○高齢者講習の運用に関する細目について(依命通達)
令和7年12月3日
達(運免)第511号
[原議保存期間 5年(令和13年3月31日まで)]
[有効期間 令和13年3月31日まで]
みだしのことについて、次のとおり定め、令和7年12月3日から施行し、令和7年3月24日から適用することとしたので、事務処理上誤りのないようにされたい。
記
第1 趣旨
この通達は、「高齢者講習の運用について」(令和7年12月3日付け達(運免)第510号。以下「運用通達」という。)に定めるもののほか、その運用に関する細目について必要な事項を定めるものとする。
第2 基本的留意事項
1 高齢者講習指導員の要件の運用基準
運用通達第2の1の「高齢者講習指導員の要件」の運用基準は、次のとおりとする。
(1) 第2の1(4)ア関係
ア (ア)の「運転適性指導に関する業務」としては、運転適性指導以外に次の業務が該当する。
(ア) 「指定自動車教習所の教習の標準」における学科教習(第2段階)の「適性検査結果に基づく行動分析」の教習
(イ) 初心運転者講習における運転適性検査
(ウ) 運転免許試験場の運転適性検査所等における自動車等の運転に必要な適性に関する調査・指導
(エ) 停止処分者講習、高齢者講習又は違反者講習に係る講習指導員の業務
イ (イ)の「福島県公安委員会(以下「公安委員会」という。)が運転適性指導に関する業務に関し、(ア)に掲げる者と同等以上の技能、知識及び経験を有すると認める者」には、次の者が該当する。
(ア) 取消処分者講習指導員専科を修了し、取消処分者講習の講習指導員としての経験のある者
(イ) 中堅運転適性検査指導者専科(平成12年度まで実施していた「新任運転適性検査指導者専科」又は「運転適性専門官専科」を含む。)を修了し、運転適性指導に関する業務に従事した経験のある者
(ウ) 自動車安全運転センター(以下「センター」という。)が実施する取消処分者講習指導員研修、取消処分者講習指導員(警察)研修、運転適性講習指導員研修、違反者・停止処分者講習指導員研修又は運転技能検査員・高齢者講習指導員研修(令和3年度まで実施していた高齢者講習指導員研修を含む。以下同じ。)における研修指導員としての経験のある者
(エ) 運転適性検査・指導者資格者証の交付を受けた者で、運転適性指導に関する業務に従事した経験の期間が運用通達第2の1(4)ア(ア)の期間に満たない者のうち、福島県公安委員会(以下「公安委員会」という。)が行う所要の講習を受けたもの
(2) 第2の1(4)イ関係
ア ただし書の「受講者の利便性を図るため、高齢者講習を過疎地、辺地等を含む地域に存する場所において実施する必要がある場合」とは、当該地域に高齢者講習の実施場所が存在しないこととなった場合は受講者にとって更新時講習と比較して極めて不便となるため、当該地域に講習場所を設ける必要がある場合である。例えば、委託の基準に該当する委託先に係る講習場所が数十キロメートル離れている場合がこれに該当する。「過疎地」とは、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和3年法律第19号)第2条に定める「過疎地域」をいい、「辺地」とは、辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律(昭和37年法律第88号)第2条に定める「辺地」をいう。
イ (イ)の「公安委員会が普通自動車の運転に関する技能及び知識の指導に関し、(ア)に掲げる者と同等以上の技能、知識及び経験を有すると認める者」としては、次のような者が相当する。
(ア) 白バイ若しくは交通用パトカーの乗務員又は警ら用無線自動車の乗務員としての経験が相当期間ある者で適任なもの
(イ) 運転免許試験場等における技能試験官としての経験が相当期間ある者
(ウ) 取消処分者講習指導員専科を修了し、取消処分者講習の講習指導員としての経験のある者
