○地域住民等に対する防犯情報の提供の推進について(依命通達)

令和6年5月14日

達(生企、刑総)第312号

[原議保存期間 5年(令和12年3月31日まで)]

[有効期間 令和12年3月31日まで]

みだしのことについては、次のとおり実施するので、適時適切な情報提供に努められたい。

1 趣旨

「効果的な犯罪防止に向けた取組の推進について」(令和6年4月26日付け達(生企)第290号)により、自主防犯活動を促すための重点的な取組として、地域住民等に対する防犯情報の提供が指示されたところであるが、その留意点を示すことにより、適時適切な情報提供を図るものである。

2 情報提供の留意事項

(1) 情報提供の在り方の基本

防犯情報の提供は、受け手に情報を到達させ、犯罪防止に向けた取組の必要性について理解を得るとともに、その情報に接したことにより自主的な防犯行動を促すことを目的とするものである。

そのため、受け手の立場に立った情報提供を基本とし、警察から発信した情報が地域住民等に対してどのように到達し、自主的な防犯行動が期待できるかという観点を持って、訴求力のある効果的な情報提供を行う必要がある。

(2) 防犯情報の類型に応じた適時適切な情報提供

警察から地域住民等に提供する防犯情報は、次の類型が考えられるが、それぞれに適した媒体、提供の時期、提供する内容等が異なるため、各類型に応じて適時適切な情報提供を行うことが重要である。

ア 個別の犯罪等の発生状況に関する情報提供

個別の犯罪等の発生に関する情報は、その時点で判明している事案の概要、凶器の有無、被害の状況、犯行の手口等防犯対策を講じる上で参考となる具体的な内容とすること。この場合において、防犯対策に関する情報は、画一的なものではなく、当該事案に応じて、受け手が比較的容易に防犯行動をとることができるよう配意した内容を提供すること。

特に、子供を対象とした事案、同一手口や同種対象の窃盗、詐欺事案等が発生したときは、その対象に応じた最も効果的な媒体により、迅速・確実に地域住民等に情報提供し、防犯対策を講ずるよう促すこと。

また、個別の犯罪等の発生に関する情報提供は、地域住民等に自主的な防犯行動を促す反面、不安感を与えることにもつながり得ることから、当該情報提供に係る犯罪の被疑者を検挙し、又は事案が解決したときは、速やかに検挙・解決に関する情報を提供するなど、安心感の付与にも努めること。

イ 凶悪犯等逃走事案の発生に伴う緊急の情報提供

上記(1)のうち、被疑者が凶器を持ったまま逃走しているなど、連続して被害が発生するおそれのある事案、被留置者や受刑者の逃走事案等地域住民等の生命・身体に危害が加えられる危険性・切迫性が高いと認められる事案(以下「凶悪犯等逃走事案」という。)を認知したときは、曜日・時間を問わず可及的速やかに、事案の概要、凶器の有無、被疑者の特徴・逃走手段、具体的な防犯対策等の情報を地域住民等に提供し、自主的な防犯行動を促すこと。

なお、直ちに事件性が認められない事案であっても、その事案の背景等により、緊急の情報提供が必要となる場合があることに留意すること。

ウ 犯罪情勢に関する情報提供

犯罪の発生件数等の統計データ、犯罪発生マップ等犯罪情勢に関する情報については、地域住民等が最新の傾向や状況を把握できるよう定期的に更新し、自主防犯活動等の促進を図ること。

(3) 情報提供の体制整備等

ア 関係機関との連携

地域住民等へ防犯情報が幅広く確実に到達するよう、特に自治体、教育委員会、学校等の関係機関とは、平素から連携を密にし連絡網を整備するなど伝達の手段・方法等を確認するとともに、これらの関係機関が有するメール配信サービス等による防犯情報の二次的な配信についても協力を要請しておくこと。

イ 関係部門間の連携

適時適切な情報提供を行うためには、防犯担当部門と捜査担当部門、広報担当部門等及び県本部と署の連携が重要であることから、特に凶悪犯等逃走事案発生時を念頭に、同事案発生時の情報提供に係る体制表を作成するなど、関係部門間における具体的な役割分担について、実情に応じてあらかじめ定めておくこと。

ウ 凶悪犯等逃走事案発生時の情報提供

(ア) 迅速な判断

捜査担当部門等は、認知した事案が凶悪犯等逃走事案に該当すると認められる場合は、事案の危険性・切迫性等を勘案の上、提供すべき情報の内容等を防犯担当部門へ速やかに共有し、防犯担当部門は、当該事案に応じた具体的な防犯対策、効果的な情報提供の媒体等を迅速に判断すること。

(イ) 速やかな情報提供

防犯担当部門は、必要に応じ情報提供に係る関係部門間の所要の調整を図り、速やかに情報提供の手続を執るものとする。

なお、児童・生徒の安全のため、休校、集団登下校、通学路警戒等の措置を要する場合に備え、あらかじめ夜間・休日でも対応できる自治体、学校、教育委員会等の連絡窓口を設定しておくこと。

(ウ) 組織的対応の確保

凶悪犯等逃走事案発生時においては、署の担当者は主として事案対応に当たることとなるため、必要に応じて、県本部からの情報提供、県本部の担当者による署の支援等によって、県本部が積極的に関与し、速やかな情報提供に支障が生じないよう留意すること。

