○福島県警察の署分庁舎の運営等に関する訓令の制定について(通達)

平成22年3月11日

達(務)第91号

このたび、みだし訓令を制定したが、その解釈、運用方針等は次のとおりであるので、運用上誤りのないようにされたい。

1 制定の趣旨

署再編は、社会環境や犯罪情勢の変化に的確に対応し、県民の安全と安心を確保するものであるが、署の統合に伴い、地域住民の不安を解消し、利便性を確保するため、署に分庁舎を設け、署が処理する事務の一部を取り扱わせることから、その必要な事項を定めるものである。

2 解釈及び運用方針

(1) 分庁舎の設置(第2条第12条関係)

ア 署の統廃合に伴い、統合される署の施設を分庁舎とすることとし、分庁舎の担当区域については、統合される署の旧管轄区域としたものである。

なお、いわき中央警察署常磐分庁舎(以下「常磐分庁舎」という。)については、常磐地区幹部交番を廃止して同施設を分庁舎とし、同交番の旧所管区を担当区域とする。

イ 当該区域における事務の処理については、原則として分庁舎で勤務する職員(以下「分庁舎勤務員」という。)が当たることとするが、分庁舎は、あくまでも署庁舎の一部であり、署の管轄区域を二分するものではない。したがって、本署及び分庁舎の各職員は、相互の連携を図るとともに、重要又は特異な事案が発生したときは、署長の指揮監督の下に、挙署一体となって事案の処理に当たらなければならない。

(2) 分庁舎所長(第3条関係)

ア 分庁舎所長は、福島県警察の組織に関する訓令(平成4年県本部訓令第3号。以下「組織訓令」という。)第41条別表第5により副署長の充て職としており、職制上は副署長として本署副署長と同等であるが、本署副署長は、署全体の事務について統括整理し、職員を指揮監督するのに対し、分庁舎所長は、分庁舎における事務について統括整理し、分庁舎勤務員を指揮監督することとするものである。したがって、分庁舎所長は、本署副署長との連絡調整を密にし、分庁舎に関して副署長としての職務に当たらなければならない。

イ 分庁舎所長の具体的な職務としては、

○ 分庁舎等の維持管理に関すること。

○ 分庁舎勤務員の人事管理に関すること。

○ 分庁舎勤務員の勤務管理に関すること。

○ 分庁舎における公印の使用及び保管管理に関すること。

○ 分庁舎におけるけん銃・警察手帳の保管に関すること。

○ 分庁舎における車両の管理及び運用、安全運転の推進に関すること。

○ 分庁舎における事件、事故等の初動捜査に関すること。

○ 分庁舎における関係機関・団体との連絡調整に関すること。

○ 前各号に掲げるもののほか、別に定めるところにより分庁舎所長が処理することとされている事項に関すること。

○ その他上司から特に命ぜられた事項に関すること。

などが挙げられる。

(ア) 「事件、事故等の初動捜査」については、本来、事件、事故等の捜査指揮は、署長指揮の下に、それぞれの段階において行うものであるが、分庁舎担当区域内で事件、事故等が発生したときは、署長の指揮体制が整うまでの初動指揮を分庁舎所長が直ちに行うこととするものである。

(イ) 「関係機関・団体との連絡調整」については、分庁舎所長は、分庁舎担当区域内の自治体やボランティア団体等の各種関係機関・団体との良好な協力関係を構築するものとする。各種会議、会合等への対応については、署長が出席する場合、分庁舎所長が署長代理として出席する場合、署長及び分庁舎所長の両者が出席する場合等が考えられるが、署長の指揮を受け、その趣旨、目的、内容等から判断し、適切に対応しなければならない。

なお、一般的、定例的な会議、会合等については、署長の承認を得て、分庁舎所長が対応するものとする。

(3) 課長代理等(第4条関係)

分庁舎における課長代理等の所要の職の職務を明確にするものであり、課長代理は、分庁舎における課の分掌事務の処理等について、本署の課長の指揮を受け、分庁舎における実質的な責任者として職務に当たらなければならない。

また、係長以下の分庁舎勤務員は、分庁舎における係の分掌事務の処理等について、上司の指揮を受け、本署の係職員等との連携を密にして職務に当たらなければならない。

(4) 決裁等(第5条関係)

ア 分庁舎における事務処理については、地域交通官、刑事官及び会計官(以下「地域交通官等」という。)並びに課長は本署で勤務しており、原則どおりに組織の系統に従った決裁等を行うためには、分庁舎と本署との間で関係書類を往復させることとなり、許認可事務等の処理が遅延するなど、行政サービスが低下するおそれがある。このため、分庁舎における特殊事情を考慮し、緊急の措置を要する事項やあらかじめ署長から指示を受けた事項については、地域交通官等及び課長を飛び越えて、分庁舎において課長代理の次に分庁舎所長が決裁等を行うことができることを明確にし、事務処理の迅速化、関係書類の紛失防止等を図るものである。

イ 分庁舎の課長代理、係長等は、地域交通官等及び課長を飛び越えて分庁舎所長の決裁等を受ける場合は、事前に電話、メール、ファックス等により地域交通官等及び課長の指揮を受けるよう努めなければならない。ただし、署長からあらかじめ地域交通官等及び課長の事前の指揮伺いを要しない旨の指示を受けた事項又は定例若しくは簡易な事項については、この限りでない。

ウ 各分庁舎の担当区域に位置する駐在所の事務処理については、分庁舎の各幹部の決裁を受けなければならない。

(5) 専決事項(第6条関係)

ア 分庁舎所長が専決できる事項については、福島県公安委員会事務の専決に関する訓令(昭和45年県本部訓令第12号)その他関係規程に基づき、適切に行わなければならない。

