解されている。例えば、職員が勤務時間外に飲酒運転を行ったとき、道徳的に強い非難を受けるようなスキャンダルに関係したようなときは、職員としての身分のつながりから職員の職全体の不名誉となるような行為をしたと解されることから導かれる。
このため、第74条において、市民としての職員のあり方を規定したのである。
第5号の「飲酒等」とは、飲酒のほか遊技、ギャンブル等を指す。
3 服務の規準
(1) 職員としての身分上守るべき事項(第75条~第77条)
第75条は、服務の根本基準として、職員は、他の公務員同様、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、その職務の遂行に当たっては全力を挙げてこれに専念しなければならないことはもとより、不偏不党かつ公平中正を旨として職務を遂行しなければならないことを規定したものである。
第76条の「法令の厳守」は、職員は、法を執行する立場にあることから、法令及び上司の職務上の命令を厳守し、その権限を濫用してはならないことを規定したものである。
事務を処理するに当たり、およそ法令に基づいていない事務はなく、職員は、警察業務は全て法令に基づいて行われるものであることを十分に認識しなければならない。
したがって、職員は、安易に、惰性で事務を処理することなく、常に法令が制定された趣旨、背景、基本的考え方等について熟知して事務を進める必要がある。ただし、これがために、いわゆる“お役所仕事”等との非難を受けることのないよう、法令の許容範囲において十分なバランス感覚を持って事務を処理することが必要である。
第77条の「秘密の保持」は、公務員には当然守秘義務が存するが、職員は、職務上個人に関する情報を取り扱うことが多く、これを知る機会が多いことから、秘密に該当するものに限らず、職務上知り得た個人に関する情報を正当な理由なく漏らしてはならないことを規定したものである。
(2) 職務の公正の保持(第78条)
本条は、不偏不党かつ公平中正を旨とする警察の責務、また、全体の奉仕者たる職員の性格にかんがみて当然の規定ではあるが、特に職員が留意すべき点について、確認の意味で具体的に規定したものである。
(3) 職務遂行上の遵守事項(第79条)
第5号の「上司等の承認を得ないで職場を離れ、若しくは庁舎外に外出しないこと。」中、職場とは、単に勤務部署に止まらず、尾行、張り込み等の場合における当該活動現場をも指す趣旨であり、また、庁舎外に外出する場合には、休憩時間であると否とを問わず、事前に上司の承認を受けなければならないこととした。
本条は、そのほとんどが上司に対する報告を根幹とする規定であり、職員は、事務を遂行するに当たっては、様々な事項について、上司に対する適宜適切な報告を心がけることが必要である。
(4) 適切な市民応接(第80条)
第6号の趣旨は、職務執行の際、市民応接の観点から自己の責任を明確化するため、必要に応じて自己の所属、氏名等を告げるものである。
市民応接は、全ての警察活動に関してその根幹を流れている精神であり、職員全てが常に肝に命ずべき事項であることについては前述のとおりである。
(5) 証人出廷等の際の遵守事項(第82条)
職員は、地方(国家)公務員法により秘密を守る義務が課せられているが、証人、鑑定人等として裁判所、検察庁、議会その他の機関に出廷又は出頭する場合があることを考慮して、本条は、その際の報告手続等について規定したものである。
地方公務員法第34条においては、証人、鑑定人等として職務上の秘密に属する事項を発表する場合には任命権者の許可を必要とするとしているが、この許可は、法律に特別の定めがある場合を除く外拒否することができない性質のものである。このため、職員が証人、鑑定人等として召喚、連絡等を受けた際には、直ちにこれを把握し、その適正を期する必要があることから、本条において、裁判所、議会、行政委員会に関係して出廷等する場合はもちろん、広く裁判所、検察庁その他の機関から連絡等を受けて出頭するすべての場合について、その事前報告と事後報告を規定したものである。
職員が、証人、鑑定人等として召喚、連絡等を受けたときは、地方公務員法第34条に該当する場合にかかわらず、また、その内容が重要又は異例なものであると否とを問わず、所属長は、あらかじめ本部長に報告し、その承認を受けるとともに、その結果については事後速やかに主管の部課長を経由して本部長に報告しなければならない。
なお、「ち密な捜査の推進強化要綱」においては「証人出廷の報告及び措置」(第4の3)について具体的に規定しているので、所属長は同規定についても十分検討の上対処する必要がある。
(6) 他団体等の役職員等への就任(第83条)
本条は、職員が他の機関、団体、公益法人等から役職員等に報酬を得ないで就任することを求められたときの手続について規定したものであり、次のア及びイによるほか、具体的な事務手続にあっては別に定めるものとする。
ア 関係団体等の場合
関係団体等から顧問、委員等の役職員等に就任を求められた場合は、本条の規定により承認を受けることとし、この場合に当該関係団体等の事務に従事するための勤務時間の一部を割くときは、勤務制度訓令第17条第1項の規定による職務に専念する義務の免除の承認があったものとみなす。
なお、当該役職員等に就任を求められた場合には、その団体等の性格、任務の内容等を十分に検討する必要があるが、警察の中立性、公平性保持の観点から、訓令第43条各号に該当する場合には、それに就任することはできない。
