○福島県暴力団排除条例運用要綱の制定について(通達)
平成23年6月24日
達(組対)第228号
みだしの要綱を別紙1のとおり制定し、平成23年7月1日から運用することとしたので、誤りのないようにされたい。
記
1 制定の趣旨
暴力団が県民生活及び社会経済活動に多大な脅威を与え、県民の人権を脅かしている状況に鑑み、暴力団の排除を推進し、県民の安全で平穏な生活を確保し、社会経済活動の健全な発展に寄与するため、福島県暴力団排除条例(平成23年福島県条例第51号)が平成23年7月1日から施行されることから、別紙1のとおり福島県暴力団排除条例運用要綱を制定し、同条例の適正な運用を図ろうとするものである。
2 要点
(1) 少年に対する教育等(第6関係)
少年の暴力団に対する誤った認識を払拭し、暴力団への加入及び暴力団犯罪の被害の防止を図る趣旨並びに学校及び少年の育成に携わる者との連携強化の方針を示した。
(2) 暴力団員による少年への禁止事項(第7関係)
禁止事項である暴力団事務所への少年の立ち入らせ及び自己又は自己が所属する暴力団の支配下に置く目的を持っての少年へのつきまとい、連続しての電話又は電子メールの送信に関して、基本的な考え方を示した。
(3) 暴力団事務所の開設及び運営の禁止(第8関係)
施設の敷地の周囲200メートルの区域内及び既得権の解釈を明らかにするとともに、取締り上の留意点を示した。
(4) 警察職員による調査(第9関係)
警察職員による調査の方法を示した。
(5) 公安委員会による調査(第10関係)
公安委員会による調査の方法等を示した。
(6) 立入検査(第11関係)
暴力団事務所への少年の立ち入らせに係る違反容疑がある場合で、その違反の事実を明らかにするために必要と認めるときに行う立入検査について、その可否及び実施要領について示した。
(7) 勧告(第12関係)
勧告書の送達及び内容並びに勧告後の措置について示した。
(8) 命令(第13関係)
暴力団員による少年への禁止事項に違反した者に対する命令について、その手続に関する根拠法令並びに公安委員会による命令及び警察署長による命令について示した。
(9) 公表(第14関係)
意見を述べる機会の付与及び公表の手続を示した。
(10) 書類の送達(第15関係)
送達すべき書類について、その送達事務取扱者及び送達の方法について示した。
3 その他
2の(4)から(9)までの手続きの流れは、別紙2のとおりである。
別紙1
福島県暴力団排除条例運用要綱
第1 趣旨
この要綱は、条例の運用に関し必要な事項を定めるものとする。
第2 用語の定義
この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 条例 福島県暴力団排除条例(平成23年福島県条例第51号)をいう。
(2) 規則 福島県暴力団排除条例施行規則(平成23年福島県公安委員会規則第5号)をいう。
(3) 違反行為 条例第20条、第23条第1項若しくは第2項、第24条第1項、第26条第2項、第27条第2項、第28条第2項、第29条第1項又は第30条第1項の規定に違反する行為をいう。
(4) 違反行為等 違反行為又は勧告に従わない行為をいう。
第3 運用上の基本方針
1 条例の適正かつ効果的な運用を図るためには、県民等による暴力団の排除に関する理解が特に重要であることから、あらゆる機会を通じて暴力団の排除意識の高揚に努め、社会全体で暴力団を排除するよう運用すること。
2 各警察署においては、関係団体等と連絡体制を確立するなど緊密な連携を図り、その協力を求めて効果的かつ合理的な運用に配慮すること。
3 調査、立入検査、勧告、命令又は公表に当たっては、憲法が保障する基本的人権に配慮すること。
4 違反取締りに当たっては、組織犯罪対策課(以下「組対課」という。)との連絡を密にして適正を期すること。
第4 暴力団員等から除かれる者
暴力団員等から除かれる者とは、条例第2条第3号に規定する暴力団員等から、規則第2条の規定により除外される者をいう。
条例では、暴力団員等を主体とする行為の禁止が規定されているが、暴力団から離脱し、就労支援等の社会復帰支援を受けている者又は就労を通じて社会経済活動に参加している者であって、その動向等を確認した上で適切と認められるものを暴力団員等から除かれる者として位置付け、条例の適用除外とすることとした。ただし、この場合の適用除外は、本条例の規定に基づく規制から除外されるのであって、暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者を一律に欠格事項にしている他の法令等からは除外されないので注意すること。
第5 情報提供