イ 分庁舎における地域交通官等又は課長の専決事務については、分庁舎所長が上位の職たる副署長として専決し、事後速やかに地域交通官等又は課長の後閲を受けるものとする。

(6) 到達文書の処理(第7条関係)

分庁舎に到達した郵便物等については、福島県警察の文書管理に関する訓令(令和3年県本部訓令第23号)に基づき処理することを明確にするものであり、分庁舎にも必要な簿冊を備え付けなければならない。

なお、常磐分庁舎においては、庶務を担当する係を置かないことから、分庁舎所長が指定する職員が受領し、適切に処理しなければならない。

(7) 宿日直等(第8条関係)

ア 署長は、分庁舎においても、通常勤務における勤務時間(休憩時間を含む。)以外の時間及び休日(以下「閉庁時間帯」という。)における事件事故に即応するための必要な体制を確保しなければならない。

イ 閉庁時間帯においては、署の宿日直責任者又は当務責任者の指揮の下に、本署と分庁舎の各勤務員が相互に連携を図り、事件事故に対処するものとするが、分庁舎における閉庁時間帯の指揮体制を明確にするため、署長は、分庁舎における宿日直又は当務の勤務員の中から責任者を指定し、署の宿日直副責任者又は当務の副責任者とすることとしたものである。ただし、常磐分庁舎においては、この限りでない。

ウ 分庁舎に宿日直副責任者又は当務の副責任者を置くことにより、本署に宿日直副責任者又は当務の副責任者を置くことを妨げるものではない。

(8) 会議等(第9条関係)

ア 分庁舎所長は、分庁舎の特殊性から、署長の命を受け、分庁舎においても幹部会議、朝礼等を開くこととしたものである。幹部会議、朝礼等の開催に当たっては、分庁舎所長及び分庁舎の各幹部は、指示等の内容について、事前に本署の副署長及び各主管幹部と連絡調整を図らなければならない。

イ 署長が招集する署の幹部会議、全体会議等の会議については、分庁舎における勤務体制に支障がない範囲で、分庁舎勤務員も出席することとなる。

(9) その他の事務処理(第10条関係)

ア 公印の保管、使用及び取扱い

分庁舎所長は、福島県公安委員会公印規程(平成11年福島県公安委員会規程第5号)及び福島県警察の公印の取扱いに関する訓令(平成12年県本部訓令第24号)に基づき、保管責任者の命を受け、公印の取扱責任者として、分庁舎における公印の保管、使用及び取扱いに関する事務を適切に処理しなければならない。

イ けん銃の保管

(ア) 分庁舎所長は、警察官けん銃等の管理に関する訓令(平成22年県本部訓令第8号)に基づき、けん銃等の取扱責任者として、分庁舎におけるけん銃等の保管に関する事務に当たるものとする。

(イ) 分庁舎所長は、分庁舎のけん銃保管庫及びけん銃保管室のかぎを保管するものとする。

(ウ) 分庁舎所長は、不在となるとき又は閉庁時間帯には、あらかじめ指定する代理者にけん銃等保管簿、けん銃保管庫及びけん銃保管室のかぎを引き継がなければならない。

ウ 警察手帳の点検及び保管

(ア) 分庁舎所長は、警察手帳等の取扱いに関する訓令(平成12年県本部訓令第10号)に基づき、警察手帳等の取扱責任者として、分庁舎における警察手帳等の点検、保管に関する事務に当たるものとする。

(イ) 分庁舎所長は、不在となるときには、あらかじめ指名する保管取扱者にこれを行わせることができるものとする。

(ウ) 警察手帳等の保管依頼を受けた分庁舎所長は、警察手帳保管簿に確実に記載するとともに、施錠設備のある保管庫等に保管しなければならない。

エ 車両等の管理及び使用

(ア) 分庁舎所長は、福島県警察の車両管理に関する訓令(平成6年県本部訓令第9号)に基づき、安全運転管理者として車両使用責任者を補佐し、分庁舎における車両等の維持管理を適正に行うものとする。

(イ) 分庁舎所長は、分庁舎において管理する車両のかぎを保管するものとし、不在となるときには、車両取扱責任者又は副車両取扱責任者がこれを保管するものとする。

オ 遺失物の処理、各種許認可等の事務については、福島県警察の遺失物取扱いに関する訓令(平成19年県本部訓令第31号)その他関係規程に基づき、適切に処理しなければならない。

(10) 居住区域の例外(第11条関係)

分庁舎に勤務する警察官は、分庁舎の担当区域内に居住することを原則とするものであるが、分庁舎の担当区域外であっても、勤務部署からの通勤距離が20キロメートル以内又は通勤所要時間が30分以内の地域に居住することができることとしたほか、それ以外の地域に居住しようとするときは、署長の承認を受けなければならないこととした。ただし、常磐分庁舎に勤務する警察官については、この限りでない。

なお、居住区域の原則については、警察官が対象であり、一般職員には適用しないものとする。

3 留意事項

分庁舎における業務に関し必要な細目的事項は、別に定めることとしているが、関係署においては、署再編及び分庁舎設置の趣旨を踏まえ、県民の安全と安心を確保するため、署の実態に応じた効果的な業務の推進に努めなければならない。

福島県警察の署分庁舎の運営等に関する訓令の制定について(通達)

平成22年3月11日 達(務)第91号

(令和4年4月1日施行)

体系情報
警務部
沿革情報
平成22年3月11日 達(務)第91号
平成24年1月 達(務)第29号
令和3年12月17日 達(務)第431号
令和4年3月9日 達(務)第66号