(エ) センターが実施する取消処分者講習指導員研修、取消処分者講習指導員(警察)研修、運転適性講習指導員研修、違反者・停止処分者講習指導員研修又は運転技能検査員・高齢者講習指導員研修における研修指導員としての経験のある者
(3) 第2の1(5)ア関係
「公安委員会が行う高齢者講習における指導に必要な技能及び知識に関する審査に合格した者」としては、次の者が該当するものと考えられるが、高齢者講習指導員は国家公安委員会が指定する講習を終了した者であることを原則とすることから、審査には厳格に当たること。
ア 取消処分者講習指導員専科を修了し、取消処分者講習の講習指導員としての経験が相当期間ある者
イ センターが実施する取消処分者講習指導員研修、取消処分者講習指導員(警察)研修、運転適性講習指導員研修、違反者・停止処分者講習指導員研修又は運転技能検査員・高齢者講習指導員研修における研修指導員としての経験が相当期間ある者
2 高齢者講習指導員の資質の向上
高齢者講習指導員の研修会を随時開催して、知識、教育能力等の向上に努めること。
なお、新しく高齢者講習指導員となる者に対しては、事前に十分な教養を行い、高齢者講習に関する知識・技術を習得させること。
3 講習の委託
(1) 委託の方法
高齢者講習を委託する場合には、地方自治法その他関係法令及び福島県における諸規則によるとともに、公平性、透明性及び競争性の確保に留意すること。
(2) 委託契約の内容
高齢者講習を委託する場合は、あらかじめ高齢者講習の実施方法、講習科目等の具体的な講習実施基準(以下「委託講習の実施基準」という。)を定め、これに基づいて高齢者講習が行われるようにすること。
なお、おおむね次の事項を内容とする委託契約によって高齢者講習の委託を行い、十分な講習水準が維持され、高齢者講習が適正に行われるよう常時指導に当たること。
ア 高齢者講習は、公安委員会が定める委託講習の実施基準に従って行うこと。
イ 高齢者講習の実施に関しては、公安委員会の指導監督に従うこと。
ウ 高齢者講習指導員は、高齢者講習指導員の要件を満たす者をもって充てるとともに、高齢者講習指導員に対し、随時必要な研修を受けさせること。
エ 高齢者講習指導員について、運転免許の取消し又はその効力の停止の処分を受けたことその他高齢者講習指導員として適当でないと認められる事情が生じたときは、その者を解任し、又は必要な期間その者の業務を停止すること。
オ 個人情報の適正な取扱いを確保するため、秘密の保持、情報の管理等に必要な措置を講ずること。
カ 高齢者講習が委託講習の実施基準に従って行われないときその他委託契約の条項に著しい違反があったときは、公安委員会は直ちに高齢者講習の委託契約を解除することができること。
キ その他高齢者講習の適正な実施に必要な事項
(3) 講習委託費
講習委託費は、手数料収入を踏まえ、効果的な講習が行われるに足りる額を支出できるよう予算措置を講ずること。
4 講習実施上の留意事項
(1) 講義
講義においては、運用通達の別表に示す各講習細目の留意事項について重点的に指導するほか、加齢に伴う身体機能の低下や危険予測と回避方法等については、視聴覚教材により、実際の高齢運転者の交通事故事例について具体的に説明するなど、身体機能の低下が自動車等の運転に影響を及ぼす可能性があること等について理解を深めさせること。
(2) 実車による指導
ア 趣旨
実車による指導については、運用通達第3の3(3)において、受講者1人当たり少なくともおおむね20分間行うこととされているが、この趣旨は、運転技能検査(道路交通法の一部を改正する法律(令和2年法律第42号)による道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第97条の2第1項第3号イに規定する運転技能検査をいう。以下同じ。)と同一の課題を行うことを通じて運転技能を客観的に評価し、適切に履行できなかった課題について重点的に指導することはもとより、例えば、進路変更の際の安全不確認、見通しの悪い交差点等での徐行不履行等の課題以外で見られた不適切な運転行動についても個別・具体的に指導することにより、自らの運転技能の現状を客観的に自覚させるとともに、安全運転を継続できるよう支援することにある。
