○事業に対する被害を防止するための特定ライフル銃の所持許可申請等への対応について(依命通達)
令和7年2月14日
達(生企)第46号
[原議保存期間 5年(令和12年3月31日まで)]
[有効期間 令和12年3月31日まで]
令和6年6月14日に公布された銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律(令和6年法律第48号。以下「改正法」という。)により、ライフル銃の定義が変更され、銃腔に腔旋を有する猟銃で腔旋を有する部分が銃腔の長さの5分の1以上であり、かつ、半分を超えないもの(以下「特定ライフル銃」という。)が新たにライフル銃に含まれることとなった。
改正法の施行に伴い、事業被害防止要件に該当する者として特定ライフル銃の所持許可を新たに申請しようとする者に対しては、事業に対する被害を防止するための特定ライフル銃の所持許可の特例的運用について(令和7年2月14日付け達(生企)第45号)のとおり、特例的な運用を認めることとしたところ、具体的な所持許可申請等への対応要領は別紙のとおりであるから、誤りのないように実施されたい。
なお、本運用については、令和7年3月1日から実施する。
別紙
〔凡例〕
「銃刀法」
:銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号)
「特定ライフル銃」
:銃腔に腔旋を有する猟銃で腔旋を有する部分が銃腔の長さの5分の1以上であり、かつ、半分を超えないもの
「鳥獣保護管理法」
:鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)
「鳥獣保護管理法施行規則」
:鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則(平成14年環境省令第28号)
「認定鳥獣捕獲等事業者等の捕獲従事者」
:鳥獣保護管理法第18条の2の規定に基づき認定を受けた鳥獣捕獲等事業者又は鳥獣保護管理法施行規則第13条の6に規定する法人が行う鳥獣捕獲等事業において獣類の捕獲等に従事する者
「鳥獣被害防止特措法」
:鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律(平成19年法律第134号)
「被害防止計画」
:鳥獣被害防止特措法第4条第1項に規定する被害防止計画
「被害防止計画捕獲従事者」
:被害防止計画に基づく対象鳥獣の捕獲等に従事する者(鳥獣被害防止特措法第9条第1項の規定に基づき設置される鳥獣被害対策実施隊の隊員を含む。)
「事業被害防止の必要性に関する通知」
:特定の都道府県内における事業被害を防止するため、当該都道府県において特定ライフル銃による特定の鳥獣の捕獲が必要である旨、当該都道府県知事から農林水産省、環境省及び警察庁宛てに発出される通知
「令和7年通達」
「特例運用通達」
「用途審査通達」
:猟銃等の所持許可のための用途及び使用実績の審査について(令和7年2月14日付け達(生企)第41号)
第1 認定鳥獣捕獲等事業者等の捕獲従事者又は被害防止計画捕獲従事者に係る特定ライフル銃の所持許可の特例(特例運用通達別紙第1)
1 申請受理要領等
(1) 認定鳥獣捕獲等事業者等の捕獲従事者
認定鳥獣捕獲等事業者等の捕獲従事者から特定ライフル銃の所持許可の申請を受けた場合には、申請者に対し、
○ 特例運用通達別添様式第1号「推薦書」
○ 特例運用通達別添様式第2号「都道府県による確認書」
の提出を求め、申請者が認定鳥獣捕獲等事業者等の捕獲従事者であり、かつ、特定ライフル銃を使用して、対象とする獣類の捕獲等に従事する必要がある者として認められていること等を確認するとともに、銃刀法第4条第1項第1号の所持許可に係る審査を行うこと。
(2) 被害防止計画捕獲従事者
被害防止計画捕獲従事者から特定ライフル銃の所持許可の申請を受けた場合には、申請者に対し、
○ 特例運用通達別添様式第2号「都道府県による確認書」
○ 特例運用通達別添様式第3号「推薦書」
○ 申請者が被害防止計画捕獲従事者として従事している「被害防止計画」
の提出を求め、申請者が被害防止計画捕獲従事者であり、かつ、特定ライフル銃を使用して、対象とする獣類の捕獲等に従事する必要がある者として認められていること等を確認するとともに、銃刀法第4条第1項第1号の所持許可に係る審査を行うこと。
2 許可の条件
(1) 認定鳥獣捕獲等事業者等の捕獲従事者又は被害防止計画捕獲従事者として従事する活動に関する条件