イ 関係団体等でない他団体等の場合
警察業務に関連性を有さない他団体等から会長、理事長、理事、監事、評議員等、当該団体等の運営上の意思決定権を持っている役員への就任を求められた場合には、本条の規定により承認を受けなければならない。この場合の承認基準は、営利企業への従事等の制限に関する規則(昭和27年福島県人事委員会規則第1号。以下「従事制限規則」という。)第3条第1項の定めに準じるものとする。
なお、当該団体等が営利企業である場合は、次条の手続による。また、職員が関係団体等でない他団体等の職員に就任する場合には、本条の手続は要さないが、地方公務員法の趣旨から、従事制限規則第3条第1項に定める基準を満たさないようなときには就任できないことに留意しなければならない。
(7) 営利企業従事等許可申請(第84条)
ア 「営利企業への従事等」とは、おおむね次の各号に掲げる行為をいう。
(ア) 営利を目的とする会社その他の団体の役員、顧問、評議員その他これらに準ずる地位に就くこと。
(イ) 自ら営利を目的とする私企業を営むこと。
a 「自ら営利を目的とする私企業を営むこと」(以下「自営兼業」という。)とは、職員が自己の名義で商業、工業、金融業等を経営する場合をいう。また、名義が他人であっても本人が営利企業を営むものと客観的に判断される場合もこれに該当する。
b aの場合における次の各号に掲げる事業の経営が当該各号に定める場合に該当するときは、当該事業の経営を自営兼業に当たるものとして取り扱うものとする。
(a) 農業、牧畜、酪農、果樹栽培、養鶏等については、大規模に経営され客観的に営利を主目的とすると判断される場合(経営耕地面積30アール以上又は農産物販売価格が年間50万円以上の場合)
(b) 不動産又は駐車場の賃貸については、次のいずれかに該当する場合
A 不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合
(A) 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
(B) 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
(C) 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること。
(D) 賃貸に係る不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊技等のための設備を設けたものであること。
(E) 賃貸に係る建物が旅館、ホテル等特定の業務の用に供するものであること。
B 駐車場の賃貸が次のいずれかに該当する場合
(A) 建築物である駐車場又は機械設備を設けた駐車場であること。
(B) 駐車台数が10台以上であること。
C 不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行っている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合
D A又はBに掲げる不動産等の賃貸と同様の事情にあると認められる場合
なお、次の点に注意すること。
(A) 不動産等の賃貸物件の種類が複合している場合には、一戸建て1棟をアパート2室相当、土地1件又は駐車場1台をアパート1室相当として換算し、これらを合計して10室相当以上となるときは、自営兼業に当たるものとして取り扱う。
(B) 不動産等の賃貸を共有名義で行う場合には、持分によりあん分したものによるのではなく、賃貸物件全体を対象として自営兼業に当たるか否かを判断する。賃貸件数や賃貸料収入の額についても、その不動産等の賃貸に係る件数、賃貸料収入の額全体により判断する。
(C) 賃貸料収入の金額は、申請時において見込まれる将来1年間の収入予定額で判断する。収入予定額とは家賃収入等をいい、経費を控除した後の額ではない。すなわち、賃貸する際等における1年間の総収入(賃貸予定の不動産等の家賃月額×室数×12月など)が500万円以上となる見込みであれば、自営兼業に当たるものとして取り扱う。
(c) 太陽光電気の販売に係る太陽光発電設備の定格出力が10キロワット以上である場合
なお、次の点に注意すること。
A 「太陽光電気の販売に係る太陽光発電設備」とは、電気事業者等との間で締結される太陽光電気の販売契約の対象となる太陽光発電設備をいう。
B 太陽光電気の販売に係る太陽光発電設備が複数ある場合にはそれらの設備の定格出力の合計値、太陽光電気の販売に係る太陽光発電設備を増設する場合には既設分及び増設分の設備の定格出力の合計値が10キロワット以上となるときは、自営兼業に当たるものとして取り扱う。
C 太陽光電気の販売を共有名義で行う場合には、持分によりあん分したものによるのではなく、太陽光電気の販売に係る太陽光発電設備全体を対象として自営兼業に当たるか否かを判断する。
(ウ) 報酬(謝礼及び実費弁償的なものを除く。)を得て全ての事業又は事務に従事すること(以下「社会貢献活動等」という。)。
イ 所属長は、職員から営利企業従事等許可申請があったときは、地方公務員法及び人事委員会規則に基づき、その必要性を確認するとともに、職員の地位、職務内容、本来の職務に及ぼす影響等を十分に検討の上、許可、条件付き許可、不許可のいずれかの意見を付して本部長に進達しなければならない。