県警察は、暴力団情報を厳格に管理する責任(守秘義務)を負っているが、他方で、一定の場合に部外へ提供することによって社会から暴力団を排除するという暴力団対策の本来の目的を達成するために活用することも当然必要である。
条例第13条第1項に規定する情報の提供については、暴力団排除等のための部外への情報提供について(平成24年6月29日付け達(組対)第268号)に基づき、適正に運用するものとする。
第6 少年に対する教育等
暴力団は、社会に悪影響を与える存在であるが、暴力団専門誌や暴力団員を主人公とした映画等が多数存在するなど、一部では暴力団を美化する風潮がある。
条例では、これら暴力団の風潮の影響を受けやすい少年に対し、積極的に暴力団の実態、暴力団の悪性、暴力団犯罪の特徴等を理解させる教育を推進させることにより、暴力団に対する誤った認識を払拭し、暴力団への加入及び暴力団犯罪の被害を防止していくこととしたものである。
1 学校との連携強化
(1) 警察職員による積極的な支援
各警察署においては、管内に所在する学校と緊密に連携し、あらゆる機会を通じて少年に対する教育が効果的に実施されるよう、暴力団に関する様々な情報の提供はもとより、必要に応じて警察職員を講師に派遣するなど積極的な支援を行うこと。
(2) 薬物乱用防止教室等における教育の推進
薬物乱用防止教室、非行防止教室等が開催される場合には、暴力団の悪性と暴力団犯罪の特徴等の内容を盛り込むよう学校に働きかけるとともに、積極的に警察職員を派遣すること。
また、大学が所在する警察署においては、各大学と連携しながら、入学時のオリエンテーションの機会を活用するなどして、積極的な教育を推進すること。
(3) ポスター及びリーフレットの積極的な活用
県警察で作成した暴力団の排除のポスター及びリーフレットについて、学校に掲示し、又は配布することにより効果的な活用を図ること。
2 少年の育成に携わる者との連携強化
各警察署にあっては、少年の育成に携わる者とあらゆる機会を通じて連携し、少年の健全育成のために必要な支援を行うこと。
第7 暴力団員による少年への禁止事項
少年に対する暴力団からの悪影響を排除するため、暴力団員が正当な理由がなく、自己が活動の拠点とする暴力団事務所に少年を立ち入らせることを禁止するとともに、自己又は自己が所属する暴力団の支配下に置く目的をもって、少年につきまとい、又は連続して、電話をかけ、若しくは電子メールを送信すること(以下「つきまとい等」という。)の禁止について規定したものである。
なお、この規定に違反した場合は、中止命令の対象となり、さらに同命令に違反した場合は、罰則が適用される。
1 暴力団対策法との相違点
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号。以下「暴力団対策法」という。)においては、少年に対する加入強要及び勧誘について規制しているが、中止命令の適用に当たっては、「組に入れ(入らないか)。」等の加入強要及び勧誘の具体的文言やその態様を捉えなければ適用は困難であることから、少年が暴力団員の支配下に置かれた状態で、暴力団員が介在する犯罪に巻き込まれる危険性がある。
そこで、条例ではこのような危険性から少年を守るため、暴力団対策法による加入強要及び勧誘の規制となる前段階の行為、すなわち、自己又は自己が所属する暴力団の支配下に置く目的をもって、甘言などの手段による少年に対するつきまとい等の行為を規制するものである。
2 取締り上の留意点
(1) 条例第20条第1項関係
ア 正当な理由がある場合による適用除外
正当な理由がある場合とは、暴力団員及び少年の意思に関係なく、業務などで暴力団事務所に立ち入る場合であり、本条の適用除外となることから留意すること。
イ 自己が活動の拠点とする暴力団事務所
自己が活動の拠点とする暴力団事務所は、当該暴力団員が所属する暴力団事務所はもとより、下位団体の者が上位団体の暴力団事務所で当番に従事していた場合にも、その暴力団員にとっての活動拠点の暴力団事務所となることから、管内における暴力団事務所の所在地及び実態について確実に把握しておくこと。
ウ 立ち入らせの態様
立ち入らせには、暴力団員が自らの意思により、自己が活動の拠点とする暴力団事務所内に積極的に招き入れるような能動的な立ち入らせに限らず、少年が自らの意思により暴力団事務所に入ってきたのを当該暴力団事務所に居合わせた暴力団員が、当該立入りを認容するという受動的な立ち入らせも含むことから、その態様を明らかにすること。
(2) 条例第20条第2項関係
ア 自己又は自己が所属する暴力団の支配下に置く目的
自己又は自己が加入する暴力団の利益を得るために、少年の行動を束縛又は規制することであることから、その実態を明らかにすること。
イ つきまとい
つきまといは、福島県迷惑行為等防止条例(平成12年福島県条例第190号)のつきまといと同義であり、他人の行動に執拗に追随することをいう。