(4) 情報提供に関する留意事項

ア 媒体の効果的な活用

情報提供には、ウェブサイト、電子メール、ソーシャルメディア、防災行政無線等のツールを利用するもの、防犯ネットワーク、防犯診断、防犯訓練等の地域住民等に直接接して行うもの、広報誌、新聞折り込みチラシ等の配布によるもの、テレビ、ラジオ等のマスメディアの利用によるものなど多種多様な媒体が活用可能なところ、防犯情報の種別に応じて、それぞれの媒体の特性を活かした効果的な活用を図ること。

特に、電子メール、ソーシャルメディア等(以下「電子メール等」という。)による情報提供には、地域住民等に直接、即時に必要な情報を伝え、防犯行動・活動を促し、もって犯罪被害の的確な防止を図る意義があるところ、凶悪犯等逃走事案の発生に伴い緊急の必要がある場合には、電子メール等による情報提供を迅速・的確に行うこと。

なお、自治体の防災行政無線は、主に防災情報を提供するために整備されたものであるが、防犯活動のためにこれを活用することについては、総務省から、「無線局免許人である市町村が、免許状記載の通信事項「防災行政事務に関する事項」のうち、地方行政に関する業務として「盗難・防犯の警戒」等の情報提供をするために防災行政無線を運用することは差し支えない」旨の回答を得ていることから、各自治体に対しては、警察が必要と判断する防犯情報の提供に常時利用できる取扱いとし、曜日・時間を問わず緊急の対応ができるよう自治体窓口の一本化を図るなど積極的な働き掛けを行うこと。

イ 情報提供の地理的な範囲

防犯情報を提供する地理的な範囲については、都道府県や警察署の管轄区域を単位とするほか、市区町村や学校区など地域住民等がより身近に感じる地域を単位とするよう努めること。

なお、凶悪犯等逃走事案、特異な手口による事案、連続発生している事案等のうち、他の都道府県警察の管轄地域への波及が予測されるもので、他の都道府県警察から地域住民等への情報提供を促す必要があるときは、当該都道府県警察に対し、当該事案の情報提供の必要性の判断に資する具体的な情報を確実に伝達すること。

また、平素から他の都道府県警察の連絡窓口を確認しておくなど、情報の伝達に滞りが生じないよう留意すること。

ウ 受け手に応じた配慮

防犯情報は、適切なタイミングで提供され受け手に理解しやすいものであることが重要であるため、単なる犯罪情勢に関する統計データだけでなく、発生状況等について多角的な分析を盛り込むよう努めるほか、提供する地域や受け手に応じて、課題となる犯罪、防犯上留意すべき事項等をイラストや写真を効果的に使用し、ポイントを絞った構成にするなど、訴求力のある内容となるよう努めること。

また、防犯ボランティア団体等に対しては、当該団体の主たる活動地域の犯罪情勢等の防犯情報を定期的に提供するとともに、防犯パトロール等の参考となるような具体的な情報を提供し、その活動の支援に努めること。

エ 個人のプライバシーの保護等

防犯情報には、個別の犯罪等の発生に関する具体的な内容を含み得ることから、被害者等事件関係者の個人のプライバシーの保護に細心の注意を払うこと。

特に、侵入犯罪、性犯罪、認知件数が少ない地域の犯罪等について、地理情報システム(GIS:Geographic Information Systems)等の技術を用いて発生状況等を電子地図に表示して提供する際には、その方法や態様によっては、被害者等に不測の不利益を及ぼすことにもつながりかねないことから、個別の事件の特定又は推認が困難な表示にするなど、被害者等に配慮した方法とすること。

また、犯罪発生状況等の提供により捜査活動、防犯活動等の警察活動に支障が生じることのないよう、関係部門と十分な調整を図り、捜査上の秘密に配意することはもとより、詳細な手口や特定の被疑者の犯行であることを推認できる情報を必要以上に提供しないこと。

オ 情報セキュリティ上の留意点

地域住民等に対する防犯情報の提供に当たっては、福島県警察情報セキュリティに関する訓令(平成30年県本部訓令第1号)等警察情報セキュリティポリシーに定められた事項を遵守すること。

特に、ウェブサイト、電子メール等を利用した情報提供については、情報管理部門と連携し、ウェブサイト上のデータの改ざん等不正な操作を防止するための措置、電子メールの誤送信を防止するための措置及びなりすまし対策のための措置を講じておくこと。

なお、他の機関等のウェブサイト等を用いて犯罪発生状況などの情報提供を行う場合には、個別の犯罪を特定できる情報を当該機関等に提供しないこと。

3 その他

(1) 凶悪犯等逃走事案に係る情報提供は、その内容等を生活安全企画課(夜間・休日は、県本部総合当直)へ即報するほか、情報提供に関連する社会的反響の大きな特異事項についても適時適切な報告を行うこと。

(2) パソコン端末等の操作を要する情報提供の媒体については、常時、速やかに情報を発信できるよう、複数の担当者に必要なアクセス権を付与した上、定期的に教養を行うなど操作要領を習熟させておくこと。

地域住民等に対する防犯情報の提供の推進について(依命通達)

令和6年5月14日 達(生企、刑総)第312号

(令和6年5月14日施行)

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