ウ 従事制限規則第3条の具体的取扱いは次のとおりである。
(ア) 従事制限規則第3条第1号の「その営利企業に従事する等のためその職務に専念することに支障を来たすおそれがある場合」とは、当該職員の勤務時間の一部をさく場合のほか、以下に該当する場合等をいう。
a 自営兼業について
(a) 不動産又は駐車場の賃貸については、入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の管理業務を事業者に委ねていない等、職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかでない場合
(b) 太陽光電気の販売については、太陽光発電設備の維持管理等の管理業務を事業者に委ねていない等、職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかでない場合
(c) 上記以外の自営兼業については、職員以外の者を当該事業の業務の遂行のための責任者としていない等、職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかでない場合
b 社会貢献活動等について
(a) 営利企業への従事等による心身の著しい疲労のため、職務遂行上その能率に悪影響を与えると考えられる場合。この場合、営利企業への従事等をしようとする職員の健康、従事先での事業の内容や勤務時間数、職員としての超過勤務時間を含めた勤務の状況等を考慮して判断する。
なお、営利企業への従事等が、週8時間又は1か月30時間を超える場合、また、勤務時間が割り振られた日において1日3時間を超える場合は、原則として従事制限規則第3条第1号に該当するものとする。
(b) 理事長、理事、監事、評議員等、組織・団体の経営又は運営上の意思決定権を持っている経営上の責任者になる場合
(イ) 従事制限規則第3条第2号の「その営利企業に従事すること等が職員の職と特別な利害関係を生じ公正な職務の執行に支障を来すおそれがある場合」とは、免許、認可、許可、検査、補助金の交付、工事の請負、物品の購入等の関係にある場合等をいう。
(ウ) 従事制限規則第3条第3号の「その営利企業に従事すること等がその職務の信用を傷つけ又は職員の職全体の不名誉となるおそれがある場合」の取扱いは、以下のとおりとする。
a 自営兼業について
太陽光電気の販売以外の自営兼業においては、相続や遺贈等により家業を継承したものではない場合、従事制限規則第3条第3号に該当するものとする。
b 社会貢献活動等について
(a) 従事先について
A 営利企業以外の団体(以下「非営利団体」という。)について
(A) 国、地方公共団体、独立行政法人、国立大学法人、地方独立行政法人等これらの非営利団体については、原則として、従事制限規則第3条第3号に該当しないものとする。
(B) 公益社団法人、公益財団法人、社会福祉法人、学校法人、更生保護法人、医療法人、特定非営利活動法人等これらの非営利団体については、以下のいずれかに該当する場合は、原則として、従事制限規則第3条第3号に該当するものとする。
① 非営利団体がその設立目的に沿った活動実績があることを事業報告、活動計算書等により確認することができないとき。
② 非営利団体又はその役員若しくは役員であった者が、従事しようとする日の2年以内に当該非営利団体の業務に係る刑事事件に関し起訴されたとき又は不利益処分を受けたとき。
(C) 一般社団法人、一般財団法人、自治会・町内会、マンション管理組合、同窓会等これらの非営利団体については、以下のいずれかに該当する場合は、原則として、従事制限規則第3条第3号に該当するものとする。
① 定款等に記載されている非営利団体の目的が職務の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるおそれがあると認められるとき。
② 非営利団体がその設立目的に沿った活動実績があることを事業報告、活動計算書等により確認することができないとき。
③ 直近3年分の事業報告、活動計算書等の資料がホームページ等により県民に広く公表されていないとき。
④ 非営利団体又はその役員若しくは役員であった者が、従事しようとする日の2年以内に当該非営利団体の業務に係る刑事事件に関し起訴されたとき又は不利益処分を受けたとき。
B 営利企業等について
原則として従事制限規則第3条第3号に該当するものとする。
(b) 従事する事業又は事務について
従事制限規則第3条第3号に該当しないと認められる従事先において、定款に記載されている目的に沿わない事業又は事務を行う等の場合、従事制限規則第3条第3号に該当するものとする。
(c) 従事することによって得る報酬について
従事することによって得る報酬として、社会通念上相当と認められる程度を超える額である場合には、従事制限規則第3条第3号に該当するものとする。
エ 第84条第5項は、社会貢献活動を行うために非営利団体に従事すること(以下「社会貢献活動」という。)に関し、円滑な制度運用を図るためにその対象、手続、許可基準等を明確化したものである。
オ 社会貢献活動は、従事先が原則として上記ウ(ウ)b(a)A(A)又はウ(ウ)b(a)A(B)のいずれかに該当する場合であって、従事することによって得る報酬の年額がおおむね20万円を超えないときに、特定非営利団体従事許可申請書により申請できるものとする。