人の前後、側方について歩き、又は止まって離れないことを反復する行為であり、ある程度の時間的継続性を要することから、違反状況の継続性について明確にすること。
ウ 連続して電話をかけ、又は電子メールを送信すること
連続してとは、ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)や配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成13年法律第31号)の連続してと同義であり、短時間や短期間に何度も電話をかけ、若しくは電子メールを送信することであることから、その着信履歴の把握に努めること。
第8 暴力団事務所の開設及び運営の禁止
少年の健全な育成を図るための良好な環境の保全という観点から、学校を始めその他特定の保護すべき施設(以下「保護対象施設」という。)の周囲に暴力団事務所を開設し、又は運営することを禁止するとともに、この規定に違反した場合は、罰則が適用されるものである。
1 保護対象施設の敷地の200メートルの区域
施設の敷地の周囲200メートルの区域(以下「規制区域」という。)とは、当該施設の敷地の外周から直線距離で200メートル以内の範囲をいう。ただし、複合ビル内の一角に保護対象施設が設けられている場合は、当該施設の専用部分の敷地の外周を起点とする。
2 既得権の解釈
既得権とは、特定の個人又は団体がすでに取得している権益をいい、条例第21条第2項本文及び条例附則第2項本文は、条例施行後に開設された暴力団事務所であって、その開設後に保護対象施設が設置されたことにより、規制区域内に存在することとなったもの及び条例施行の際現に運営されている暴力団事務所については、条例第21条第1項の適用除外とする既得権を認めている。
しかし、条例第21条第2項ただし書及び条例附則第2項ただし書において、それらの暴力団事務所が、他の暴力団のものとして開設し、又は運営されることとなった場合は、保護に値する既得権ではないものとして、条例第21条第1項に違反する旨規定している。
3 取締り上の留意点
(1) 実態把握
管内における保護対象施設の所在地及び規制区域の範囲を確実に把握するとともに、暴力団事務所の開設及び運営の実態に関する視察内偵を徹底すること。
(2) 暴力団事務所の開設及び運営の立証措置
規制区域内における暴力団事務所の開設及び運営の立証にあっては、事務所の所在地を確実に特定し、関係者の供述及び客観的証拠を確保すること。
(3) 関係者の保護対策
参考人等の関係者の取扱いについては、相手方が暴力団員であることから、保護対策等により不安の払拭を図り、確実に協力が得られるよう配意すること。
第9 警察職員による調査
1 意義
公安委員会による調査、立入検査、勧告、命令又は公表(以下「公安委員会による調査等」という。)を行う前段階において、違反行為等があること又は違反行為等があった疑いがあることを特定するため、警察職員による調査(以下第9において「調査」という。)を行うものである。
2 調査の方法等
(1) 調査の開始
ア 警察職員は、違反行為等の端緒を認知したときは、事案報告書(様式第1号)により、所属長に報告するものとする。
イ アの報告を受けた所属長(組織犯罪対策課長(以下「組対課長」という。)を除く。)は、調査の実施について組対課長と事前に協議するものとする。ただし、規則第10条第1項ただし書の規定による口頭により命令を行う場合で、報告又は事前協議をするいとまがないときは、この限りでない。
ウ アの報告を受けた所属長は、調査を行う必要があると認めるときは、調査を担当する警察職員(以下「調査担当者」という。)を指定して、当該調査を開始するものとする。
エ ウの規定にかかわらず、アの報告を受けた所属長は、当該違反行為の発生地等が遠隔地にある等のやむを得ない理由により、自ら調査を行うことが困難であると認めるときは、組対課長以外の所属長にあっては、組対課長と協議の上、当該違反行為等の発生地又は違反行為者の居住地を管轄する警察署長に当該調査を引き継ぐものとする。
オ 組対課長は、事前協議を受けて必要があると認めるときは、調査担当者を指定して、当該調査を担当する所属に派遣することができる。
(2) 事情聴取
ア 調査担当者は、調査の過程において必要があると認めるときは、違反行為等が行われた場所、警察署その他の場所において、違反行為等をした者、違反行為等の相手方又は参考人から事情聴取を行うものとする。
イ 調査担当者は、事情聴取を行った場合には、聴取書(様式第3号)を作成し、これを供述者に閲覧させ、又は読み聞かせて誤りのないことを確認した上、供述者に署名押(指)印を求めるものとする。
この場合において、供述者が署名押(指)印を拒んだときは、当該聴取書にその旨を記載するものとする。