他方、適切に履行できなかった課題が多かった受講者に対しては、サポートカー限定免許を推奨したり、運転免許証の自主返納又は免許情報記録の抹消を促したりするなど、受講者個々の運転技能の程度等に応じた指導についても配意すること。
イ 順番待ちの時間を活用した映像教養等
運用通達第3の3(3)エ(エ)の順番待ちの時間を活用した映像教養等を講義とは別に実施する場合は、講義で使用した映像と重複することがないよう配意すること。
また、教本を活用する場合は、単に閲読等を指示するのではなく、受講者の前回の運転免許証の有効期間の更新又は免許情報記録の有効期間の更新等の後において改正された道路交通法令のうち必要な事項等が記載された箇所を具体的に指し示した上で、その内容を説明するなど、きめ細やかな指導を行うこと。
ウ 運転技能検査との差異
実車による指導と運転技能検査との運用上の差異については、次のとおりである。
(ア) 実車による指導においては、各課題について採点を行わないほか、例外的に運転シミュレーターでの代替措置が認められていること。
(イ) 運転技能検査においては、録画装置等により、検査の状況等に係る映像等を記録する必要があること。
(3) 運転適性検査器材による指導
運用通達第3の3(2)の運転適性検査器材による指導については、およそ高齢者である以上、加齢に伴う動体視力・夜間視力の低下や視野の狭小化がみられることが一般的であることから、例えば、見通しの悪い交差点における交通事故事例を紹介するとともに、その要因や背景として視野の狭小化等が考えられることを指導するなど、加齢に伴って視野や視力に衰えが生じることによって発生し得る危険な場面について適切に指導すること。
また、他の受講者が検査を行っている時間の有効活用については、例えば、運転免許の取消し等の対象となる一定の病気等(法第103条第1項第1号から第3号までに掲げるものをいう。)に関する資料等を活用して、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気等について紹介するとともに、運転に不安がある場合は専門医に相談するよう促すなど、実質的な効果のある内容となるよう工夫すること。
(4) 教本
高齢者講習で使用する教本は、別紙の内容について正確にまとめられたものを使用するものとする。
なお、教本の冊数については、原則として1冊とすること。規格については、講習終了後に持ち帰って自宅又は自動車等に保管し、いつでも確認できるよう、分かりやすく使い勝手の良いものとすること。
(5) 資料
高齢運転者の身体機能の低下が事故原因であると認められた本県の事故事例を取り上げるなどの内容の資料を作成配付し、教本と併せた効果的な高齢者講習を実施すること。
(6) 視聴覚教材
加齢に伴う身体機能の低下が自動車等の運転に影響を及ぼす可能性があること及び安全運転の必要性を理解させる内容のものを使用すること。
また、プロジェクタ等の投影機材、テレビ、DVDプレーヤー等の適切な視聴覚機材を備え付けること。
(7) 特定失効者及び特定取消処分者に対する取扱い
高齢の特定失効者(法第97条の2第1項第3号に規定する特定失効者をいう。)及び特定取消処分者(同項第5号に規定する特定取消処分者をいう。)から問合せ等があった場合には、次の事項に留意し、誤りのないよう対応すること。
ア 受講者の年齢は、法第89条第1項の規定により免許申請書を提出した日における年齢で判断されること。
イ 高齢者講習の受講は、免許申請書を提出した日前1年以内とされていること(道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号)第26条の2)。
別紙(第2関係)
1 最近における道路交通法令の改正の概要
最近3年間程度の主要な道路交通法令の改正の趣旨、施行の時期、改正の内容等について、図表等を用いて解説すること。その際、高齢運転者に関するものは、詳細に解説すること。