カ 職員から社会貢献活動の許可申請があったときは、所属長は、上記ウの具体的取扱いに基づき、職員の地位、職務内容等を踏まえて判断を行い、許可、条件付き許可等の意見を付して進達すること。
なお、許可を受けた社会貢献活動については、職員は同一の内容であれば毎年度申請する必要はないが、その場合でも所属間の異動が生じたときは、改めて許可申請をしなければならない。
また、許可を受けた職員は、特定非営利団体従事実績報告書を従事した翌年度の4月15日までに提出しなければならない。これは、社会貢献活動の許可は職務の能率の確保、職務の公正の確保、職員の品位の保持といった観点から行われるものであることから、過度な社会貢献活動によって心身に著しい疲弊を生じて職務の能率に悪影響を与えるなどの弊害を防ぐために、定期的にその実態を把握しようとする趣旨である。このため、所属長は、実績報告に際してそれらの観点から意見を付すこと。
これらの社会貢献活動の許可に関する事務(ただし、所属長以上の職員に係るものを除く。)については、警務部長の専決とする。
キ 社会貢献活動に限らず、給与以外の収入額が年20万円を超える等の場合、所得税法(昭和40年法律第33号)第120条第1項に規定する確定申告を行う必要があるので適切に対応すること。
4 服装及び携帯品
ア 第85条第2項は、警察官は勤務中制服着用が原則であることを明記するとともに、その例外を規定したものである。
イ 「別に定めがある場合」とは、福島県警察官の服制に関する訓令(平成6年県本部訓令第10号)等をいう。
ウ 警察官は、制服着用時は、「身だしなみを正し、言動を慎み、品位を損なわないように」しなければならない。
(2) 名刺(第87条)
また、必要により公舎若しくは自宅の電話番号、FAX番号又は個人使用の携帯電話番号等を記載することができ、名刺の表面又は裏面に標語、シンボルマーク等のデザイン等も印刷等できることとしており、さらに、横長横書きや英文名刺を認めている。
これは、我が国において慣習化しており、使用頻度の高い名刺の様式等を柔軟でカラフルなものにすることにより、警察のイメージアップ等を図ろうとする一種のCI(企業認識)戦略である。要は社会常識の範囲内で、警察官として、また社会人としてふさわしい名刺を作成すればよい。
なお、公用名刺は、縦長縦書きの様式によるものを原則とする。
(3) 警察行政職員の携帯品等(第88条)
警察行政職員は、職員証、職員記章及び名刺を業務上の必要に応じ携帯し、又は着用すること。
「業務上の必要に応じ」とは、職員証の提示を要する業務に従事する場合、他の官公庁を訪問する際に証明を要する場合をいい、業務上必要のない場合には、携帯又は着用を要しない。
なお、所属長の指示がある場合には、これによること。
5 用品に対する責任(第89条)
本条は、用品の適正な管理等について規定したものであるが、第3項は、地方自治法第243条の2(職員の賠償責任)に基づく職員の賠償責任に関する規定である。
職員は、用品の盗難、亡失又は損傷が故意又は重大な過失によるものであるときは、賠償責任を有することとなるので、その取扱いに当たっては常に細心の注意を払い、これを適切に管理しなければならない。
6 居住所等
(1) 居住区域の原則(第90条)
本条は、警察官の居住区域の原則を規定したものであり、警察行政職員には適用しないものとする。
ア 第1項において、勤務部署の所在する市町村又は管轄区域内に居住することを原則とした。
イ 第2項において、勤務部署の所在する市町村外又は管轄区域外であっても、勤務部署からの通勤距離が20キロメートル以内又は通勤所要時間が30分以内の地域であれば居住することができることとした。
なお、「20キロメートル以内」、「30分以内」とは、通常の通勤方法で通勤する場合の通勤距離、通勤所要時間のことをいう。
所属長は、有事の際の連絡方法と応召手段が確立されていることを前提として、申請した警察官に
○ 介護を要する父母等がいる
○ 子弟の教育上必要である
○ 疾病の家族がいる
○ 持家がある
○ その他やむを得ない理由がある
等の事情があり、通勤距離がおおむね40キロメートル以内で、かつ、通勤所要時間がおおむね60分以内の地域に居住しようとするときは、裁量により、居住を承認しても差し支えない。ただし、所属長は、所属の実情に応じて、承認する警察官の職種又は階級等を制限することができ、また、承認する際は適宜の条件を付けることができる。
(2) 赴任期間(第91条)
赴任期間とは、一般的には、人事異動が発令された日から配置換え先(赴任地)に着任するまでの期間をいう。
「特に指示ある場合」とは、人事異動発令の際示される赴任期間をいい、この場合には職員は指示された日までに着任しなければならない(又は指示された日までに着任すればよい)が、特に赴任期間が示されない場合には、特別の理由がない限り7日以内に着任しなければならない。
(ア) 職員は、
① 連絡を受けて2時間以内に応招できない場所に外出するとき
② 携帯電話等通信機器の不感地域など通信を確保できない場所に外出するとき
③ 外泊するとき
は、別に定める手続により外出又は外泊する旨を所属長に届け出るものとする。
(イ) 職員は、