ウ 調査担当者は、供述者が聴取書の作成を拒んだとき、事情聴取を行った場合で聴取書を作成するいとまがないときその他の聴取書を作成することができないときは、聴取結果報告書(様式第4号)を作成するものとする。
(3) 調査報告書の作成
調査担当者は、(2)に規定する事情聴取のほか、所要の調査を実施したときは、調査報告書(様式第5号)を作成するものとする。
(4) 提出物件の取扱い
ア 調査担当者は、必要があると認めるときは、書類その他の物件の所持人に対し、当該物件の提出を求めるものとする。
イ 調査担当者は、物件の提出を受けた場合には、提出物件目録(様式第6号)を作成し、その写しを提出者に交付するものとする。
ウ 調査担当者は、提出を受けた物件の所有者がその所有権を放棄する旨の意思を表示したときは、所有権放棄書(様式第7号)の提出を求めるものとする。
エ 調査担当者は、提出を受けた物件を還付するに当たっては、提出物件還付請書(様式第8号)と引換えに行うものとする。
オ 調査担当者は、提出を受けた物件のイ、ウ及びエに規定する保管状況等を提出物件管理簿(様式第9号)により明らかにしておくものとする。
(5) 所属長への報告等
ア 調査担当者は、調査が終了した時点において、総括報告書(様式第10号)により、疎明資料を添えて所属長に報告するものとする。
イ アの報告を受けた所属長(組対課長を除く。)は、違反行為等があると認めるとき又は違反行為等があった疑いがあると認めるときは、関係書類を組対課長に送付し、当該事案の処理を引き継ぐものとする。
この場合において、組対課長は、引継ぎを受けた事案に補充調査が必要であると認めるときは、組対課の調査担当者に必要な補充調査を命じ、又は当該調査を行った所属長(組対課長を除く。)若しくは当該違反行為の発生地等を管轄する警察署長に必要な補充調査を依頼することができるものとする。
(6) 組対課長の措置
事案の引継ぎを受けた組対課長は、公安委員会による調査等の該当性及び必要性並びに違反行為をした疑いがあると認められる者(以下第10において「対象者」という。)について審査し、公安委員会による調査等を行う必要があると認めるときは、疎明資料を添えて刑事部長に報告するものとする。
第10 公安委員会による調査
1 説明要求書・資料提出要求書の送達
組対課長は、公安委員会が公安委員会による調査を行う必要があると認めるときは、対象者に対して、説明要求書・資料提出要求書(様式第11号)を送達するものとする。
2 規則第7条第1項に規定する相当な期間
規則第7条第1項の相当な期間は、原則として、対象者に説明要求書・資料提出要求書が送達されてから2週間以上の期間とする。ただし、対象者の承諾が得られている場合であって、説明又は資料の提出のため十分な期間があると認められるときは、この限りでない。
3 口頭による説明の聴取
(1) 説明聴取官の指定
規則第8条第1項の規定により口頭による説明を聴取させる警察職員(以下「説明聴取官」という。)は、組対課指導官又は対策官の職にある者その他警察本部長が指定した者をもって充てる。
(2) 聴取書の作成
ア 説明聴取官は、口頭による説明の聴取に当たり、説明又は資料の提出を求める理由及びその内容を対象者又は規則第15条第1項に規定する代理人に対し、説明しなければならない。
イ 説明聴取官は、口頭による説明の聴取に当たっては、2名以上で行うとともに、説明聴取官が指定する警察職員に聴取書又は聴取結果報告書を作成させ、聴取書の聴取者欄に当該作成者と連名して記名押印するものとする。
(3) 提出資料の取扱い
ア 説明聴取官は、説明書・資料提出書(規則様式第1号)により資料の提出を受けた場合又は口頭による説明の聴取に当たり対象者又は代理人から資料の提出を受けた場合には、提出物件目録を作成し、その写しを資料を提出した者に交付するものとする。
イ 説明聴取官は、提出を受けた資料の所有者がその所有権を放棄する旨の意思を表示したときは、所有権放棄書の提出を求めるものとする。
ウ 提出を受けた資料の還付に当たっては、提出物件還付請書と引換えに行うものとする。
エ 説明聴取官は、提出を受けた資料のア、イ及びウに規定する保管状況等を提出物件管理簿により明らかにしておくものとする。
4 口頭による説明の聴取日時又は場所の変更
(1) 申出があった場合の措置
組対課長は、説明日時等変更申出書(規則様式第2号)の提出を受けたときは、変更の可否及び変更すべき日時等についての判断を行うものとする。
(2) 職権による場合の措置
組対課長は、説明の聴取日時又は場所を変更する必要があると認めるときは、規則第8条第3項の規定による職権により、変更の決定及び変更すべき日時等についての判断を行うものとする。