(2) 「都道府県による確認書」による活動に関する条件
銃刀法第4条第2項の規定に基づき、当該特定ライフル銃を使用(携帯、運搬及び発射)できる場合について、「都道府県による確認書」に記載されている対象獣類、区域・地域、期間に限定するなど条件を付し、当該銃に係る所持許可証の許可の条件欄に記載すること。
3 許可の更新
所持許可の更新時においては、新たに前記1(1)又は(2)に列挙した書類の提出を求め、前記1と同様に確認・審査を実施すること。
所持許可の更新に当たっては、他の所持許可者と同様に、用途審査通達別添第2の2に基づき、使用実績報告書及び帳簿により、所持に係る猟銃を所持に係る用途に供しているかを確認することとなるが、特例運用通達別紙第1により特定ライフル銃の所持の許可を受け、当該許可を更新しようとする者について、「都道府県による確認書」に係る活動(前記2(2)で付した許可の条件に該当する活動)が複数年に渡り認められないなどの場合には、当該確認書を発出した都道府県に対し、当該者の確認書に係る活動についての情報提供を行うなどの調整を行い、前記2によって付与した所持許可の条件を変更する必要がないかを検討すること。
第2 都道府県知事からの国に対する通知に基づく特定ライフル銃の所持許可の特例(特例運用通達別紙第2)
1 申請受理要領等
○ 申請者が獣類の捕獲等を行おうとする都道府県から事業被害防止の必要性に関する通知が発出されていること
○ 同通知が有効期間内であること
○ 申請者が同通知が発出されている都道府県において獣類の捕獲等を行う予定であること
○ 申請者が捕獲等を行おうとする獣類が、都道府県の通知に記載された獣類であること
を確認すること。
2 許可の条件
前記1の申請に基づいて特定ライフル銃の所持許可をする場合には、銃刀法第4条第2項の規定に基づき、当該特定ライフル銃を使用(携帯、運搬及び発射)できる場合について、当該「事業被害防止の必要性に関する通知」及び「特定ライフル銃使用に関する申告書」の内容に即した対象獣類、区域・地域に限定するなど条件を付し、当該銃に係る所持許可証の許可の条件欄に明記すること。
この際、許可事務担当者は申請者に対し、
○ 特定ライフル銃を使用して狩猟又は有害鳥獣駆除を行う場合は、所持許可証の条件欄に記載された範囲内でのみ発射できること
○ 申請者が申請していない都道府県では特定ライフル銃を使用して狩猟又は有害鳥獣駆除を行うことはできないこと
○ 許可の有効期間の途中で「事業被害防止の必要性に関する通知」が効力を失った場合や、所持許可者が提出していた申告書に記載された獣類又は地域・区域が含まれなくなるような変更がなされた場合には、許可の条件の書換え等が必要になること
を申し伝えるなど、適正な使用を徹底させること。
3 許可の更新
所持許可の更新時においては、新たに特例運用通達別添様式第4号「特定ライフル銃使用に関する申告書」の提出を求め、前記1と同様の確認・審査を実施すること。
4 検査における捕獲活動実績の確認
(1) 基本的な考え方
特例運用通達別紙第2により所持許可を受けた者については、自身が銃刀法第5条の2第4項第1号ロに引き続き該当し、銃刀法第11条第1項第5号による取消しの対象とならないことを所持許可者自身が疎明する必要がある。
具体的には、特例運用通達別紙第2により所持許可を受けた者は、使用実績報告書等により、自身の捕獲活動実績(前記2により付された許可の条件欄に記載された都道府県において、同欄に記載された獣類の捕獲等の活動に従事した実績をいう。以下同じ。)を示すこととなる。
(2) 捕獲活動実績の確認方法
銃刀法第4条第1項第1号の規定により猟銃の所持許可を受けた者に対しては、検査の際、他の所持許可者と同様に、用途審査通達に基づいて、使用実績報告書等により、所持許可者が所持に係る猟銃を所持に係る用途に供したかを確認することとなるが、特例運用通達別紙第2により特定ライフル銃の所持許可を受けた者に対しては、さらに、前記2によって所持許可証に記載された許可の条件と使用実績報告書等を確認し、所持許可証の許可の条件欄に記載された都道府県において、同欄に記載された獣類を捕獲等する活動を行った実績の有無を確認すること。
なお、実際に特定ライフル銃を発射しない勢子等で活動に参加した場合や、結果的に獣類を捕獲等できなかった場合であっても、捕獲等の活動に従事すれば、捕獲活動実績があったものと認められる。
(3) 留意事項
