○ペダル付き電動バイクの運転に関する解釈及び留意事項について(依命通達)
令和6年11月7日
達(交企)第500号
[原議保存期間 10年(令和17年3月31日まで)]
[有効期間 令和17年3月31日まで]
みだしのことについては、次のとおりであるので適正な取扱いに努められたい。
記
道路交通法の一部を改正する法律(令和6年法律第34号)等の一部の施行に当たり、その趣旨、内容及び留意事項については、道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う交通警察の運営について(令和6年10月24日付け達(交企、交指)第484号)において示したところであるが、ペダル付き電動バイク(従来ペダル付き原動機付自転車と呼称してきたものをいう。以下同じ。)の運転に関する解釈及び留意事項は別紙のとおりである。
別紙
ペダル付き電動バイクの運転に関する解釈及び留意事項
1 ペダル付き電動バイクについて
道路交通法の一部を改正する法律(令和6年法律第34号)による改正後の道路交通法(昭和35年法律第105号。以下単に「法」という。)第2条第1項第17号は、ペダル付き電動バイクについて、「原動機に加えてペダルその他の人の力により走行させることができる装置を備えている自動車又は原動機付自転車」と規定している。
このペダル付き電動バイクには、専ら原動機を用いて走行させることができるもののほか、人の力を補うため原動機を用いて走行させるものであって道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号)第1条の3で定める基準を満たさないものがあり、いずれも自転車とは異なる性能を有している。
なお、「ペダルその他の人の力により走行させることができる装置」としては、ペダル(回転させることにより動力を車輪に伝達するものをいう。)のほか、足踏み装置やハンド・クランク(以下「ペダル等」と総称する。)が想定される。
2 車両区分について
(1) 法上の車両区分
「原動機に加えてペダルその他の人の力により走行させることができる装置を備えている自動車又は原動機付自転車」に該当し、ペダル付き電動バイクに当たる限り、当該車両は、その用い方によって、法第2条第1項第11号の2に規定する自転車(人の力を補うため原動機を用いるものであって内閣府令で定める基準に該当するものを含む。以下同じ。)に該当することはない。また、原動機用蓄電池の蓄電不足又は取外しにより、一時的に原動機を用いて走行させることができない場合であっても、その構造として原動機を用いることができるものであることに変わりはないことから、自動車又は原動機付自転車に該当する。
また、構造上の最高速度が20キロメートル毎時を超えるペダル付き電動バイクについては、法第2条第1項第10号ロに規定する特定小型原動機付自転車には該当せず、法第2条第1項第9号に規定する自動車又は同項第10号イに規定する一般原動機付自転車に該当する。
ここにいう構造上の最高速度が20キロメートル毎時を超える場合には、専ら原動機のみを用いて走行させる場合に構造上の最高速度が20キロメートル毎時以下である場合であっても、ペダル等を用いて走行させる場合に構造上の最高速度が20キロメートル毎時を超える場合が含まれる。
(2) 自動車運転死傷処罰法上の車両区分
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成25年法律第86号。以下「自動車運転死傷処罰法」という。)第1条の規定により、自動車運転死傷処罰法上の自動車とは、法上の自動車又は原動機付自転車をいう。したがって、ペダル付き電動バイクは、自動車運転死傷処罰法上の自動車に該当し、これは、原動機を用いず、ペダル等のみを用いて走行させている場合も同様である。
3 運転該当性について
(1) 法上の運転該当性について
法第2条第1項第17号の規定により、運転とは、道路において、車両等をその本来の用い方に従って用いることをいう。
これまでも、原動機に加えてペダル等を備えている自動車又は原動機付自転車にあってはペダル等のみを用いて走行させる場合についても自動車又は原動機付自転車の運転に該当するものであり、道路交通法の一部を改正する法律(令和6年法律第34号)により、当該場合が運転に該当することが規定され(法第2条第1項第17号括弧書き)、ペダル付き電動バイクを、原動機のみを用いて走行させる行為並びに原動機及びペダル等を併用して走行させる行為のみならず、原動機を用いずに、ペダル等のみを用いて走行させる行為についても、法上、自動車又は原動機付自転車の運転に該当することが明確化された。
また、原動機又はペダル等を用いてペダル付き電動バイクを走行させ、その後、一時的に原動機又はペダル等を用いずに当該車両を惰性で走行させる行為については、原動機又はペダル等を用いて走行させる行為のみならず、その後の惰性で走行させる行為(以下「ペダル等のみ走行」という。)についても、法上、自動車又は原動機付自転車の運転に当たる。同様に、下り坂等において、一時的に原動機又はペダル等を用いずにペダル付き電動バイクを惰性で走行させる行為も自動車又は原動機付自転車の運転に当たる。
(2) 自動車運転死傷処罰法上の運転該当性について
法とは異なり、自動車運転死傷処罰法には運転の定義は置かれていないが、自動車運転死傷処罰法上の「運転」は、「自動車の運転者が自動車の各種装置を操作しそのコントロール下において自動車を動かす行為」と解されている。
したがって、ペダル付き電動バイクの原動機を用いずに、ペダル等のみを用いて走行させる行為や下り坂等においてペダル等を用いずに惰性で走行させる行為についても、「各種装置を操作し、そのコントロール下において自動車を動かす行為」といえる場合には、自動車運転死傷処罰法上の「運転」に該当する。
しかし、ペダル等のみ走行についても、例えば、走行中に突然、ハンドル、ブレーキ等が故障したといった事情等を総合的に考慮し、当該走行が、「各種装置を操作し、そのコントロール下において自動車を動かす行為」といえないような例外的な場合には、自動車運転死傷処罰法上の「運転」に該当しないこととなる。