2 最新の車両技術の活用方法・使用時の注意事項
先進安全自動車(ASV)等の最新の車両技術について、イラスト等を用いて解説すること。その際、それらの車両技術の仕組みを踏まえた運転時の注意事項についても言及すること。
3 交通公害、地球温暖化の防止等
交通公害、地球温暖化の防止等について、「エコドライブ10のすすめ(エコドライブ普及連絡会策定)」等の最新の内容を中心に解説すること。
4 安全な運転に必要な実践的な知識
高齢運転者に多い交通事故の特徴を踏まえて、その防止方策等を中心に、以下の項目についてイラスト等を用いて解説すること。
(1) 危険予測の心構え
駐車車両や障害物の陰から人が突然出てきても、安全な措置が採れるよう、「かもしれない」運転を心掛けること、慣れによる慎重さや緊張感の鈍化による「だろう」運転を回避すること、道路環境の変化に合わせて意識を切り替えること等の重要性について解説すること。
(2) 危険予測の方法
視覚や聴覚を用いて、絶えず運転に必要な情報を捉えること、ちょっとした手掛かりを基に人や自動車等の存在を察知すること、他の自動車等の運転者や歩行者等が次にどのような行動をするかについて、その者の目の動きや身体の動きによって察知すること等の重要性について解説すること。
(3) 死角
自らの車両によって生じる死角、駐停車車両によって生じる死角、交差点における死角、カーブにおける死角等についてイラスト等を用いて解説すること。その際、死角によって生じる危険を回避するための方法についても言及すること。
5 高齢運転者の安全に関する知識(高齢運転者の運転特性)
(1) 一般的特性
一般の道路や高速道路等の自動車専用道路における高齢運転者の事故の傾向(自転車による事故の傾向を含む。)、運転特性について解説すること。その際、高齢運転者が運転する上での留意点についても言及すること。
(2) 視力と加齢
運転に必要な情報入手の大半を依存する視力(①静止視力と動体視力、②視野、③明度の差、④順応と眩惑)について、イラスト等を用いて解説すること。その際、加齢との関係についても言及すること。
(3) 反応と加齢
加齢に伴って反応速度が遅くなったり、動作の正確さが低下したりすることについて、データ等を用いて解説すること。その際、加齢との関係についても言及すること。
(4) 病気と加齢
高齢者に比較的多く発症する病気の症状についてイラスト等を用いて解説すること。その際、運転行動との関係についても言及すること。
6 飲酒運転の根絶
体内におけるアルコールの分解の基礎知識、飲酒運転による事故の傾向、飲酒運転の危険性及び罰則、飲酒運転をさせない取組等について解説すること。その際、飲酒運転による事故の悲惨さについても言及すること。
7 事故時の対応と応急救護処置
負傷者の救護(119番への通報を含む。)、道路における危険の防止、警察への通報について、イラスト等を用いて解説するとともに、一般財団法人日本救急医療財団が主催する心肺蘇生(そせい)法委員会策定の「救急蘇生(そせい)法の指針(市民用)」に基づいた応急救護処置及び一次救命処置の方法について、イラスト等を用いて解説すること。
8 高齢運転者と運転免許制度
高齢者講習、認知機能検査、運転技能検査、臨時適性検査、運転免許の申請取消し及び運転経歴証明書の概要や目的等についてイラスト等を用いて解説すること。その際、高齢者講習の受講期間等についても言及すること。
9 「交通の方法に関する教則」
「交通の方法に関する教則」(昭和53年国家公安委員会告示第3号)(第2章及び第3章を除く。)の内容を、イラスト等を用いて記載すること。
10 その他
(1) メモ欄等
受講者が自らの運転状況について振り返る際に役に立つような、ヒヤリ・ハット体験、違反・事故等を記録することができるメモ欄等を設けること。
(2) 交通事故情勢等に応じたトピックの記載
その時々の交通情勢を踏まえ、自転車の通行モラルや事故の増加に関する内容のほか、交通弱者の保護に関する内容等を必要に応じてイラスト等を用いて記載すること。