本運用により所持するに至った特定ライフル銃に散弾銃の替え銃身がある場合、当該替え銃身を使用して行った捕獲等は捕獲活動実績に含まれないことから、特定ライフル銃の銃身を使用した捕獲活動実績と区別するため、使用実績報告書の備考欄等に使用した銃身を記載させること。
また、捕獲活動実績を確認するに当たっては、出猟(活動)回数、消費弾数、捕獲した獣類、捕獲地域、同行者等を聴取し、聴取した内容と使用実績報告書や帳簿の記載内容との間に矛盾がないか確認すること。
なお、使用実績報告書に、出猟(活動)したものの、対象となる獣類の発見には至らなかった旨の記載があり、真に出猟(活動)したか疑念が払拭できない場合には、必要により、同行者からの聴取に加え、ETCカードの使用履歴、猟場の写真等の提示を受けるなど出猟(活動)したことを疎明する資料の提示を受けるなどして、その実績を確認すること。
5 捕獲活動実績が認められない場合の措置等
(1) 捕獲活動実績が認められない場合の措置
特例運用通達別紙第2により所持するに至った特定ライフル銃で、1年に1回以上の捕獲活動実績が認められない場合には、銃刀法第5条の2第4項第1号ロに該当する者としてライフル銃の所持の許可を受けた者が当該規定に該当しなくなった場合に該当し、所持許可の取消し対象となる(銃刀法第11条第1項第5号)。
(2) 追加の運用を受けた者
特例運用通達別紙第2により特定ライフル銃の所持許可を受けた者が、複数の都道府県において活動を行うことを申告している場合であって、ある都道府県については1年に1回以上の捕獲活動実績があり、他の都道府県については1年に1回以上の捕獲活動実績がない場合には、捕獲活動実績のある都道府県においてのみ引き続き使用できることとするように条件を変更するなどの対応を検討すること。
(3) 留意事項
前記(1)又は(2)に該当する場合であっても、捕獲活動実績がないことのみをもって直ちに許可の取消し等を行うのではなく、捕獲活動実績がない理由や事情、事業被害防止に資する活動を行う意思等を聴取した上で、病気・出産等の考慮すべき個別の事情の有無や特定ライフル銃を直近で使用しようとする具体的計画の有無などの個別の事情を踏まえて、行政処分の要否を総合的に判断すること。
第3 本運用の対象者等
1 本運用の対象者
本運用は、改正法の施行後に新たに特定ライフル銃を所持しようとする者を対象とするものであり、同法施行時に既に特定ライフル銃を所持している者の当該所持に係る特定ライフル銃は対象とならない。
2 運用方法の追加
3 所持許可の用途
前記第1又は第2により特定ライフル銃の所持許可を申請する場合の用途は、用途審査通達別添第2に従い、「狩猟」又は「有害鳥獣駆除」とすること。
4 本運用の対象となる特定ライフル銃
ライフル実包を発射する機能を有する特定ライフル銃については、本運用の所持許可の対象とはならないことに留意すること。
5 所持許可申請時又は更新時に提出を求める書類の取扱い
第4 留意事項等
1 厳格な調査・審査
特例運用通達別紙の運用は、特定ライフル銃の所持許可の要件の一つである銃刀法第5条の2第4項第1号ロの適用について特例的な運用を認めるものであり、所持許可の審査を緩和するものではないことに留意し、他の猟銃等の所持許可と同様、厳格な調査・審査を実施し、許可の可否について組織的に判断すること。
2 本部と署の連携
本運用が適切に行われるよう、本運用に基づいた特定ライフル銃に対する許可申請を受理した際には、許可を行う前に生活安全企画課生活安全指導第四係による確認を経るようにするなど、本部と署とが連携して審査に当たること。
3 事件化・行政処分
特例運用通達別紙の運用により特定ライフル銃の所持許可を受け、同銃を使用して活動を実施した際に、本来捕獲等すべき獣類とは異なる鳥獣を捕獲等した場合における許可の条件違反等については、当該違反に伴う実害の発生、同種事案の再発のおそれ、社会的に非難されるべき点等を総合的に考慮し、事件化や行政処分について慎重に判断すること。
なお、本運用による特定ライフル銃の所持許可に係る事件化や行政処分を検討すべき事案が発生した際には、認知した段階で速やかに生活安全企画課に連絡すること。
4 報告
事業に対する被害を防止するためのライフル銃の所持許可申請又は当該所持許可申請のための事前相談について、申請又は相談の内容及び対応方針については、銃砲等、刀剣類、火薬類及び危険物に係る関係統計等の報告について(令和7年2月14日付け達(生企)第47号)により報告を求めているところであるが、特例運用通達別紙の運用による特定ライフル銃に係る申請についても、同通達に基づき報告をされたい。