(3) 説明の聴取日時等(変更)通知書の送達
組対課長は、口頭による説明の聴取日時等の変更を決定したときは、対象者に対して、説明の聴取日時等(変更)通知書(様式第12号)を送達するものとする。
なお、組対課長は、説明日時等変更申出書の提出を受けた場合で、当該変更にやむを得ない理由がなく、口頭による説明の聴取日時等を変更する必要がないと認めたときは、説明の聴取日時等(変更)通知書にその旨及び変更しない理由を記載し、対象者に送達するものとする。
5 公安委員会による調査後の措置
(1) 調査結果等報告書の作成
組対課長は、公安委員会による調査の結果について、調査結果等報告書(様式第13号)により、疎明資料を添えて公安委員会に報告するものとする。
この場合において、立入検査、勧告、命令又は公表を行う必要があると認められるときは、その旨を具申し、公安委員会がその必要があると判断したときは、速やかに、当該手続に移行するものとする。
(2) 補充調査が必要な場合の措置
組対課長は、公安委員会による調査の結果、補充調査の必要があると認めるときは、組対課の調査担当者に必要な補充調査を命じ、又は警察職員による調査を行った所属長(組対課長を除く。)若しくは当該違反行為の発生地等を管轄する警察署長に必要な補充調査を依頼することができるものとする。
第11 立入検査
1 立入検査ができる場合
立入検査は、条例第20条の規定に違反する行為をした疑いがある場合であって、その違反の事実を明らかにするために必要と認めるときに行うものとする。
2 立入検査の実施要領
(1) 立入検査に従事する職員の指名
組対課長又は警察署長は、あらかじめ立入検査に従事する警察職員を指名し、公安委員会の承認を受け、組対課長は、その職員に身分証明書(規則様式第3号)を交付するものとする。
(2) 立入検査の必要性の判断
調査担当者は、立入検査を行う必要があると認める場合には、立入検査の必要性を記載した報告書を組対課長又は警察署長に提出するものとする。ただし、緊急に立入検査を行う必要がある場合で、報告書を作成するいとまがないときは、口頭により連絡するものとする。
組対課長にあっては、自ら立入検査の適否を判断し、警察署長にあっては、立入検査の必要性について組対課長と協議の上、その適否を判断するものとする。
(3) 質問
立入検査をする警察職員は、条例第20条の規定に違反する行為をした疑いがあると認められる者その他の関係者に質問することができる。ただし、この場合の質問の範囲は、立入検査の具体的な目的に関係する事項に限られる。
(4) 提出物件の取扱い
ア 立入検査をする警察職員は、必要があると認めるときは、書類その他の物件の所持人に対し、当該物件の提出を求めるものとする。
イ 立入検査をする警察職員は、物件の提出を受けた場合には、提出物件目録を作成し、その写しを提出者に交付するものとする。
ウ 立入検査をする警察職員は、提出を受けた物件の所有者がその所有権を放棄する旨の意思を表示したときは、所有権放棄書の提出を求めるものとする。
エ 提出を受けた物件を還付するに当たっては、提出物件還付請書と引換えに行うものとする。
オ 立入検査を実施した警察職員は、提出を受けた物件のイ、ウ及びエに規定する保管状況等を提出物件管理簿により明らかにしておくものとする。
(5) 立入検査実施結果報告書の作成
立入検査を実施した警察職員は、立入検査実施結果報告書(様式第14号)により、組対課長又は警察署長に報告するものとする。
組対課長は公安委員会に、警察署長は組対課長を経て公安委員会に報告するものとする。
3 実施上の留意事項
(1) 早朝又は深夜における立入検査は、原則として行わないこと。ただし、緊急を要する場合であって、早朝又は深夜において実施せざるを得ないときは、この限りでない。
(2) 立入検査をする警察職員は、身分証明書を携帯し、関係者に提示した上で、立入検査を実施する事案の内容及び立入検査を実施する理由を説明すること。
(3) 立入検査をする警察職員は、相手方が立入検査に応じない場合には、相手方に対する説得に努めるとともに、立入検査に応じない事実を立証するための必要な措置を講ずること。
第12 勧告
1 勧告書の送達
組対課長は、公安委員会が勧告を行う必要があると認めたときは、当該対象者に対して、勧告書(様式第15号)を送達するものとする。
2 勧告書の内容
勧告書の勧告の原因となる事実欄には違反行為(条例第20条の規定に違反するものを除く。)があった事実及び当該違反行為が暴力団排除に支障を及ぼし、又は及ぼすおそれがある旨を、勧告の内容欄には当該違反行為の是正を求める具体的事項を記載するものとする。
3 勧告後の措置
組対課長は、公安委員会による勧告が行われた場合は、その旨を関係所属長に通知するものとする。
第13 命令
1 根拠法令