(ウ) (ア)、(イ)以外のとき(連絡を受けて2時間以内に応招できる場所に外出するとき)は、特に届出等を必要としない。ただし、第94条第1項の規定に基づき、連絡手段等を確保し、常に有事即応の態勢を保持しておかねばならない。
イ 第94条の規定の趣旨は、職員は、警察業務の特殊性からくる非常招集等に備え、勤務時間外に外出し、又は外泊するときは「有事即応の態勢を保持」しておかねばならないとするものである。「有事即応の態勢を保持する」とは、非常招集等があった際に職員が直ちに連絡をとることができ、指示を受けられる態勢にあることを意味しており、近年の携帯電話等通信機器の普及や通話エリアの拡大、道路網や交通機関の整備等、市民生活における社会基盤が発展した現状に加えて、職員の心理的負担の軽減及びワークライフバランスの推進が求められている現状を踏まえ、有事即応の態勢が保持されている範囲内において届出内容、届出方法等を緩和しようとするものである。
ウ 外出・外泊の届出にあっては、非常招集体制の確保を念頭に、他の職員との外出・外泊の届出等を互いに配慮し、可能な限り事前に上司や同僚等と外出等の予定を共有し調整すること。
エ 職員は、外出等する際は、携帯電話等通信機器を携帯し、又は家族等に外出先を連絡したり、所属の宿日直責任者等に連絡しておくこと等により、常に指示を受けられる態勢を保持するよう心がけること。
オ 所属長は、閉庁時間帯における必要最小限の体制の確保に努めるとともに、職員の外出・外泊の状況を組織内で共有させ、第66条に定める「非常招集命令」を発する際には、当該命令の内容に応じて、非常招集要員のほか、外出等の届出をしていない職員を優先的に招集するものとする。
また、非常招集命令に当たっては、特定の職員のみを招集することがないよう公平性に配意するとともに、非常招集要員は必要最小限の指定に努めること。
カ 「連絡を受けて2時間以内に応招できない場所」の2時間以内とは、在来線又は一般道路を利用して連絡を受けた場所から指定された招集場所に到着するまでに要する時間をいい、公共交通機関の乗継ぎ時間、飲酒した場合の移動に要する時間、着替えや装備品着装の時間等を含むものとする。
ク 第95条第2項で、当該海外旅行承認願の写しの送付を原則2週間前までとしているが、所属長は、職員の海外旅行が急きょ決定したときなど期限までに送付することができない場合は、職員からの申請受理時に当該旅行の概要を警務課長に連絡するとともに、承認後は、速やかに当該海外旅行承認願の写しを送付すること。
7 身上諸願届等
(1) 身上異動届(第96条)
ア 身上異動届に係る事項のうち、第4号の「改氏名」とは、婚姻又は離婚による改氏を含まず、家庭裁判所の許可を得て届出をした氏又は名の変更をいう。
第5号の「扶養親族」とは、「配偶者、父母、子、孫、祖父母、兄弟姉妹等で他に生計の道がなく主として職員の扶養を受けている者」をいう。
第6号については、警察部内で取得した資格・免許等については、別途人事係において報告を求め、把握しているところであるので、本号を「学歴、資格・免許等で警察部内以外で取得したもの」として、届出を要する事項をより明確にした。
イ 身上異動届(様式第18号)は、必要書類を添付の上、該当する項目の□をチェックし、必要事項を記載して所属長に提出すること。
所属長は、保管している当該職員の人事記録その他の関係書類を整理した後、速やかに身上異動届を警務教養課長を経由して本部長に提出しなければならない。
(2) 退職願(第99条)
所属長は、職員が自己都合により退職を願い出た場合には、本人等から退職理由、家庭の事情、退職後の生活設計、家族の同意の有無等についての聴取その他の必要な調査を確実に行うこととした。
(3) 死亡報告(第100条)
職員が死亡した場合には、従来、添付書類として遺族から死亡届を提出させていたが、これを廃止するとともに、今回、添付書類の種類を具体的に記載した。
所属長は、職員が死亡した場合には、職員死亡報告書(様式第24号)所定の事項を口頭、電話、ファックス等により、警務課長(人事係)まで速報しなければならない。正式な書類の送付は添付書類が整った時点で速やかに行えばよい。
第7 指導監督
1 指導監督の法体系
警察法は、第16条において警察庁長官の都道府県警察に対する指揮監督権を、同法第48条において本部長の所属の職員に対する指揮監督権をそれぞれ規定しているほか、同法第53条は、警察署長が本部長の指揮監督を受けながら所属の職員を指揮監督することを規定している。また、同法第63条は、警察官はすべて上官の指揮監督を受け、警察の事務を執行するものであることを明確に規定している。
2 指導監督責任(第102条)
指導監督は、組織系統に従い、直近下位にある部下に対して完全に果たすことを基本とするが、同階級、同等又は相当の職の場合であっても、その職制により上司、部下の関係が生ずるので、運用上誤りのないようにしなければならない。例えば、係長たる警部補は専門官たる警部補に対して指揮監督権を有し、係長は主査に対する指揮監督権を有する。
なお、指導監督は、組織の系統に従い直近下位にある部下に対して果たすことを基本とするものであっても、このことは、幹部の他の所属又は同一所属内における他の課(係)の職員に対する指導監督権を排除する趣旨ではないので、幹部は、警察一体の原則に基づき、指導監督が組織において多角的かつ重層的になされるよう、職員の善行、非行等があると認めたときは適切に指導監督を行わなければならない。