命令は、福島県行政手続条例(平成7年福島県条例第55号。以下「手続条例」という。)第2条第5号に規定する不利益処分に該当し、その手続については、手続条例第3章及び福島県公安委員会聴聞及び弁明の機会の付与に関する規則(平成8年福島県公安委員会規則第3号。以下「聴聞及び弁明規則」という。)に規定されているところである。
2 公安委員会による命令
(1) 弁明の機会の付与
ア 弁明通知書の送達等
(ア) 弁明通知書の送達
組対課長は、公安委員会による命令を行う必要があると認めるときは、当該命令の名あて人となるべき者に対して、弁明通知書(聴聞及び弁明規則様式第16号)を送達するものとする。
(イ) 名あて人となるべき者の所在が判明しない場合の措置
名あて人となるべき者の所在が判明しない場合は、手続条例第29条において準用する手続条例第15条第3項の規定により、当該通知書をいつでも交付する旨を、県庁前の掲示場に掲示し、掲示を始めた日から2週間経過したときに当該通知書が名あて人となるべき者に到達したものとみなす。
イ 手続条例第28条に規定する相当な期間
手続条例第28条に規定する相当な期間は、原則として、当該命令の名あて人となるべき者に弁明通知書が送達されてから2週間以上の期間とする。
ウ 弁明の方法
弁明の方法は、弁明を記載した書面を提出させることにより行うものとする。ただし、当該命令の名あて人となるべき者が口頭による弁明の聴取を希望したとき、命令の原因となる事実に争いが認められるとき又は弁明の内容が複雑であると認められるときは、口頭による弁明の聴取を行うことができる。
エ 口頭による弁明の聴取
(ア) 弁明録取者の指定
聴聞及び弁明規則第21条第1項の規定により口頭による弁明を録取させる警察職員(以下「弁明録取者」という。)は、組対課指導官又は対策官の職にある者その他警察本部長が指名した者をもって充てる。
(イ) 弁明調書の作成
a 弁明録取者は、口頭による弁明の聴取に当たり、予定される命令の内容、命令の根拠となる条例の条項及び予定される命令の原因となる事実を当該命令の名あて人となるべき者又は手続条例第29条で準用する手続条例第16条に規定する代理人に対し、説明しなければならない。
b 弁明録取者は、口頭による弁明の録取に当たり、2名以上で聴取を行うとともに、弁明録取者が指定する警察職員に弁明調書(聴聞及び弁明規則様式第17号)を作成させ、当該作成者と連名して記名押印するものとする。
(ウ) 証拠書類等の取扱い
a 弁明録取者は、口頭による弁明の聴取に当たり、当該命令の名あて人となるべき者又は代理人から証拠書類等の提出を受けた場合には、提出物目録(聴聞及び弁明規則様式第10号)を作成し、その写しを証拠書類等を提出した者に交付するものとする。
b 提出を受けた証拠書類等の還付に当たっては、還付請書(聴聞及び弁明規則様式第11号)と引換えに行うものとする。
c 弁明録取者は、提出を受けた証拠書類等のa及びbに規定する保管状況等を提出物件管理簿により明らかにしておくものとする。
(エ) 口頭による弁明の聴取日時又は場所の変更
a 申出があった場合の措置
組対課長は、聴聞期日・場所変更申出書・弁明日時・場所変更申出書(聴聞及び弁明規則様式第7号)の提出を受けたときは、変更の可否及び変更すべき日時等についての判断を行うものとする。
b 職権による場合の措置
組対課長は、口頭による弁明の聴取日時又は場所を変更する必要があると認めるときは、変更の決定及び変更すべき日時等についての判断を行うものとする。
c 弁明の聴聞期日・場所変更通知書・弁明日時・場所変更通知書の送達
組対課長は、口頭による弁明の聴取日時等の変更を決定したときは、当該命令の名あて人となるべき者に対して、聴聞期日・場所変更通知書・弁明日時・場所変更通知書(聴聞及び弁明規則様式第8号)を送達するものとする。
(オ) 弁明の聴取後の措置
組対課長は、弁明の聴取結果について、調査結果等報告書により、疎明資料を添えて公安委員会に報告するものとする。
この場合において、命令を行う必要があると認められるときは、その旨を具申し、公安委員会がその必要があると判断したときは、速やかに、当該手続に移行するものとする。
(2) 中止命令書による命令の手続
ア 中止命令書の送達
規則第10条第1項の規定による命令(口頭で行う場合を除く。)は、当該命令の名あて人に対して、中止命令書(様式第16号)を送達することにより行うものとする。
イ 中止命令書の内容
中止命令書の命令の原因となる事実欄には当該違反行為があった事実を、命令の内容欄には違反行為の是正を命ずる具体的事項及び命令の及ぶ期間(保護対象となる少年の年齢が20歳となる日の前日)を記載するものとする。
ウ 命令後の措置
組対課長は、公安委員会による命令が行われた場合は、その旨を関係所属長に通知するものとする。