そして、当該職員が他の所属の職員である場合には、第107条第3項の規定に基づき、所属長が当該職員の所属長の善行、非行等の事実及び指導監督の状況を通知するとともに、当該職員が同一所属における他の課(係)の職員であった場合には、当該職員の直近の上司に善行、非行等の事実及び指導監督の状況を連絡することとなる。
3 指導監督上の留意事項(第103条)
指導監督の要諦は、幹部自らが円満な人格と確かな識見を宿し、部下の能力の開発と人間的資質の向上を図ることにある。このためには、上司は、部下との意思の疎通を図りつつ、厳正な規律の中にも温情と理解を持って部下に接しなければならない。
また、第3号にあるとおり、部下の個性と人格を尊重し、個別的、具体的な指導を行うことが大切であり、所属長は、警察一体の原則を強調するあまり、職員個々の能力を組織に埋没させるようなことがあってはならず、組織体の中においてこそ職員個々の自主性、創造性、能力を最大限引き出すよう努めなければならない。
本条においては、幹部が部下職員を指導監督するに当たっての基本的な留意事項を6項目示したが、指導監督はこれらの点に留意すればよいというものではなく、要は幹部が自らの個性と識見に基づき、部下のために良かれと思うことを自信と愛情を持って行うことである。
4 善行、非行等の措置(第107条)
本条は、幹部及び所属長が、部下職員の善行、非行等を認知した際の措置要領等について規定したものである。
部下職員の功労若しくは善行についてはこれを積極的に賞揚し、職務上の義務違反若しくは非行があった場合には時期を失せずこれを正すことが基本である。また、規律違反については芽のうちにこれを摘み、非を悟らせ、職員を正しく指導育成することを忘れてはならない。
5 事務監査(第108条)
(1) 旧訓令においては、署長に対して、1年に1回以上署内のすべての係並びに交番、駐在所及び署所在地の各勤務員の執務状況について事務監査を行うことを義務付けていたが、県本部主宰の業務監察等の補完措置があるところから、義務規定から訓示規定に改めるとともに、署及び執行隊の実情に応じて弾力的に運用できるようにした。ただし、このことは所属職員の業務処理の適否及び業務処理についての改善点を把握する義務を免除するものではないので誤りのないようにすること。
(2) 所属長は、事務監査を実施するに当たっては、事務監査の重点事項その他必要な細部的事項を定め、所属職員に徹底を図って、実効があがるよう努めなければならない。
第8 会議
1 県本部の会議
(1) 会議の種類等(第110条)
ア 県本部の会議は、本部長が招集する定例的な会議と部又は課における会議の2種類に大別されるが、本部長が招集する定例的な会議において、必要がある場合には、これらの会議を統合し、同一の機会に開催できることとした。
イ 本部長が招集する定例的な会議の出席者については、訓令第110条第1項において定められているところであるが、人事上の配慮等から、訓令上の出席者以外の者を一定期間継続して出席させる場合があるので、当該出席者については、別途通達することとする。
(2) 会議事項等(第111条)
県本部における会議の実際の運用に合わせて、それぞれの会議の開催基準及び会議事項を明確にし、特に、部長会議、部課長会議、統括参事官会議、次席会議の各会議事項を整理することにより、それぞれの会議の位置付けと関連性を明確にした。
(3) 会議開催の提案(第113条)
本条は、本部長が招集する定例的な会議に議題を提出するときの基本的な手続等について規定したものであるが、併せて、臨時に会議の開催を求める場合の手続等についても規定する趣旨である。
すなわち、本部長が招集する定例的な会議の開催基準は第111条に規定するとおりであり、議題は、原則として、当該開催日にあたる日に合わせて提出すべきであるが、会議日が過ぎてしまい、又は基準による開催日が来るのを待っていては事務処理に支障を生ずるおそれがあるような場合に、例外として、会議の庶務担当者を通じて会議の主宰者に対して議題を説明することにより、会議の開催を求めることができるようにしたものである。
(4) 部又は課における会議(第114条)
県本部の部又は課においては、各部課の特性、業務上の必要等に応じて、これまで様々な会議が継続的に、しかも歴史性を持って開催されていたところであるが、会議の開催根拠が明らかでなく、特に重要な会議については署と同様訓令において規定してほしいとの要望が強かったことから、今回、運用の実際に合わせて、部又は課における様々な会議の種類を例示することにより会議開催の根拠を規定したものである。
このうち、部会は各部において、補佐会議(教官会議)は各課(警察学校)においてそれぞれ開催されている会議であり、分駐隊長会議、班長会議、幹部会議及び全体会議は、各執行隊において開催されている会議である。
なお、各部課において、例示以外の会議を開催できることはもちろんである。
署の会議については、課(係)長会議、幹部会議、警察署会議の3種類に区分し、会議の開催基準、出席者の範囲等を規定した。
(1) 課(係)長会議
課(係)長会議の出席者については、「課(係)長以上及び署長の指定する職員」とし、例えば庶務課(係)長が配置されていない署であっても、署長が庶務係の主査以下の職員を課(係)長会議に出席させようとする場合には、「署長の指定する職員」として出席できるようにその根拠を明らかにした。