3 警察署長による命令
(1) 中止命令書による命令
警察署長は、規則第10条の規定による命令(口頭で行う場合を除く。)を緊急に行う必要があると認めるときは、2の(2)のア及びイに定めるところにより中止命令書による命令を行うものとする。
(2) 口頭による命令の方法
規則第10条第1項ただし書の規定により口頭による命令を行う警察署長の指揮を受けた警察職員は、当該命令の名あて人に対して、命令の原因となる事実及び命令の内容を告げなければならない。
(3) 命令後の警察署長への報告
(1)又は(2)の命令を行った警察職員は、速やかに中止命令実施結果報告書(様式第17号)により、警察署長に報告するものとする。
(4) 理由通知書の送達
(2)の命令を行った警察職員から(3)の報告を受けた警察署長は、理由通知書(様式第18号)を作成し、当該命令の名あて人に対して送達するものとする。
(5) 規則第10条第2項に規定する相当の期間
規則第10条第2項に規定する相当の期間は、原則として、口頭による命令を行ってから1週間以内とする。
(6) 警察本部長に対する報告
命令を行った警察署長は、関係書類の写しにより、組対課長を経由して警察本部長に報告するものとする。
第14 公表
1 意見を述べる機会の付与
(1) 意見の聴取通知書の送達等
組対課長は、公安委員会が公表を行う必要があると認め、意見を述べる機会を付与するときは、公表しようとする者(以下第14において「対象者」という。)に対して、意見の聴取通知書(様式第19号)を送達するものとする。
(2) 規則第13条第1項に規定する相当な期間
規則第13条第1項の相当な期間は、原則として、対象者に意見の聴取通知書が送達されてから2週間以上の期間とする。ただし、対象者の承諾が得られている場合であって、意見の申述のため十分な期間があると認められるときは、この限りでない。
(3) 意見の聴取方法
意見を述べる機会の付与は、原則として口頭によるものとする。ただし、対象者が口頭による意見の聴取に代えて申述書(規則様式第4号)の提出を希望し、組対課長がこれを認めたときは、申述書の提出により行うものとする。
(4) 口頭による意見の聴取
ア 意見聴取官の指定
規則第14条で準用する規則第8条第1項の規定により口頭による意見を聴取させる警察職員(以下「意見聴取官」という。)は、組対課指導官又は対策官の職にある者その他警察本部長が指定した者をもって充てる。
イ 聴取書の作成
(ア) 意見聴取官は、口頭による意見の聴取に当たり、予定される公表の内容、公表の根拠となる条例の条項及び予定される公表の原因となる事実を対象者又は規則第15条第1項に規定する代理人に対し、説明しなければならない。
(イ) 意見聴取官は、口頭による意見の聴取に当たっては、2名以上で聴取を行うとともに、意見聴取官が指定する警察職員に聴取書又は聴取結果報告書を作成させ、聴取書の聴取者欄に当該作成者と連名して記名押印するものとする。
ウ 提出物件の取扱い
(ア) 意見聴取官は、口頭による意見の聴取に当たり対象者又は代理人から書類その他の物件の提出を受けた場合には、提出物件目録を作成し、その写しを物件を提出した者に交付するものとする。
(イ) 意見聴取官は、提出を受けた物件の所有者がその所有権を放棄する旨の意思を表示したときは、所有権放棄書の提出を求めるものとする。
(ウ) 提出を受けた物件の還付に当たっては、提出物件還付請書と引換えに行うものとする。
(エ) 意見聴取官は、提出を受けた物件の(ア)、(イ)及び(ウ)に規定する保管状況等を提出物件管理簿により明らかにしておくものとする。
(5) 口頭による意見の聴取日時又は場所の変更
ア 申出があった場合の措置
組対課長は、意見の陳述日時等変更申出書(規則様式第5号)の提出を受けたときは、変更の可否及び変更すべき日時等についての判断を行うものとする。
イ 職権による場合の措置
組対課長は、意見の聴取日時又は場所を変更する必要があると認めるときは、規則第14条で準用する規則第8条第3項の規定による職権により、変更の決定及び変更すべき日時等についての判断を行うものとする。
ウ 意見の聴取日時等(変更)通知書の送達
組対課長は、口頭による意見の聴取日時等の変更を決定したときは、対象者に対して、意見の聴取日時等(変更)通知書(様式第20号)を送達するものとする。
なお、組対課長は、意見の陳述日時等変更申出書の提出を受けた場合で、当該変更にやむを得ない理由がなく、口頭による意見の聴取日時等を変更する必要がないと認めたときは、意見の聴取日時等(変更)通知書にその旨及び変更しない理由を記載し、対象者に送達するものとする。
(6) 意見の聴取後の措置
組対課長は、意見の聴取結果について、調査結果等報告書により、疎明資料を添えて公安委員会に報告するものとする。