課(係)長会議を開催した場合には、第115条に準じてその内容を記録しておかなければならない。
なお、議事録は、署の実情に応じて、適宜様式を定めることができる。
(2) 幹部会議
幹部会議については、出席範囲を「幹部のうち署長の指定する職員」としたが、これは、階級構成是正に伴い、幹部職員の定数が増加することから、署の実情に応じて、巡査部長、専門官たる警部補、班長たる警部補、係長たる警部補のいずれを基準としても運用できるよう、出席者の範囲に幅を持たせた趣旨である。
幹部会議の運用に当たっては、議題、審議内容等の性質上出席者を制限する必要があるので、あらかじめ固定的に出席範囲を規定しておくことも必要なことではあるが、議題によっては、出席範囲を緩和し、又は逆に制限するなどして、自由かっ達な議論がなされ、実際的効果等が上がるように配意することも必要である。このため、会議に出席する指定職員の範囲については、適宜弾力的に運用しなければならない。
幹部会議を開催した場合に、その内容を記録しておくことについては、前号と同様である。
(3) 警察署会議
警察署会議については、随時、開催できるものとし、その出席者も署長が指定することとしている。これは、会議のために全職員を集合させることによって、窓口業務に支障を来すほか、事件・事故に対する初動措置の遅れや空き交番・駐在所の増加、街頭活動要員の削減等により、管内の治安維持に影響を及ぼすおそれがあることから、署長の判断で柔軟に開催できるようにしたものである。ただし、会議内容を記録しておくものとし、警察署会議に出席しなかった職員に対しては、必要に応じて会議内容を示達しなければならない。
3 方部会議等
方部会議には、本部長が招集するものとセンター署長が方部を構成する署の署長と協議して行うものとの2種類があるが、そのほかに方部においては、これまで警備訓練、術科大会、研修会等の様々な行事が開催されていた実情があることから、第119条において、センター署の署長は方部を構成する署の署長と協議して方部における行事も開催できることとした。
(2) 隣接署との会議(第120条)
隣接署との会議は、これまでも開かれていたところであるが、今後単なる事務連絡に限らず、事件捜査、警備実施、教育訓練等さまざまな警察業務の場面において隣接署との会議又は行事を開催する場面が多くなると考えられることから、本条において、その開催の根拠を規定した。
4 朝礼等(第121条)
(1) 朝礼は、訓示、指示、連絡、手配、教育訓練等を行う場合に最も簡便かつ有効な手段であり、各所属において全体会議に代わる重要な機能を果たしているものであるが、旧訓令においては、その性格、根拠等を規定していなかったことから、今回、本条を設け、その根拠等を明確にしたものである。ただし、その方法、内容等については、所属の実情によって異なるので、朝礼の方法及び記録簿冊の様式については特に定めていない。
勤務制度の改正により、勤務制の種類が多くなり、個々の職員の勤務時間も一定しなくなってきているので、朝礼については、所属の実情に応じ、適宜昼礼又は夕礼として行うことも必要である。
(2) 朝礼等の欠席者に対しては、各級幹部が創意工夫を凝らし、各係ごとに示達責任者を指定したり、朝礼簿等を活用するなどして、朝礼等の内容が職員の末端に至るまで迅速確実に伝達されるようしなければならない。
5 その他の会議
(1) 県境会議(第122条)
本条は、隣接県との署レベル及び県本部レベルの連絡会議の開催について規定したものである。
「別に定めるところ」とは、隣接する他県警察署との協力体制の確保について(平成2年6月28日例規(務等)第19号)をいう。すでに同通達により、該当署にあっては県境会議を適切に開催しているところであるが、ボーダーレス時代を迎え、今後、ますます隣接県警察署等との協力体制の確保が重要となってくるところがら、訓令において、該当署長の開催義務を規定したものである。
(2) 県間会議・行事(第123条)
第122条は、隣接県との意思の疎通、協力体制の確立等の重要性に鑑み、特に1条を設けて規定したものであるが、本条は、隣接県に限らず広く他の都道府県警察との連絡会議の開催、及び隣接県を含めた他の都道府県警察との各種競技大会、交歓会等の様々な行事の開催の根拠について規定したものである。
他の都道府県警察との相互協力については警察法第59条において規定されているところであるが、運用の実をなすものは常日頃の担当者との意思の疎通、人間関係の確立である。今後、福島空港の開港等により、人、物、経済、文化等の交流がますます活発化し、警察事象が地理的なボーダーレス化を深めることは確実であることから、隣接県及び管区単位を超えた関係都道府県警察との県間会議及び県間行事の開催の重要性は増す一方である。本条は、こうした背景を踏まえて規定されているものである。
(3) 広聴会、懇談会等の開催(第124条)
広聴会、懇談会、審議会等、県民の要望・意見等を聞いたり、政策の立案等に関して部外有識者等の意見を聞く会の開催については、他の行政機関特に知事部局においては広く行われている手法であるが、警察行政においては、署単位の民警懇談会等を除いて必ずしも活発には開催されていない。