この場合において、公表を行う必要があると認められるときは、その旨を具申し、公安委員会がその必要があると判断したときは、速やかに、当該手続に移行するものとする。
2 公表の手続等
(1) 公表の方法
規則第11条に規定する公表の方法のうち、インターネットの利用は、福島県警察ホームページ等への掲載とし、掲載期間は、概ね1年とする。
(2) 公表後の措置
組対課長は、公表が行われた場合は、その旨を関係所属長に通知するものとする。
第15 書類の送達
1 送達すべき場所
規則及び本要綱の規定により送達する書類は、原則として送達を受けるべき者(以下「本人」という。)の住所又は居所のうちから本人に最も到達可能な場所を選定して送達するものとする。
2 送達の方法
送達は、次に掲げる方法により行うものとする。
(1) 交付送達
ア 直接交付送達
送達すべき場所において、本人に書類を直接交付することをいう。
イ 出会送達
送達すべき場所以外の場所において、本人に異議のないときに本人に書類を交付することをいう。
ウ 代人送達
送達すべき場所において本人に出会わない場合においては、使用人その他の従業者又は同居の者で書類の受領について相当のわきまえのあるもの(以下「代人」という。)に書類を交付することをいう。
エ 差置送達
本人及び代人が送達すべき場所にいない場合又はこれらの者が正当な理由なく書類の受領を拒んだ場合において、送達すべき場所に書類を差し置くことをいう。
(2) 郵便又は信書便による送達
郵便(配達証明郵便に限る。)又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)第2条第6項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第9項に規定する特定信書便事業者による同条第2項に規定する信書便(配達証明郵便に準ずるものに限る。)により行うものとする。
3 送達の原則
送達は、原則として本人の受領確認ができる直接交付送達により行うものとし、直接交付送達では本人に送達することができないと認められるときは出会送達により、さらに、出会送達では本人に送達することができないと認められるときは、代人送達又は差置送達により行うこととする。
なお、送達すべき場所が明らかな場合その他交付送達によらない正当な理由があると認められる場合に限り、郵便又は信書便による送達により行うことができるものとする。
4 送達事務取扱者
規則及び本要綱の規定により送達する書類の送達事務の取扱者(以下「送達事務取扱者」という。)は、組対課長又は警察署長が指定した者とする。
5 交付送達の実施
(1) 受領確認書の徴収
交付送達は、受領確認書(様式第21号)と引換えに行うものとする。
(2) 交付送達実施報告書の作成
書類の交付送達を行った者は、送達の状況を交付送達実施報告書(様式第22号)により、送達事務取扱者に報告するものとする。
(3) 受領確認書を拒んだ場合の措置
交付の相手方が受領確認書を徴することを拒んだ場合は、交付送達実施報告書にその旨を記載するものとする。
(4) 代人送達又は差置送達を行った場合の措置
代人送達又は差置送達を行った者は、速やかに本人に対して送達した旨を電話その他の適切な方法で伝達し、その状況を交付送達実施報告書に記載するものとする。
(5) 送達する際の留意事項
書類の交付に当たっては、口頭で書類の内容を告げるとともに、相手方の承諾を得られる場合は、その状況を写真撮影しておくこと。
6 郵便又は信書便による送達の実施
(1) 郵便等による送達実施報告書の作成
郵便又は信書便による送達を行った者は、送達の状況を郵便等による送達実施報告書(様式第23号)により、送達事務取扱者に報告するものとする。
(2) 郵便等による送達を行った場合の措置
郵便又は信書便による送達を行った者は、速やかに本人に対して送達した旨を電話その他の適切な方法で伝達し、その状況を郵便等による送達実施報告書に記載するものとする。
7 送達簿の作成
送達事務取扱者は、送達の実施状況等を送達簿(様式第24号)により明らかにしておくものとする。
第16 関係書類の保存期間
関係書類の保存期間は、5年とする。
〔継続用紙(様式第2号)〕
様式第1号
略
様式第2号
略
様式第3号
略
様式第4号
略
様式第5号
略
様式第6号
略
様式第7号
略
様式第8号
略
様式第9号
略
様式第10号
略
様式第11号
略
様式第12号
略
様式第13号
略
様式第14号
略
様式第15号
略
様式第16号
略
様式第17号
略
様式第18号
略
様式第19号
略
様式第20号
略
様式第21号
略
様式第22号
略
様式第23号
略
様式第24号
略
別紙2
義務違反者に対する措置チャート