しかしながら、多様化する警察行政において、様々な意見、知識等を有する部外有識者等の意見を聞くことは、警察業務を様々な角度から分析し、幅を持たせ、また、業務を活性化させる上で極めて有用な手法である。このため、今後は、県本部及び署を問わず、警務、生活安全、地域、刑事警察等の各分野で、組織的かつ継続的に懇談会等を開催し、謙虚に耳を傾け、政策に反映させ、多角的に警察行政を推進することが重要である。
第9 雑則
県警察の沿革誌は、県警察の組織、制度等の変遷、主要業務の推進状況等を記録するものであり、県警察の歴史記録ともいえる重要なものである。
このため、県警察の沿革誌に関する事務を所掌する主管課を教養課とし、沿革誌に記録すべき事項を整理した。また、教養課以外の各課長に対しては、沿革誌の記録に必要な資料の送付を義務付けた。各課長は、本条各号列記の項目に従い、沿革誌の記録に必要な資料を毎年1月末日までに送付しなければならない。
なお、県警察の沿革誌は、実際上警察年鑑の作成をもってこれに替えられているため、第125条第3項において、県警察の沿革誌は警察年鑑の作成をもってこれに替えることができることを明らかにした。この場合、教養課においては、警察年鑑登載項目と前条各号列記の項目との整合性を図り、県警察の沿革誌として記録すべき事項に遺漏がないよう十分留意しなければならない。
2 課の沿革誌(第127条)
これまで、所属の沿革誌については、署の沿革誌はその備付けを義務付けていたところであるが、課の沿革誌については何らの規定もなかったため、各課の自由な判断に委ねていたところである。しかしながら、教養課で作成する県警察の沿革誌のみでは課の組織体制、所掌事務、勤務職員の変遷等が分からず、過去の判断、経緯等を調べる際少なからず業務処理に不便を生じていた経緯があるので、今回、課においても沿革誌を備え付け、県警察の沿革誌の記録事項に準じて必要な事項を記録しておくことを義務付けた。
本規定は新しい規定であり、これまで備え付けていなかった課においては、課の沿革を調査する際多少の労苦を伴うものと思われるので、備付けは適宜の期間内において、また、判明する時期から記録すれば足りるものとする。
(1) 署の沿革誌は、署の歴史、変遷等を系統的に記録し、保存、活用するものである。
(2) 署の管内要覧は、署の運営上必要な基礎資料であるので、常に最新の状態にしておかなければならない。旧訓令で定めていた項目中、署の沿革誌と重複する項目についてはこれを整理し、第1号において管内地図に表示すべき項目を明確にした。
(3) 署の沿革誌と管内要覧との関係であるが、前者は、署の歴史、変遷等を時系列順に記録保存し、事後必要あるとき活用するものであるのに対し、後者は、常に最新のものとして整備しておき、その時々の署の運営に活用する性質の資料である。換言すれば、前者は襲用簿冊であり、後者は常用簿冊であるといえる。
4 削除
5 削除
6 所属の細則(第140条)
(1) 所属長は、勤務制度訓令第24条第2項の規定により宿日直の勤務時間割を定めることができる。また、訓令第14条第1項の規定により様々な業務用簿冊等を備え付けることができるなど、勤務制度訓令、処務訓令等に基づく多様な権限を有しているが、本条において、個別の事務処理に関して所属長の権限を規定していない場合であっても、所属長が所属の事務処理に関して必要があるときは、所属の実情に応じて所属の細則を定めることができることを明らかにした。
所属長は、所属の細則を定めるときは、あらかじめ案を添えて本部長の承認を受けなければならない。ただし、公安委員会規則、訓令の制定、改廃等により細則中当然に改正すべき事項で改正を行うに当たって裁量の余地のないもの、例えば、各種の固有名詞(係、簿冊の名称等)の改正等に伴う定型的な改廃措置の場合又は署長の裁量に委ねられているもの、例えば、課(係)長会議、幹部会議の出席者の範囲の指定、火気取扱責任者の指定等の場合は、本部長の承認を経ずに改正施行することができる。
(2) 所属の細則は、一般的には所属長内規の形で制定されることが多いと思われるが、細則の名称は、○○警察署処務規程等適宜の名称を付けることができる。
第10 地方警務官に対する適用
第11 訓令運用上の留意点
1 訓令運用の基本方針
訓令は、第1の4の「他の規程との関係」及び第2の3の「根拠」において説明しているとおり、県警察における処務と服務の規準及びその根拠となるものであり、実際、様々な業務を運営する際のバックボーンとして、現実の業務の運用、事務処理の方針等を立てる際の道標となるものである。このため、事務の効率的、円滑な推進上極めて有用な規程ではあるが、万能の規程ではなく、各事務の具体的、実際的、細部的な事項にまで行き届いて規定しているものではない。
2 県本部と署の一体的運用
3 指導教養の徹底
訓令は、系統的に簡潔に構成されているが、条文の数が多く、その内容も多岐に渡り、相互に密接に関連しているほか、また、旧規定を相当の範囲において廃止又は改正しているので、全体を直ちに理解し、運用することは困難を伴うものと思われる。
このため、所属長は、本通達及び関連する規程に基づき所属の職員に対する指導教養を徹底するとともに、組織の各段階において事務処理が適正になされ、厳正な服務規律が保持されるよう、特に重要と思われる事項については、当分の間、繰り返し処務及び服務の状況を点検し、組織の末端に至るまでその浸透を図らなければならない。
第12 関係通達の廃止
福島県警察の処務に関する訓令の制定について(昭和49年8月27日例規(務)第31号)は、廃止する。
別記様式第1号 削除
別記様式第2号 削除